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『女の子なんだから・・・』女子の自信を砕く呪いの言葉

「女の子ならそんなに頑張らなくても…」
「女子なのに理系ってすごいね!」

あなたは言われたこと、そして誰かに言ってしまったことはありませんか?

今回、60人の女子学生に『女の子だから』『女の子なのに』などと言われてモヤモヤした経験を聞きました。

「思い返せばたくさんあった」という多くの声から見えてきたのは、何気ない言葉だからこそ、知らず知らずのうちに私たちにダメージを与えているという現実でした。

(クローズアップ現代ディレクター・荒川あずさ)

何気ない言葉でやる気を失っているかもしれない女子たち

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新学期が始まる4月上旬。

『女の子だから』『女の子なのに』という言葉で嫌だなと思ったことや、モヤモヤしたことはありますか?

街なかで中学・高校・大学生の女性たちに聞いてみると、「女性はそんなに頑張らなくてもいいのかな?」と思ってしまうような言葉の数々にさらされていることがわかってきました。

大学1年生

「大学受験で浪人を経験しました。浪人生に男性が多いことに疑問を持ち、父に聞いてみると、『女は結婚して家庭を持つのが役目だから、そこまで学歴を気にしない人が多い。受かった大学に行けばいいやみたいな感じなんじゃない』と言われ、ちょっと嫌だなと思いました」

中学1年生

「体育の授業中、球技をやるときに『女子だからできないでしょ』とボールを全然渡してもらえない。本当はすごくボールを投げたいのに」

その一方、印象的だったのは、多くの女子学生たちが「モヤモヤしたことはあまりない気がするけど、考えてみればあるかも」と答えたこと。じっくり話を聞いてみると、直接的ではなく何気ない言葉で、自分たちの行動を制限してしまったり、自信を失ったりした過去があるようでした。

大学1年生

「自分は背が高い。『女の子は背が低い方がかわいいよ』と言われ、女の子で大きいのは変なのかな?ダメなのかな?と思うときはありました」

中学3年生

「家庭科で刺繍をした。グダグダになっちゃって、かわいくできなかった。『女の子ならかわいくできないと、モテないよ』と言われ、萎えました」

高校3年生

「文理分けの時に『女子なのに理系なんだ』という声を聞いて、私ちょっと変わってるのかな?と思いました」

「私は変なのかも?」と、何気ない言葉に傷ついた経験を持つ女子学生たち。

正直、「そんなことないよ!」と言ってあげたい衝動に駆られながら、私自身も周囲の『女の子なんだから』という言葉で、自分の言動に不安を感じたり、我慢をしてしまった過去を思い起こしていました。

女性リーダーは異質な存在ですか?

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とりわけ、気になったエピソードがありました。

高校3年生

「体育祭のチームリーダーとか団長を男子がやって、副団長を女子がやるっていうのは決まっていました。私は副団長をやっていたんですけど、女子は団長の方には手を挙げにくいなとは思っていました。団長は男子だよねみたいな」

学校の体育祭や生徒会などで、『リーダーは男子』というような雰囲気が多くあったという声が少なくありませんでした。中には、「女子で仕切ると異質な存在だと思われる。男子が仕切った方が嫌味がないという風潮があり、自らリーダー役をすることは控えていた」という声もありました。

「男子が学級委員長をやりたいなら、やってもらった方がいいかな?」たしかに私自身も思い返してみれば、知らず知らずのうちに男子にリーダーを譲っていた経験があったことに気づきました。

社会心理学が専門の広島大学・坂田桐子教授。
露骨なステレオタイプではなく、些細で曖昧なものこそが有害だと指摘します。

広島大学・坂田桐子教授
広島大学・坂田桐子教授

「露骨な男女差別は反発できます。しかしあまり露骨でないジェンダーステレオタイプの言葉をかけられると、『私の能力が低いのではないか』『私がダメなことをしてるのではないか』というように考えてしまいます。そうすると、いつの間にか頭の中にジェンダーステレオタイプ的な知識枠組みができてしまい、無意識的にそれが言動や仕草などに出てしまうようになります。

社会に出てから、例えば管理職に興味がないわけではない女性もたくさんいると思いますが、『管理職は女性の仕事じゃない』『女性にマッチしない役割である』というような認識が、どこかに出てきてしまうということは考えられると思います」

「人々の意識から変えたい!」動き出した若者たち

NPO法人ジェンダーイコールのメンバーたち
NPO法人ジェンダーイコールのメンバーたち

『男性がリーダー』『男は仕事、女は家庭』のようなジェンダーステレオタイプを、人々の意識から改革しようと活動するNPO法人ジェンダーイコール。ジェンダー平等を目指して、イベントや情報発信を行っています。
現在、ジェンダーについてのショートドラマを制作中です。

脚本と監督も務めたメンバーの一人、高校3年生(4月から大学生)の未来さんは、これまであまりリーダーを務める機会はなかったと言います。

未来さん

「内向的な性格ではないけど、リーダーをやることはありませんでした。女の子でやっている人もいたけど、特に小中学校のときは『やってみたい!』と思う前に、女の子だからサポート役の方がいいと心の中で思っていて、自然に(リーダーをやることを)辞めてしまっていました」

撮影でディレクションをする未来さん
撮影でディレクションをする未来さん

いつの間にか、サポート役に回るようになっていたという未来さん。身の回りのジェンダーバイアスに気づいたのは、高校2年生のときにジェンダーレス制服が導入されたことがきっかけでした。リボンとネクタイも選べるようになり、未来さんはネクタイを着けて登校。すると、ある先生から思いがけない言葉をかけられたと言います。

未来さん

「『女子ならネクタイよりもリボンの方が似合うよ』と言われました。私はおしゃれでネクタイを着けていたのに、『女子だから』という理由で自分の好きなファッションを否定されたように感じて、モヤモヤしました」

なぜ『女子だから』という理由で、自分の好きなことを否定されなくてはいけないのか?疑問に思い、ジェンダー関連の本を読み始めた未来さん。世の中の考え方を変えていくには、自分たちのような若い世代が声をあげていく必要があると感じ、NPOでの活動を始めました。

制作したドラマの1シーン
制作したドラマの1シーン

今回制作するのは、自分や友達の実体験をもとにしたショートドラマ。込めた思いは、「自分らしさを大切にしてほしい」というメッセージです。

未来さん

「今も『女子なのにNPOの活動をしていてすごいね』と言われ、ひっかかることはあります。でもジェンダーバイアスに気づき、活動を始めたことで、積極的になれたし、まずは自分の意見を大切にできるようになりました。だからこそ多くの学生にジェンダーバイアスに気づいてほしい。動画を多くの人に見てもらいたいです」

春からは、大学の社会学部でジェンダーについて学びながら、NPOでの活動も続けていきたいと話してくれました。

『女だから』『女なら』の呪い 自分にもかけていませんか?

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社会人6年目の私。この取材を進めるにあたり、「『女の子だから』『女の子なら』と言われ苦しんだことあるかな?」と振り返ってみて、思い出したのは就職活動のこと。

ある企業の面接に行った際、「女の子なのにうちで大丈夫?」「近々結婚する予定ある?」と言われました。「『すぐに結婚して、出産されたら戦力にならない』という意味なのかな?」その会社で働きたいと面接に行っているにも関わらず、女だからという理由で否定され、自信を失った体験を思い出しました。

皆さんも周りの女性たちに、そして自分自身に呪いをかけていませんか?

一人でも多くの人が、ありのままの自分らしさを失わずに生きられるように。

学生たちの声を通して改めて学んだのは「性別に関係なく、相手を尊重すること」そして「自分自身の本当の声に耳を傾けること」の大切さでした。

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