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“公平な分担って何?” 家事育児に役立つ『アプリ開発』に密着

子育てのモヤモヤ解消に向けて、いろいろな人の知恵をつなぎあわせて “チエノワ”をつくろうという、「つながれ!チエノワ #子育てのもやもや解消」プロジェクト。

なんと今回、夫婦間の家事育児の分担に役立つアプリ開発のアイデアを出してくる人たちが現れました。ITを武器に社会のアップデートを目指す団体「Code for Japan」のみなさんです。

数理情報の専門家やエンジニア、ロボット開発者などが、新たなアプリの開発に挑みました。

(5/29放送 NHKスペシャル「つながれ!チエノワ」制作チーム)

総勢30人が参加したアプリ開発プロジェクト

「Code for Japan」はITエンジニアやデザイナーなど、年齢も職業も住む場所も多種多様な有志のみなさんが集まった団体です。プログラミングなどのデジタルスキルやアイデアによって、社会課題の解決につなげる活動をしています。

これまでに、東京都の新型コロナ対策サイトやオンライン学習アプリなどを開発してきました。

今回私たちが「いっしょに子育ての課題解決をしませんか?」と相談をしたところ、「自分のスキルや発想を社会に役立てられるなら」と、全国から総勢30人以上の方がボランティアで協力してくれることになりました。

プロジェクトは3月にスタート。オンライン上で6つのチームに分かれ「どんなアプリがあれば多くの人のモヤモヤを解消できるのか」話し合い、それぞれのチームがアプリを開発することになりました。

そもそも公平な家事分担とは? 

オンラインミーティングの様子

『家事育児の分担』をテーマにアプリ開発をすることになったは、数理情報の専門家やフランス出身のITエンジニア、ロボット開発者などが集まったチーム。

話し合いの中で、子育て中の男性エンジニアから「そもそも家事をどう分担すると公平なのか」という意見が出たのをきっかけに、一気に議論が盛り上がりました。

高橋さん(エンジニア・男性)

「公平な分担の割合は5対5というわけでもない。ここが肝だと思うんです」

五十嵐さん(研究者・女性)

「料理をするのが大変な人、洗濯物をするのが大変な人。それぞれ価値観がちがう」

アリックスさん(エンジニア・男性)

「めちゃめちゃイヤだけど時間かからない家事、まあまあイヤだけどめちゃめちゃ時間がかる家事。どうやって比較するのがいいのか?」

”数学の力”で家事分担を解決?!

「何をもって公平な分担とするか」。
この難しい問題を『数学の力で解決できるのでは』と提案したのが、メンバーのひとり五十嵐歩美さんです。

“公平性”を研究する 五十嵐歩美さん(国立情報学研究所 助教)

五十嵐さんは、国立情報学研究所で助教をつとめる数理情報の専門家。アメリカの科学雑誌「MITテクノロジーレビュー日本版」で「日本の若手イノベーター15人」に選ばれたこともあります。

数や時間、得意・不得意など様々な要素を計算し、『公平な分担』を導き出すアルゴリズムの研究が専門です。

五十嵐歩美さん

「周りの同世代の友達は育児や家事分担がすごい大変そうで。家事は人によって好みも異なるので、そういう複雑な意志決定というのは、研究が役立つんじゃないか」

同じ家事でも人によって『負担感が違う』

五十嵐さんが考える「家事育児の公平な分担」とはどのようなものなのでしょうか。上の写真のように妻・アリスさん、夫・ボブさんの例で教えてもらいました。

ホワイトボードの数字は、それぞれの家事について「かかる時間」や「好き・嫌い」をもとに、負担に感じている度合いを表しています。たとえば同じ掃除でも、アリスさんの負担感は「5」、ボブさんは「3」と感じ方が異なります

アリスさんの担当が「掃除」と「洗濯」だった場合、負担感の合計は5+4で「9」となりますが、担当していない「料理」と「皿洗い」の負担感は2+1で「3」です。

アリスさんにとって負担が少ない家事をボブさんが担当していることで、不満が生まれてしまうといいます。

こうした考え方をもとに、お互いに不満がない最適な状態を計算で導き出すのです。

五十嵐さんが提案した「アルゴリズム」を元に、具体的にどのようなアプリにするかをチームのみんなで議論。

その後アプリの具体的なイメージができあがると、プログラミング、「負担度」の表示デザイン、文言の細かなニュアンス検討などの作業を、各自が同時並行で進め、チーム結成から2か月で、アプリのプロトタイプができあがりました。

できあがったプロトタイプは…

アプリの名は「家事分担コンシェルジュ」
いったいどんなものなのか、プロトタイプの画面をご紹介します。

まず最初に、それぞれがいま担当している家事を選択します。ポイントは「料理」「掃除」などおおざっぱな分け方ではなく、「買い物」「配膳」「片付け」など、作業を細かく区分けし実際の負担を見える化することです。

次に選んだ家事について「その作業を好きか嫌いか」「どのくらい時間がかかるか」を入力します。

するとお互いが担当している家事について「どれくらいの負担を感じているのか」がグラフで可視化されます。

上の例では、妻は「献立決めて買い物」「料理する」、夫は「浴槽を洗う」「家中を掃除機かける」に大きな負担を感じているのがわかります。

さらにこのアプリがすごいのはここからです。どうすればお互いの分担が公平に近づくのかを提案してくれるのです。

例えばいま全体的に妻に負担がかたよっているのを、

・「献立決めて買い物」「料理する」を妻から夫にチェンジ
・「浴槽を洗う」「家中を掃除機かける」などは夫から妻にチェンジ

そうすれば今よりも負担感の差が小さくなるという提案です。

この提案の元になっているのは、五十嵐さんの研究を元にしたアルゴリズム。作業にかかる時間や好き嫌いなどから、組み合わせを計算しています。

うまく見直せば、どちらの負担感も減らせるというような、理想的な分担案を実現できる場合もあるといいます。

もちろんこれが正解というわけではありませんが、分担を見直すひとつのヒントになれば、というのが開発チームのねらいです。

五十嵐歩美さん(“公平性”の研究者)

「アプリが冷静な話し合いのきっかけになってほしいなと。今の状態を可視化して、より公平な配分はなにかというのを皆さんで考えてもらう“きっかけ”になればなと思います」

アプリを見た感想は?

5月29日放送のNHKスペシャル「つながれ!チエノワ」では、スタジオで開発中のアプリについて紹介したところ、出演者の横澤夏子さん(2児の母で夫婦共働き)が深く共感していました。

横澤夏子さん(お笑い芸人)

「自分の家でも『ちょっと公平じゃないんじゃないか』と思う時がある。このアプリは負担が減るのが目に見えてわかるのがモチベーションになりそう。ぜひやってみたいです」

アプリを使ってみたい方はこちらから

ご紹介したアプリは「Code for Japan」の有志がつくったものです。
開発チームのみなさんは、多くの方に試してもらえるよう、デモ版を期間限定で公開しています。

▼アプリを実際に使ってみたい方はこちらから▼
https://www.code4japan.org/news/cc-childcare(NHKサイトを離れます)
※各アプリ説明の下にある「触ってみる・使ってみる」のリンクから利用可能です

NHKスペシャル「つながれ!チエノワ #子育てのもやもや解消」

放送日:5/29(日) 夜9時~ NHK総合

NHKプラスでも配信(5/29夜9:00~6/5夜9:54)