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2021年1月21日

コロナ禍で増加する“パパ活”の実態とは 危険な目にあうリスクも


コロナ禍で、経済的に困窮する女性たちが深刻な危機に陥っています。なかでも心配されるのが、いわゆる“パパ活”に足を踏み入れる女性たちです。男性と一緒に食事などをすることで、金を提供してもらうことをいいますが、トラブルの温床といわれ、違法な“個人売春”につながるケースも少なくありません。家族の暮らしを守るため「パパ活」という道を選んだ女性を取材しました。

(制作局 第2制作ユニット<社会> ディレクター 中島 聡)


2人の子を育てる母親が“パパ活”に


「パパ活」をしているという女性に話を聞くため、閑静な住宅街のとある駅で待ち合わせをしていました。現れたのは、2人の未就学児を育てているというまりこさん(仮名)(30代)です。
ベビーカーに男の子を乗せていました。子どもは歩くことを覚えたばかりという年ごろで、公園に立ち寄ると楽しそうに縦横無尽に歩き回り、まりこさんが追いかける様子は、ほほえましく、こちらも自然と笑みがこぼれてしまいます。
「下の子は目を離すとどこに行っちゃうかわからないので大変です」。取材の際に一緒だったのは下のお子さんで、上のお子さんは幼稚園に行っているとのことでした。

夫から生活費がもらえない ストレスで暴言も


まりこさんは専業主婦で自営業の夫と子どもたちの4人暮らし。「パパ活」というと、こちらの勝手な先入観で10代や20代がお小遣い稼ぎで行っているイメージを持っていたので、子を持つ母親ということに正直、驚きました。
コロナによって夫の収入が激減し、十分な生活費をもらえなくなったというまりこさん。夫に何度も相談しましたが、取り合ってもらえず、そればかりか日を重ねるごとに暴言が飛ぶようになったといいます。

まりこさん(仮名)(30代)
『主婦で収入がないのに偉そうなこと言うな』とか、『俺は外で頑張っているのに、何もしてないでずるい』とか言われます。主人に言っても(生活費を)もらえないので、家族の食費と、おむつとか、自分の貯金から出しています。収入の激減と主人からの暴言が増えたことで、もうほんとに精神的に壊れる寸前です。なるべく暴言を吐かれないように、毎日すごく気を使って生きている感じです」

誰にも相談できない 生活費を補うために“パパ活”


まりこさんの実家も経済的に余裕があるわけではなく、むしろ、金銭の援助を必要とするぐらいだといいます。周囲に相談できる相手もおらず、経済的にも精神的にも追い詰められる毎日。仕事を始めようにも、手がかかる未就学児を保育園に預けなければならず、保育料のことや働く時間が制限されることを考えると、簡単には見つけることができません。そんなとき、生活費を補うために始めたのが「パパ活」でした

まりこさん(仮名)(30代)
「インターネットで『パパ活』というのはどういうものかというのを調べて。『パパ活』をやっている女性がブログやツイッターをやったりしているので、どんなふうに始めたらいいのかわらにもすがる思いでした

無料で交際アプリに登録 食事だけでなく体の関係も


まりこさんはパパ活専用の交際アプリに3つ登録しました。男性は登録するのにお金がかかる一方で、女性は無料。顔写真なども必ずしも掲載する必要がないため、登録することへの抵抗は少なかったそうです。アプリを通じてメッセージのやりとりをし、これまでに10人以上の男性と食事を繰り返してきました。

まりこさん(仮名)(30代)
「子どもが幼稚園に行っている間に男性を会っています。『パパ活』をするとき、下の子は保育園に預けます。食事代やお茶代は男性が払ってくれます」

しかし、男性とは食事だけでは終わりませんでした。次第に体の関係を求められるようになり、抵抗感はあったものの、数万円の援助を得られることから断り切れなくなりました

まりこさん(仮名)(30代)
「これから子どもにどんどんお金がかかってくるので。お茶だけとかでお金を頂くっていうよりも、やっぱりもっと、やっぱり欲しい、お金が欲しい・・・」

大きすぎるリスク 性暴力の被害も


まりこさんは、男性とはメッセージのやりとりをした上で、安全だと思える人と会うことにしていました。しかし、それでも性暴力の被害にあうこともあったといいます。

まりこさん(仮名)(30代)
「やっぱり豹変する人は豹変しましたね。行為のときに、電気がついている状態で、動画とか写真を撮られそうになったり。無理やりその行為を強要してこられたり、避妊を協力してくれなかったり、血が出てきたときもありました。すごく痛くて怖かったんですけど、怖いっていうのも言えなくて。逃げるに逃げられなかった。何でこんなことしなきゃいけないんだろうと悲しくなりました」

誰も守ってくれない、危険と隣合わせの「パパ活」。それでも、やめることはできないといいます。結婚を機に仕事を辞めてしまったというまりこさん。夫との離婚も検討していますが、子どもたちとのこれからの生活のことを考えると踏み出せずにいるのです。

まりこさん(仮名)(30代)
「私一人で子育てをしてこの先ずっとやってくっていう自信が、やっぱりまだちょっとないので。今はもう続けないと。それしか方法が分からないですね。高級なブランド品が欲しいとか、海外旅行に行きたいとか、そういうんじゃなくて、ほんとに普通にお金の心配をしないで暮らしたいだけなんです」

「女性の自己責任では?」という声 解決するには?


しかし、取材中や放送後から一部では、働きたくても条件に合う仕事が見つからないのは彼女たちの自己責任ではないかという声も聞かれました。女性たちが苦境に陥っている大きな要因の一つが、社会の構造的な問題にあります。
たとえば、長引くコロナ禍で、非正規の労働者は解雇されるなどして減少していますが、そのうち約7割が女性です。
内閣府の「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」で座長を務めている白波瀬佐和子(しらはせ・さわこ)さんも、おざなりにされてきた格差の問題が表面化していると指摘しています。

白波瀬 佐和子さん(東京大学大学院 教授 / 内閣府「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」座長)
「日本の労働市場というのは、男女間でものすごく格差があるというのはずっと言われているんですけれど、結局、1960年代以降の男女間の格差という構造を今まで解決されないままできました。そのつけが弱い立場の人たちに回されています」

さらに、白波瀬さんは国など公的機関が困窮者へ積極的にアプローチし、まりこさんのように、実質1人で子育てをしているような人も含めて、より弱い立場の人たちを支援することが欠かせないと話しています。

白波瀬 佐和子さん(東京大学大学院 教授 / 内閣府「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」座長)
「コロナ禍というのは「密室化」がどんどん進むので、DVとか性暴力について重点的に介入を含めて対策を進めることや、日本は母子家庭の貧困率が非常に高いので、母子家庭に集中的に支援を提供することが重要です」

中には、まさに今、経済的にも精神的にも追い詰められている女性たちも少なくありません。国やNPOなどでは、金銭的な悩みだけでなく、DVや心の不安などに対してさまざまな相談窓口が設けられています。まずは問い合わせてみてください。

<相談窓口はこちらから>

生活苦など 女性の悩みを相談できる窓口
国やNPOが設置している相談窓口や、NHKのまとめサイトを紹介しています。 https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0020/topic002.html


関連番組
クローズアップ現代プラス「“パパ活”の闇 コロナ禍で追い詰められる女性たち」
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4489/index.html

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