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みんなでプラス > “性暴力”を考える Vol. 81~
“性暴力”を考える Vol. 81~ 写真
“性暴力”を考える Vol. 81~
このページでは、ディレクターや記者の取材で得た情報や番組内容などを発信し、みなさんと意見を交換しながら一緒に考えたいと思っています。

「被害の実態をもっと知ってほしい」「性暴力とどう向き合えばいいのか考えたい」など、あなたの思い、悩み、考えを 各トピックの下の「コメントする」か、 ご意見募集ページより お寄せください。みなさんからの「声」は、取材班が一つ一つ目を通し、取材につなげています。
【毎週金曜日に更新中】
【vol.88】「私が求める“性犯罪・性暴力対策”①」 
【vol.87】「13歳」のYES、それは本物? 
【vol.86】被害に遭った あなたへ “どうか あきらめないで”  
【vol.85】性犯罪・性暴力の対策が強化されます
【vol.84】「性犯罪の刑法検討会」始まりました
【vol.83】本で伝えたい “あなたを守る” 法知識
【vol.82】新型コロナでネット利用増… 子どもの性犯罪被害に注意を
【vol.81】あなたの身近にも・・・ 新型コロナで高まるリスク
過去のトピック一覧はこちら
Vol.1~Vol.40
Vol.41~Vol.80
あなたの地域の「性暴力ワンストップ支援センターは」こちら
https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0006/topic038.html
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2020年7月10日
【性暴力を考えるvol.88】「私が求める“性犯罪・性暴力対策”①」
先月(6月)、政府は、今年度からの3年間を性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」に定め、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」を取りまとめました。関係省庁が連携し、被害者支援や再犯防止、教育・啓発活動など、総合的に対策を強化していくとしています。

みんなでプラス 性暴力を考える Vol.85」で詳しく伝えると、自身が性被害に遭った経験などを踏まえて“政府に求めたい対策”“社会に変わってほしいこと”など多くの声が、ご意見募集ページに寄せられました。その中から いくつか紹介します。

“断れない”被害者の心理を知ってほしい
政府の方針では、先月(6月)、性暴力被害者の支援団体の代表らを委員として始まった「性犯罪に関する刑事法検討会」において、幅広く意見を聞きながら、性犯罪に厳正かつ適切に対処できるよう、速やかかつ丁寧に検討を進め所要の措置を講じることや、検察官等に対し、性犯罪に直面した被害者心理などについて研修を実施するとしています。

これに対し、幼いころから性暴力の被害に何度も遭ってきたという女性が、「“断れない”被害者の心理を知ってほしい」とメールを寄せてくれました。



女性は、学生や社会人になってからも、電車で痴漢に遭ったり、職場の上司や友人から、胸や尻を触られるなどの被害を受け続けてきたといいます。そして、「女性は本能で、男性を『怖い』と思っている人が多いのではないでしょうか。“拒否したら暴行されるのではないか?”“今までの関係を崩したくない”など、いろいろな理由で望まない性行為を許してしまう女性は少なくないと思います」と伝えてくれました。

性犯罪に直面した被害者の心理状態について、刑事法の検討会の委員の一人で公認心理師・臨床心理士の齋藤梓(あずさ)さんは今後の検討に向けた意見(*)として、「性被害に直面すると、多くの人は身体が動かなくなる。それは暴行や脅迫よりも程度の軽い脅しであっても起こりえる」「加害者が被害者よりも地位が上であった場合、明確な暴行や脅迫がなくとも相手の抵抗を抑圧することは容易」と述べています。また、今後の議論で、被害者の心理状態を鑑みて性犯罪有罪が成立する要件を検討していきたいとしています。
(*詳しくは、法務省「各委員から提出された自己紹介および意見」P.17を参照ください。 NHKサイトを離れます。)

再犯防止の徹底を
声を寄せてくれた女性は、さらに、「性犯罪者の再犯防止を強く望んでいる」と話してくれました。



政府の方針では、「性犯罪者に対する再犯防止施策の更なる充実」として、仮釈放中の性犯罪者等にGPS機器の装着を義務付けること等について、2年程度をめどとして、諸外国の法制度・運用や技術的な知見等を把握し、所要の検討を行うことと、出所者情報の把握等による新たな再犯防止対策を検討するとしています。

「人権や個人の尊重を犯す犯罪」という認識を
さらに政府は、「相手の同意のない性的行為をしてはならない」「性暴力はあってはならないものであり、悪いのは加害者である」という社会の意識を醸成することが大切であるとして、3年間の「集中強化期間」に広報啓発活動を徹底的に強化すると、方針で示しています。

これに関連して、ご意見募集ページには、「性暴力は、人権や個人の尊重を犯す犯罪だという認識を皆が持つことが大切」という声も届きました。



男性は、最近の性暴力に関するニュースやSNSでの反応を見て、「刑罰のあり方でなく、今ある常識にもメスを入れ、加害者が罪を問われにくい風潮についても議論してほしい」と、自身の気持ちを語ってくれました。

政府の対策強化の方針について、ご意見をお待ちしています
政府は、性犯罪・性暴力対策の強化方針の施策について、今年7月をめどに具体的な実施の方法や期限などの工程を作成し、毎年4月をめどに進捗状況や今後の取り組みについてのフォローアップを行う予定です。

「みんなでプラス 性暴力を考える」は、施策について継続的に取材し、みなさんから寄せられた声をこのページで紹介していきます。ご意見をお待ちしています。 

※6月11日に決定された性犯罪・性暴力対策の強化の方針は、内閣府のホームページに掲載されています。(※NHKサイトを離れます)
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/measures.html

あなたは、政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」について、どう思いますか? 対策を進めるために必要だ、大切だと考えていることはありますか?下の「コメントする」か、 ご意見募集ページから 意見をお寄せください。
#性暴力#MeToo#Withyou
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2020年7月3日
【性暴力を考えるvol.87】「13歳」のYES、それは本物?
性行為に同意する能力があるとみなされる年齢、いわゆる「性交同意年齢」。日本は、13歳です。13歳未満であれば、被害者の同意の有無を問わずに犯罪が成立しますが、13歳以上であれば、脅迫されたか、抵抗したかなどを立証しなければなりません。

一方、世界では「性交同意年齢」を引き上げる動きが進んでいます。韓国とフランスについて取材しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200629/k10012487511000.html

日本では、性犯罪の刑法見直しが必要だとの指摘を踏まえ、性交同意年齢をはじめ、実態に即した刑法の要件などについて議論を始めています。あなたは、日本の「性交同意年齢」について、どう思いますか? 下の「コメントする」か ご意見募集ページから、意見をお寄せください。
#性暴力#MeToo#Withyou
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2020年6月26日
【性暴力を考えるvol.86】被害に遭った あなたへ “どうか あきらめないで” 
性暴力の被害を受けた人の中には、ほかの性被害者が自分の体験を人前で話したり、SNSなどで発信したりしている姿を目にして、「私はあんなに強くなれない」と感じて いっそう傷つき、ひとりでつらい思いを抱えている人も少なくないのではないでしょうか。

そうした人たちに対し、「今の自分を認めてあげてほしい。必ず光があるから、あきらめないでほしい」という思いから、「みんなでプラス 性暴力を考える」にメールを寄せてくれた40代の女性がいます。高校生のとき、知り合いの大学生から被害に遭い、一時は精神科に長期入院を余儀なくされるほどに苦しんだ過去を抱えながらも、いまは中学生と小学生、2人の息子さんを育てながら家族で穏やかな日常を送っています。どのように、つらい過去と向き合ってきたか、語ってくれました。

(NHKグローバルメディアサービス ディレクター 飛田陽子)


※この記事では、被害の内容や被害後の苦しみについて具体的に触れています。フラッシュバックなどの症状のある方はご留意ください。
夏祭りの帰りに…
ことし5月、「みんなでプラス 性暴力を考える」に寄せられたメールです。



メールの送信者は、大阪府に住む美月さん(仮名)。「みんなでプラス 性暴力を考える」vol.12で紹介した「#性被害者のその後」のハッシュタグで多くの性被害者がつらい思いをSNSで発信しているのを目のあたりにして、誰もが性被害に向き合う社会になるためには、被害に遭った人たちの心の叫びを伝えていく必要があると強く思い、新聞やメディアに投書するようになったそうです。


(美月さん/家族が撮影)

美月さんは、これまでどのような日々を過ごしてきたのか。ビデオ通話とメールのやりとりを通して詳しく話を聞かせてもらいました。画面越しに話す美月さんは、明るい声と丁寧な言葉遣いが印象的な女性でした。



高校生だったある夏の晩、美月さんは、知り合いの大学生の男性から夏祭りに誘われました。異性との交際に関心をもつ年頃で、男性と2人だけでお祭りに行くのは初めて。普段よりメイクや髪型も張り切って整えるなど、ふだん着にちょっぴり おしゃれをして、少し緊張しながらも、お祭りで楽しい時間を過ごしました。その日は、青春の思い出になるはずでした。

しかし、帰り道。男性から「公園で休憩する?」と言われ、人目が届かないような一角に連れて行かれて、何気ない会話が途切れた瞬間、襲われたといいます。突然のことに驚いた美月さんは、全身が固まり、声をあげることも、力で抵抗することもできませんでした。今でも、自分がどうやって帰路についたか思い出せないそうです。夏祭りに浴衣を着て行かなかったことが、被害に遭った原因なのではないかと長い間、後悔してきたといいます。

「もし浴衣を着ていて襲われたら、着崩れしてしまうので、相手は襲ったことを疑われるのではないかと恐れて、襲わなかったのではないか。私が ふだん着なんかで行っちゃったから、こんなことをされたんだ。私が悪かったと本気で思っていました」(美月さん)

また、当時、美月さんの両親は夫婦関係があまり良好ではありませんでした。自分が性被害に遭ったことを打ち明けたら、家庭が壊れてしまうのではないかと心配した美月さんは、被害に遭ったことを言えなかったそうです。

終わらない被害
悪夢は、この一夜だけで終わりませんでした。夏祭りの翌日、男性からポケベルで呼び出され、見せられたのは、美月さん自身の被害直後の写真。いつ撮られたのか、美月さんに覚えはありませんが、前の晩に男性が撮ったものでした。男性に「君も逃げようと思えば逃げられたのに、これ、逃げずに受け入れたってことだよね?」と言われたといいます。「体を拘束されていたわけでもないのに死ぬ気で逃げ出さなかったのは、自分が性行為を受け入れたのと同じこと。だから自分が悪い・・・」。また一つ、自分を責める理由が増えました。

それからは美月さんにとって地獄のような日々だったといいます。男性に「人に言われたくなかったら 頼みを聞け」と脅されては、男性の知人などと性的な関係を持たされるようになりました。男性はその度に数万円のお金を受け取り、そこから1万円ほどを無理やり美月さんの手に握らせて「金を受け取っているお前も同罪だよ」と、後ろめたさを植え付けるような言葉を繰り返したといいます。美月さんは毎回、そのお札をそっとコンビニのレジの横に置いてある募金箱や不要なレシートを入れる箱に入れていたそうです。みじめな自分を誰にも知られたくないという思いからでした。



孤独な生活は、次第に美月さんの心と体をむしばんでいきました。1年以上たったある日、歩けなくなるほどの激しい腹痛に襲われて産婦人科を受診すると、骨盤腹膜炎と診断されました。このとき、男性医師も看護師も、「何があったの?」と気にかけてくれることはなかったといいます。それどころか医師は、何も事情を聞かぬまま一方的に、「もっと自分を大事にしろ!」と美月さんを叱責したといいます。このことで、美月さんは周囲の大人に対して いっそう心を閉ざしてしまうようになったと振り返ります。

「自分を大事にするって、どうすればいいのか、分からなかった。詳しい事情を何も知らない人からそんなふうに言われても、素直に聞き入れることはできませんでした。この人は私に寄り添ってくれない、私の気持ちを何も分かっていない、もう誰も信用できない!とすべての人を拒絶したくなるだけでした。」(美月さん)

信じてくれる人たちとの出会いが 回復の支えに
つらい思いをひとりきりで抱えながら、大学に進学した美月さん。加害者の男性とは なんとか距離を置くことができましたが、突然のフラッシュバックや、あまりのつらさから 自分の体と心を切り離す「解離」と呼ばれる症状にさいなまれたり、夏祭りの季節が近くなる度に恐怖心に襲われたり、過食症と拒食症を繰り返し、体重が30kg台まで落ちたこともあったといいます。ほとんど誰にも相談できぬまま苦しい日々を送る中、美月さんは、深い痛みに気づいて寄り添ってくれる友人と出会いました。

「当時の私の不安定な様子を見かねた女友達が、親身になって相談にのってくれる女性の産婦人科医がいないか、必死に探してくれたんです。いま振り返ると、まだスマートフォンもなく、インターネットもそこまで普及していなかったので、すごく大変なことだったろうと思います。」(美月さん)

大学の同級生で、当時の経緯や美月さんを知る由紀さん(仮名)によると、美月さんの被害のことを聞きつけて、「うそをついているのでは」とうわさをするような人もいたといいます。しかし、由紀さんをはじめ親しい友達の間では、「美月ちゃん自身が言っていることを信じる」と固く決めていたそうです。

「美月ちゃんは 同じ年齢ですが、落ち着いていて、恋愛から家族関係のことまで さまざまな相談にのってくれる、お姉さんのような存在でした。そんな美月ちゃんから、ある時、被害に遭い続けてきた話を聞いて、しかも、『誰かが私と同じ思いをするのは嫌。被害に遭ったのがあなたじゃなくてよかった』と言われたことがありました。なんで、美月ちゃんがこんな目に遭ってしまったのだろうと悲しくなり泣きました。お互い若かったから 何が大それたことができるわけではありませんでしたが、とにかく ただ美月ちゃんの話を聞いたり、一緒に病院に行ったりしました。」(由紀さん)

友人がようやく見つけてくれた産婦人科医の先生は、美月さんを一方的に叱ることはなく、被害を受けた ひとりの女性として受け入れてくれました。信頼関係を築くまでに少し時間はかかりましたが、その後もずっと親身になって、美月さんの心と体のことを一番に考えながらケアを続けてくれました。“心の闇”とたたかい続ける中で、美月さんが回復することを最後まで信じてくれたことが、大きな支えになったそうです。



その後、少しずつ前を向き始めた美月さんは、トラウマを専門的に治療してくれる精神科や心療内科を受診しますが、当時は今よりも、性被害による心の傷について理解されにくく、「うちでは手に負えない」と突き放され、気力を奪われることもあったといいます。しかし、相談していた産婦人科の先生から、性被害などを受けた人の心のケアが専門の精神科医を紹介され、美月さんは治療に専念するために大学を休学し、実家を離れて入院。そこで、EDMRという、過去のトラウマの記憶と向き合う治療や、性被害の経験をもつほかの人たちとグループで話しながら自分が受けた被害や過去を客観的に整理することで、心と体の感覚を取り戻していく治療を受けたそうです。

「治療そのものが非常につらく、入院期間も長かったため、不安で押しつぶされそうになり、何度も自ら死のうとしました。でも、精神科の先生も産婦人科の先生も、『この子はもうだめだ』と、さじを投げることは一切ありませんでした。私のことをどこまでも信じて支えようとしてくれた人たちとの出会いに恵まれました。その人たちのおかげで、ここまで生きてこられたのだと思います。」(美月さん)

傷は消えない でも 痛みと向き合った自分も消えない
美月さんはその後、何年にもわたるトラウマ治療を受け続ける中で、被害に遭った過去と向き合い、自分の非を責めることは少なくなっていったそうです。そして、24歳のとき、学生時代に知り合った男性と結婚。現在、2人の子どもにも恵まれ、心身ともに落ち着いた毎日を送っています。

しかし、ひとつ、気がかりなことがあります。それは、ツイッターなどSNSで自分の性被害やその後の生活について発信している人たち自身が、今なお、寄り添い、支援してくれる人に出会っていなかったり、ほかの被害者と自分を比べて、「あの人はこんなに回復しているのに、私はいつになればこの暗闇から出られるのだろう」と感じたり、ひとりでつらい思いをしていることです。

「私は性被害を経験しましたが、幸いにも自分に寄り添ってくれる友人や夫、病院の先生たちに出会うことができました。性被害に理解のある人や環境と巡りあえることは “ラッキー”ではいけないことで、誰もが救われるべきですが、実際の社会はまだまだ性被害に遭った人たちを責め続け、そのことが、孤立に追い込んでしまっていると思います。」(美月さん)

美月さんに、「もし目の前に、今もつらい思いをひとりきりで抱えている性被害者がいたら、どんな言葉をかけますか?」と尋ねると、少しの沈黙のあと「自分がつらい過去と歩んできた時間を、自信につなげてほしい」という言葉が返ってきました。

「最初の被害から20年以上たって、結婚も出産も経験した今の私でも、時々つらい気持ちがよみがえります。こんな思いを抱えてまで生きる意味があるのだろうかと迷うこともあります。被害で受けた傷が消えてなくなることは一生ありません。それでも“その傷と共に歩み、痛みに向き合い続けた自分”というものは、私しか持ちえない財産だと思うようにしています。もし、今もひとりで苦しんでいる人がいたら、生きているだけですごく努力をしているのだから、そんな自分をこれ以上責めないでほしい。必ず光はあるから、どうか あきらめないでほしいです。」(美月さん)

被害から長い時間がたっていても、ひとりきりで苦しみを抱え続けている人たちは少なくないと思います。痛みとともに生きている人たちが、適切な支えを得ることができ、心身ともに安定した日々を取り戻せるようになるために、私たちひとりひとりができることは何か、これからも、みなさんと一緒に考えたいと思います。

あなたは、つらい思いを長く抱え続けている人を ひとりにしないために、どんなことが必要だと考えますか?下の「コメントする」か、 ご意見募集ページから 意見をお寄せください。
#性暴力#MeToo#Withyou#新型コロナウイルス
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2020年6月19日
【性暴力を考えるvol.85】性犯罪・性暴力の対策が強化されます
政府は、性犯罪・性暴力の根絶に向けた取り組みや被害者支援を強化する必要があるとして、今年度からの3年間を性犯罪・性暴力対策の「集中強化期間」に定め、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」を取りまとめました。方針では、被害者支援、再犯防止、教育・啓発活動などの観点から5つの柱が示され、35の項目が盛り込まれています。政府が性犯罪・性暴力について、こうした総合的な対策の方針を出すのは初めてだといいます。橋本聖子 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)は、この方針について「政府としての決意と方針を示す、最初の一歩」と発表しました。

対策が強化されることになった経緯と、今後どんな変化が期待できるのか、方針の取りまとめを担当した内閣府男女共同参画局暴力対策推進室の吉田真晃(まさてる)室長に話を聞きました。

「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」その内容は?
今回の方針は、先週6月11日に開かれた「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」で決定されました。内閣府・警察庁・法務省・文部科学省・厚生労働省の局長級からなる会議で、関係省庁が連携し、被害者支援や再犯防止、教育・啓発活動など、総合的に対策を強化していくことになりました。方針には大きく5つの柱があります。



決定した方針では、具体的に取り組む35の項目があげられています。刑事法については、検察官等に対し、「フリーズ」と呼ばれる症状を含め、性犯罪に直面した被害者心理などの研修を実施すること。被害者支援については、ワンストップ支援センターの体制充実や連携強化として、24時間・365日対応の推進や、都道府県の実情に応じてセンターの増設が検討されることになりました。また、教育・啓発活動については、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、「学校教育」がより大きな役割を果たす必要があるとされました。具体的には、幼児期・低学年に対して「水着で隠れる部分」は他人に見せない、触らせない、もし触られたら大人に言うことなどの指導が推進されることになりました。


(内閣府男女共同参画局暴力対策推進室長・吉田真晃さん)

こうした方針づくりには、当事者の声が少なからず反映されていると吉田室長はいいます。

吉田さん
刑法が3年前に改正されて、今年が見直しを検討する約束の時期です。この期間、被害者の方からは、刑法の改正の積み残しがあるんじゃないか、まだまだ性暴力についての理解が進んでいないんじゃないか、被害について深刻にとらえられていないんじゃないかというような声がどんどんあがってきています。3年間、政府の方でしっかり調査するということで待っていただいていた期間でもあったので、調査した結果を受けて、次はスピード感をもって、一気に施策をしっかりと進めていこう、あがってきた声に正面から向き合って問題を解決していこうと思います。こういうのは時期とか、政治的な流れを逃してはいけないので、今まで議論してきたことを政策の形でしっかりと表現して、「次はこれやっていきますから」という政府としての意志と方針を示すことが今回の方針の意義だと思っています。

性犯罪被害の当事者を支援する「一般社団法人 Spring(スプリング)」の代表理事で自らも被害経験をもつ山本潤さんが、第1回関係府省会議で「私たち性被害当事者は、加害に遭って傷つけられたあと、日本社会が手を差し伸べてくれなかったことから、日本社会、そして、行政・政治に対して、根強い不信感を抱いている」と話されました。被害後に支援にちゃんとつながれないし、周りの人や社会の理解がなかったり偏見が根強くて、「あなたにも非があった」などと言われて傷つく“二次被害”に遭ったり。そういう「性暴力の被害者に対して冷たい社会」を変えるために、「性暴力をなくす」、「二次被害を生まない」、「被害者をしっかり支援する」ことは重要であるということを社会の価値観としていくことが大事だと思います。

内閣府の仕事は、各省庁の力を集めて全体を動かして政策を練り上げていくことです。これまでも、男女共同参画基本計画で、女性に対するあらゆる暴力の根絶のための目標をまとめるなどしてきました。しかし、性犯罪・性暴力の対策として、支援も教育も強化しようとなると、総合的な対策をまとめなければなりません。そうしないとこの問題は解決していかないし、当事者のみなさんの声にも応えていけないという思いがありました。


方針決定には、刑法見直しの議論の影響も
今回の方針が出された経緯のひとつには、性犯罪をめぐる刑法見直しの議論があります。法務省が先立って設置した「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」が取りまとめた調査結果では、刑法に関する事項だけにとどまらず、加害者の再犯防止の取り組みや被害者支援のあり方、子どもに対する教育についてなど、幅広い事項について検討の必要性が指摘されたのです。こうした指摘が出されるまでには、被害に遭った当事者や支援者の方たちがワーキンググループのヒアリングに参加し、経験を伝えてきた経緯がありました。(vol.79で詳しく紹介しました。

さらに、被害者などが街なかで自分の体験を語るフラワーデモの広がりなど、社会の中で性暴力の根絶を訴える声が高まっていることも、今回の強化方針の決定を後押ししたと言います。方針の決定にあわせて橋本大臣が発表したメッセージです。

<橋本 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)のメッセージ>

今、被害者の方が声を上げ、性暴力の根絶を訴えるフラワーデモが全国に広がるなど、性犯罪・性暴力の根絶を求める声が高まっています。こうした切実な声を正面から受け止めて、性暴力被害という理不尽をなくしていくための具体的な政策を、関係者の力を結集して進めていくことが、私に課せられた責務です。(中略)

「性暴力をなくす」、「二次被害を生まない」、「被害者をしっかりと支援する」。このことを、現場まで浸透するよう、取り組みます。また、「性暴力はあってはならない」という認識を社会全体に広げていくことが、何よりも重要です。

性暴力を、なくそう。
「性暴力は一つあるだけでも多すぎる」という認識の下、性暴力のない社会、誰一人取り残されない社会の実現に向けて、全力を尽くしてまいります。


対策の強化を推し進めるためには?
今年度から3年間の性犯罪・性暴力の「集中強化期間」に、必要な制度改正や予算確保を通じて、施策の充実を図ると、方針に記されています。そして、まずは今年7月をめどに、具体的な実施の方法や期限などの工程が作成され、毎年4月をめどに進捗状況や今後の取り組みについて確認し、関係者で議論するなど、フォローアップを行うことも決まりました。

一方、性犯罪・性暴力の対策をめぐっては、これまで取り組みがなかなか進んでこなかった現実があります。ワンストップ支援センターの体制を充実させる必要性について指摘されてきましたが、予算の大幅な増加には至っていません。学校での性教育についても、長年、積極的な取り組みがなされてきませんでした。今回、政府として対策を強化することを初めて明確に示したことによって、こうした状況が本当に変化していくのかが問われています。

吉田さん
これからが勝負なんです。方針として文書にはなりましたが、まだ現実の世の中が動いていないので、これから実行していく大事なフェーズになります。

すでに文科省が局長から各県の教育委員長に通知を出したり、内閣府も大臣から知事に通知を出したり、警察庁も局長から県警本部長に出したりと、高いレベルで動きはじめています。今後、予算や政策に反映されていくか、注目してほしいと思います。

対策を推し進めるために大事なのは、勢いを失わないこと、もっともっと性暴力をなくそうという声が広がることと思っています。社会の雰囲気が変わると、ワンストップ支援センターをもっと充実させないといけないということを、当たり前のように みんなが受け入れるようになり、そうなれば予算も通りやすくなるだろうと思います。社会規範と法規範は相互関係に作用します。世の中の雰囲気や社会規範が変わったら、刑法の見直しについても理解が進んでいくだろうと思います。また、こうしたことが出来たら終わりではなく、これをスタートとして、みんなで声をあげ続けていくことが大事です。

※6月11日に決定された性犯罪・性暴力対策の強化の方針や橋本大臣のメッセージは、内閣府のホームページに掲載されています。(※NHKサイトを離れます)
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/measures.html

あなたは、性犯罪・性暴力対策の強化の方針について、どう思いますか? 対策を進めるために必要だ、大切だと考えていることはありますか?
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2020年6月12日
【性暴力を考えるvol.84】「性犯罪の刑法検討会」始まりました
性犯罪に関する刑法の見直しが必要だという指摘を踏まえ、法務省が設置した検討会の初会合が、6月4日にオンラインで開かれました。メンバーは被害者の支援団体代表をはじめ、刑法や心理学の専門家や精神科医など17人。森法務大臣は冒頭のあいさつで、被害者を保護するために、法改正も含めて対応したいという考えを示しました。
↓↓↓
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200604/k10012458351000.html

開催にあたって各委員から提出された自己紹介と意見が、法務省のホームページに公開されています。
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00020.html(※NHKサイトを離れます)

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2020年6月5日
【性暴力を考えるvol.83】本で伝えたい “あなたを守る” 法知識
きのう6月4日、法務省では 性犯罪をめぐる刑法の見直しについて、専門家や被害者の支援団体の代表などをメンバーとした検討会が始まりました。この検討会の委員のひとりで、長らく性暴力の被害者支援に関わってきた弁護士の上谷さくらさんと、同じく弁護士で 被害後の法的な手続きについてセミナーを開くなど、被害者のサポートにあたっている岸本学さん(vol.56で詳しく紹介しました)が、先月末に本を出版しました。

その名も『おとめ六法』。デートDVからセクハラ、マタハラ、離婚まで、女性が人生の中で直面しうる さまざまなトラブルに巻き込まれた場合、どのように対処すればいいか、憲法・刑法・民法などの「六法」をはじめ、ストーカー規制法や男女雇用機会均等法など、あらゆる法律を用いて解説しています。挿絵は、女性に人気のイラストレーター・Cahoさんが手がけました。「万が一のときの道しるべになるような本」を目指したという3人に、書籍に込めた思いを聞きました。

(さいたま局 記者 信藤敦子・NHKグローバルメディアサービス ディレクター 飛田陽子)


※この記事では、被害の内容や被害後の対応について具体的に触れています。フラッシュバックなどの症状のある方はご留意ください。
“性犯罪被害だと知ってほしい”

(2020年5月28日出版『おとめ六法』より)

『おとめ六法』では、日常生活で起こりうるトラブルの事例を挙げ、それが法律上、どのように捉えられるのか、また、自分の身をどう守るためにはどうすればいいか、具体的に説明しています。

(CASE) 学校の体育準備室でボールを片付けていたら、担任の先生が入ってきて洋服の上から胸をさわり「内緒だよ」と言った。その後もたびたびさわられている。

(ANSWER) 教師という立場を利用し、暴行や脅迫によってわいせつな行為をすると、強制わいせつ罪にあたります。13歳未満の場合、「暴行・脅迫」は必要ありません。13歳以上でも、いきなり胸をさわることは「わいせつ行為=暴行」と考えられています。

(『おとめ六法』より)


弁護士として多くの性犯罪被害者と向き合ってきた上谷さんと岸本さんがこの本を書いた最大の理由は、性被害に遭うリスクが高い女性たちに、被害がただの「トラブル」ではなく、「犯罪の被害」だということを知っていてほしいからだといいます。

私が相談を受けたいろいろなケースを振り返ると、心の中で「もう少し法律や制度が一般の人にもっと知られていたらな」と思うことが少なくありません。決して 知らないことを責めるつもりはないのですが、性被害の場合は、被害者が “抵抗できなかったのは自分のせい“ “断れなかった自分が悪い“ などと考えて、 それが「犯罪被害」であることに気づくことができなかったという人がとても多いんです。そして、裁判で争わずに当事者間で話し合い、相手から被害弁償金などを受け取る「示談」を、“売春のような悪いこと”だと捉え、そのようなことはしたくないと思う人は少なからずいます。

犯罪・事件として訴えるかどうかは、被害者自身が決めていいことです。ただ、最初から 自分が受けた性被害は「犯罪被害」であることを理解したうえで “私は犯罪・事件として訴えない“と自分で考えて決めるのと、犯罪被害であることを知らずに 被害そのものを“なかったこと”にしたり、“自分も悪かった”と自身を責めたりするのとでは、その後、心身にあらわれる影響や回復の道のりが大きく違うと思います。犯罪被害であることを知ってもらうためにも、いまの法律ではどうなっているのかをあらかじめ知っておくことは重要だと考え、基本的な法知識をこの本につめ込みました。


現在の日本の社会状況は、まだまだ女性にとって厳しいものがあると考えています。私が相談を受けてきたケースだけでも、男性に比べて女性の方が、性犯罪の被害をより多く受けています。その背景に、日々の暮らしの中で、女性が男性よりも弱くて不利な立場に追いやられている実態があることは否めないと思います。大学入試や就職試験、職場の昇進などで男性の方が優位だったり、家庭でも夫より妻の立場が弱かったりすることがあります。女性たちは、一生の中で理不尽な状況に置かれることが少なくありません。私には7歳になる娘がいますが、この子が大人になるとき、今より少しでもよい社会を残せないか…と考えています。

一方で、多くの女性たちが現状を変えようと声をあげ始めています。理不尽な現状を打破しようとする人たちに、法律の知識は“武器”として使えるものではないかと考えました。たとえ、その法律が「建て前」であったとしても、法律は法律です。法にのっとって権利を主張すれば、社会は無視できません。さらに法律の不備の多さが分かれば、それを改善するよう、さらなる声をあげることができるようにもなります。この本が その一助になればと思っています。

性被害に遭ったら “証拠”が大切


本では、レイプなどの性被害に遭ったとき、その場で何をしておけば 後々助けになるのか、細かく説明しています。

気持ち悪いと思いますが、なるべくシャワーを浴びたり口をゆすいだりはしないでください。そのとき着ていた洋服も捨てないでください。体内、体の表面、衣服に、体液など犯人のDNAが残っている可能性があります。それらは有力な証拠になります。(中略)急いでワンストップ支援センターや捜査機関で検査をしてもらいましょう。刑事事件の証拠として役立つ可能性があります。

また、記憶にあることはメモに残しておきましょう。時間、場所、犯人の特徴(体格、洋服の色、顔の特徴など)など、思いつくことを書いてください。できれば、信頼できる家族や友人にメールなどで共有しておくのが望ましいです。もちろん、誰にも言いたくなければ、自分あてにメールしておくのでも大丈夫です。このメモは、事件後できるだけ早い段階で残す方が、刑事事件や民事訴訟になった場合の証拠価値が高くなります。

(『おとめ六法』より)


上谷さんによると、被害のあと、すぐには性犯罪・事件として訴え出ることを判断できなくても、できるだけ多くの証拠や情報を残すことができれば、時間が経過してからでも対処できるケースはあるといいます。

性犯罪・事件として訴えるためにはどんな証拠が必要か、いざというときに分からなかったという人がほとんどです。被害を裏づけるモノや情報をどれだけ残せるかによって、その後にできることが変わってきます。できることの選択肢をたくさん持ってもらうために、証拠となるモノを一つでも多く得るために具体的にどのようなことをすればいいか知っておいてもらいたいです。
被害を打ち明けられたら できること


さらに、『おとめ六法』には、性被害に遭った本人だけではなく、被害を打ち明けられた人ができることや、どう考えて行動すればいいのか、「親」「友だち」「交際相手」それぞれの視点からポイントが書かれています。

自分の子どもから性被害を打ち明けられたら…
絶対に怒らないことが重要です。子どもは勇気を出して親に打ち明けています。「そんな短いスカート履いているから」等、子どもに落ち度があるような言い方はやめましょう。(中略)まずは「よく話してくれたね」とねぎらい、「あなたはなにも悪くないのだから、安心して話してね」と言ってあげてください。(中略)親が動揺する場合もあります。その場合でも、(中略)子どもが嘘(うそ)をついていると決めつけるようなことは絶対言わず、子どもの言い分に耳を傾けてください。

友だちから性被害を打ち明けられたら…
友だちのペースに合わせて、話をよく聞いてあげてください。心配かもしれませんが、事件のことを根堀り葉堀り聞かないでください。(中略)正義感が先走り、「警察に行くべきだ」「泣き寝入りすると、犯人はまた別の人を襲う」「示談などもってのほか。裁判で徹底的に闘って」などの意見を述べるのは控えましょう。深く傷ついていて、警察に行くことも考えられない人もいます、また、自己肯定感が低下していたり、世の中の人がすべて敵に見えたりしている場合もあります。「私は味方だよ」と伝え、友達の気持ちに寄り添ってください。

交際相手から性被害を打ち明けられたら…
キスや性交渉に拒絶反応を示すこともありますが、それは性被害に遭った人に多く見られる症状です。「自分は加害者とは違う」「守ってあげたいのに、なぜ自分を受け入れないのか」などと責めないでください。カウンセリングに付き添ったり、ゆっくりと話を聞いたりして、気持ちに寄り添うようにしましょう。

(『おとめ六法』より)


岸本さんは、この本を通して性被害を打ち明けられたときの正しい対応を知ってもらうことで、被害に遭った人の落ち度を責める“セカンドレイプ(二次被害)”を減らしたいと考えています。

被害を打ち明けられた際にどのように対処するかは、被害者の心身の回復に少なからず影響を与えます。「どうしてそんな場所に行ったのか」「あなたにも隙があったのではないか」などといった発言が、被害者に助けを求めることをためらわせたり、被害後のつらさから立ち直ることを遅らせたりしてしまいます。しかし、現状は、こういう対応をしてしまう人のほうが多いと感じています。打ち明けられた側が被害者の落ち度を指摘したり、責めたりしてしまうのは、「(被害者が)これから二度と被害に遭うことがないように」との願いからだと思いますが、そのことで被害者は自分を追いつめ、さらに深い心の傷を負ってしまいます。性暴力はそれ自体が許されざる卑劣な行為で、被害に遭うことは、決して被害者自身のせいではないのです。そのことを多くの人に知ってもらいたいと切に願います。
“みんなを取り残さない”ために まずは“おとめ”から

(2020年5月28日出版『おとめ六法』)

日常生活でさまざまな“トラブル”に巻き込まれることや、性犯罪の被害に遭うことは、決して 女性だけの問題ではありません。なぜ『“おとめ”六法』なのか。上谷さんと岸本さんは、いまの日本社会で女性たちが置かれている立場に寄り添う視点を持つことが、誰も取り残さない社会を作る一歩になるといいます。

男性やLGBTQ+の人たちにとっては、本で紹介されている事例を自分の身に置き換えてみて、“自分も同じような目に遭っている”と感じる問題と、“全く知らなかった”という問題があるのではないでしょうか。いまの日本では、女性には各ライフステージで必ず何かあると言っていいほど、トラブルに遭遇するリスクが、男性に比べて多いと思います。例えば、女性たちは、学生のときにデートDVや痴漢の被害、就職してからはセクハラ、結婚後にはDV被害や離婚したい気持ちがあっても、十分な収入がなくてすぐには動けない…など。世の中で女性が遭遇しうる、それぞれのトラブルの事例について知り、女性以外の人たちも自分だったらどうするか、ひとりひとりがご自身なりの対応を考えるきっかけにしてほしいです。みんなが考え始める中で、女性のみならず男性もLGBTQ+の方々も、生きづらさを感じることの少ない社会にしていけると思います。

男性もLGBTQ+の人たちも、現代の日本社会の中で生きづらさを抱え、中には、「自分たちの問題が置き去りにされている」と感じる人がいると思います。ですが私は、女性を取りまく生きづらさと、男性やLGBTQ+の人たちの感じている生きづらさは切り離せない関係にあると考えています。男性が中心となって作ってきた社会行動や規範意識が、あらゆる人たちに生きづらさをもたらしている側面があるのではないでしょうか。まずは女性が直面している理不尽さを打ち破っていくことが、すべての人にとって生きやすい社会を作ることにつながると思います。



性犯罪被害、パワハラや詐欺被害といったトラブルについても踏み込んだこの書籍。合計65枚のイラストをすべて手がけたのは イラストレーター、Cahoさんです。描きおろす中で、特に考えたのは、「本を読む人のトラウマになったり、読んでいるうちに怖くなったりしないよう、テーマに沿いながらも柔らかい印象が持てるようなイラストを心がけること」だったといいます。

挿絵の依頼を受けたときは、女性が日々の暮らしで巻き込まれうるトラブルについて、私自身知らなかったことも多く、とても驚きました。たいへん勉強になりましたし、また、自分や大切な人を守ってくれる“お守り”になるような本だと感じました。近寄りがたいテーマかもしれませんが、もっと早く知っておけばよかったと思える内容がたくさんつまっています。少しでも多くの方に手に取っていただけるよう、イラストは一つ一つ、出版社の方々と悩みながら描きました。 いつ、どんなときに何が起こっても不思議じゃない。そんな世のなかで 勇気をもって生きる“お守り”として みんなに読んでほしいと思います。


みなさんは、『おとめ六法』について どう思いますか。記事への感想や意見を、下の「コメントする」か、 ご意見募集ページから お寄せください。
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2020年5月29日
【性暴力を考えるvol.82】新型コロナでネット利用増… 子どもの性犯罪被害に注意を
新型コロナウイルスの影響で世界各国で休校措置や外出自粛が続く中、ユニセフ=国連児童基金は、子どもたちがオンラインの性犯罪被害に巻き込まれる危険性が高まっていると指摘しています。SNSなどを通じて知り合った人物から、やりとりを重ねる中で親しさを装って ことば巧みに性的な画像を送るよう脅迫される「グルーミング」といわれる行為の被害に遭うことなどが懸念されています。

ユニセフ=国連児童基金は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて世界各国で休校措置が続く中、子どもたちがインターネットを使う時間が長くなっていることで、オンライン上の性犯罪被害に巻き込まれる危険性が高まっていると指摘しています。

ユニセフの東アジア・太平洋地域事務所で子どもの保護に関するアドバイザーを務めるレイチェル・ハービーさんはNHKのインタビューに対し、「友達と連絡をとったり授業を受けたりするため、子どもたちはかつてないほどインターネットを長時間利用している。どれも大切なことだが、危険にさらされるリスクも高まっている」と警鐘を鳴らしています。

懸念されるのは、子どもがSNSなどを通じて知り合った人物とやりとりを続ける中で、信頼関係を築き、途中から性的な画像を送るよう脅迫される「グルーミング」といわれる行為の被害にあうことや、異性の友人などと性的な画像を送り合うなかでそれが公開される、といった事例だということです。

また、特に東南アジアなどの貧困地域では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で仕事を失うなど、経済的に困窮した保護者が、自分の子どもに性的な行為をさせ、その画像を売って資金を得ようとする被害などが増える恐れがあると警戒感を示しました。

さらに、外出制限や経済的な不安によるストレスにさらされる中で、家族や親戚、知り合いなど身近にいる人たちからも性暴力を受ける危険性が高まっていると指摘しています。

各国の捜査機関も子どもをターゲットした性犯罪の増加に警戒を強めていて、アメリカのFBI=連邦捜査局やユーロポール=ヨーロッパ刑事警察機構などは、被害の兆候があればただちに通報するよう呼びかけ、取り締まりを強化しています。

オーストラリアでは、新型コロナウイルスの感染拡大で外出制限が続くなか、インターネットを使う時間が長くなっている子どもたちがオンライン上の性犯罪に巻き込まれることへの警戒が強まっています。

オーストラリア連邦警察の関連団体によりますと、オンライン上の性犯罪は、これまでにさまざまな手口が確認されていて、中には加害者が偽のアカウントを作って、子どものふりをしたり共通の趣味があるようにみせかけたりして、ソーシャルメディアや掲示板で子どもに接触してくるということです。とりわけ匿名でやりとりができるチャットは子どもが狙われやすく、オンラインゲームのチャット機能が利用されることも多いと指摘しています。

実際にあった事例では、女性スカウトを装った人物が、ソーシャルメディアを通じて女の子に接触し、撮影のためにモデルを探していると偽って、写真を送るように求めてきたということです。女の子が応じると、確認のためにもっと写真がほしいとして、わいせつな画像も送るように巧みに誘導してきたということです。怖くなった女の子は母親に相談し、警察に通報したことから被害は未然に防ぐことができました。

団体では、知らない人から接触があっても決して応じず、不安を感じる場合は、信頼できる大人に相談するよう子どもたちに呼びかけています。

(報道局国際部 記者 佐藤真莉子、シドニー支局長 小宮理沙)


もし あなたが、家族や身近な人が 性的にいやな思いをしたら…
各都道府県の相談窓口「性暴力ワンストップ支援センター」について、詳しくはこちらから↓
https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0006/topic038.html

子どもたちを狙ったオンラインの性犯罪について、どう思いますか? 記事への感想や、あなたが不安に感じていることなどがあれば、下の「コメントする」か、 ご意見募集ページから お寄せください。
#性暴力#MeToo#Withyou#新型コロナウイルス
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2020年5月22日
【性暴力を考えるvol.81】あなたの身近にも・・・ 新型コロナで高まるリスク
「新型コロナウイルスによって社会が変化するなか、性暴力被害が起きるリスクが高まっている。どんな被害が起きているのか、どんな被害が起きる可能性があるのか、多くの人に知ってほしい。」

今月、性暴力の被害者を支援する「性暴力救援センター 日赤なごや なごみ」(名古屋市)から、私たちのもとに声が寄せられました。すでにセンターには、「生活が苦しくなるなか、お金をちらつかせて誘われ、性行為を求められた」という相談があったと言います。さらに、外出自粛で“密室”となりがちな家庭内での性虐待や、SNSでつながった人からの性被害など、子どもたちが性暴力に巻き込まれることも懸念されています。

どんなリスクがあるのか、身近な人が被害に遭ったときに、どう気づき、どう対応すればいいのか、「日赤なごや なごみ」に話を聞きました。    

(報道局社会番組部 ディレクター 村山かおる)



(性暴力救援センター 日赤なごや なごみ 2019年6月撮影 ※現在は、マスク着用やスタッフの人数を減らすなど感染予防対策をして業務にあたっています)

声を寄せてくれた名古屋市にある「性暴力救援センター 日赤なごや なごみ」。緊急事態宣言の発令以降も、感染予防対策を徹底したうえで、性暴力被害の専門知識を学んだ看護師、支援員、ソーシャルワーカー、医師たちが、24時間体制で相談に対応してきました。4月にセンター長に就任した医師の山田浩史さんは、「性暴力被害者の支援を絶やしてはいけない」という強い信念をもって、対応を続けてきたと話します。

山田医師
「阪神淡路大震災や東日本大震災でもそうでしたが、不安やストレスの矛先が、子どもや女性たちなど“弱い人たち”に向かいがちな災害時は、性暴力の被害もたくさん報告されます。今の新型コロナウイルスの感染拡大は、災害後の状況に非常に近く、よりしっかりと相談態勢を整えておく必要があると思っています。」



(日赤なごや なごみ センター長 山田浩史医師)

“生活困窮につけこむ”性暴力
実際に、新型コロナウイルスの感染拡大による経済状況の悪化が懸念され始めた今月から、相談内容に変化が見えはじめたと言います。“生活困窮につけこんで性暴力に及ぶ被害”が出ているそうです。

SNSで知り合った男性から、「お金を渡すので、どこかへ出かけよう」と誘われたという女性。アルバイトの収入が途絶え、日々の食費もままならないような状況に追い込まれていた女性は、男性に会いました。そして突然、性行為を強いられたといいます。女性はなんとかその場から逃げ出して警察に相談。警察からなごみに連絡があり、避妊の処置や性感染症検査のため、女性を産婦人科の受診につなげました。

山田医師
「これは、生活困窮という弱みにつけこむ、許されない性暴力です。今後、経済状況が悪化すれば、こうした相談がますます増えていくのではないかと懸念しています」




“密室化”する家庭内での性暴力
さらに、在宅勤務の推奨や休校措置が続き、ストレスや不安がたまるなか、家庭内の性暴力被害のリスクも高まっていると言います。しかし実際、緊急事態宣言が全国に発令された4月、なごみに寄せられた相談件数は、電話相談が85件、来所面談が25件。1~3月と比べると、半分以下に減ったそうです。それでも山田医師は、「家庭内での被害は、より深刻になっているだろう」と話します。

山田医師
「外出自粛や経済状況の悪化に伴うストレスなどにより、配偶者からの暴力、DV(ドメスティック・バイオレンス)が増えていると最近報じられていますが、DVには性暴力の被害も含まれます。しかし、夫婦や恋人の間で性暴力が起きるということは社会でもあまり認識されておらず、当事者たちも性暴力だととらえづらいため、被害者からの相談件数は実際の被害より少ないと考えられます。」


内閣府は、以下のような行為が「性的なDV」に該当するとした上で、夫婦間の性交であっても、刑法第177条の強制性交等罪に当たる場合があるとしています。


内閣府 男女共同参画局サイトより ※NHKサイトを離れます)

山田医師によると、家庭内では、親から子どもへの性虐待のリスクも高まっているそうです。各家庭が、近所や学校、支援機関などと つながりづらい“閉ざされた密室”になっていると考えています。

山田医師
「自宅待機をするということは、加害者とともに過ごす時間が長くなることです。加害者から常に監視されていることで、被害者がSOSを出すことが難しい状況になっていることが想像できます。また、DVのある家庭では、配偶者も子どもも被害に遭っていることも多く、より外に出づらくなってしまっていると思われます。

また、子どもの場合、学校の先生やスクールカウンセラーにぽろっと打ち明けたことで性虐待が発覚し、被害児童の保護につながるというケースが、なごみでもよくあります。しかし、休校が続いている間はそれも無理です。」


子どもも注意 SNSで知り合った人からの性暴力


さらに、なごみでは、子どもたちが巻き込まれやすい被害として、SNSで知り合った人からの性暴力も懸念されると考えています。

山田医師
「休校が続く中、スマホでSNSを利用する時間が増えた子どもが多いのではないかと思います。過去に、“裸や下着姿の写真を送って”と言われてつい送ってしまった、その写真を使って脅されたという被害がありました。外出自粛中にSNSでやりとりしていた相手と、“緊急事態宣言も解除されたし、一度会おうよ”と誘われ、性暴力の被害に遭うことも出てくるのではないかと心配です。」


子どもの性被害にどう気づく?
しかし、子どもたちは自分がされていることが“性暴力”だとわからなかったり、親に心配をかけたくなくて隠したりすることもあります。親や身近にいる大人たちは、子どもの性被害にどう気づけばいいのでしょうか。なごみでは、次のような兆候があるときには注意するよう、呼びかけています。



山田医師
「多くの県で緊急事態宣言は解除されていますが、人と人との接触をなるべく控える生活はまだしばらく続きそうです。じっくりお互いの話を聞く時間を取ることは難しいかもしれませんが、子どもや身近な人が性暴力で苦しんでいないか、気にかけてほしいです。そして、少しでも気になることがあれば、全国のワンストップ支援センターなどに相談するよう お願いしたいです。」


※あなたの地域の性暴力ワンストップ支援センターはこちらから
※どんなことが性暴力か、子どもも大人も学べる動画はこちらから

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