
自分の気持ちに正直になって、やりたいことをやっていますか? 「あの日」の子どもたちへの10の質問
東日本大震災を経験し、大切な人やものを失った子どもたちに、いまだから語れる気持ちを尋ねる、「『あの日』の子どもたちへの10の質問」。
今回答えていただいたのは、福島県大熊町出身の齋藤真緒さん(21)。震災当時は10歳、小学4年生でした。原発事故により、生まれ育った大熊町を離れ、県内の会津若松市に移り住んだ齋藤さん。故郷の復興に関わりたいと、語り部などの活動をしてきましたが、この先、どう向き合えばいいのか、悩みも生まれていると言います。
茨城県の大学に進学し、将来のことを模索している齋藤さんに、「10の質問」をしました。
(2022年2月)

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齋藤さん
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最近あったうれしかったことは…ちょっと待ってください。あ、私の弟が障害があるんですけど、だんだん、成長が最近すごくて、その成長を今、間近で見られるのがすごくうれしいです。

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齋藤さん
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テレビでそういう番組を見たりとか、こういう取材を受けてくださいって言われたときに考えたりとか。あと自分、将来何をしようかなって思ったときに、無意識のうちに大熊を考えちゃったりとかはしています。でも、ふだんの生活で大熊のことを常に考えているってことは、もう全然ないです。

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齋藤さん
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自分の中で変わったことは、最近だと、まだ葛藤はあるんですけど、自分が大熊出身だからって大熊のことにずっと関わっていなくてもいいんだなって最近はちょっとだけ思えるようになったっていうことと、変わらないことは、震災のときからやっぱり自分はまだ弱いなってすごく感じるところがあって。すぐ体調を崩しちゃったりとか、すぐネガティブになったりとか。そこを変えたいなっていう気持ちはあります。

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齋藤さん
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もう、怒りの言葉をぶつけたいですね。「もっと周りに感謝しろよ」とか、「もっと家族、友達、大事にしろよ」とは、めちゃめちゃ言いたいですね。すごく自分のことばかり考えている、そういうわがままな人だったので、ちょっと叱ってあげたいです。

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齋藤さん
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いつか(大熊町に)帰れるんだろうなって思っていたら、いつの間にか10年たっていたので、長い…いや、短かった。すごく短かったですね。いつの間にか、いろいろ変わっていました。

故郷に暮らしていた時間より、離れている時間の方が長くなった

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齋藤さん
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弟が障害があるということもあって、障害のある方とか、そういう方の手助けをしたいなって思っているので、そういう人たちと関われる仕事とかしていたりとか…そういうことをしていたらいいなとは思いつつも、ちょっと怖いなと思うのが、10年後でも大熊のことを考えたりとか、大熊の語り部っていうほどやっていないけど、そういう大熊のことを語ることをやっているのかなとかは、ちょっと怖くなったりはします。

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齋藤さん
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「ちゃんと自分の気持ちに正直になって、自分のやりたいことをやっていますか?」って聞きたいです。


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齋藤さん
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うーん…会いたい人。会いたい人か。そうだな…もう絶対不可能だけど、震災前の自分に会って、ちょっと本当に「もっと自分の生活を見直したほうがいいんじゃない?」って言ってあげたいです。

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齋藤さん
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なんかもう、本当に大事。大事なのはもちろんなんですけど…。そうだな。どんな存在。やっぱりいちばん大好きな存在です。

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齋藤さん
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私の宝物は、大熊の友達と一緒に撮った写真とか、震災後に友達と離れ離れになったりとか、そういうことが多かったので、写真がすごく宝物です。
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