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2021年2月10日
ひきこもり支援に欠かせない“まなざし”とは
豊島区全庁をあげた「ひきこもり支援」。4月からのスタートに向けて、急ピッチで準備が進んでいます。
部局横断グループの中心として活動する福祉総務課・鈴木寛之係長は、メンバーにひきこもり支援を深く学んでもらおうと勉強会を開催しました。
支援に欠かせない“まなざし”と、見えてきた課題をお伝えします。
部局横断グループの中心として活動する福祉総務課・鈴木寛之係長は、メンバーにひきこもり支援を深く学んでもらおうと勉強会を開催しました。
支援に欠かせない“まなざし”と、見えてきた課題をお伝えします。
報道局社会番組部(デジタル開発)ディレクター 髙松 俊
11課が集結

今月3日、勉強会が開かれたのは、再開発が進む池袋の中心部にある、としま区民センターです。
健康推進課、子ども若者課などひきこもり支援に直面するグループから、介護保健課、生活福祉課などひきこもりとはあまり馴染みのないグループまで、11課38人が参加しました。ひきこもりは複合的な課題を抱えているため、どの課も当事者と接する可能性があります。たらい回しにしないためにも、各課で適切な対応を学ぶ必要があるのです。
窓口対応の人、自宅までアウトリーチする人、施策決定を行う司令塔の人、様々な立場のメンバーが集まり、勉強会スタート。副区長のあいさつに始まり、いかにも“お役所的”な感じで進行していくかと思いきや…
“対策”はしない
冒頭、講師の上田さんの一言が会場をザワつかせます。
「みなさん “対策”と言っていますが、“対策”したらひきこもりは隠れます」
どういうことでしょうか?上田さんは続けます。
KHJ全国ひきこもり家族会連合会 本部事務局長 上田理香さん
「対策という言葉は当事者にとっては、ひきこもりがあそこにいるぞ!と言って追ってくる“自粛警察”のようなもの。まずは本人の心情を知ること。その上で、“ひきこもりをなおす”ではなく、彼らの状況を聞き、困っている事柄を解消していくフラットな姿勢が大切です。」
「対策という言葉は当事者にとっては、ひきこもりがあそこにいるぞ!と言って追ってくる“自粛警察”のようなもの。まずは本人の心情を知ること。その上で、“ひきこもりをなおす”ではなく、彼らの状況を聞き、困っている事柄を解消していくフラットな姿勢が大切です。」
なるほど、たしかに「君にはこういう問題がある」と大きなレッテル貼りをしてくる人の話は聞きたくならないですよね。それよりも具体的な事象に目を向けようと。納得です。
欠かせない家族支援
ひきこもり支援に欠かせないのが「家族支援」です。印象に残った点をまとめました。
①家族の感情は当事者に伝染する
家族の感情はプラス方向でもマイナス方向でも当事者に伝染し大きな影響を与える。だから家族の支援が第一歩目となる。
②否定→肯定的関心へ
本人の言動には必ず本人なりの理由がある。たとえばゲームは自分のままでいられる唯一のコミュニティかもしれない。周囲が理解のまなざしを向けていくことが大事。
③充電期間が不可欠
ひきこもりは家族全員が日々エネルギーを消耗させた状態なので、先を急がない。
家族の感情はプラス方向でもマイナス方向でも当事者に伝染し大きな影響を与える。だから家族の支援が第一歩目となる。
②否定→肯定的関心へ
本人の言動には必ず本人なりの理由がある。たとえばゲームは自分のままでいられる唯一のコミュニティかもしれない。周囲が理解のまなざしを向けていくことが大事。
③充電期間が不可欠
ひきこもりは家族全員が日々エネルギーを消耗させた状態なので、先を急がない。
ひきこもり≠問題がある人 各課で新たな気づき
上田さんが最後に強調したのが、「地域でともに生きている認識を持つ」ことでした。
KHJ全国ひきこもり家族会連合会 本部事務局長 上田理香さん
「無意識の内に“ひきこもりイコール問題がある人”というレッテルを貼りがちだが、私は “地域でともに生きている人”という認識で接しています。当事者は支援者のまなざしに敏感です。生活の小さな困り事が糸口になることも多く、植木の伐採、ペットの世話、健康相談など日常生活の情報提供からやっていきましょう。」
「無意識の内に“ひきこもりイコール問題がある人”というレッテルを貼りがちだが、私は “地域でともに生きている人”という認識で接しています。当事者は支援者のまなざしに敏感です。生活の小さな困り事が糸口になることも多く、植木の伐採、ペットの世話、健康相談など日常生活の情報提供からやっていきましょう。」
1時間の勉強会が終了。参加者のみなさんは自分たちの仕事を振り返るいい機会になったようです。
社会福祉協議会の職員
「グサグサっと刺さった。無意識にひきこもりという当てはめをして、相手に相談しづらさを与えていたことに気がつきました。今どういう状況でどういうことに困っているか具体的に聞いて、一緒にできることを考えるようになりたい。」
「グサグサっと刺さった。無意識にひきこもりという当てはめをして、相手に相談しづらさを与えていたことに気がつきました。今どういう状況でどういうことに困っているか具体的に聞いて、一緒にできることを考えるようになりたい。」
介護保健課の職員
「高齢者のお宅を訪問すると、“この部屋は子どもがいるけど…”と隠そうとするケースがあり、それ以上踏み込まないようにしていました。ご家族の心情を勉強させてもらったので、今後はフラットに情報提供ができればと思いました。」
「高齢者のお宅を訪問すると、“この部屋は子どもがいるけど…”と隠そうとするケースがあり、それ以上踏み込まないようにしていました。ご家族の心情を勉強させてもらったので、今後はフラットに情報提供ができればと思いました。」
見えてきた課題
勉強会終わり、黙々と片付けをする鈴木係長に話を聞きました。手ごたえとともに、今後の課題も見えてきたといいます。
ひとつは「待ちの姿勢→攻めの周知へ」。支援グループの情報を流して待っているだけでは、そもそも当事者に届かない。今後は、当事者や家族がアクセスしやすいSNSの運用も検討していきたいといいます。
もうひとつは専門家の不足です。ひきこもりは複数の専門領域を横断するため、たとえば、多重債務等の問題に対応できる「弁護士」、精神的なケアに精通した「看護師」、家計を考えられる「FP」をチームに組み込めれば、機動的な対応が可能になります。
4月に向けて鈴木さんたちの準備は加速していきます。リアクションやご意見ありましたら、下記の「コメントする」からぜひ声をお寄せください。あなたの声が豊島区を動かすかもしれません。
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