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#Beyond Gender
2020年11月13日

在留資格のない子どもたち 連載1 届けられた声

日本で生まれ、あるいは育ちながら“在留資格”がないために国外退去の対象となっている子どもたちがいます。多くが、難民申請をしたものの認められなかったり、オーバーステイの親から生まれたりしたケースです。未成年のため入管施設への収容は免れていますが、「仮放免」という立場で、様々な制約を受けながら暮らしています。統計上、その数は全国に300人あまりとされていますが、どこでどのような生活を送っているのか、詳しくは分かっていません。

クローズアップ現代+「日本で暮らし続けたい~ルポ“在留資格”のない子どもたち~」では、支援者や弁護士の協力を得て、連絡先が分かっている子どもたち50人とその家族にアンケートに答えてもらいました。番組ではお伝えしきれなかった、子どもたちの切実な声をご紹介します。(取材:「クローズアップ現代プラス」ディレクター 前田 陽一)

※かっこ()の中は、子どもたちや親の出身地です。また、表記は子どもたちが書いたものから変えずにご紹介します。
“在留資格がないことで困ったことは何ですか?

「病気になったとき、病院でお金を100%払わないといけなく、それがなかなか高いから気軽にいけない。日本のあらゆる保障を受けられないため慎重に生活をしなきゃいけないとき」(14歳/ベトナム)

「友だちと県外にでかけられない(※1)/将来がとても不安」(13歳/ペルー)

「これからある大学にもいけない。働くこともできないから将来が不安でしかたない」(16歳/ペルー)

「職業につけない、学費はらえない、アルバイトができない」(17歳/ガーナ)

「ともだちができることが自分はできない。せいかつがくるしい。なにをするにもじゆうがない。さべつがおおい」(年齢不明/トルコ)

※1:仮放免中は、都道府県をまたぐ移動は、事前に入管の許可がいるため




日本を離れることができない理由は何ですか?
「日本で生まれ日本でずっと生活してきて、日本の社会に適応して、日本でやりたいこと、したいこと、将来の夢があるのに、日本を追い出され何もわからないところにいって言語が話せなくて、そのまま仕事につけなかったりするのが嫌だから」(14歳/ベトナム)

「親の故郷の言葉と文字がわからないからなのと、友だちとはなれたくない。私は人見知りだからはじめていった場所になじむまですごく時間がかかるから近くにしっている人がいないと私はとてもこまるんです。言葉がわからないのでもっと困る」(13歳/ベトナム)

「私は日本でうまれ、日本で育ちました。これからも家族や友だちとずっと大好きな日本にふつうに暮らしたいです。理由はただそれだけです」(13歳/ペルー)

「日本語しか話すことができない。ましてや同じ年の日本人の子どもと同じように教育機関を受けたのにいきなりペルーで過ごせと言われても上手くやっていけるわけがない。リスニング、リーディング力がペルーの幼い子供よりないのに」(19歳/ペルー)





法務省はいま入管法の改正を目指しています。収容のあり方を見直す一方、国外退去に従わない場合は、懲役刑を含む罰則を科すことを検討しています。


罰則が厳しくなるかもしれないことについてどう思いますか?
「20歳になったら自分もつかまってしまうとおもってこわかった」(12歳/コンゴ)

「なにもしてないからかえるいみがわからないです。まるで僕らにじんけんがないようにあつかわれて、とてもはらがたちます。みんなびょうどうとかきれいごといってるのに、私たちのことを人としてあつかわない、これはじんけんしんがいだと思います」(年齢不明/トルコ)

「“でていけ”だけで済ませるだけではなくて1人1人の声、じじょうをもっと知ってほしいです。入管の人はかんたんに“でていけ”と言いますが、その人たちに私たちの生活がどのようなものかを知ってほしいです」(13歳/ペルー)

「もっとよく考えなおしてほしい。100人以上の同じ問題の人がすごく苦しんでいる人の気持ちをかんがえてほしい」(17歳/ペルー)


切実な声が多く寄せられる一方で、日本で生まれ育った子どもたちが、この国をふるさと、自分の居場所として考えていることも伝わってきました。




あなたの将来の夢は何ですか?

「弁護士になって困っている人を助けたい」「教師になって、将来日本の未来を切りひらいてくれるような人材を育てたい」(14歳/ベトナム)

「日本でだれかを笑顔にする仕事がしたい」(13歳/ペルー)

「ファッションデザイナー」(17歳/ガーナ)

「航空整備士として、日本国内の空港で働きたいです」(17歳/インド)

「人を支えられるような仕事」(17歳/ペルー)




アンケートの自由記述欄にも多くの本音が寄せられました。その中から、支援団体が集めた寄付金によって大学に通う19歳の声をご紹介します。


「私の様な子供はたくさんいます。少しで良いのであなた方も想像して下さい。考えて下さい。本当に変わらないんです。私も生まれは日本なんです。同じ日本人なのです。お願いですどうか他人事だと考えないで下さい。私たちは自由のために戦います。ですがあなた方日本人も少しで良いです私たちのために働きかけて下さい。この戦いに勝つために」(19歳/ペルー)


今回集められたのは計50人の子どもたちの声です。国外退去の対象となっている在留資格のない子どもたちは、学校には通えるようになっていますが、その他のセーフティネットからこぼれ落ちているケースも多く、支援団体や弁護士でも居場所を把握していない家族もいるとのことでした。
大変な状況の中、声を寄せてくださった皆さん、本当にありがとうございました。





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