
“孤育て”解消 オンラインで家にいながらつながりを
頼れるはずだった祖父母を頼れない、通っていた児童館が利用制限、ママ友・パパ友も作りづらい・・・。コロナ禍で人とのつながりが絶たれたことで子育ての孤立感がより深まっています。
そんな中、オンラインを活用した子育て支援のサービスが少しずつ増えています。
中にはSNSのライブ配信を使ったものも登場しました。
【NHKスペシャル「つながれ!チエノワ」(5/29放送) 制作チーム】
家にいながら!“肯定”と“アドバイス”をくれるオンライン相談
コロナ禍の2年間で急速に利用が広がったのが子育ての〝オンライン相談室〟です。
一般社団法人「オンライン子育てひろば協会」が2018年から運営する「ママこぺる」では、子育て中の人がオンライン上で集まり、そこに臨床心理士や保育士など専門の資格をもったスタッフが加わって相談にのっています。
予約制で利用は無料。これまでに3千人以上の母親たちが利用したといいます。

この協会の副代表で臨床心理士の鈴木梨紗さんが心がけているのは、とにかく子育てを頑張っているママたちをねぎらい行動や思いを肯定することです。私たちが取材させていただいた日は20人ほどが参加し〝コロナ禍の子育て〟について悩みを話し合っていました。
鈴木さんは日々の生活で無理をしすぎていないかを気づかいながら、「心のスペース」をつくることをアドバイス。
・感情が感じられない
・涙が止まらない
・イライラが止まらない
という3つのチェックポイントを挙げ、この3つに当てはまる時には引き受けすぎている仕事を誰かにお願いしたり、自分の時間を何かしらの形で作ってみたりすることを提案していました。
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「オンライン子育てひろば協会」副代表・鈴木梨紗さん
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「寄り添ってくれる人がたったひとりでもいるだけで、子育ては本当に救われる。オンラインを通じておうちにいながら少しでもつながりあえたり、子育ての悩みを分かち合えたり、何か楽しい時間を一緒に過ごせたりできれば、ママたちの新しい味方になれるのではないかと思っています」
“手が届く範囲の”ママに寄り添う 地域密着のライブ配信
SNSのライブ配信を活用して、子育て支援を行っているところもあります。
福島県郡山市の子育て支援団体「しゅふコミ」は、子育て世代のユーザーが多いインスタグラムで日頃から情報発信をしています。
特に地元に根ざした情報の提供を心がけていて”手が届く範囲の”ママに寄り添うことを大切にしています。子育ての悩みだけでなく、コロナ禍でも楽しめる屋外のお出かけスポットやおうち時間の過ごし方、おすすめのレシピなども紹介してきました。


この団体では寄せられたお悩みや質問に対して、子育ての“先輩”がライブ配信でこたえるという取り組みを、2年前から始めました。
“子育てあるある”がテーマの回では『離乳食の食べムラ』や『イヤイヤ期の乗り切り方』など乳幼児の子育ての悩みに対し、3児の母親が子どもをおんぶしながら、体験談を織り交ぜてアドバイスをしていました。

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「しゅふコミ」代表・横尾恵美さん
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「コロナ禍であっても、子育て中のママたちにとってここに聞けばどうにかしてもらえる、つながりがもてると思える場所は絶対に必要。行政の発信も重要だけど、発信している人の顔が見えればもっと気軽に相談してもらえるだろうし、実際にダイレクトメールなどで相談も来る。全然知らないママたちとも、もっと関わりを持てるようになるといいと思って続けています」
実際にこのライブ配信を頻繁に見ていて、“つながり”に救われているというママも私たちに声を寄せてくれました。
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おーのさん(2児の母)
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「子育てにはマニュアル通りにいかないことがたくさんあるので、できないことも含めて共感してもらえる雑談はすごく必要。直接会わないので知り合いにはなれないけど、共感しあううちに、同じ地域で育てている、一緒に子育てをやっているという気持ちが生まれています」
子どもの発達心理が専門で、東京都内で子育てひろばの運営にも関わる大日向雅美さん(恵泉女学園大学学長)は、ぜひ自分が住んでいる地域の活動に目を向けてみてもらいたいと、呼びかけています。
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大日向雅美さん(恵泉女学園大学学長)
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「オンラインを活用して、直接会えない親子に“ママ元気?”“〇〇ちゃん元気?”などと呼びかける活動を始めた子育てひろばは全国各地に広がっています。悩みに寄り添ってくれる応援者がたくさん存在することも画面を通じてわかるようになりました。
地域の中に吐き出せる場やつながれる場があることを知ってもらいたいし、ひとりで抱え込まずに頼ってみてほしいです」

NHKスペシャル「つながれ!チエノワ #子育てのもやもや解消」
放送日:5/29(日) 夜9時~ NHK総合