クロ現+
2021年3月9日

“生理用品が買えない” 日本でいま何が?


「収入が減って、生理用品を買う余裕がない」
「節約のために生理用品を交換する頻度を減らしている」
「生理用品を満足に使えないから外出しにくくなった」
新型コロナの影響が長期化するなか、いま女性たちから悲痛な声が上がっています。
いったい何が起きているのでしょうか。

(報道局 政経・国際番組部 ディレクター 市野 凜)

 
コロナ禍で「生理用品が買えない」支援現場からの声

私たちはこの1年、新型コロナウイルスの感染拡大が、女性の仕事や暮らしに大きな打撃を与えている実態を取材してきました。その中で、支援団体の方々などから「『生理用品』の支援を必要とする人が増えている」という声を聞くようになりました。

「食料の無料配布をしていると、隅においてある生理ナプキンが一番最初になくなります」(子ども食堂運営者)

「『子ども用のおむつが買えない』と言うお母さんに、『生理用品は大丈夫?』と聞くと、言いにくそうに『実は困ってるんです』とおっしゃるんです」(子育て支援団体)

「オンライン相談で『生理が来てほしくない』と言う子がいて、詳しく話を聞くと『生理用品を買えないから外出できなくなる』と打ち明けてくれました」(10代の若者の支援団体)

「生理用品を交換する回数を減らしているという生徒からの声を聞き、施設のトイレに無料で置いておくことにしています」(困窮家庭の教育支援団体)

私はいま29歳。生活をする上で、「生理用品」はなくてはらならない必需品です。
しかし、その生理用品を手にすることができない人が少なくないという事実に初めて気づき、取材を進めることにしました。

“トイレットペーパーで…” 手作りナプキンを使う専門学校生



SNSなどで声を上げていた人に話を聞くことができました。神奈川県内の専門学校に通うサクラさん(仮名・19歳)です。去年の5月から、もう1年近く市販の生理用品を使っていないと言います。

サクラさん(仮名・19歳)

「トイレットペーパーとかキッチンペーパーで代用しています。最初はたたんであてるだけだったんですけど、それじゃずれるので、トイレットペーパーを固く巻いてタンポンのように使ったり、厚手のバスタオルを切ってあてがったりしています。生理用品以外のものを代用することで、病気になっちゃったりっていうのが一番怖いです。ちょっとおなか痛くなっただけでも、もしかしてずっとトイレットペーパーを入れてるからかなとか、そういう不安がつきまといます」
食事か、生理用品か…究極の選択を迫られて
サクラさんは父親と2人暮らしですが、幼いころから折り合いが悪く、光熱費や家賃の半分を負担するなど、生活にかかる費用のほとんどを自分で支払っています。



飲食店などのアルバイトを掛け持ちして、月に13万円ほどを稼いでいましたが、新型コロナの影響でシフトにほとんど入れなくなり、先月の収入は2万円足らずまで落ち込みました。

学費の支払いのために借りている奨学金を生活費に充ててしのいでいますが、家賃・光熱費・定期代・教材代のほかに食費を確保するので精いっぱい。そのため、生理用品の購入は我慢せざるを得なくなったと言います。

サクラさん(仮名・19歳)

「まずは自分が食べていかなきゃいけないし、学校は何としても続けたいので、生理用品にかけるお金はないなって思いました。私は経血の量が多い日が5~6日続くので、ナプキンとタンポンもすぐに使い切っちゃうんです。でも、お金を生理用品にかけるくらいならご飯を食べたいと思ってしまいます・・・」

外出を諦めるしかない…


父親に窮状を訴えることはできず、恥ずかしさから友達にも相談できず、自分でナプキンを作るようになったサクラさん。スポーツ好きで活発な女性ですが、生理期間中は家に閉じこもるようになったといいます。

サクラさん(仮名・19歳)

「友だちと勉強しに図書館に行こうといっても、そんなことしていたらいつ漏れるか気が気じゃないので、なかなか外は出歩けません。家にいてもバスタオルを折ってその上に座ったりして、いつ経血が漏れるかわからないので常に緊張しています。普通に学校に行って、普通にご飯食べられてっていう人には、生理用品がなくて困るなんて、なかなか想像がつかないことですよね…」

個人的な問題ではなく“社会の問題”


「#みんなの生理」共同代表 谷口歩実さん

サクラさんのように生理用品を手に入れられず、生理のたびに緊張し、不安な思いで過ごしている若者は日本にどれくらいいるのか。

生理に関する問題について積極的に発信している若者の団体「#みんなの生理」が先月、インターネット上でアンケート調査を開始したところ、「生理用品を買えない」「節約のため長時間つけっぱなしにしている」といった声が数多く寄せられました。

共同代表の谷口歩実さんは、これまで個人的な問題としてあまり語られてこなかった生理を、「社会の問題」として考えてもらいたいと話します。

「#みんなの生理」共同代表 谷口歩実さん

「生理を快適に過ごすというのは、基本的な人権・尊厳にかかわる部分だと思います。生理ってすごく声を上げにくいトピックなので、当事者だけに声をあげることを強要してはいけないと思っていて、生理を経験する人も、経験しない人も含めて、もっとこの問題を社会で認知して、生理のある人にとって生きやすい社会を作りたいと思っています」

日本でも「#生理の貧困」 知ってほしい


「生理用品を購入できない・入手できない」という問題は、「生理の貧困(Period Poverty)」と呼ばれ、社会課題として解決していこうという動きが欧米を中心に広がり始めています。

日本ではまだ知られていない「生理の貧困」の問題ですが、3月4日に「おはよう日本」で放送して以降、様々な反響が広がっています。その実態や解決策について、取材を通してみなさんとともに考えていきたいと思っています。

この問題について、ぜひあなたやあなたの身近な人の経験を聞かせてください。また、記事に対する感想や意見、取材してほしい内容などを、下の「コメントする」からお寄せください。

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※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。