小笠原に眠る“戦跡” 3Dデジタルで後世に残す【インスタ画像でわかりやすく解説】
東京都心から、南へおよそ1000キロのところに位置する小笠原諸島。
世界的に知られる青く透き通った海には、多くの生き物が生息しており、世界自然遺産にもなっています。
この海に、太平洋戦争で沈没した「戦跡」が残っています。
※サムネイルの画像を矢印に沿ってスワイプすると、インスタグラム「地球のミライ」で投稿した画像の続きを見ることができます。
NHK潜水カメラマン 戦跡を高精細の水中カメラで撮影
今回、NHKの潜水カメラマンがこれらの戦跡を高精細の水中カメラで撮影。
その映像をもとに、詳細に3Dモデルを作成する、「フォトグラメトリー」という手法で、
後世に残す取り組みを始めました。
3Dモデルを作るためには、様々な角度から撮影する必要があります。
また、人が入れない場所は、小型カメラを入れて撮影をします。
撮影した動画を、最大1万枚の「写真」として切り出し、専用のシステムで解析。
そのデータをつなぎ合わせることで、3Dモデルを作成しました。
こうすれば、パソコンやスマホを使い、見たい場所や角度で戦跡を自由に見ることが出来ます。
今回、NHKでは小笠原の海と陸に残る戦跡のうち9つを3Dモデルとして記録しました。
多くの戦跡は、急速に劣化が進み、崩壊寸前になっています。
戦争の記録を未来にのこすためにも、いまある戦跡を映像で記録することが重要になっています。
フォトグラメトリーを活用して、戦争の記憶を後世に伝えるためにはどうすればよいか―、学生たちと一緒に考えました。
戦跡をデジタル保存 未来に残す戦争の記憶
東京都心から南へ1,000キロ。
青い海と緑の山々が印象的な世界遺産、小笠原諸島です。この美しい風景には、太平洋戦争で沈んだ船や戦闘機など、戦争の傷跡である、「戦跡」 が数多く残されています。
戦跡などを研究する九州大学の学生たちです。
今回、この「フォトグラメトリー」を活用し、戦争の記憶を後世に伝えるためにはどうすればいよいか意見を聞きました。
「実際に自分がこの場所にいるような感じ。行けないところにも行けるということで、より多くの人に知ってもらえる」
「当事者目線、そういうのがあるとより理解が深まる。実感もわきますね」
「ゲーム感覚で見られてしまうけど、ここで亡くなった方もいるわけで…」
学生たちはフォトグラメトリーだけでなく、戦争体験者の話を聞くことにしました。
戦争を体験した人にしか語れない記憶も活かすことで、より身近なものとして戦争を伝えられると考えています。
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学生 垣花千春さん
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「若ければ若いほど、だんだん戦争が身近ではなくなってしまうのが避けられないことだと思う。3Dモデルなど、新しいアプローチをしていくべきだと思います」
詳細な歴史を物語る
「フォトグラメトリーだからこその発見があった」と専門家はいいます。
これは、おととし、父島の山奥で見つかった洞窟です。中にはレンガで作られた大きなかまどがあり、周りには瓶や調理器具が残されています。軍が使っていた炊事場の跡だと考えられています。
小笠原諸島各地にいまも残る戦跡。
当時の事実を紐解くために大切なものですが、年々、劣化が進んでいます。
戦跡は私たちになにを問いかけているのでしょうか。
戦争の記録を未来にのこすためにも、いま残っている戦跡を記録をすることが重要になっています。
「おはよう日本」で紹介した、フォトグラメトリーで作成した小笠原の戦跡3Dモデルはこちらから。実際に操作できる形で公開しています
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220815/k10013765971000.html
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