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2020年9月11日

集まれなくても開催できる!Withコロナ時代のイベントとは【地域発!のヒント】

新型コロナウイルスの影響でイベントの中止が相次ぐ中、デジタルの力を利用することでイベントの開催や集客ができないか、各地で模索が始まっています。
創意工夫を凝らせば、オンラインならではの新しい魅力や価値が生み出せるのではないか? 北海道の「オホーツク網走マラソン」と大阪の「愛染まつり」の事例から、Withコロナ時代の新たなイベントの姿を考えます。
スマートフォンのGPS機能を利用して“webマラソン”
北海道網走市で6年前に始まった「オホーツク網走マラソン」。知名度の高い網走刑務所がスタート地点、特産のブランド和牛の焼き肉を食べることができる給水所など、ユニークな取り組みが人気を集め、3000人が参加するイベントにまで成長しました。



新型コロナウイルスの影響で全国各地のマラソン大会が中止されるなか、オホーツク網走マラソンも中止に追い込まれました。しかし、網走市では実際にコースを走る「リアル」の大会を中止する代わりに、オンライン上でタイムを測定する「webマラソン」の開催を決めたのです。
7月1日から始まった大会のエントリーの受け付けは好調で、定員3000人のエントリー枠に初日だけで1900人が応募し、1週間で完売する人気ぶりだったことから、網走市は8日に追加の枠を300人分作るなど対応に追われました。
(※現在、エントリーの受付は終了しています。)
オンライン上でマラソン大会を実施する「webマラソン」では、専用のアプリをスマートフォンにダウンロードすることが必要です。スマートフォンのGPS機能を使って、走った距離と時間を測定し、その合計が42.195キロに達すればゴールになる仕組みです。



参加ランナーは網走市に集まるのではなく、それぞれが住む地域で走ります。大会期間の2週間の中で、好きな時に好きな場所で好きなだけ走れるのがwebマラソンの特徴です。 オンライン上でマラソン大会を行うという初めての試み、当初は網走市もランナーに受け入れられるか不安に思っていましたが、いざ告知を始めると評判は上々でした。

網走市 水谷洋一市長
「単にやめるだけでは、この大会を来年以降は選んでもらえないのではないかという危機感がありました。やめるのであれば何か違うことをやろうと考えていた」


webマラソンでも経済効果を
今回の大会では“特産品のPR”でもひと工夫を加えています。定員3000人のうち100人限定の特別枠として設けたのが「網走応援エントリー」です。大会の特徴の1つである“特産品を食べることができる給水所”の代わりに取り入れました。エントリー料は1万5000円で、特産の毛ガニ2杯か、ブランド和牛650グラムがもらえます。
特産品は網走市が地元企業から購入し、新型コロナウイルスの影響で落ち込む市内に経済効果を行き渡らせることを狙っています。この試みを地元の水産会社も歓迎しています。

水産会社経営 牛渡貴士さん
「私たちの会社だけではなくて、商品を使ってくれる飲食店も含めて新型コロナウイルスの影響が大きいです。こうした取り組みで応援してもらえることは非常にありがたいですし、声をかけてもらえたこと自体がうれしい」


大会の中止というピンチから始まった新しい取り組みについて、網走市は今後の観光のあり方を変える試金石になると考えています。水谷市長は来年以降のマラソン大会をリアルとwebの両方で行うことも含めて検討したいとしています。

網走市 水谷洋一市長
「ファンを大きく広げるチャンスになるのではないかと思っています。来年はもちろんリアルの大会をやりたいし、やります。一方でwebマラソンでも参加できるようになれば、網走マラソンのマーケットが広がるのではないかと思っています。ぜひ今回、この試みを成功させたいと思います」


オホーツク網走マラソンは9月14日の13時から開催される予定です。

動画のライブ配信で夏祭りを
今年は各地の夏祭りも、中止や規模の縮小を迫られました。そんな中、お寺が祭りの動画をネットで配信するかたちで開催されたのが、大阪市天王寺区にある愛染堂勝鬘院(あいぜんどう しょうまんいん)で行われた「愛染まつり」でした。 無病息災を願って江戸時代に始まった「愛染まつり」。毎年6月末から3日間、普段は公開していない本尊が特別に開帳されます。また、祭りをPRする愛染娘を載せた「宝恵かご行列」が行われたり、境内の舞台では奉納の舞踊や演芸も披露されます。 長年祭りを担当してきた寺の住職の山岡武明さんは、当初は中止も検討しましたが、催しをオンラインでライブ配信することに決めたと話します。
愛染堂 住職 山岡武明さん
「毎年いろいろ、つらいことも災害もあったりしますけど、それでもずっと繰り返しやってきました。前向いてやっていかなあかん」


毎年恒例の舞踊や演芸はオンラインでの開催に向けて事前に収録することにしました。専門の業者に依頼して、背景に映像を合成できる特殊な撮影を実施。初めての挑戦に戸惑いながらも、参加者たちからは“祭りを成功させたい”という気持ちが表れていました。



摂州地車囃子かずら会長 得田 昌伸さん
「楽しかったです。いつもと違う感じで。悪い空気を追い払いたいと頑張っています」


愛染堂 住職 山岡武明さん
「みんなが本気で、演者さんたちも心なしかわくわくしているような感じです。やっぱり楽しんでできるっていうところが大事やと思います」

オンラインであっても祭りを楽しんでもらいたいという気持ちに変わりはありません。

「オンライン愛染まつり」開催当日の様子は・・・?
迎えた祭りの初日。去年は5万人が訪れた境内は閑散としていました。新型コロナ対策のルールにのっとり、境内は御朱印やお守りの授与所を設けるにとどめています。 一方、寺のホームページでは午前10時からライブ配信がスタート。進行役は祭りのシンボルである「愛染娘」です。



事前に収録した舞踊や演芸も、オンラインでお披露目です。愛染娘を乗せた「宝恵かご行列」は、生放送で配信されました。



初日のライブ配信は愛染娘の座談会なども交えて、午後5時まで行われました。祭り開催期間の6月30日から7月2日までの3日間の合計では、21時間にも及んだ長いライブ配信。住職の山岡武明さんは、新型コロナで大変な今だからこそ、新しいやり方で伝統を守ろうとしています。


愛染堂 住職 山岡武明さん
「コロナに負けないぞって気持ちにみんなで奮い立って、楽しいよって言っていけるよう 盛り上がれたらと。そうすることが夏祭りのだいご味だと思います。いつもの2倍疲れました」


「オホーツクwebマラソン」も「愛染まつり」も、これまでとは全く違う準備を行うことで、新しい形のイベントを築き上げています。ことし、遠隔地からも参加できる仕組みを作ったことが、来年以降も、参加者をこれまで以上に広げられる新たな可能性につながっていくのかもしれません。

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。