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“育児の孤独をやわらげたい” 『アプリ開発』の現場に密着

子育てについての取材をする中で、数多く聞いた声があります。
「コロナ禍になってから育児の愚痴を言う機会が減った」
ママ友パパ友との交流がしづらくなったことなどで、育児が“より孤独になった”と感じている人が、多いというのです。

NHKスペシャル「つながれ!チエノワ#子育てのもやもや解消」では、ITを武器に社会のアップデートを目指す「Code for Japan」のみなさんに密着。子育ての課題の解決につながるアプリ開発の現場を取材しました。

アプリで”育児の孤独”をやわらげることができるのでしょうか?

(5/29放送 NHKスペシャル「つながれ!チエノワ」制作チーム)

Code for Japan
ITエンジニアやデザイナーなど、年齢も職業も住む場所も多種多様な有志が集まった団体。プログラミングなどのデジタルスキルやアイデアによって、社会課題の解決につなげる活動をしている。東京都の新型コロナ対策サイトやオンライン学習アプリなどを開発。

今回NHKが「いっしょに子育ての課題解決をしませんか?」と相談したところ、「自分のスキルや発想を社会に役立てられるなら」と、全国から総勢30人以上がボランティアで協力してくれることに。

「悩みを相手のいない電話に向かって、ぶつぶつ言いたい」

今回のアプリ開発のプロジェクトに参加したメンバーのひとり、ばっしーさんです。1歳の子どもを育てながらウェブデザイナーの仕事をしています。子育ての悩みを抱える当事者の一人として参加しました。

ばっしーさん

ばっしーさんはプログラマーやAIエンジニアなど5人とチームを組み、「育児の孤独」をやわらげるアプリ作りに挑戦することに決めました。

最初に出てきたアイデアは「行政の相談窓口に手軽にアクセスして電話ができるアプリ」。各地の自治体には子育てしている人を対象にした相談窓口がいくつもありますが、調べるのが手間だという人も多く、それを解消してはどうかというものでした。

オンラインミーティングの様子

ところが、他のメンバーのやりとりを聞いていたばっしーさんは、このアイデアについて「自分だったら使わないかも…」と発言。過去に相談窓口に電話をしようとしたものの、結局かけられなかった経験があったからです。

ばっしーさん(女性・子育て中)

「電話ってハードルが高いなと思います。悩みを文章にして言語化するのは、すごい大変な作業じゃないですか」

自分の悩みを誰かに聞いてもらいたい。でも人に伝えるには、わかってもらえるように整理して話さなければならず、それが少し難しいと感じてしまったというのです。

さらにばっしーさんはこんなことを口にしました。

ばっしーさん(女性・子育て中)

「私は悩みを相手のいない電話に言いたい。ぶつぶつ言いたいです」

悩みにAIが返事をするアプリ

子育て当事者の意外な一言に、他のメンバーからは「ほう」という声があがりました。

すぐに反応したのがAIエンジニアのりょーまさん(25歳)。
「ひとりでぶつぶつ話したこと」に対し、AIが自動的に返事をするアプリならつくることができるのでは、と提案したのです。

りょーまさん

りょーまさんは、大学院までの6年間でプログラミング技術を学び、在学中に文字おこしソフトをひとりで開発した経験もあります。

りょーまさんのアイデアに、ばっしーさんも「それはいいかも」と賛同。実際にアプリ開発を進めることになりました。

悩み相談の相手は『ひぐま』

チーム結成から2か月。度重なる修正を経てアプリの試作版にこぎつけました。
その名も「ひぐまさんの相談部屋」です。

「ひぐまさんの相談部屋」

スマホに向かって悩みや愚痴をつぶやくと、ひぐまのキャラクターが優しく受け止めてチャットを返してくれます。

例えばこんなやりとりになります。

あなた:「子どもが何度も夜中に起きる。寝不足。つらい」
ひぐま:「ありがとうな!大変やったなぁ・・・」「寝不足、もう少し詳しく聞かせてや」


相談窓口に電話をする時のように内容を整理して言う必要はなく、ぶつぶつとつぶやくだけでOK。ひぐまは否定的な言葉を使わず、悩みに寄り添ってくれます。

AIが役に立ちそうな情報をオススメ

ただこれだけでは、“ストレスのはけ口”としては役立つかもしれませんが、悩みの解決をサポートするまでには至りません。

「悩みを吐き出したあとにアプリに何をしてほしいか?」

チームメンバーでさらに考えた結果、「悩みに具体的に役立つ情報が知りたい」という話になりました。

そこでひぐまの返事に加えて、その人の役に立ちそうな情報や体験談を、自動で紹介する機能をアプリに加えることにしました。

つぶやかれた内容をAIが解析し、関係すると思われるブログや記事などのネット情報を検索。そのリンクをすぐに教えてくれるというものです。

AIが”関係が深い”と判断したブログなどを表示

ひとりで抱え込んでいる子育ての悩みや愚痴を吐き出すとともに、その解消に役立つような情報が得られるアプリ。

「モヤモヤを伝える相手がいない」「友達と時間が合わず連絡できない」
そんな人に使ってもらうことで、少しでも気持ちが軽くなるよう後押しできればと、開発チームは考えています。

りょーまさん(エンジニア)

「子育ての深刻な問題は、触れてはいけないことのように思われがちです。でもなぜ深刻なのか、なぜひとりで抱えてしまうのか、当事者の方と深く時間をかけて話すことで見えてくるものがありました。そのニーズになるべくこたえるアプリを目指しました」

実際にアプリを使ってみると

5月29日放送のNHKスペシャル「つながれ!チエノワ」では、出演者の横澤夏子さん(お笑い芸人)がこのアプリの試作版を実際に使用。

試作版を使う横澤さん

2児の母で夫婦共働きの横澤さん。
「家での子どもの遊びのレパートリーに行き詰まって悩んでいるが、なにかおすすめの“ごっこ遊び”はあるかなあ?」とアプリにつぶやいたところ、10のお役立ち情報が即座に表示されました。

横澤夏子さん(お笑い芸人)

「自分の検索のしかたって限られてるじゃないですか。でも第三者のこのひぐまさんが検索して提示してくれるっていうのがすごくうれしい。新しい糸口が見つかる感じですね」

まだまだある 開発中のアプリ

この「ひぐまさんの相談部屋」や前回の記事でご紹介した「家事分担コンシェルジュ」「マママインスイーパー」以外にも、今回の呼びかけをきっかけに「Code for Japan」のみなさんはいくつものアプリ開発に取り組んでいます。

左下:ぱんださん

高校生のぱんださんが発案したのは中高生向けのアプリ。自習に使える施設をマップ上で紹介してくれます。

子どもが自分たちで必要な情報を得られるようになれば、親の負担を減らすことにもつながると、ぱんださんは考えました。アイデアを形にするために、大人のエンジニアたちが協力しています。

自習に使える施設をマップ上で紹介

また、これまでも色々なアプリの開発をしてきたhomataさん(神奈川県・50代男性)が手がけているのは「公園マップ」。

ユーザーが遊具の情報や口コミなどを投稿できるアプリを目指しています。

アプリを使ってみたい方はこちらから

ご紹介したアプリは「Code for Japan」の有志がつくったものです。
開発チームのみなさんは、多くの方に試してもらえるよう、デモ版を期間限定で公開しています。

▼アプリを実際に使ってみたい方はこちらから▼
https://www.code4japan.org/news/cc-childcare(NHKサイトを離れます)
※各アプリ説明の下にある「触ってみる・使ってみる」のリンクから利用可能です

NHKスペシャル「つながれ!チエノワ #子育てのもやもや解消」

放送日:5/29(日) 夜9時~ NHK総合

NHKプラスでも配信(配信期間:5/29夜9:00~6/5夜9:54)