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みんなでプラス > 宮田裕章さんと考える データとわたしたちの社会 > 【厚労省とLINE調査】その先の流行と向き合うために
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2020年8月29日
【厚労省とLINE調査】その先の流行と向き合うために
 LINEを活用した厚生労働省の「新型コロナ対策のための全国調査」。その5回目の調査が8月12日-13日に実施され、およそ1498万人が回答しました。宮田さんは集まった回答データの分析を担当、「PCR検査では見えない第2波の感染状況」「職種や年齢ごとのリスク対策の実態」などをより細かく解き明かそうとしています。8月21日に公表された集計結果で、宮田さんが特に注目するのが、予防行動の重要性です。「予防行動によって感染を抑える効果の大きさがビッグデータからも示された。無理に気を引き締め続けるのではなく、かといってもういいやと諦めてしまうのでもなく、ポイントを抑えて取り組み続けることが重要」と宮田さんは強調します。

(番組ディレクター 今氏源太)

宮田さんがLINEの回答ビッグデータを分析し続ける理由
Q.3月に第1回調査が行われた当初は、国内の感染実態がまだ把握できておらず、不透明な状況でした。全国・地域ごとの発熱者の傾向がLINEの回答ビッグデータによって初めて明らかになり、大きなインパクトがありました。現在の日本ではPCR検査数も当時から増えています。それでもLINEで調査を継続することにどんな意義があるのでしょうか?

宮田:確かにPCR検査数は増えましたが、それに伴って把握される感染者数も大幅に増加したのが第2波のデータ的特徴です。検査は特定の年代や濃厚接触者、クラスターへの積極的調査などが中心であり、自治体や地域ごとの感染状況を正確に捉えることまでをカバーできていません。
一方でLINE調査では発熱を中心とした健康情報アンケートの集計なので、あくまでも感染実態の間接指標です。ですが、第2波の全体像を捉えるには様々な角度のデータが重要です。まだ見えていない実態は何なのか。氷山の水面下を少しでも浮かび上がらせるためには有意義な方法だと思っています。



もうひとつ、今回の調査で重要なのはリスク対策に関してです。第1波では緊急事態宣言下、活動の自粛やStay Homeなど経済を犠牲にする接触制限が中心でした。それから現在に至るまで、リスク対策と暮らしや経済活動を両立した方法が模索されています。実際にはどれくらい対策ができているのか、皆さんの努力はどれほどの効果があるのか。データで確認することで社会は前に進むことができるのです。

地方で症状が微増する傾向 リスクは人口密集都市だけでない
Q.厚労省の公表では、地域ごとの発熱率データ(37.5℃以上が4日間続いた人の割合)が第1回調査(3月31日-4月1日)と今回の第5回調査(8月12日-13日)を比較して示されました。全国の1892の市町村単位で細かく発熱の様子が色分けされています。このデータから読み取れることはなんでしょうか?

宮田:都道府県単位よりもさらに細かく分析をすることで、それぞれの市町村で把握されている感染者数と症状のある人の割合にかい離がないか、あるいは隠れクラスターなどまだ顕在化していないリスクがないかなど、参考になればと思っています。第1回の調査と比較すると地方での発熱率が微増している可能性があります。
また都道府県別にみると東京や神奈川、大阪など11の都道府県では統計的に有意に(誤差ではなく)低い割合となりました。一方で岩手県のみ発熱率の割合が上がっており、ほかの市町村を含めて地方での感染拡大には今後も警戒が必要です。



地域ごとの事情はそれぞれ異なるため、微増の要因を全て把握することは難しいです。ただ、これまで感染者数を低く抑えていた地域の場合、もう大丈夫ではないかと予防行動を緩めてしまう可能性があります。ソーシャルディスタンスがとりやすい環境の場合、つられて手洗いやマスク着用などがおろそかになってしまうかもしれません。そうした状況で市中感染が起こると一気に広がってしまう可能性があり、油断はできないのです。
また感染が少数だった地域ほど、新たな感染者が目立ってしまい、周囲が批判したり、糾弾する可能性もあります。中には体調が悪いにも関わらず自ら言い出せずに、感染の連鎖が続いてしまうことも考えられます。感染自体を否定的に考えるのではなく、体調が悪い人がいたら早期に検査を行う、周囲と接触を避けるためのサポートなどに繋げていくことが大事なのです。

若者で症状が微増、65歳以上は減少
Q.さらに年代別の発熱率データも細かく公表されました。第2波では20代から40代で多くの感染者が見つかりました。LINE調査からはどのような傾向がわかったのでしょうか?



宮田:3-4月のときと比較して15歳から45歳までの世代で症状のある人の割合が増えています。陽性者が多く見つかっていることからも、感染が若い世代で広がっている傾向がここにも表れています。また45歳から65歳ではほぼ横ばい、65歳以上では割合が減っていることがわかりました。重症化リスクの高い高齢者は特に気をつけて行動するなど、リスク対策への高い意識が割合を下げた要因として考えられます。

Q.おおむね現在把握されている感染者の傾向に近いと言えそうでしょうか?

宮田:はい。私が気になったのは若い世代や高齢者で増減があるものの、年齢別の傾向としては第1波とは変わっていない点です。つまり第1波のときも同じ傾向が当てはまるとすれば、当時も感染者の多くは活動的な若い世代が中心だった可能性があります。PCR検査によって把握された感染者の数は大きく増えましたが、それに合わせて若い世代への風当たりも強くなっています。しかし陽性者数だけをみて一部の人々や世代に責任を押しつけるのではなく、社会全体で対策をより効果のあるものにしていくことを考えることが重要です。

予防行動の実施割合が低下
Q.感染状況と合わせて重要なのが予防行動の実態です。ワクチンがない今、感染を抑えるカギを握るのがマスク着用、3密の回避、体調管理といったリスク管理を継続し続けることだと思いますが、データからどういった実態が浮かびあがってきたのでしょうか?

宮田:職種ごとに計8つの予防行動の実施状況を収集し、前回の第4回調査(5月1日-2日)と比較しました。すると全体的に予防行動の実施割合が減少していました。オフィスワークや外回りなどを中心にテレワークの割合は大きく減っており、経済活動の再開に伴った象徴的な変化です。



またマスク着用に関しては飲食業の中でも特に接待を伴う店で実施割合が低く、タクシードライバーでは密閉密接対策の割合が下がっているなど、職種による課題も見えました。確かに接待の場面ではマスクやフェイスガードなどで顔を覆うことを嫌がる事業者や従業員がいるかもしれません。

Q.新型コロナが長期化する今、周囲を見渡すと対策ができている人とそうでない人、「気の緩み」と「予防の習慣化」が混在しているように感じます。予防のガードを上げ続けることは難しいのでしょうか?

宮田:予防行動はひとりひとりの健康に確実に繋がります。今回、職場で対策を行っていると回答した方々と、行っていないと答えた方々を比べると、対策を行っている方々のほうが、職種問わず発熱者の割合が低いというデータも出ました。予防行動の大切さがビッグデータによってあらためて示されています。
対策の工夫は立場や環境によってそれぞれですが、気の緩みと糾弾してしまうよりも予防行動がしやすい仕組み作りなど、多くのサポートが必要だと思います。

罰則だけでなく、行動を後押しする仕組みを
Q.予防行動は成果が見えにくく、本当に意味があるのか、やらなくても変わらないのではないか、と思ってしまう方もいらっしゃると思います。個人の努力に任せるだけではなく、仕組みでサポートすることは大切ですね。例えばどういった方法が考えられますでしょうか?

宮田:例えば福岡県では県のガイドラインに基づいた感染対策を徹底して行っている場合、休業を要請しないという方針を発表しました。罰則を設けるのではなく、対策ができている人は営業が続けられる仕組みです。行政にとっても支払う追加給付金が軽減できますし、経済活動を続けながら感染を抑えようという積極的な取り組みだと思います。

また、感染対策の「見える化」も始まっています。神奈川県は飲食店情報のポータルサイトと協力して、対策を実施している店舗の情報がユーザー画面に表示される試みをしています。安心して食事を楽しめるようにするだけでなく、対策を行っている店舗はみなさんに選ばれやすくなる後押しにもつながります。今後は検索をした際に上位に表示されるようアルゴリズムを改善するなど、さらなる工夫もできるでしょう。

今改めて「持ちこまない」「うつさない」「広げない」
Q.予防行動で大切なのは自らが感染しないことに加えて、周囲に感染を広げない共助の考えだと思います。私たちが今あらためて学ぶべきことはどんなことでしょうか?

宮田:海外の最新研究では一度新型コロナにかかった人でも再感染する可能性があると発表されました。さらなる研究が必要ですが、一度感染した人には免疫がつき、その後は安心して暮らせるとはいえないのです。感染2回目のときは症状が出づらく、自分では気づかずに周囲にウイルスを拡散させてしまう恐れがあることも可能性として示されています。まだ新型コロナの全貌は見えておらず、今後良い方向か悪い方向か、どちらに状況が転じていくかはなんとも言えないのです。もちろん日本に第3波、4波が来る可能性は充分にあります。



ワクチンがない中で私たちが取り組み続けるべきなのは、ウイルスを「持ちこまない」「うつさない」「広げない」を意識した予防行動です。もし持ちこまれてしまっても他人にうつさない、もしうつってしまったら周囲に広げないことが大切です。個人だけではなく組織でもこの3つを取り入れてもらうだけで、結果は変わってくると思います。 また、手指の消毒は今後もずっと行ってほしいです。私は手洗いやアルコール消毒を意識するようになってから風邪を引かなくなっています。予防行動によってコロナ以前では得られなかった健康の成果を感じている人も少なくないのではないでしょうか。

絶対にうつらないことは不可能ですし、うつってしまった人を責めてはいけません。健康と経済活動を両立し、暮らしを守るためも、正しい予防行動の「日常化」を改めて実現していくことが必要だと感じています。

(厚生労働省による第5回「新型コロナ対策のための全国調査」公表内容はこちら↓) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13101.html
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