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【“選挙とフェイク”】沖縄県知事選挙のケース「フェイク・バスターズ」ダイジェスト②

選挙をめぐって飛び交うデマや不確かな情報。とくに2つの勢力がきっ抗した選挙戦では、フェイクが飛び交いやすいという指摘もあります。それが裏付けられた形となったのが、事実上の一騎打ちとなった2018年の沖縄知事選挙のケースです。
(2020年12月フェイク・バスターズ「“選挙とフェイク”」から)

沖縄県知事選挙 フェイクに翻弄されたある大学生

2018年に行われた沖縄県知事選挙。当時大学2年生だったゆいさん(仮名)は、フェイクに振り回された苦い経験があります。

ゆいさん

「今思えばすごくアホだったというか。何でもかんでも全部鵜呑み状態で『自分はなんでこんな情報にのまれているんだろう?』という感じでした」

この選挙は、アメリカ軍普天間基地の辺野古移設阻止を掲げた玉城デニー氏と、県民の所得向上を最優先に掲げた佐喜真淳氏による、事実上の一騎打ちとなりました。選挙戦では候補者をおとしめるような情報が多数拡散されました。

選挙が近づくにつれて、ゆいは友人たちともこの話題で盛り上がるようになったといいます。

ゆいさん

「選挙権を持ってるからには自分たちの将来に関わってくることだし、大学の休み時間とかで、暇があれば情報収集をしていました」

そんなとき、ツイッターに流れてきたある投稿に目がとまりました。

それは『玉城氏の公約が佐喜真氏に比べて文字数が少なく、政策の中身が薄い』という投稿で、匿名のアカウントが書き込んだものでした。

ゆいさん

「みんなが“リツイート”したり、それに対して“いいね”したり。特に友人とかがそれをやったりすると、あたかも真実かのように見えてくる」

これをきっかけにゆいさんは、玉城氏に対する批判的なコメントを自ら探すようになりました。

ところが投票日の3日前のこと・・・

地元紙に掲載されていたのは、ネットで拡散されていた候補者の情報を、記者が検証した記事でした。

記事には、ゆいさんが信じていた「公約の文字数」についての投稿も取り上げられていました。実際には玉城氏の政策集の方が文字数が多く、この投稿は誤りであると指摘されていました。

この選挙では「候補者をおとしめるフェイク」が双方に飛び交い、選挙戦に影を落としました。こうした事態に対して、佐喜真氏の陣営で選挙対策の指揮を執っていた松本哲治氏(現 浦添市長)は、自身のSNSアカウントで、次のような声明を発表しています。

松本哲治氏のフェイスブックより

「私たちがいまやるべきことは相手をおとしめることではなく、相手候補者にもリスペクトを払いながら、政策論争を正々堂々と展開することです」

投票日直前、ゆいさんは複数の新聞を読み比べるなどして、2人の政策を一から調べ、投票先を選び直しました。
しかし誤った情報を教えてしまった友人たちには、投票日までにそのことを伝えることはできませんでした。

ゆいさん

「ちゃんとした根拠、ちゃんとした真実があってこそ、人には正しい情報を伝えるべきだなって、すごく感じます」

選挙を巡るフェイク情報 どうすれば見抜くことができるのか?

評論家 宇野常寛さん (以下、宇野)

実際に僕らがフェイク情報に接したときに、だまされないための心得や、普段から心がけておいたほうが良いことってあるんですか?

メディア研究者 平和博さん(以下、平)

まずはその情報を流しているアカウントが「実名」なのか「匿名」なのかを、チェックすることが重要だと思います。もし実名であれば「過去にどういう投稿をしているのか」「その内容に根拠はあるのか」などを一つ一つチェックして、信用できる情報かどうかを判断することが、SNSのユーザーに求められると思います。

ファクトチェック団体理事 古田大輔さん(以下、古田)

それは本当に重要だと思います。2年前の沖縄県知事選挙では、選挙が始まる直前にニュースメディアを装ったサイトがいくつも現れました。ところが僕たちが調査すると、すぐにそのサイトは削除されてしまったんですね。「運営元や問い合わせ窓口が記載されていない」「問い合わせても返信がない」というような場合は、実体がなくかなり怪しいサイトです。信じないほうがいいと思います。

宇野

選挙戦ではどの陣営も「自分に有利な情報を流している」という前提を、多くの人が理解していると思うんですが、なぜだまされてしまうんですか?

社会心理学者 安野智子さん(以下、安野)

どんな人でも、自分の思い込みや“信じたい情報”は、深く調べることなく正しいと思い込みやすい傾向があります。これを『確証バイアス』といいます。

『確証バイアス』とは、自分の思い込みや信じたいものに近い情報ばかりに目がいき、それ以外の情報は無視してしまいがちなこと。逆に自分の考えと同じであれば、間違った情報でも、信じてしまいやすくなります。

安野

『確証バイアス』はわたしたちみんなにあることを、自覚する必要があると考えます。

古田

『確証バイアス』は悪い意味でネットとすごく相性がいいんです。自分が「もしかしたらこうかな?」と思いネット検索しますよね。するとそれを補強してくれるような情報がネット上にはたくさんあるんです。

疋田

ネットで一度検索をすると「これも好きじゃないですか?」というように、どんどん記事がレコメンド(おすすめ)されるのも、すごく“危ない”と思っています。YouTubeなども動画を見終わるとその横に「おすすめ」が出てきてしまう。そうした「検索のアルゴリズム」にあらがって生きていかないと、どんどん『確証バイアス』から抜け出せなくなってしまうと思います。

『信じたい情報ばかりを信じてしまう』 そのことが家族の関に亀裂を生むケースもあります。
ダイジェスト③「”陰謀論”が生んだ家族の分断」

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