2020年8月20日 「フェイク・バスターズ」番組ダイジェストVol.3 ひぼう中傷 プラットフォームの役割は? ネットのひぼう中傷 プラットフォームの役割は? ひぼう中傷対策を考える上で欠かせないのが、グーグルやツイッター、フェイスブックなど、ネット上でサービスを提供する大手プラットフォーム企業の役割だ。 ユーザーから書き込みの削除などを求められた場合は、それぞれの企業の方針に基づいて判断しているが、被害者からは対応が不十分だという声も上がっている。 木村花さんの事件を受け、国も専門家による研究会を開いてプラットフォームのあり方を検討している。 総務省 総合通信基盤局 課長補佐 中川北斗さん 「(プラットフォームが)苦情の受け付け体制をしっかり確保しているのか。そういう対応をしっかり行うとともに、その対応に対する透明性や説明責任がしっかり果たされることが重要なんじゃないか。そういう議論を重ねているところです」 ツイッター社長に聞く ひぼう中傷どう減らす? プラットフォーム企業は、ひぼう中傷の問題をどう受け止めているのか。今回、ツイッター・ジャパンの笹本裕・代表取締役が取材に応じた。ひぼう中傷を受けた経験のある葉山潤奈が疑問をぶつけた。 YouTuber 葉山 潤奈さん 「ひぼう中傷について、ツイッターさんの方で何か対策を打ったり、今後はこうしていきたいとを考えていらっしゃることはありますか?」 ツイッタージャパン 代表取締役 笹本裕さん 「そうですね。問題があるということは、我々本当に常に感じております」 「特に数年前から機械学習を使って、攻撃的なツイートを検知していく技術を強化しております。その上で365日24時間対応できるように、様々な国で、実際に人間の目で、そういったツイートを確認しています」 今月、ツイッタージャパンは新しい機能を追加した。 これまでは、ツイートを読んだ人は誰でも コメントを書き込むことができたが、新たな機能では、コメントできる人をアカウントの持ち主が選べるようになった。ひぼう中傷を防ぐ一定の効果があるとしている。 一方で、ツイッター社が強調したのが「表現の自由」。 ツイッタージャパン 代表取締役 笹本裕さん 「やはり表現の自由の重要性というのは、我々としてはすごく尊重したいと思ってます」 「例えば日本では『#検察庁法改正案に抗議します』というムーブメントが起きました。またアメリカでは『#MeToo』というムーブメントが数年前に起きました。こうしたことが起きるのもツイッターの特性であり、力でもあると思います」 YouTuber 葉山 潤奈さん 「自由な発言を大事にしたいという気持ちはすごく分かるんですが、実際それだけではもう止めようがないほどひぼう中傷がエスカレートしています。そこははかりにかけてみると『発言の自由』の方を大事にされたいということですか?」 ツイッタージャパン 代表取締役 笹本裕さん 「苦しいところではあるんですが、そういった部分と悪意のある部分を、我々としてはどう向き合っていくかということが非常に大きなテーマとして、まだまだ続いていくかなと思います」 プラットフォームの役割は プラットフォームの役割について、バスターズからも様々な意見があがった。 弁護士 神田 知宏さん プラットフォームが人の人生を左右する力を持っているのは、私は問題だと思っています。悪い口コミを書かれたり、悪い評価を書かれたりすることによって、自分はもうこの仕事ができないというふうに思う人がなんと多いことかと。 ITリテラシー専門家 小木曽 健さん(以下、小木曽) 私個人の考えとしては、SNS事業者がSNS上に載せるべきもの、載せてはいけないものをジャッジするような世界は作っていけないと思っています。あくまで情報の発信者が責任を負わなければいけないものであって、そこをSNS事業者がどうこうするというのは、言論統制なんじゃないか。 評論家 宇野 常寛さん(以下、宇野) SNSというのは社会インフラの一部なので、プラットフォームに内容まで踏み込んだ削除権利みたいなのは与えすぎないほうがいい。その一方で、やっぱり仕様をどうにかした方がいいというのは間違いなくあると思うんですよ。 心理学者 関屋 裕希さん(以下、関屋) SNSは人と自分を比較しやすいツールだと思うんですよね。つい攻撃したくなってしまう、ついやってしまうことを喚起しやすい仕様になってる部分はあると思っています。そうした仕様の工夫というのは、言論の自由に配慮しながらだとしても、行っていくべきだと思います。 YouTuber 葉山 潤奈さん(以下、葉山) 私としてはプラットフォーム側からもアクションを起こしていただき、使っている利用者側からも意識を変えていくという両者でやっていかないと、(ひぼう中傷対策は)もう間に合わなくなるのではないかと思います。 誰もが気軽に発信できる時代。自分がひぼう中傷の加害者にならないためには、何に気をつければいいのか? 関屋 SNSを使う時に、自分がどういうことをしてしまいやすいのか、どういう感情を抱きやすいのか、もう少し知っておくことがすごく大事だな思います。 小木曽 一人で車を運転している瞬間に『早く行けよ』とか、『腹減ったな』とかブツブツ言いますよね。SNSで一人でポチポチ投稿している時間は、車の運転の心理状態そっくりなんですよ。その人が丸裸になるんです。だから普段はいい人なのに、SNS上でだけ攻撃的だとか自慢が好きだとかいうことがある。このことは知ってほしいですね。 宇野 ちょっと目立ちすぎた人や、何か失敗した人に対して、みんなで石を投げてすっきりすることによって、安心するという文化が根づいてしまっていると思います。ここにメスを入れることが、大事なんじゃないかなと思うんです。 関屋 自分の口から発することや書き込むことは、自分が責任を持つべきことだという、そもそもそこからかなという気もします。 小木曽 「表現の自由」だけでなく「表現の責任」を考えてほしいと、あと100回くらい言いたいです。 「フェイク・バスターズ」番組ダイジェストを読む Vol.1 もしも身近な人がひぼう中傷を受けたら… Vol.2 ひぼう中傷の被害者を救う 第三者がカギに! 「フェイク・バスターズ」 8月20日(木)夜10:00~10:30(総合テレビ) 記事の続きを読む 閉じる #フェイクバスターズ #SNS コメントする コメントをもっと見る このテーマのトップに戻る
「フェイク・バスターズ」番組ダイジェストVol.3 ひぼう中傷 プラットフォームの役割は?
ユーザーから書き込みの削除などを求められた場合は、それぞれの企業の方針に基づいて判断しているが、被害者からは対応が不十分だという声も上がっている。
木村花さんの事件を受け、国も専門家による研究会を開いてプラットフォームのあり方を検討している。
総務省 総合通信基盤局 課長補佐 中川北斗さん
「(プラットフォームが)苦情の受け付け体制をしっかり確保しているのか。そういう対応をしっかり行うとともに、その対応に対する透明性や説明責任がしっかり果たされることが重要なんじゃないか。そういう議論を重ねているところです」
YouTuber 葉山 潤奈さん
「ひぼう中傷について、ツイッターさんの方で何か対策を打ったり、今後はこうしていきたいとを考えていらっしゃることはありますか?」
ツイッタージャパン 代表取締役 笹本裕さん
「そうですね。問題があるということは、我々本当に常に感じております」
「特に数年前から機械学習を使って、攻撃的なツイートを検知していく技術を強化しております。その上で365日24時間対応できるように、様々な国で、実際に人間の目で、そういったツイートを確認しています」
今月、ツイッタージャパンは新しい機能を追加した。
これまでは、ツイートを読んだ人は誰でも コメントを書き込むことができたが、新たな機能では、コメントできる人をアカウントの持ち主が選べるようになった。ひぼう中傷を防ぐ一定の効果があるとしている。
一方で、ツイッター社が強調したのが「表現の自由」。
ツイッタージャパン 代表取締役 笹本裕さん
「やはり表現の自由の重要性というのは、我々としてはすごく尊重したいと思ってます」
「例えば日本では『#検察庁法改正案に抗議します』というムーブメントが起きました。またアメリカでは『#MeToo』というムーブメントが数年前に起きました。こうしたことが起きるのもツイッターの特性であり、力でもあると思います」
YouTuber 葉山 潤奈さん
「自由な発言を大事にしたいという気持ちはすごく分かるんですが、実際それだけではもう止めようがないほどひぼう中傷がエスカレートしています。そこははかりにかけてみると『発言の自由』の方を大事にされたいということですか?」
ツイッタージャパン 代表取締役 笹本裕さん
「苦しいところではあるんですが、そういった部分と悪意のある部分を、我々としてはどう向き合っていくかということが非常に大きなテーマとして、まだまだ続いていくかなと思います」
弁護士 神田 知宏さん
プラットフォームが人の人生を左右する力を持っているのは、私は問題だと思っています。悪い口コミを書かれたり、悪い評価を書かれたりすることによって、自分はもうこの仕事ができないというふうに思う人がなんと多いことかと。
ITリテラシー専門家 小木曽 健さん(以下、小木曽)
私個人の考えとしては、SNS事業者がSNS上に載せるべきもの、載せてはいけないものをジャッジするような世界は作っていけないと思っています。あくまで情報の発信者が責任を負わなければいけないものであって、そこをSNS事業者がどうこうするというのは、言論統制なんじゃないか。
評論家 宇野 常寛さん(以下、宇野)
SNSというのは社会インフラの一部なので、プラットフォームに内容まで踏み込んだ削除権利みたいなのは与えすぎないほうがいい。その一方で、やっぱり仕様をどうにかした方がいいというのは間違いなくあると思うんですよ。
心理学者 関屋 裕希さん(以下、関屋)
SNSは人と自分を比較しやすいツールだと思うんですよね。つい攻撃したくなってしまう、ついやってしまうことを喚起しやすい仕様になってる部分はあると思っています。そうした仕様の工夫というのは、言論の自由に配慮しながらだとしても、行っていくべきだと思います。
YouTuber 葉山 潤奈さん(以下、葉山)
私としてはプラットフォーム側からもアクションを起こしていただき、使っている利用者側からも意識を変えていくという両者でやっていかないと、(ひぼう中傷対策は)もう間に合わなくなるのではないかと思います。
関屋
SNSを使う時に、自分がどういうことをしてしまいやすいのか、どういう感情を抱きやすいのか、もう少し知っておくことがすごく大事だな思います。
小木曽
一人で車を運転している瞬間に『早く行けよ』とか、『腹減ったな』とかブツブツ言いますよね。SNSで一人でポチポチ投稿している時間は、車の運転の心理状態そっくりなんですよ。その人が丸裸になるんです。だから普段はいい人なのに、SNS上でだけ攻撃的だとか自慢が好きだとかいうことがある。このことは知ってほしいですね。
宇野
ちょっと目立ちすぎた人や、何か失敗した人に対して、みんなで石を投げてすっきりすることによって、安心するという文化が根づいてしまっていると思います。ここにメスを入れることが、大事なんじゃないかなと思うんです。
関屋
自分の口から発することや書き込むことは、自分が責任を持つべきことだという、そもそもそこからかなという気もします。
小木曽
「表現の自由」だけでなく「表現の責任」を考えてほしいと、あと100回くらい言いたいです。
「フェイク・バスターズ」番組ダイジェストを読む
Vol.1 もしも身近な人がひぼう中傷を受けたら…
Vol.2 ひぼう中傷の被害者を救う 第三者がカギに!
「フェイク・バスターズ」
8月20日(木)夜10:00~10:30(総合テレビ)
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