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若者がクイズで考える 課題解決のヒント!

日本の子どもや若者の「精神的幸福度」は38 の先進国のうち37 位(ユニセフの調査より)。
NHKでも若者からの声を集めたところ、将来に対する不安の声が多く聞かれました。中でも多かったのは、環境問題への危機感。私たちが実感している「気温上昇」が猛暑・豪雨・干ばつなどの異常気象だけでなく、食糧不足や貧困、さらに生物多様性の喪失などさまざまな影響をもたらします。
将来、さまざまな“危機”に直面するのはいま10代から20代の若者たち。
「どうすれば明るい未来が訪れるのか」。若者たちと番組を通じて考えました。
(「未来王2030」ディレクター 佐藤圭介/社会番組部 ディレクター 酒井利枝子)

若者の悩みをもとにクイズができた!?

突然ですがSDGsについてのクイズです!

【問題】
次の4つの環境に関するSDGsの目標のうち、日本が2022年時点で達成しているものはいくつあるでしょう?














正解は…『ゼロ』。
どの項目も達成できていないんです!
目標13、14、15は大きな課題があると指摘されています。目標6は達成まであと一歩。
トイレの項目はほぼクリアしていますが、水の使用量の多さなどが課題となっています。

つづいて第2問!食べ物について。
この20年で最も値上がりをしたのは、次のうちどれ?

A牛丼 Bカレーライス Cチーズバーガー Dきつねうどん













正解は…『きつねうどん』。

20年前と現在を比較すると、こんな感じ!

出典:「小売物価統計調査結果」(総務省)

4つの食べ物すべての価格が上がっていますが、
その中でも「きつねうどん」は200円以上と大きく値上がりしています。
原因はうどんの原材料である小麦の価格高騰です。

日本は小麦を輸入品に頼っていますが、小麦の主産地である米国やカナダでの不作だったことや、さらに一大生産地であるウクライナの情勢が緊迫化したことなどが影響し、2022年も値上がりが続きました。 

これらのクイズ、実は、今の若者たちがリアルに感じている悩みから作られています。
クイズのもとになっているのは、NHKが2022年5月に行った「君の声が聴きたい」プロジェクトに若者から寄せられた「声」です。
プロジェクトには未来への不安や悩みや訴える声が約1万件寄せられました。

集まった声の中には、環境問題に対して危機感を訴えるものが多くありました。

大量生産大量廃棄の社会をやめて、サステナブルな社会になって欲しい。使い捨ての容器やペットボトル、衣類、スーパーのお惣菜など、ゴミをこれ以上出さない社会になって欲しい。
(福岡県 20歳)

人類の未来を考えて地球温暖化を防ぐために、世界のすべての人たちがゼロカーボン(実質的な温室効果ガスの排出量ゼロ)に取り組んでほしい。
(香川県 15 歳)

そのほかに、「古い社会のルールへの不満」「お金の悩み」など身近に抱えている問題への声が。

・性別にとらわれない世界になってほしい(北海道 17歳)
・つまらない校則や意味の分からない決まりをなくしてほしい(神奈川県 17 歳)
・お金の心配をせずに学びたい(広島県 18歳)
・奨学金を返せなくてやりたい仕事を諦めた(東京都 20歳)

若者たちが明るい未来に進めるようにするにはどうすればよいのか…

SDGsをテーマにしたクイズ番組、「未来王2030」では若者たちの悩みをもとにしたクイズを解くことで、問題を共有し、未来を生き抜くためのヒントを見つけることができればと考えました。

番組には環境問題やSDGsに関心が高く、実際に活動も行っている小学生から大学院生までの
64組128人の若者たちが全国から参加。

大会はVR(バーチャルリアリティー)空間で行われ、解答者は自らの「アバター」を操作し、クイズに答えていきます。決勝ステージでは勝ち上がった6 組や番組のMCらが楽しみながら、学んでいく姿もありました。

左上・MC 田村淳さん 右上・森田ひかる(櫻坂46)さん 左下・豆原一成(JO1)さん 右下・大沢あかねさん
案内犬のHachiko ( 井上咲楽さん)

問題解決に楽しく取り組む!驚きのヒント

参加者は何を問題と捉え、日々どのように過ごしているのでしょうか。決勝ステージに進んだ2組に聞きました。

左・吉田さん 右・駒井さん

<グリーンピース・ジャパン 学生ボランティア>
吉田優亜(よしだ ゆうあ)さん 大学4年生
駒井千春(こまい ちはる)さん 大学4年生

2人が将来に不安を感じているのは、環境問題です。
なかでも使い捨ての容器や海洋ごみが取り沙汰されているプラスチックの問題を懸念しています。

2人は世界におけるプラスチック削減の事例を紹介するイベントを学生向けに開催したり、国内の大学の取り組みを調査したりするなど、社会のシステムを身近なところから変えていきたいと活動しています。

今回、番組に参加したのも「環境問題に取り組む人を増やしたい」、
「持続可能」な世の中にするためにはどうすればよいか、というヒントを得るためでした。

吉田 優亜さん

「私は普段からマイボトルを欠かさず持っており、ペットボトル飲料水を購入することはほとんどありません。しかし、私の通う大学には冷水機がなく、いつも中身がなくなった時に給水ができず困っています。

ペットボトルをなるべく買わないというのは個人でできる身近なアクションであり、大学側がそのアクションを奨励していないことに対し不満に感じています。」

大学で教育学部を学んでいる駒井さんは、環境問題に取り組まないことが次世代を生きる子どもたちの将来を奪うことになると危機感を感じ、NGOでのボランティア活動を始めました。

駒井 千春さん

「環境問題についてさまざま取り組みをしている大学が全国にあることを知り、自分が通う大学ではそのような取り組みがないことに気付きました。
日々深刻化していく環境問題、とりわけ気候変動や気温の上昇はみんなで一丸となって取り組まなければ取り返しのつかないことになってしまいます。

教育学部で学び、未来を生きる子どもたちに関わっているのにもかかわらず、子どもたちの未来に対して自分は何もしていないどころか、その未来を潰しかねない。

日々生活する中で地球環境への配慮が全くできていないことに気が付きました。
その日から、なるべくプラスチックを使わないようにしたり、節電を心がけたりするようになりました。」

吉田さんは、番組に参加したことで環境問題に取り組む人を増やせたようでー、

吉田 優亜さん

「今回の番組はVR空間での収録なのですべてバーチャル。スタジオに華やかなセットを作ったりして、大量のゴミをだすこともなく、環境にやさしい大会だなと思いました。
環境への問題意識を持つ仲間に大勢会えたことも大きな収穫でした。

一番興奮したのは、収録のため訪れたNHKで玄関から入ってすぐのところに給水器が設置されていたことです!こういった試みがもっと広がるといいなと思いました。」

もう一組は、これまで幾多のクイズ番組に出演し、優勝を勝ち取ったこともある“クイズ王”、栄東高校の「クイズ研究部」に所属する2人です。

左・笠井さん 右・國雲さん

<栄東高校>
・笠井虹来(かさい にこ)さん 高校3年生
・國雲瑞貴(こくうん みずき)さん 高校3年生

高校生ながら、予選は大学生を抜き1位の成績で、決勝進出を決めた2人。
もともと環境問題を始めとするSDGsに関心が高いほうではなかったと言いますが、クイズの勉強をする中で、環境問題やSDGsについて真剣に考えるようになりました。

将来を見据え、自分自身の意識や行動も変わってきたといいます。

笠井 虹来さん

「今年のクイズ番組の出題テーマに『SDGs』があり、それに向けて勉強したことでSDGsや環境問題に興味を持ちました。
クイズ番組の1テーマとして、小さく『SDGs』が扱われることが最近増えてきましたが、今回の番組のように大きく扱われることはなかなかありません。

今回の目的はもちろん「未来王」になることですが、自分自身の勉強にもすることも大きな目的の一つでした。

番組を経験して、SDGsや環境への知識を深めることができたと同時に、自分自身の生活を少し見直してみようと思いました。

なかなか自分事に捉えにくかった環境問題もクイズを通じて自分事に考えられるようになり、排出するゴミを少なくするために、シャンプーも『詰め替え式』ではなく『固形』のものが最近では出回ったりしていることに、自然と気が向くようになりました。

自分の知識を増やしながら、環境に対してどんなことができるのかの学びも広げていきたいです。」

國雲 瑞貴さん

「最近ハマっているのは、SDGsに関する記事や論文を読んで見識を深めることです。未来王2030には、これからの将来を考える中で重要な内容を学ぶことが出来るのではないかと期待をもって参加させていただきました。

特に、将来確実に必要になる経済分野における知識を学びたいと思っているのでその延長線上にあるお金の分野にも関心が強いです。
富裕層が富み続け、貧困層が苦しみ続けるようなことはあってはならないと考え、自身の力で何か変えられることはないかと思索にふけっています。

番組で出題されたクイズを解くことで、いままで自分の中で『表層的な知識』でしかなかったものが、理由やその背景まで聞いて補完されたことで、しっかりと『深みのある実践的な知識』になりました。
この知識をクイズだけでなく、自分の生活にも役立てていきたいです。」

番組では、未来をよりよくするためのプレゼン対決にも挑みました。
栄東高校の2人が解決したいと社会課題のテーマにあげたのが「食品ロスと貧困」です。

提案してくれたのは驚きのアイデア!
それは、“冷蔵庫の余り物や賞味期限ギリギリなど持て余している食材を集めて調理するパーティのススメ”です。
家庭や飲食店で出た廃棄食材を集め、調理してフリーマーケットのような形で提供することで食品ロスをなくすだけでなく、コストを抑えた食事ができる、まさに「食品ロスと貧困」2つの問題を同時に解決できないかという提案です。

2人は、そうしたパーティを定期的に開催できる世の中にしたいと考えました。

笠井 虹来さん

「私たちの柔軟な発想が平和な未来の食事をつくります。
答えは1つだけではありません。皆さんで一緒に考えてほしいです。」

最後に、クイズを1問!
次の4つから導き出される「環境にやさしい活動」とは?

①これを行う集団がいる
②フランスでは馬を使って行われている
③毎年5月30日はこれの日
④これを共有するSNSアプリがある

ヒントは画像の中に隠されています!

分かりますか?













正解は…ゴミ拾いです。

若者たちの悩みから生まれたクイズで、未来について一緒に考えてみませんか?
クイズに最も多く正解し、「地球のミライ」をよりよくするためのプレゼンバトルを制し、「未来王」に輝くのは誰なのか、ぜひ注目してみてください!

「未来王2030」(2022年12月11日放送)

不確かな未来を生き抜くヒントを、クイズで学ぶエンタメ番組。日本のお金にまつわる衝撃の事実や、今話題の副業のテクニック、さらには環境問題、校則やジェンダーなど…シリアスな社会課題をクイズとVRを駆使した演出で“自分ごと”化する。

※NHKプラスで12月18日まで見逃し配信中※

担当 地球のミライの
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