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2021年8月12日

ワクチンの“誤情報” ごく一部の医療関係者からの発信も

感染拡大が止まらない中、新型コロナワクチンについて不安をあおる情報がネット上などで飛び交っています。前回の記事では、こうした情報が「拡散される構図」について取り上げましたが、中にはごく一部の医療関係者が、根拠の不確かな情報をブログやSNSで発信しているケースもありました。(NHK松江放送局・鈴木貴大ディレクター)

(8月10日放送 フェイク・バスターズ「新型コロナワクチンと誤情報」)から

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科学的根拠のない誤情報 一部の医師などもSNSに

取材を進める中で、ワクチンの誤った情報が広まった背景に、ある問題があることが浮かび上がってきました。

ごく一部の医療関係者が科学的根拠のない情報をSNSやブログで発信していたのです。

主に、個人で医療機関を経営している医師などによるもので、「ワクチンが不妊や流産の原因になる」という国や多くの専門家が繰り返し否定している情報や、「ワクチンを打つと磁気を帯びて体に金属がくっつく」「接種すると全員2年以内に死ぬ」といった、明らかに根拠のない誤情報をたびたび投稿していたのです。

発信された誤情報は、「医師の○○先生が言ってた」という形で引用され、ネット上で拡散されていました。そうした記事や動画のいくつかは、すでに大手プラットフォームによって警告が表示されたり、削除されたりしています。

医療関係者が誤情報を流す状況 どう考える?



なぜ科学的根拠のない情報を発信しているのか。
こうした投稿を繰り返していた複数の医療関係者に取材を試みましたが、いずれも「取材は受け付けていない」との説明でした。

中には、医師本人ではありませんが、スタッフが「医師が海外の論文を翻訳し、それに基づく推測を掲載しています」と説明したところもありました。

国や学会の専門家たちが否定している情報を、ごく一部とはいえ医療関係者が積極的に発信している状況をどう受け止めればいいのでしょうか。

医師の情報発信に詳しい、島根大学医学部附属病院・臨床研究センターの大野智教授は次のように課題を指摘しています。



大野智教授
「医療者がそれぞれの信念、考え方に基づいて、正しいと思う治療法や研究内容について発信する、それ自体は『表現の自由』といえます。しかし今回の新型コロナワクチンについては、同じ医師という肩書でも相反することを言っているケースがあり、医療知識のない方が見極めるのは難しいかと思います。誤った情報であっても、それを医師が発信しているのを目にすると、新型コロナワクチンというのは何か怖いものなんじゃないかと、リスクを過大視してしまうことにもつながりかねません」

信頼できる情報を見極めるにはどうすれば?

情報が氾濫する中で、信頼できるものを見極めるためにはどうすればいいのか。

「外科医けいゆう」の名で、SNSで医療情報を発信している山本健人医師は、「医療では“100%安全”なものはほとんど存在せず、ゼロリスクを求めると、かえって不利益につながる恐れがある」と言います。

その上で、情報を見極めるためのポイントについて次のように話します。



山本健人医師
「医療に関する情報は、新しい研究結果が出ると次々に更新されていきます。そのため、医療者が全く同じ主張を続けることは、必ずしも価値が高いとは言い切れません。情報を受け取る側は、特定の医師が発信する情報だけに注目するのではなく、多くの専門家が同じことを言っている部分、“最大公約数”を見つけることが重要だと思います。それが、いま最も“科学的根拠がある”と言える情報であり、その最たるものが、学会や公的機関が発表している情報です」


※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。