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2021年2月26日

「常田大希 破壊と構築」 ドキュメンタリー ダイジェスト 保存版

2021年1月8日に放送したドキュメンタリー「常田大希 破壊と構築」。 番組では、音楽家・常田大希(つねた・だいき)さん(millennium parade/King Gnu)が作曲したNHKスペシャル シリーズ「2030 未来への分岐点」のテーマ音楽「2992(にきゅうきゅうに)」の創作現場に長期密着しました。

常田大希さん作曲「2992」 スタジオ収録に密着のコメント欄にも「とてつもなくかっこいい常田さんを惜しみなく見せて頂きありがとうございました」「常田さんの作る曲の世界観だったり、彼の基盤となっている価値観を知れた気がして、とても見応えのある番組でした」など多くの反響がありました。

また、NHKスペシャル シリーズ「2030 未来への分岐点」は、第3回 プラスチック汚染の脅威 大量消費社会の限界がNHK総合で2月28日(日) 夜9時から放送予定で、番組内で「2992」がどう使われているのか注目されます。

3月5日(金)夜11時15分からは、BSプレミアムで常田さんのドキュメンタリーの拡大版(89分)も放送予定で、鋭意制作中です。今回は、放送したドキュメンタリーの内容をテキスト化しました。
(ディレクター 高橋 隼人)




いま、音楽シーンを席けんする男のプライベートスタジオ。曲づくりの現場に初めてカメラが入ることが許された。
若者から絶大な支持を集め、またたく間に頂点に上り詰めた。男の名は常田大希(つねた・だいき)、28歳。 日本を代表するロックバンド King Gnu(キング・ヌー)を率い、その楽曲制作すべてを担っている。「白日」 はストリーミング回数、3億を超える大ヒットとなった。

 常田大希(King Gnu/millennium parade)

惜しげもなくカメラにさらした創作の一部始終…。
音楽の深き森に分け入り、答えとなる音を探し続けていた。

東京藝術大学に収まり切らなかった異才(器楽科チェロ専攻 中退)。チェロやドラムなど10以上の楽器を操り、音をくみ上げていく。クラシックの要素も大胆に取り入れる。生み出されるのは、誰も聞いたことのない世界。

常田:
「今までをどう変えていくかという魅力を芸術に感じていたので。破壊と構築を繰り返していくじゃないけど」




クリエイターの仲間とともに、常田の世界は映像にも広がる。新境地を切り拓く新たなプロジェクト millennium parade(ミレニアム・パレード)。常田の限界を、まだ、誰も知らない。

MTV VMAJ 2020 最優秀アーティスト賞 最優秀オルタナティブビデオ賞
SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2020 BEST CREATIVE PARSON
PEN クリエイター・アワード2020


俳優 綾野 剛:
「クリエイティブ暴走族みたいなもんですよ。あと優しいよ」
常田:
「優しいを売りにはしたくないよね(笑)」




3か月に及んだ完全密着。私たちはある楽曲の制作過程をつぶさに追った。
そのタイトルは 「2992」(にきゅう きゅうに)

常田:
「それが2992年に残ってたら面白いっすよね。その作品が。頑張んないと」


はるか地球の未来に、常田は何を投影したのか…。

常田:
「いろんな人たちがいて、いろんな価値観があってというものを肯定できる作品というか」

完成を目前にしてもなお…。

常田:
「一回きれいなものができあがったから、壊し出さないと」
常田:
「まだできる、まだできるの連続で、何をそんなに焦っているのか」

終わることのない破壊と構築の繰り返し。その日々を、追った。

ミュージシャンの力を引き出す音楽プロデューサー 常田大希
左・江﨑文武(WONK/millennium parade)中央・新井和輝(King Gnu/millennium parade)

撮影が始まったのは、 2020年9月

「お疲れ様です。お願いします」

常田が都内のスタジオに到着した。

この日はmillennium paradeのレコーディングだった。millennium paradeは新たな音楽的挑戦として、常田が同世代のミュージシャンと2019年に立ち上げた。
テレビカメラを連れてきた常田に「すごい密着感あるじゃん」と声をかけたのは、ピアノ・シンセサイザーを担当する江﨑文武、28歳(WONK/millennium parade)。東京藝術大学の同級生だ。

メンバーはそれぞれが独自に音楽活動をする多彩な顔ぶれだ。
ベースを担当するのは、新井和輝、28歳(King Gnu/millennium parade)。10代からジャズ・ファンクシーンで活動してきた。新井が常田の横で曲に合わせてベースを弾き始める。



常田:
「おもろいけどね」
新井:
「最後のフィル(フィル・イン=即興のアレンジ)はああいうのがはまりそう」
江﨑:
「うん。模範的だよね。ラシドレミソミって」
常田:
「これキープしよう」
新井:
「もう一回いきます」

再び、新井がベースを弾く。ふつう、プロデューサーが入り指揮をとるが、ここにはいない。常田がすべての判断を下している。

―常田さんからああしろこうしろって感じではない?
常田:
「そんなにないよね」
江﨑:
「大希は、最終判断は自分で握っているけど、それぞれのプレイヤーの良さを引き出すタイプの作り手かな」
新井:
「特に今のこのセクションはその極みですね。他の現場でこんなにベースを弾くことはまずないくらい」
常田:
「(millennium paradeは)そういう意味ではミュージシャン勢が本当に羽ばたけるプロジェクト
江﨑:
攻めの表現をやれる場所っていう感じだよね」


King Gnu 新曲のレコーディング 頭の片隅には…


9月22日
この日はKing Gnuの新曲「千両役者」のレコーディングだ。ドラムとベースのレコーディングの様子をモニター越しに見ながら常田が意気込みを語る。

常田:
「なんせKing Gnuが今年初リリースなんで。
(ファンに)待たれている感をビンビン背中に感じるから。もうちょうどツアーのタイミングでどんぴしゃでコロナ始まっちゃったから。
明けてからが楽しみですね。秋のツアーたぶんやる予定ではあるんですけど」


視線の先にいるのはレコーディング中のドラム担当、勢喜遊、28歳(King Gnu/millennium parade)

常田:
「髪型に合わせてプレースタイルも渋くなってる」


右・勢喜 遊(King Gnu/millennium parade)

半年ぶりにレコーディングを再開したばかりだった。録り終えてブースから出てきた勢喜に常田が声をかける。

常田:
「(髪)いつ切ったの?」
勢喜:
「昨日くらい」
マネージャー:
「前髪の高さとか絶妙だよね」
勢喜:
「前髪だけちょっと長い。下ろしたらめっちゃきもいよ。耳にかけたら普通になるのよ」(一同爆笑)
マネージャー:
「普通ではない」


イスに座った常田がパソコンを取り出し、文字を打ち始めた。

―何を書いているんですか?
常田:
「いまダーッと韻を踏む言葉を書き出している。言葉をマシンガンのようにはめているから文字をいくら出してもなかなか終わらない」




レコーディング中のこの曲の歌詞を、まだ書き終えていなかった。

常田:
「なかなか1サビはいい感じになっちゃったから。
“生への渇望”と“生きるきらめき”みたいなテーマですかね。
照れてきた(笑)。おおよそそんな感じで。すごい恥ずかしい」


サビの最後のフレーズについて語り始めた。
パソコン画面には「ただ生きるための 抗体を頂戴」と表示されている。

常田:
「“抗体を頂戴”と。早く抗体を作ってくれないと俺らも大変なんで、科学者の人たちに頑張ってほしいですね、ほんとに。
俺たち何もできないんでね。っていう切実な歌詞ですね」


常田が気にかけていることがあった。スタッフに問いかける。

常田:
「最近どうなんですか?(新型コロナの影響が)緩和されてきたイメージは」
スタッフ:
「緩和されてきたイメージはある。ただツアーでたくさん(チケットの)本数を切るっていうのはすごいリスクある。チケット売って(ツアー)一本目でコロナが出たりスタッフが感染しても…」


常田はテレビカメラのほうに向き直り、「という意味でも“抗体を頂戴”っていう、切実な曲が出来上がりましたね」と笑った。

音楽一筋な28歳の青年


レコーディングを終えてスタジオを出る常田。
駐車場で「こっち乗って行きます?」とテレビクルーを誘った。

常田:
「夏が終わってきましたね」


常田が運転席でそうつぶやいた。

常田:
「最初20歳くらいで車買って維持費が高いってなって、車検のタイミングで手放しました。なんとも言えない。金稼ぎてぇみたいな」


常田の愛車は70年代の国産車だ。

常田:
「メシ食います?あんまり高くなさそうなところがいいな」




焼き肉店に入った常田。好きな食べ物は卵かけご飯らしい。
「いただきます」とさっそく豪快にかきこんだ。

常田:
「箸の持ち方も俺やばいし、一切マナーの教育受けてない」
―あまり家は厳しくなかったですか?
常田:
「全然厳しくない。米津玄師のレコーディング現場でみんなで弁当食ってたんですけど、米津が『文明で育ってきたのか』って驚愕していたくらい。
食べ方がきたないって言われて以来、気を付けていますね。箸の持ち方も練習して」




この夜、帰ったのは自宅ではなくプライベートスタジオだった。歌詞の続きをここでまた考える。1人、アコースティックギターを弾きながら口ずさみ続けていた。
「本来ならイケイケ」そんな中で直面した 2020年という時代
井口理(King Gnu)

9月26日
King Gnuの「千両役者」のボーカルレコーディングの日。常田は歌詞を仕上げてきた。 ブースで歌うのは、井口理、27歳(King Gnu)
「一世一代の大舞台…」と早いテンポで言葉を畳みかける。
一連のフレーズを歌い終わると、井口が声を上げた。

井口:「これやばいかも、息継ぎできない問題」


するとブースの外で聴いていた新井がリズムを取る。
言葉と音のタイミングをずらしてブレスを取れるように歌ってみせる。
常田も「いいね」と復唱する。歌い直す井口。
チームワークでレコーディングが進んでいく。

休憩中のことだった。マネージャーからツアーを縮小して開催するという話があった。

マネ:
「(全国ツアー)縮小してやります」
常田:
「なんで?やばくなってるの?」
マネ:
「やばくなってないけど色んなリスク含めて」
マネ:
「(集客は)4万人くらい。元々は10万人くらい」
井口:
「半分か」
常田:
「半分以下だ。うわ、やば。残念やな、普通に」




話し合いが終わったあと、別室で常田に気持ちを聞く。

常田:
「いや残念だよね、普通に。ことし本来イケイケだったから。とはいえ、できることをやるだけです。
コロナがみんなの時間の感じ方をすごく変えていますよね。
冷凍保存されているじゃないけど、2020年が来年もう一回来ても、たぶん違和感ないというか。そっちの方がしっくりくるというか。
(冷凍保存された時間を)力ずくで動かすためにこういう曲を作って世間に出すっていう作業を本能的にやっている。どうにか動かそうとしていますね」

常田がブースに入って歌う。

「一世一代の大舞台 有名無名も関係ない 爽快だけを頂戴 あなたと相思相愛で居たい 好き勝手放題の商売 後悔なんて面倒臭いや 青臭い野暮くさい生涯を ただ生きるための抗体を頂戴」

「もう一回」と常田。

「生涯をただ生きるための抗体を頂戴」

「あ、もう一回もう一回」


納得いくまで同じフレーズを繰り返す。

「生涯をただ生きるための抗体を頂戴!」

若き日に繰り返した破壊と構築


常田の原点となった場所があるという。
生まれ故郷・長野から18歳で上京し、7年間、祖母と暮らしていた家だ。祖母はすでに他界し、3年前から空き家になっている。常田が家の中を案内してくれた。

「これとかいい絵じゃん」


部屋の隅に置かれていた風景画とスケッチブックを手に取る。

「ばあちゃん絵描きだったから。服とかも作っていた。
変わったおばあちゃん。俺に一番近いかな家系的には」


続いて和室に入る。

「ここはね、親父が一時期住んでいたんじゃないかな、たしか」


アルバムを見つけた。

「初めて見たんだけど。結婚式の写真で。これ母ちゃんでこれ父ちゃん。
これ、ばあちゃんだ」




両親がともにピアノを弾き、自然と楽器を覚えた常田。
音楽を突き詰めて学ぼうと東京藝術大学に進学。
世界的指揮者、小澤征爾のオーケストラにも参加。そこが大きな転機となった。

常田:
「そこでの感動は今も痛烈に残っていますね。
ホールの鳴り、お客さんの感じ、指揮者の表情、鳴っている音、自分の美しいと思う基準の幹になっている感じはありますね。
でも、今までをどう変えていくかとかという魅力を芸術に感じていたので。
破壊と構築を繰り返していくじゃないけど」




大学は1年で辞めることにした。常田が使っていた部屋の天井には…。

「やばいね。ミラーボールだけ残っている。気分を盛り上げたかったんでしょうね」


この部屋で破壊と構築を繰り返し自らの音を探し始めた。当時、レコード会社に送ったデモ音源が残されている。19歳の常田が作ったものだ。

ソニー・ミュージックレーベルズ 新人発掘担当(当時)田口 実

当時、この音源を聴いたレコード会社の新人発掘担当(当時)、田口実はこう振り返る。

田口:
「牙をむいているサウンドだな。純粋な10代最後の叫び。
でも、その才能がどうやればビジネスになるかっていう、ひも解きがやっぱり難しくて」


常田は自身の将来をどう考えていたのか。

常田:
「音楽の歴史とすごい向き合って楽器と向き合って、何でこんなに世の中に必要とされてないんだって。
アーティストとしてのプライドもあるから別にそこ(音楽業界)にウケるものがアーティストとして優れていると思ったことは一度もないし、やっぱり音楽には嘘はつけないと思って生きているわけですよ。
だからこそ勝ち取らなきゃいけないものがあるというか、評価されないといけないものがある」


妥協の音楽は作りたくない。だからこそ自らの音楽を認めさせたい
曲を作っては自らミュージックビデオも制作、地道に配信を続けた。

そして2019年。King Gnuでメジャーデビューをつかむと、常田は人々を熱狂の渦へと巻き込んだ。

常田の夢 現代の音楽とオーケストラの融合


2020年、常田はひとつの夢に挑んでいた。オーケストラと現代の音楽を融合させる楽曲制作だ。それはまさに常田の28年の歩み、そのもの。

かつてmillennium paradeで作った「DURA」(デュラ)という曲を一からつくり直す。

常田:
「いい感じで聞いたことないようなバランスになったら面白いんですけど。
美しいものも汚いものも全部入れたい。それが人生だし。
土臭くもあり美しくもあるものになったらいいですね」


常田がプライベートスタジオでアレンジを行う様子を定点カメラで撮影した。
まず、ピアノでアレンジを始めた常田。しばらくすると今度はチェロを取り出す。
このようにオーケストラの楽器を次々と組み込んでいく。
常田の原体験となった「美しさ」を表現するためだ。

「ああ、違うな」。


チェロを置く。今度は曲に合わせてベース音を口ずさむ。30分後。
エレキベースを手に取り、オーケストラとは異質のサウンドを探る。
ロックやファンクっぽいものを試してみるが…。

「うーん、違うな」。


リズムを取りながらスタジオをうろうろしたり、鍵盤を弾いたり…。
再びエレキベースを手に取っては、「おおこれだ」「いらねえか」の繰り返し。

伴走する仲間 クリエイティブ集団「PERIMETRON」


試行錯誤を続けるさなか、常田はふと隣の部屋にむかった。
そこでは男たちが議論を交わしていた。

彼らはPERIMETRON(ペリメトロン)というクリエイター集団。常田を中心にした10人からなり、2016年から本格始動した。「Fly with me」「lost and found」に代表されるように、常田は音楽を、彼らはその映像を一緒に作ってきた。

映像作家のOSRIN

ミュージックビデオの衣装の構想を常田に見せるのは、映像作家のOSRIN(オスリン)

オスリン:
(和装の写真を示して)「こういう格好もありだな」
常田:
「ああ、すごい(イメージが)浮かぶね。“三文小説”っぽいし」


彼らは、駆け出しの頃からともに歩み、常田の支えになってきた存在だ。

常田:
「King Gnuの最初のころなんてファミレスとかで編集してたからね」
オスリン:
「ファミレスで編集してた。朝5時までやって終わらなくて、その後近くの漫喫(漫画喫茶)に行って」
常田:
「そうそう地獄やマジ」
オスリン:
「で、ファミレスに戻るみたいな。ファミレスが開いて」
常田:
「それ考えたらすげえ俺たち頑張ってきたな」
オスリン:
「まじ頑張ったよな。ずっとエビとトマトのスパゲッティを大希は食ってたから」


そしてまた、創作に戻る。

難航を極める1000年後への楽曲制作


King Gnu「三文小説」のミュージックビデオの撮影が行われたこの日。撮影を終えた深夜3時、常田が思わぬことを話し始めた。

常田:
「明日は何にせよ大事ですからね。
「DURA」、「2992」ってタイトルに変わったんですけど。
要は1992年生まれがミレニアム・パレードしていったら千年後だから「2992」っていうタイトル。
規模がでかい話になっちゃいました。音楽もけっこう規模でかいんで。それが2992年に残っていたら面白いですよね。頑張んないと」


こうして、曲のタイトルは「2992」と決まった。



10月12日
「じゃあ頭からいきます」。


常田の合図で「2992」の音のバランスを整える作業が始まった。

「すみません、サイドチェイン(エフェクト)を入れるとどうなるのか?大味ドラムの」


ここから、さらに楽器ごとにアレンジを加えるという。ところが…。

「素材変えても良さそうだね」


一度レコーディングした音を差し替えようと言い出した。パソコンで打楽器の音を探る。
「これとかいいんじゃない」とエンジニアにUSBを渡す。

「これ全セクションでやるの、やべえ作業になりそうだな」


―この曲、楽器をいくつ使っているんですか?
常田:
「トラック何個あるの?」
エンジニア:
「150くらい」
―このくらいのトラック数って当たり前なんですか?
常田:
「全然当たり前じゃないでしょ」
エンジニア:
「当たり前じゃないですね。なかなかないですね」


10月22日
最終形が見えないまま迎えた「2992」のボーカルの収録日。
やってきたのは、ボーカルを担当するermhoi(エルムホイ)、28歳(Black Boboi/ millennium parade)

常田:
「ここの言葉足りていない感」
エルムホイ:
「ここに『all』 足してるんだよ」


作詞を担当したermhoiと直前まで歌詞を考え続ける。

常田:
「俺たち1992年生まれだし、ちょうど千年後ってことで」
エルムホイ:
「私たちが1000歳になってたらくらいの感覚で、その時に生きている人に今こういうことを考えてますみたいな感じの(歌詞)」




混とんとした現代から、千年後の未来へ。音と言葉を紡いでいく。
ブースで歌詞の序盤を歌ってみたermhoiがマイク越しに常田に問いかける。

エルムホイ:「どんな感じでしょうね。もっとストーリテラーな感じなのか、主人公系なのか。あー、この曲つかみきれてないんだよね」
常田:「むずいよね」


ブースから出てきたermhoi。ソファにもたれる。常田も何とも言えない表情。

常田:
「もうすでにサウンズグッドではあるけどね。お行儀よすぎる気がする。
オケ(オーケストラ)のちょっとよくできた感じとかも」
エルムホイ:
「きれいなね。ポップスオーケストラアレンジの爽やかな感じ。
空気によどみがない」
常田:
「もっと汚したい。まだまだ長そうですよ、今日は。(夜の)12時までには終わりたいですね」


完成間際まで終わることのない破壊と構築


11月4日
迎えた「2992」のミックスチェック。いわば完成前の仕上げ段階…。
聴き終わった常田がエンジニアに提案する。

「1サビに『FAMILIA』(別曲)で使っている花火の音を(ドラムの)スネアにもってこよう。ちょっとしょぼく感じたわ」。


ここに来てもなお、音を差し替えるという。しかも使う音は、花火。

―ドラムのスネアがなじんでいないということ?
常田:
「そう、ドラムのスネアを」
(花火の音「ドーン」)
常田:
「おおー。(ドラムの)フットも探そうよ。やべえ作業始まったっぽい」
(打ち上げ花火の音)
常田:
「イントロでピューン使いたいからピューンもいいのがほしいね」


深夜1時30分
エンジニアがシンセベースを持ってきた。ここからさらに作っては壊し、究極の音楽を探し続ける。常田大希の創作に、終わりはない。

そして1ヶ月後。「2992」は完成した。

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NHKスペシャル シリーズ「2030 未来への分岐点」
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【放送予定】2月28日(日)[総合]後9:00~9:50

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※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。