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夫婦の“理想的”な家事分担とは? NHK×シビックテックの挑戦

コロナ禍の子育ての悩みをいろいろな人の知恵を集めて解決しようという「つながれ!チエノワ #コロナ禍のもやもや子育て」プロジェクト。

今回は夫婦の理想的な家事分担を実現すべく、NHK×シビックテックで挑むアプリ開発についてお伝えします。

(NHKスペシャル「つながれ!チエノワ」デジタル担当 石丸 響子)

“傍観者”ではなく“当事者”と共に 私たちの決意

「お友達できた?どんなお友達だった?」
「あのね、マスクでお顔が見えなくてわからなかった」

小学校に入学した初日の娘との会話です。
入学式で一列に並んで入場してくる子どもたちは一様に顔の半分をマスクで覆われていて、大人の私から見ても誰がどんな顔なのか、どんな表情をしているのか読み取ることができませんでした。

3人の子を育てる中で、ケガや入院、お友達とのトラブルなど、大抵のことには対応できると自負していましたが、今回ばかりは、子どもの新しい環境への適応をどう支えていけば
いいのか、戸惑うばかりです。

行事がすべてキャンセルになり悲しむ子どもたち、家事や育児の分担について夫との間で増えるケンカ…

2年以上続くコロナ禍で、次々と起こる家庭内の問題に、生傷にひとまず絆創膏を貼る程度の対応しかできない自分に悔しさと罪悪感ばかりが増していく中…
NHKでデジタル戦略/発信を担当している私に、NHKスペシャルという番組に参加しないか、という声がかかりました。

「NHKが本気で社会課題の解決に取り組む姿勢を示したい」
「テーマはコロナ禍の子育て」
「デジタル上での情報や声を駆使し、これまでにない社会課題解決に取り組む番組をつくりたい」

そう声を掛けられた私は当初、
「テレビ離れが進む中、とにかくデジタルで何か…ということだろうか…」
「これまでにない番組とは、いったいどういうものだろう…」
と、わが身の課題と重ね合わせながらも戸惑っていました。

ただ、その時に集まったメンバーたちの、「自分たちは本気でやるんだ」という熱量は想像以上に高く、(半ば圧倒され)番組の大枠を作る話し合いに参加するようになりました。

「自分たちはこれまで一方的に課題を設定し、取材し伝えてきたのではないか」
「本当に見る方が必要としていることは何だろう」
「どうやったら本気で、解決の、『種』でもいいから伝えられるのだろう」

そんな議論が続く中、提案したのがシビックテックとの連携です。
シビックテックとは、「市民自身がテクノロジーを活用して社会課題を解決する取り組み」です。

実際のサービス開発のディスカッションにNHKの取材者自身が参加し、取材を通じて
聞いた「声」を生かしていけたらと思いました。

起こった事象や事例をある意味“傍観者”のように客観的に報じるのではなく(そうした冷静な報道が必要なのことも確かです)、共に考え、話し合い、解決の種を共に模索することが必要なのではないかと思ったのです。

だって、「コロナ禍の子育ての悩み」は“課題解決”という一言で済まされるほど、簡単な話だと思えなかったので…

え…

という顔をしていたチームメンバーでしたが、すぐに
「伝えるだけでなく解決の種を作る現場に関われたら…でもどうやって…」と前のめりになっていったのでした。

夫婦喧嘩を減らせる?“公平(理想的)”な家事分担とは

そこで頼ったのが一般社団法人コード・フォー・ジャパンさん(以下 Code for Japan)です。
有志のエンジニアやデザイナーが集まり、市民・企業・自治体の枠を超えて社会課題の
解決を目指す「ハッカソン」と呼ばれるイベントを開催しています。

NHKでも過去にハッカソンを共催しました。
https://www.nhk.or.jp/d-navi/note/article/20220112.html?cid=orjp_learning_blog



「真剣にコロナ禍の子育ての悩みに向き合いたい。つきましてはサービスの開発段階からディスカッションに参加し、その様子を取材し放送するなどご一緒できないでしょうか?」
とのお声がけに、NHKチーム以上の熱量で「やりましょう!」と答えてくださった
Code for Japanのみなさま。
さっそく有志のエンジニアやデザイナーとのアイデア出しが始まりました。

テーマとして挙がったのが「パートナー間の家事分担」です。

コロナ禍の子育てについて、ネット上で多く挙がっていたワードが「夫婦間の不満」や
「家事育児の不平等感」でした。

NHKの投稿フォームにも、このような声が寄せられています。
「育児、家事に対する意識の違いがある。ルーティンはやってくれるが、無数の名もなき家事は気づきもしない。」
「名もなき家事どころか名のある家事すら手伝ってくれません。手伝う、という感覚も当事者意識のない人という印象を強くするんですよね。」


…そうなのです。コロナ禍でケンカが激増した我が家でも、大体のケンカの種は家事(育児)分担です。

コロナ以前は夫婦2人とも仕事が忙しく、家事や育児はできる方ができることをやる。
そしてお互い相手に「負担を掛けて申し訳ない」という罪悪感や感謝を持ちながら、
でもそれをわざわざ口には出さず日々をやり過ごしていました。

そんなギリギリのバランスがガラガラと崩れていったのがコロナ禍での生活の変化だったのです。

在宅勤務が増える私と在宅勤務ができない夫。
いつの間にか、家にいる私がやらなければならないことが増えました。
一方で、どうしても家にいられない分、いるときはやらなければ、と自分自身に負荷をかける夫。

「こんなに僕ががんばっているのに…」「私ばかり…」

こうなってくると出口のない堂々巡りです。。。

“公平(理想的)”な”家事分担の実現へ 開発スタート

3/26のハッカソンの様子

そんな堂々巡りに“解決の糸口”を提示してくださったのが数理情報学専門の五十嵐歩美さん(国立情報学研究所)をはじめとする有志のチームです。

五十嵐さんは、「世界的な課題解決に挑む若手イノベーター15人」にも選ばれた研究者です。
公平な配分」のアルゴリズムを専門に研究しています。

何をもって“公平”とするかは今でも議論が続いているとのことですが、五十嵐さん曰く、
よく使われるのは「誰もが妬みをもたない状況」の達成です。

夫婦がお互いに妬みを持たない、理想的な家事分担を可能にするアプリの開発ができないか。
それぞれの好みや負担感を加味した上で、簡単な入力で家事分担を提示してくれるサービスがあれば…
そんな夢のような計画が始まりました。

メンバーは、
・経済情報を提供するプラットフォームのエンジニア 小副川 健さん(ユーザベース)
・家庭用ペットロボットLOVOTを制作するソフトウェアエンジニア 小川博教さん(GROOVE X)
・東京大学大学院生 横山智彦さん
・北海道で暮らすソフトウェア開発者 Alixさん
・デザイナー のんたん

スゴ腕のエンジニアやデザイナーが、
「エンジニアとしての自分の腕を磨くため」
「何か社会のためになる開発がしたい」
と有志で集まり、日々本業の合間を縫って議論と開発を進めています。(頭が下がります)

「公平に分担するといっても、完全に五分五分にすることが公平なのか」
「家事にも得意なものと不得意なもので負担感が違う」
「早朝のゴミ出しと夜のゴミ出しの負担は同じ?」

一言で「公平な分担」といってもケーキを等分に切るようにはいきません。

我が家でも、料理が苦手な私、書類など手続きが苦手な夫…と、得意不得意はそれぞれで、不得意なものを負うほど不平等感を強く感じることに気づきました。

どうすればお互いが“理想的”だと感じられるアプリを作れるのでしょうか。

アルゴリズムを利用した現状の配分と改善案のイメージ

・「見えない家事」も含めた家事の洗い出し
・どういう見た目だとアプリとして使いやすいか
・どれくらいの頻度で入力すると負担がないか(アプリを使うこと自体が負担を増やしては元も子もないのです)
そんな議論が続きました。

私含めNHKメンバーも、取材から見えてきた課題や自身の家庭事情も交えながら、「こういうアプリだと解決に近づくかも?」「自由記述の選択を作ったらどうだろうか」など、アイデアを出させて頂いています。

他にも、いくつかのグループでプロジェクトが進行中で、それぞれ取材メンバーが参加しており、
パートナーが怒っている理由を当てるゲーム
(夫婦の険悪にならずユーモアを交えてコミュニケーションがとれるアプリ)なども開発中です。

開発の様子は、5月29日(日)のNHKスペシャルでご紹介できればと思っています。
有志での取組みなので、放送の時点でどの程度の開発になっているのか、プロトタイプとして公開できるかは未知数ですが、ぜひ、放送でのお披露目を楽しみにしていて頂きたいと思います。

そして我が家の課題はというと…

正直甘いものではないです。

「子どもの習い事はどちらが送迎する?」「ゴミ捨て、というかゴミをまとめるところは
どちらが?」
という争いの種が、そこかしこに転がっています。

…きっとみんな、ケンカしたいわけじゃないんです。心の中にあるリスペクトをちゃんと表現したいのに、あまりにめまぐるしい日々と、少しのプライドに邪魔されて、どうしても
素直になれなかったりするのだと思います。

開発中のアプリのようなツールを使い、
公平感、つまりは「お互いがんばってるね。いつもありがとう。」
そう言い合える関係に近づくとよいなと心から思います。(とはいえ、現実はむずがゆい。。)

便利なツールや、コミュニティへの参加や、誰かの言葉や…
そんな「知恵」を集め、作り、ご紹介して―

少しでも、私と同じように「もうこれはどうしたものか」と悩む方たちの突破口になれば
いいなと思います。

長文読んで頂きありがとうございます。

読んで頂いたあなたの“知恵”やご意見をお待ちしています。
「NHKに送る」というよりも、「同じ悩みを持つ隣の人」に話しかけるような気持ちで
送って頂ければと思っています。

送って頂いた投稿はすべて番組スタッフが拝見し、番組制作の参考にさせて頂きます。
▼投稿フォームはこちら▼
https://forms.nhk.or.jp/q/PM91JLJX

※Code for Japanでのアプリ開発は有志のボランティアによって行われています。
必ずしも放送されるわけではないことをご理解いただけますと幸いです。
また、アプリはプロトタイプ(試作)の開発です。

▼放送予定はこちら▼
5月29日(日) NHKスペシャル「つながれ!チエノワ」