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#Beyond Gender
2020年11月21日

Vol.2 次々登場“フェムテック” 生理用ショーツに更年期対策も

女性の“生きづらさ”をテクノロジーで解決! 
「ん、漏れてる?…あ、ヤバイ!」 仕事中、ふと股間を伝う違和感にドキッとしてしまうこと、ありますよね。

私も仕事に没頭しすぎて、気づいたら経血漏れでイスが大惨事という経験が・・・その後はイスにじっと張り付いて、同僚たちが帰るのをひたすら待ちました。夜、静まりかえったオフィスで座面の赤いシミを拭いていたら、涙がこぼれてしまって・・・。

ところがそんな私の日常に最近、革命が起きました。それが「ナプキンの要らない生理用ショーツ」です。半信半疑でしたが、試してみると本当に1日経っても漏れがなくて、まさに目からウロコ。小6以来の悩みの一つがあっさりと解消されたのです。

「生理」「更年期」など女性特有の様々な悩みを、新たなアイデアや科学技術を用いて解決する・・・こうした商品を「フェムテック」と言います。(Female(女性)とTechnology(技術)をかけ合わせた造語です。)

社会の中で生きる女性たちを応援してくれそう!と期待高まる「フェムテック」、その最前線をお伝えします。 (関連記事「AMH検査で“卵子の残り数”がわかる!?」

(クローズアップ現代プラス 浅岡理紗ディレクター)


スタートアップが続々登場 “フェムテック”
いま世界中で、フェムテックの新たなアイテムが続々と登場しています。 2020年7月、そうした製品を取りそろえた生活雑貨店が東京・港区にオープンしたので、行ってきました。


■冒頭で紹介した、ナプキンが要らない生理用ショーツ
何層にも重ねた特殊な生地が経血を吸収し、表にしみ出すのも防ぎます。国内外のメーカーからデザインも性能もさまざまなショーツが登場していて、自分にあった商品を選べます。



■妊娠しやすいタイミングを教えてくれる機器(アメリカ製)
白くて丸いデバイスを膣の中に入れると、おりものの成分を測定し、妊娠しやすいタイミングを教えてくれます。妊活中の女性のニーズから誕生しました。



■尿漏れを防ぐトレーニンググッズ(イギリス製)
更年期の女性に多い「尿漏れ」の悩み解消のための製品。楕円形のボールを膣の中に入れてキュッと閉めると、連動したスマートフォンの画面でボールがポーンと跳ね上がります。排尿コントロールに大切な骨盤底筋を、キュッ、ポーン、キュッ、ポーンと、ゲーム感覚で鍛えることが出来ます。


「生理」「妊娠」「更年期」といった女性特有の悩みを、テクノロジーで真っ向から解決していこうというフェムテック。それは、これまでタブーとして見過ごされてきたこれらの課題を明るみに引き出し、具体的な問題解決はもちろん、人々の意識までも変化させて、社会に革新をもたらそうとしています。


(店のプロデューサー 小尾奈央子さん)

小尾さん
「女性の社会進出が進み、こうした(女性特有の)悩みが社会全体で解決すべきことになってきています。もうタブーではない!タブーのままではいけないのです。お店にはカップルで来店される人もいます。男性も、生理のことを女性に聞いてはいけないという概念があったかと思いますが、こうしたフェムテック製品を一緒に手に取ることで、話してもいい、共有していい話題なんだと認識する方もいます。」

体の悩みと深く関わる女性ホルモン
フェムテックが解決をめざす女性ならではの体の悩みと深く関わっているのが性ホルモンです。女性ホルモンの分泌量は10代で急上昇し、毎月の生理のたびに変動、そして40代から急降下します。その動きに伴って、生理痛や更年期症状などさまざまな不調が起きます。そのジェットコースターのような変動は、現役世代の間はホルモン分泌がほぼ一定の男性とは対照的です。


(女性と男性のホルモンの変化)

「漏れない生理用ショーツ」 オンナの実体験にビジネスチャンスあり!
女性たちに立ちはだかる課題を新ビジネスの舞台ととらえフェムテックを生み出しているのは、一体どんな人たちなのでしょう。私の悩みを解消してくれた「生理用ショーツ」を開発した企業を東京・渋谷区に訪ねました。


(中央の左が山本未奈子さん、右が髙橋くみさん)

社員30人はすべて女性。「女性の輝く社会」をコンセプトに、化粧品など様々な商品開発を行っています。

この会社を率いる、山本未奈子さんと髙橋くみさん。
働く女性として、二人も「生理」の悩みを切実に感じてきました。


(山本さん)

山本さん
「会議が長引いて仕事に入り込んでしまうと、トイレに行くタイミングを忘れてしまうんです。 会社の椅子が白いのもあって結構シミに・・・。私もよく漏れてしまってアッ!ということがあります。」

2人がショーツ開発を始めたのは3年前。アメリカで「ナプキンの要らない生理用ショーツ」を目にしたのがきっかけでした。「これこそ働く女性が求めている商品だ」と確信し、日本人のニーズに合わせた商品を自分たちで開発すると決意します。 製造を依頼したのは山陰地方にある小さな縫製工場です。


(縫製工場)

もともと高齢者向けの尿漏れパンツを得意とし、布に水分を吸収させる豊富なノウハウを持っていました。でも工場側は、「生理用ショーツ」という思いもよらない依頼に、最初は戸惑ったそうです。

縫製工場社員
「難しいと、一旦はお断りしたんです。どうしても女性の生活を変えたいということを何度も口説かれて、気持ちが動いたといいますか、やってみようという気持ちになりました。」

難しかったのは、吸水量の大幅UPでした。通常の尿漏れパンツでは、吸水量は多くても50ml程度ですが、今回のショーツは120mlの性能を持たせました。それは、生理2日目の経血量の3倍にあたります。

吸水体は、性質の異なる5枚の特殊な布を組み合わせたもので、身体からずれないように、縫い付け方も工夫されています。2年半をかけて、漏れを防ぐ工夫を結集したショーツが出来上がりました。


(募ったクラウドファンディング)

実は、 山本さんと髙橋さんはショーツ開発の過程で、ネット上から投資を募るクラウドファンディングを行ったのですが、1か月で9000人以上が参加し、なんと1億円以上の資金が寄せられました。商品への期待の高さがうかがえますよね。

このファンドに参加し、ショーツを使い始めた女性に話を聞きました。

洗濯は基本的に手洗いをしていて、しっかりキレイにしたいときには、そのあと他の衣類と一緒に洗濯機にかけているそうです。使い心地を聞いたところ・・・

女性
「普通に生活して歩いたり動いたりしても漏れないし、寝ている時も漏れないので驚きました。仕事で外を歩き回ることも多く、そんなときはトイレに行けず困っていました。これでもっと活動的になれると思う。」

女性たちが感じてきた“生きづらさ”を背景に、次々と生まれているフェムテック。それは社会全体に地殻変動を起こしてくれるのではないかと感じました。

私たちは今後もこのテーマについて取材を続けていきます。

次回紹介するフェムテックは、女性の体の中の「目に見えないアレ」を手軽に知ることで、「人生設計がもっと立てやすくなる」という内容です。

あなたは女性ならではの“体の悩み”についてどう思いますか?“体の違い”がある中で、皆が生きやすい社会・職場にするには、何が必要だと思いますか? 記事への感想やご意見などを下の「コメントする」か、ご意見募集ページからお寄せください。



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