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【生理・更年期を語ろう】 NHK×日テレ×VOGUE JAPAN 座談会 <前編>#自分のカラダだから

生理や更年期とどう向き合う?家族や社会はどう支える?

15~64歳の女性の就業率は7割超。女性の健康に社会として向き合う必要性がますます高まっています。
そこで今回、NHKの武内陶子アナウンサー、日本テレビの岩本乃蒼アナウンサー、「VOGUE JAPAN」編集者の名古摩耶さん、産婦人科医の高尾美穂さんの4名が「生理・更年期を語ろう」というテーマで座談会を行いました。<後編はこちら>

(編成局展開戦略推進部 #BeyondGenderプロジェクト班)

<出席者>
武内 陶子(NHK アナウンサー)
岩本 乃蒼(日本テレビ アナウンサー)
名古 摩耶(VOGUE JAPAN 編集者)
高尾 美穂(産婦人科医)

それぞれの生理・更年期

名古摩耶(『VOGUE JAPAN』編集者)

アナウンサーのおふたりは人前に出るお仕事で、自分の都合でスケジュールを変えられないという中でずっと働かれてきたと思います。生理や更年期といったライフステージそれぞれに起こる子宮まわりの健康に対してどう向き合ってこられましたか?

岩本乃蒼(日本テレビ アナウンサー)

私は生理が始まったころからお腹(なか)が痛いなと感じることはあったんですが、それを人と比較する機会がありませんでした。生理痛がひどいタイプかそうじゃないのかというのも人と話したことがないまま、学生時代を過ごし、社会人になったという感じでした。

武内陶子(NHKアナウンサー)

生理、更年期、子宮とか聞いてちょっとピリっとするし、語ってこなかった、口にしてこなかったなって。母が「私、まったく更年期がなかったのよね」ってずっと言っていたので、「更年期って何だろうな?だけど女性にはいつか来ることなんだろうしな」と思っていました。そして、自分が体調が激変してきて、「何これ?私が私じゃないみたい」となっちゃったんですよ。

高尾美穂(産婦人科医)

女性の人生にはいろいろな悩みがやってきます。生理痛や生理の量が多いという悩みは、生理の期間が終わるととりあえずは解放されます。更年期は閉経の前後5年間ずつの合計10年間と定義されています。

それぞれの時期をどうにか我慢すれば、その後はまあまあになるかも…というように、困っていることを課題として認識しないという傾向があるように思います。課題だと認識しない限り、それを良くしようという努力をしないんです。ここが一番の問題。

先ほど名古さんが言ってくださった「子宮」は私たち女性にとっては非常に大切な臓器です。実は子宮が働くためにはその隣にある卵巣という臓器が作るホルモンが必要なんですね。

女性ホルモンとの関係

人生のおよそ40年間、女性ホルモンの影響を受け続けます。

10代で卵巣が成熟すると分泌量が一気に増え、生理が始まります。分泌のピークは20代から30代半ばくらい。40代後半から急激に減り、乱高下して、50歳前後で「閉経」を迎えます。

この前後10年間が「更年期」。ホルモンの急激な変化によって生理周期がばらついたり、ほてりやイライラなどの症状が現れたりします。

高尾(産婦人科医)

「男性にも更年期がある」とよく聞くようになりました。女性にとっての卵巣は男性にとっての精巣。精巣という臓器はだんだん働けなくなる。緩やかに変化していき、人生が終わるその日まで働きがゼロになることはありません。でも、卵巣という臓器はいきなりさくっと働けなくなるんです。ここが私たち女性と男性の大きな違いではないかと思います。

語りにくい生理・更年期

生理に伴う症状が原因の労働損失は年間4900億円とも。また、更年期症状によって仕事を辞めざるを得なかったなど、仕事にマイナスの影響があったという人は、働く女性の15%以上。40~50代で推計75万人を超えています。

一方、NHKが行ったアンケート(「生理リサーチ」「あさイチ 更年期」)では、生理や更年期について、家族、友人、職場の人たちに話しづらいという声が。

「夫にもほとんど生理の話はしない。理解してもらえないし反応が薄い」(女性30代)
「更年期のことは先輩や友人、後輩ならなおさら話づらい。ひとりで耐えてます」(女性50代)

一方、男性たちからは「女性が話してくれないと分からない」という声も。

「パートナーの生理をどうサポートしたらいいか分からない。女性は話したがらないので」(男性30代)
「男性は更年期になかなか気づかないので、ひとこと言ってもらえると助かります」(男性50代)

生理の話 相談したら…

岩本(日本テレビ アナウンサー)

朝の番組を担当するようになって早朝に起きたりするようになるとなかなか生理のタイミングが整わなくなってきて、生理不順になったり、生理痛がお腹(なか)が痛かったりして、「朝起きるのがつらいな」「集中力を欠いてしまうな」ということがありました。

自分の体なのにコントロールが効かないのがつらくて。会社の健康診断の先生が男性から女性に変わったタイミングがあって相談したところ、レディースクリニックに行くことを勧められました。クリニックでは「子宮内膜症だよ。薬飲んでみたら?今まで薬何も飲まずにつらかったんじゃない?」と言われて、すごく肩の荷がおりました。3~4年前のことです。

岩本さんのように「生理について周りに話をしたことでラクになった」という声がNHK「生理リサーチ」アンケートに寄せられています。

人生の全体像をつかむ

名古(VOGUE編集者)

生理について語っていこうという機運は高まっています。話されるようになることで、課題への解決策やイノベーションが生まれていくことがあると思います。でも更年期は女性の間でもお互いに少し様子見をしているようなところがあると感じます。

高尾(産婦人科医)

私たちが人類で初めて生きる女性ではなく、今までにたくさんの女性がこれぐらいの年代にこんな困ったことが起きて、こんな時にはこんなことが起きてということを教えてくれています。そして科学的・医学的な対策方法が増えている。だから、私たちの人生において、これぐらいの年代にこれぐらいのことが、という全体像を知ることがすごく大切なんです。

特に妊娠・出産はタイムリミットのある出来事なので、自分のこれからの人生をどうしていきたいかについての人生設計を含めて、自分の全体像を、人生を俯瞰する。そして、そのパーツパーツも見る。「今は生理が順調に来る性成熟期でこんなことに困っている」、「もしかして更年期に差しかかったかしら」というように、女性には自分なりの想定を持っていただきたいんです。

武内(NHKアナウンサー)

更年期というのはうっすら知ってはいたんですが。実際に怒りっぽくなる、記憶できなくなる、肌荒れがひどくなって。ある朝起きたら顔が突然真っ赤に腫れて何もつけられなくなったんです。それが3~4年続きました。でも(自分の中では)更年期とは全くつながらなかったんです。

私の周りにいる人が「いや、うちのカミさんが更年期でめちゃくちゃ機嫌悪くてさぁ」と話していて、それで「更年期って機嫌悪くなるの?」と。「更年期」「病院」などいろいろ調べて、更年期を診ている婦人科に初めて行って血液検査をしたら女性ホルモンが激減していて「更年期です」と言われて。「私、更年期だったんだ」と。そこから長い長い更年期との闘いが始まりました。

カラダの不調 課題と捉えて対策を

高尾(産婦人科医)

「更年期」の時期に不調を感じる女性が全体の6割ぐらい。4割ぐらいの方は、武内さんのお母さんのように特段困ったこともなく過ごしていけるように、個人差がとても大きいんです。自分の状態が“ものさし”になるので、女性どうしでも他の人の状態をなかなか想像しにくいということもあるでしょうね。

だいたい45歳~55歳ぐらいの女性は更年期だと思っておいて間違いないようです。更年期のサインとして分かりやすいものが、生理周期がばらつく、生理の量が変化する。こうした自分の体の変化や不調を“自分ごと化”できているのに、その状況が何という言葉に当てはまるのかというところに至ってない。だから、そこから先の婦人科にもアクセスできていないのかなと感じます。

NHKと専門機関が共同で行った調査では、更年期症状を経験した女性およそ1万人のうち「婦人科を受診していない」と答えた人は6割を超えています。

名古(VOGUE編集者)

40代~50代の女性たちで企業で働いてらっしゃる方は、そこそこ責任も増え、ここから頑張り時だというタイミングで更年期を迎えられることがある。それを考えると、これは個人の問題じゃなくて、企業としての問題でもあると思います。

高尾(産婦人科医)

その年代の女性が、自分の体や心の不調のせいでキャリアを手放してしまう、という考えしか浮かばないこと自体が本当にもったいないんです。だから自分の状況を自分で把握した上で対策を選ぶことが大切です。

高尾(産婦人科医)

更年期の女性って世の中で、何て言われていると思います?「怒りっぽいオバサン」って。

名古(VOGUE編集者)

怒りっぽくて何が悪いって言いたいですけど。(笑)

武内(NHKアナウンサー)

本当ですよ。(笑) でも、対策しないとただそれで終わっちゃう。それはつらいですね。

岩本(日本テレビ アナウンサー)

生理も更年期も「なんとなく、みんなに来て、なんとなくみんなも我慢してるから、手を挙げるのはおかしいんだ」と思われやすいですが、友人の間や職場でもっと話しやすかったらいいですね。高尾先生のおっしゃるとおり、ちゃんと課題として捉えて、知識を得て対策を取れば、痛みもなくなるし、生活もしやすくなるということをもっと広めたいです。

更年期 つきまとうイメージ

名古(VOGUE編集者)

更年期について話すことが、社会で置かれている自分の立場に何かしら影響を及ぼしてしまうのではないかという不安、言いがたい恐怖みたいなものが離れないのかなと思います。

『VOGUE』が読者を対象に今年2月にアンケートを行ったところ、「閉経と更年期に対して社会がどんな印象を持っていると感じるか」という質問に対し、78%の方が「ネガティブな印象」と答えました。

NHKのアンケートにも「更年期」に不安を感じている声が寄せられています。

名古(VOGUE編集者)

岩本さんは、更年期を自分ごととして まだなかなか捉えづらいかなと思いますが、どういう印象をもっていらっしゃいましたか。

岩本(日テレ アナウンサー)

30歳になったばかりなので、”自分ごと化”がなかなかできていません。知っていることといえば、50代になったら体がほてりやすくなったり、体がつらくなったりなどの症状が出るのかなというくらいです。そういう症状がみんなに出るのかどうかも正直知りません。

会話の中で友人が「上司が更年期なんだよね」と話すときのニュアンスは、“ちょっと顔色を探らなきゃいけないんだよね”というような感じで。やはり私たち世代でも「更年期」という言葉に結構ネガティブな印象を持っている人は多いかなと思います。

名古(VOGUE編集者)

武内さんご自身は、更年期に入られる以前はどういう印象をもっていらっしゃいましたか。

武内(NHKアナウンサー)

岩本さんと同じで。なんかビミョウなもの、「ちょっとそっとしておいてあげよう」「なるべく触らないでおこう」みたいなイメージを持っていたような気がします。

「女の人はヒステリックだ」とか言われたりすることがありますけど、それってしょうがないことなんじゃない?ということを知らなかった。それがホルモンのせいだって誰も言ってくれないですし。

名古(VOGUE編集者)

自分がヒステリックになってしまうことを本当に恥じてしまったり、先ほど武内さんもおっしゃっていたように「自分じゃないみたい」とすごく落ち込んだりということがきっといろいろなところで起きているんだろうなと思います。

武内(NHKアナウンサー)

そうですね。人知れず「私のせいだからどうしよう」と思っていると思います。

高尾(産婦人科医)

私たちは「更年期」という言葉から「更年期障害」をイメージするんですよね。ここが間違い。

「更年期」「更年期症状」「更年期障害」。3つの言葉は明らかに違うものですが、「更年期」という言葉で“障害”までイメージしてしまうから、嫌なイメージしかもてない。「更年期」は みんなが迎える時期ですよ、ということを知ってほしいです。

(続きは「生理・更年期を語ろう #自分のカラダだから<後編>」をご覧ください)

座談会の内容は、3月8日「国際女性デー」に、Eテレ『ハートネットTV』、R1『武内陶子のごごカフェ』(下記リンク)で放送しました。

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