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私たちの地球温暖化対策 どのくらい効果が?【インスタ画像でわかりやすく解説】

地球温暖化を研究する世界の専門家がまとめたIPCCの報告書について報じられた際、ネット上には、「大変なのは分かったけど、どうすれば?」「自分1人だけ頑張っても…」という声も。

「地球のミライ」にも「わたしたちにできることを具体的に書いて発信してほしい」という声をいただきました。

今回は、温暖化対策を「見える化」した最新の報告書などから、3つのポイントで考えます。

ポイント1☞私たちの温暖化対策を「見える化」 どのくらい効果が?
ポイント2☞衣服を「長く着る」ことの効果は?
ポイント3☞電気自動車の「カーシェア」広がる

※サムネイルの画像を矢印に沿ってスワイプすると、インスタグラム「地球のミライ」で投稿した画像の続きを見ることができます。

ポイント1☞私たちの温暖化対策を「見える化」 どのくらい効果が?

「マイカーを電気自動車に」「電球をLEDに替えよう」など温暖化対策は数あれど、実際どれくらいの効果があるのか、疑問に感じたことはありませんか?

そこで紹介するのが、国立環境研究所などによる最新の研究。(※)
住宅や移動、食などに関する57の対策について、温室効果ガスをどのくらい減らす効果があるか具体的な数値で示されています。

※出典:Koide et al (2021)
Exploring Carbon Footprint Reduction Pathways through Urban Lifestyle Changes:
A Practical Approach Applied to Japanese Cities. Environmental Research Letters. 16084001

このうち、 効果の大きい上位20の対策を並べると…

<数値化された効果ポイントは?>

最も効果が大きいのは、エネルギーを効率よく使える住宅への建て替え。最大で2.1トンの温室効果ガスを減らす効果が。

次いで、移動に関する対策。マイカーを電気自動車に買い替え、充電を再生可能エネルギーで行うと、削減効果は0.47トンに。(通常の電力で行うと、約半分の0.24トン)

肉類に代わって野菜などを中心にした食生活をする「ヴィーガン」「ベジタリアン」という対策も。

<対策を足すと何トンに?>

取り組んでいる対策の数値を単純に足し上げてみると、

▼自宅の電力を再エネに 1.2トン

▼自宅の電球をLEDに 0.09トン

▼市内移動を公共交通機関で 0.41トン

▼テレワークの実施 0.28トン

▼タクシー移動をバス・自転車に 0.02トン

▼電子書籍の利用 0.02トン

…など合計3.4トンに。これは、十分な数値なのでしょうか?

小出瑠研究員によると、日本人が生活の中で出す温室効果ガスの量は、年間1人あたり平均で7.1トン。
温暖化による気温の上昇を19世紀後半と比べて1.5℃に抑えるためには、2030年までに年間1人あたり3.9トン減らす必要があるとのこと。
ただ、それぞれの行動が影響しあうことで、実際には各行動の削減量を単純に足し合わせるより効果が低くなることも。

国立環境研究所 小出瑠研究員

「個人の努力だけで温暖化を食い止めるのは、簡単ではありません。ただ、さまざまな対策から自分の生活スタイルに合うものを取り入れていくことで、温暖化対策の商品やサービスの需要が広がり、社会全体が変わっていくことにもつながります。

(住宅の建て替えなど)効果は大きいもののお金がかかるなどして簡単には選びにくい対策もありますが、今後、行政が補助したり、企業が商品やサービスを拡充したりすることで消費者が選びやすい社会になっていくことが大切です」

ポイント2☞衣服を「長く着る」ことの効果は?

気軽に始められそうな地球温暖化対策のひとつが、「衣服を長く着る」こと。
温室効果ガスを減らす効果も0.19トン(※)と高めです。服は素材に石油由来のものが使われていることも多く、焼却処分した際に温室効果ガスが出ることが問題に。

※出典: Koide et al (2021)
Exploring Carbon Footprint Reduction Pathways through Urban Lifestyle Changes:
A Practical Approach Applied to Japanese Cities. Environmental Research Letters. 16 084001
(服を長く着たり、 古着を活用したりすることで、 1年あたりの衣類の購入量を4分の1程度まで削減した場合)

アメリカのアウトドア用品大手パタゴニアの東京・渋谷にある店舗。
これまでも環境対策に力を入れてきましたが、この店舗では8~9月に期間限定で古着を販売。
会社のスタッフから買い取った約1,000着が並び、定価の半額程度で販売されました。

目立っていたのは、「必要ないモノは買わないで。」という思い切ったキャッチコピー。
さらに、1着1着に愛着を持ってもらい、廃棄処分される服を減らすためこんな工夫も。

古着には元の持ち主からの手書きメッセージが。例えば、ある登山用のパンツには「白馬の天狗山荘でおいしい山小屋ゴハンを食べた時にはいてたなー!」という思い出が。

パタゴニアPR担当 ロジャース通子さん

「私が今着ているアロハシャツも、20年前に入社した時に買ったものなんです!日本でも環境のことを考えて、新しい暮らし方を考え始めている人が増えていると感じます。これまで新品しか買わなかったような人も中古品も良いと思ってもらえれば嬉しいです」

服を「長く着る」取り組みは、世界のファッションの中心地といわれるイタリアでも「Wear Me 30Times(私を30回着て)」というキャンペーンとして広がり始めています。
その仕組みは、

服の購入者が

1.購入した服のタグにあるQRコードを読み取る

2.専用のサイトに登録

3.服を着るたびに自撮り写真をアップロード

4.30回着るとクーポン券などがもらえる

ポイント3☞電気自動車の「カーシェア」広がる

今、「電気自動車のカーシェア」が広がりつつあります。
温暖化対策の中で効果が高いのは(車に関するもの)、

▼「マイカーを電気自動車に(再エネで充電)」 0.47トン

▼「カーシェアの利用」0.21トンという削減効果が(※)

マイカーを電気自動車に買い替えるのはコスト面でハードルが高いように思えますが、「カーシェア」なら気軽にできそうです。

※出典:Koide et al (2021)
Exploring Carbon Footprint Reduction Pathways through Urban Lifestyle Changes:
A Practical Approach Applied to Japanese Cities. Environmental Research Letters. 16084001

こちらは、ベンチャー企業などが設置した電気自動車のステーションの1つ。
平日の日中は市が公用車として使いますが、平日の夜と土日は市民も使用可能です。
小田原市や周辺の箱根町などにはステーションがあわせて27か所、全部で47台の電気自動車が。

乗りたい人は会員登録をし、スマートフォンのアプリから予約。
料金は、15分あたり200~300円程度です。
充電する電力の約7割は再生可能エネルギーで賄われ、各車の充電率や走行可能距離もアプリで事前に確認できます。

カーシェアの利用者

「車を使う機会が多くないので、利用料は月に数千円程度。自然豊かな箱根の観光業界で仕事をしているので環境にも優しく満足しています」

事業を行うベンチャー企業・取締役

「利用者から“車を買い替える際に電気自動車を選んだ”という話を何度も聞きました。電気自動車の良さを気軽に知ってもらえていると感じます」

温暖化対策の中には、車や住宅のことなど大きなコストがかかったりするものも。個人の努力だけではなく、こうした行政や企業などの行動とあわせて社会全体が変わっていくことが必要に。

インスタグラムでも画像を公開中

インスタグラム「地球のミライ」では、環境問題や気候変動のほかSDGsの達成に向け、いま課題になっていることを写真やグラフィックで紹介しています。こちらも合わせてご覧ください。
インスタグラム「地球のミライ」※NHKサイトを離れます

インスタグラム「地球のミライ」はこちらから※NHKサイトを離れます

担当 地球のミライの
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