クローズアップ現代トップ > みんなでプラス > #みんなのネット社会 > ツイッタージャパン社長に聞いてみた【前編】
2020年8月18日

ツイッタージャパン社長に聞いてみた【前編】

SNSを運営するプラットフォーム企業はネット上のひぼう中傷をどう受け止めているのか? ツイッタージャパンの代表取締役 笹本裕さんが8月20日放送「フェイク・バスターズ」の取材に応じました。聞き手は、自身もひぼう中傷を受けた経験のある、葉山潤奈さん。芸能事務所社長、モデル、YouTuberなど多彩な顔を持ち、ひぼう中傷をなくすための発信を続けています。
葉山が日頃から感じていた3つの疑問をぶつけました。
● ひとりが複数のアカウントが持てるのはなぜか?
● ツイートの削除依頼への対応基準は?
● 被害者自身が書き込みを消せるようにできないか?


笹本 裕さん
ツイッタージャパン 代表取締役  複数の外資系企業で要職を歴任。2014年から現職。


ひぼう中傷 ツイッター社の対策は…

葉山 潤奈さん(以下、葉山)
よろしくお願いします。早速ですが、ひぼう中傷の被害を減らすために「こういう取り組みをしていきたい」など、何か考えていらっしゃることはありますか?

ツイッタージャパン代表 笹本 裕さん(以下、笹本)
まず前提としてツイッターの中には様々な会話があります。例えば震災が起きた時に、ツイッターで情報発信したことで救助された方々もたくさんいますし、ひぼう中傷だけがツイッター上にあるわけではないと。

葉山
もちろんそうですね。

笹本
それを前提で申し上げますと、そうした(ひぼう中傷に関する)課題は我々としても当然認識していて、特に数年前から機械学習・深層学習などを活用して、攻撃的なツイートを検知する技術を強化しています。その上で365日24時間対応できるよう、様々な国で実際に目検で(目で見て)ツイートを確認しています。

葉山
人がやっているのですか?

笹本
ええ、組み合わせでやっています。機械学習は一朝一夕で完璧なものはできないので、我々も決して今の状態で満足しているわけではなく、人員も強化しなければいけないと認識しています。残念ながら、情報開示請求の数は日本がアメリカに次いで世界で2番目に多く、我々としてはユーザーの嫌な思いを、できるだけ少なくしていきたいと思っています。
苦しいところではあるんですが、そういった“悪意”の部分とどう向き合っていくのかが非常に大きなテーマとして、まだまだ続いていくかと思います。

複数のアカウントが持てることは問題?


葉山潤奈さん
芸能事務所社長、モデル、ユーチューバーなど多彩に活動。
過去にネット上で悪質なデマを拡散されたり、動画の生配信中にひぼう中傷が殺到するなどの被害に悩まされてきた。同じような被害に遭った人の相談に乗ったり、被害を減らすための発信を続けている。


葉山
私はツイッターを長く愛用していて、いい出会いにつながったこともあったり、自分にとってすごく大事なツールなんですね。その中で不思議に思っているのが、1人のユーザーが匿名で複数のアカウントを作れることなんです。私はそのことが、ひぼう中傷が起きる理由の1つではないかと思うんですが、仕組みを変えることは難しいんですか?

笹本
仕組み自体はどんどん進化していくと思うので、将来も同じかどうかは何とも申し上げられないんですが、同じ人が複数のアカウントを持てるというのは、他のSNSとの生い立ちや考え方の違いと関係があります。
多くのSNSは、人と人の「つながり」を中心に設計されていると思いますが、ツイッターはどちらかというと、人の「興味・関心」を発信してもらうことを前提に作られています。例えば、1人の方が「アイドルを追いかけたい」という趣味のアカウントと、「学校の友人たちとつながりたい」というアカウントを複数持つことで、多様な趣味・思考が発信できるのがツイッターかなと思っています。

ツイートを削除する基準は?

葉山
ひぼう中傷を受けたユーザーから、書き込みの削除依頼が送られてくると思うんですが、その場合「削除する/しない」の基準はどうなっているんですか?

笹本
まず、ツイッターのポリシー自体は開示されているので、ご参照いただければと思います。しかし、ひぼう中傷の定義は言語によっても違うでしょうし、文化によっても異なると思うんですね。異なる文化・言語・コンテクストを、人間の目でしっかりと見て、その前後の文脈なども含めて理解し対応していく形になるので、それを全部明文化して皆さんにお見せするのは非常に難しいところがあるんです。
例えば、他人から見るとすごく攻撃的でひぼう中傷に見えるケースであっても、実際は友人同士の“他愛もないやりとり”というケースもあるので。

葉山
そこまで見ていると…

笹本
日本に関するツイートであれば、世界各国に日本語ができて、かつコンテクスト(前後の文脈)を理解できる人材を配置して、できるだけ365日24時間対応できるようにしています。ただ、完璧に対応できているかというと心苦しいところで、そう申し上げられる状況ではないと思うんですが、日々進化させていかなければならないと責任は感じています。


インタビューは8月5日にツイッタージャパンのイベントスペースで行われた

「ブロック」「ミュート」機能で十分?

葉山
ツイッターには、「ブロック」や「ミュート」の機能がありますよね。それを使うと、書かれた本人はその投稿を見なくて済むと思うんですが、私は、ひぼう中傷というのは、それを第三者に見られてしまうことも被害者が傷つく原因の1つだと思うんです。例えばアカウントの持ち主が、書かれたコメントを削除できるようにはならないんでしょうか?

笹本
ご自身が?

葉山
そうです。本人の判断でリプライ(返信コメント)を消せるようにするのは、難しいんですか?

笹本
今は難しいと思います。機能が進化していくことは約束できるので、いろいろな形でそういった言葉を自分の目から遠ざけることには力を入れたいと思っています。
私自身もツイッターの利用者なので、いろいろな言葉や批判をもらって、心が傷つくことも当然あるんです。「ミュート」「ブロック」機能を使ってみた経験からも、葉山さんの気持ち・ご意見は、個人的にはすごく共感します。
その一方で、例えば私に対して、その方のご意見として発信されることに関しては、「個人の自由な発言」と捉えなくてはいけない時もあるのかなと思います。「表現の自由」の重要性は、我々としてはすごく尊重したいと思っています。
もちろん、誤解していただきたくないのは、批判や自分の意見を言うための自由と、攻撃する自由をはき違えてしまっていることが往々にしてあります。この線引きは難しいですが、我々としては、ツイッターとして何かを判断して行動に起こすより、警察など法的機関の法律に基づいた判断をまずは望みたいと思っています。もちろん、明らかなポリシー違反については対応してまいります。

葉山
平和に使って、楽しくいいものをシェアしてもらいたいと。

笹本
ツイッター創業者のジャック・ドーシーも常々言っていますが、我々としては「健全な会話」を、ツイッターの「1丁目1番地」にしたいと。もちろん民間企業ですので投資対効果を考えた上で色々な決断をしますが、この「健全な会話」を維持して、皆さんが意見や興味関心を安全に発信できる場にすることに、一番投資をしています。「ツイッターを健全に使ってもらいたい」という思いを、強く持っています。

ツイッター側が主張する「表現の自由」に対して、葉山は…
後日公開する【後編】へと続きます。

新機能で“特定の人だけ返信”が可能に
このインタビューが行われた数日後、ツイッタージャパンは新しい機能を追加した。
これまでは、ツイートを読んだ人は誰でも コメントを書き込むことができたが、新たな機能では、コメントできる人をアカウントの持ち主が選べるようになった。
ひぼう中傷を防ぐ一定の効果があるとしている。


ツイッターの新機能 アカウントの持ち主が選んだ特定の人にだけ返信をもらうことが可能に

対談の内容は番組内でも紹介します。

「フェイク・バスターズ」

 8月20日(木)夜10:00~10:30(総合テレビ)

指先一つで誰もが簡単に人を傷つけることができる時代。
ひぼう中傷の被害を防ぐための具体的な方法を考えていきたいと思います。

あなたの思いや考えをこのページへのコメントや #誹謗中傷をなくそうでツイートしてください。みなさんから寄せられた「声」は取材チームが一つ一つ目を通します。