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2020年8月4日

劇団四季“ウィズコロナ経営”への思い 吉田社長インタビュー【再起のヒント②】

長期間の公演中止を経て、7月中旬に公演を再開した劇団四季。新型コロナウイルスへの感染リスクを減らすため、あらゆる対策を取ってきましたが、再開直後、所属俳優の一人に感染が判明しました。この俳優は、公演に出演してはいませんでしたが、改めて演劇と感染対策の両立の難しさが明らかになりました。人が集まること自体がリスクとなる今、「演劇を続ける意味」はどこにあるのか?劇団四季社長の吉田智誉樹(よしだ・ちよき)さんに、武田真一キャスターが聞きました。

演劇が持つ感染リスクとどう向き合うか?
武田:公演を再開されたすぐ後に、舞台には出演されていない稽古中の俳優さんへの感染が確認されましたが、改めてどう受け止めていらっしゃいますか。

劇団四季 吉田智誉樹社長(以下 吉田社長): これだけ国内の感染者が増え、コロナウイルスが市中にまん延している状況下です。劇団四季の所属員は現在1,400人おりますので、いつかこういう日が来ると覚悟はしていました。ただ、再開に向けた準備の段階から、俳優をグループに分けて稽古を進めるなど、感染者が出た場合にできるだけ影響範囲を小さくする対策を取ってきました。今回の濃厚接触者は、感染者と同じ、舞台に出演していないグループの中にしか出ていませんので、対策がある程度、功を奏していると思います。

舞台上の俳優たちは、マスクなしで演技せざるを得ません。そういう性質の仕事なので、唾液によるPCR検査を月1回受けています。急なキャストチェンジを除き、該当月に出演の可能性がある者全員が対象です。今回の感染もこの定期検査の中から見つかったので、システムそのものは機能したと思っています。

武田:これまでそういう感染防止対策をとってきて、にも関わらず、感染者が出てしまった。それを受けて、対応を変えていくことはお考えなのでしょうか。

吉田社長:劇団内で過ごす間は、かなりの感染防止対策を行っていますが、所属員にはプライベートな時間もあります。オフの時も劇団にいる時と同様に、感染防止に気を配った行動をするように、何度も注意喚起をし続けるしかないと思います。

一定のコントロール下にある組織の中での時間に比べ、オフではどうしても気が緩みます。例えば「絶対に外食するな」とか「食事は必ず一人でとりなさい」と指示することもできますが、個人の時間を完全に制約してよいのかという議論もあります。難しいところですが、感染した場合のリスクを説明して、個人個人の強い自覚を促し続けるということですね。

劇団四季 吉田智誉樹社長

武田:再開に向けた社内会議の中で、「舞台上でマスクをつけない俳優たちには、やはり感染のリスクがある。そのリスクを冒して芝居をしてもらう覚悟を求めるのか?」という問題提起があったとのことですが、その言葉を突きつけられた時は、どういう思いでいらっしゃいましたか?

吉田社長:われわれの仕事の性格上、どうしても避けられない問題を突きつけられたという感じですね。ただ、問題提起をしてくれたスタッフ(演出部:坂田加奈子)はその直後に、「ほとんどの俳優は、どうしても舞台に出たいと考えているが」と発言しているんです。俳優出身の彼女自身も、彼らが舞台を希求する強い気持ちを十分にわかった上で、「こんな状況だから、再度全員にアナウンスした方がよいのでは」と提起したんですね。同じ席で私からも担当者に、俳優全員に直接話して意思確認のヒアリングをするよう指示をしました。舞台を続けなければ組織は維持できないし、待っているお客様もいらっしゃいます。この厳しい状況への折り合いのつけ方が語られた場面だったと記憶しています。

武田:ヒアリングされた中で、印象に残っている言葉や、心に響くものはありましたか。

吉田社長:「舞台が好きだ」というと単純過ぎるかもしれませんが、ほとんどの俳優が、この仕事に懸けているんですよね、自分の人生を。だから、どんなにリスクがあっても、やはり「自分はここで生きる」という強い決意を示してくれました。私たちの仕事の基盤は俳優です。彼らの決意と覚悟に本当に感謝しています。

武田:皆さんの生きる糧でもあり、まさに生きる目的でもある舞台が、一方では、お客さんも含めて、感染を広めてしまう場にもなり得ます。俳優やスタッフの皆さんの葛藤というのは、どういうものがあったのでしょうか。

吉田社長:私自身にもありますし、俳優や支えるスタッフたちの中にも当然葛藤はあると思います。ただ、「演劇という芸術そのものが否定されたわけじゃない」ということは、みんな共通に信じていると思うんです。コロナがまん延する今の時代との相性がよくないだけで、存在そのものを否定されたわけじゃない。どうにかして生きていける道を探していかなくてはならないし、いけるんだという思いですね。今われわれが進むべき道は、細かい感染対策や定期的な検査、陽性者が発生した時のマニュアルを充実させ、しっかりと守り、お客様の安心感を醸成することだと思うんです。苦労も多いですが、こういう状況になっている以上は、1つ1つ決められた通りにしっかりやっていくということしかないと思います。

リスクがある中で演劇を届ける意味とは?
武田:今回、リスクを完全にゼロにするのは難しいと改めてわかりましたが、そうした中でも、演劇を届ける意味はどういうことだとお考えになりましたか。

吉田社長:公演再開後、私もいくつかの舞台を見て回ったのですが、一番印象的だったのは、客席で舞台を楽しんでいらっしゃるお客様の様子です。舞台を提供ができなかった間、長く待って下さった方々が満を持していらっしゃって、作品に没入して下さり、終わったあとは涙を流してお帰りになるという光景がありました。それを見た時に、「こういう気持ちになることが、人生ではやはり必要なんじゃないか。それを届けるのがわれわれの仕事なのだから、やはり、われわれは否定されたわけじゃない」と思いましたね。それが再開を決めた大きな根拠でもあるし、われわれ自身のよりどころでもありますね。

劇団四季は演劇やミュージカルを届けていますが、オーケストラやバレエなど、お客様の目の前でパフォーマンスをして見せる芸術はたくさんあります。これに従事している方々全員が、今、われわれと同じような苦境に陥っている。どんな芸術にも感動の瞬間があり、お客様とよろこびを分かち合っていると思うんです。そしてそれは、人間の生活に絶対必要なものです。特にコロナでソーシャルディスタンスということが言われ、人々が離れなくてはいけないわけですが、離れただけの人生はきっと味気ないものだと思うんです。そういう時にこそ、夢見る世界、想像力を羽ばたかせる世界では、人々が固く団結していて、友情や愛情で話が進んでいくような物語やミュージカルに、一時期、魂を遊ばせていただくことは、とても意味があるし、役に立つことだと思うんですよね。だから、われわれは仕事を続けなければいけないと思っています。

武田:とはいえ、今、人々の楽しみ方は多様になっています。演劇だけではなく、映画も、会員制のテレビチャンネルも、ネットの動画もあります。人々が楽しむものがさまざまある中で、「演劇、舞台で表現することの価値」は、どうとらえていらっしゃるでしょうか。

吉田社長:映像やウェブ上のコンテンツにも魅力的なものがたくさんありますが、われわれの仕事と決定的に違うのはやはり「生」だということですね。目の前にいて同じ空気を吸っている俳優が、心を、感情を動かしていく。お客様は同じ場所で、彼らの心に共感して物語の中に没入していくということ。これはなかなか2次元のメディアでは、難しいんじゃないかと思いますね。コロナの時代では問題とされていますが、「生」が演劇やライブの芸術の強みだと思いますし、ウェブや映画や映像と対抗できる唯一の価値だと思います。



「観客あっての芸術」である演劇をどう守るのか?
武田:劇団四季の理念は「良質な舞台芸術を万人に届ける。それによって団員の皆さんがちゃんと食べていくこと」だとうかがっています。今の状況において、その理念の中で、これは守っていくべきだ、ここは変えていけるんじゃないかというのは、それぞれどういう点でしょうか。

吉田社長:守っていきたいのは、創設者の浅利慶太が標ぼうした「人生は生きるに値する」というメッセージを伝えていくことです。人生賛歌、人生は素晴らしいということを、ご覧になるお客さんの心の中に届けられる作品を選んで上演し続けていくことは変わらないと思います。それによってお客様に歩み寄り、チケットを買っていただくことで得られる収入で劇団を経営していく。ここも変えるつもりありません。

ただ、浅利は「芝居だけで生きる」ということを言っていたのですが、こういう状況になると「芝居だけ」というのは難しくなってくるかもしれません。演劇に軸足を置いて経営をしていくことは変わらないけれど、収益構造をチケット代に極端に頼っていた形からは脱却し、新しい仕組みを作る努力をしなくてはいけないかもしれない。先ほどの話と矛盾するかもしれませんが、劇場に来なくてもウェブ上で、「生」の感覚を楽しめるような方法がないかとか、演劇をビジネスの中で生かして頂く方法はないかとか、いろんなことを今考えています。

もう一つは、演劇が「お客様あっての芸術」だという「原点」でしょうか。芸術にはいろんな形があって、例えば小説や絵画なら、原稿やキャンバスなど実体があります。ところが演劇は、同じ時間を共有し、終わったあとは何もなくなって消えてしまうという、実体のない芸術であるという点ですね。こういう芸術を成立させるためには、方法がどうかを問わず、その芸術を味わう人たちが一緒に集まらなくてはいけない。つまり、お客様がいなければ演劇は成立しないんです。このような状況ではありますが、お客様と共有する時間が演劇そのものだということは、変えようがないんですね。

武田:「観客あっての芸術」というと、やはり観客が集まってこられないとしょうがないということですよね。

吉田社長:そうです。ですから、今回のコロナウイルスの問題は、「お客様が集まらなければ成立しない演劇という芸術」の特殊な構造の急所をついてきたというところですね。演劇が成立する「1丁目1番地」を襲われたということでしょうか。そこが非常に深刻ですね。

今までわれわれは、「演劇で生活する」という演劇におけるプロフェッショナリズム、これの確立のために努力をしてきました。しかし、今度のコロナの問題はこういった努力とは全然違う次元のところからやってきた。全く想像もしていなかったし、われわれからすると、背中から刃物を突きつけられたような感じですね。コロナの行く末は見えませんが、何とかして終息まで生き残るか、状況と折り合いをつけるしかないと思っています。

武田:もし、創設者の浅利さんがご存命だったら、今こういう状況下で苦しんでいる皆さんに、何と言われると思いますか?

吉田社長:今の立場になってから、1つ1つの決断に「浅利慶太だったらどう判断するだろう」と考えることはよくあります。今回の事態は、今までの引き出しの中にはなかったことです。ただ、おそらく彼は、何としてもこの組織を残そうと思ったのではないか。アプローチは違うかもしれないけれど、「とにかくこの組織を残す」という気持ちは、勝手ですが、浅利さんと共有できているような気がします。もちろん1,000回以上の公演が中止になって、売り上げも相当額減っています。厳しい状況には変わりないですが、劇団という「理念で集まった人たちの集団」の特徴を生かし、苦しみはできるだけ大勢で分かち合って、コロナの嵐が過ぎるのを待つということでしょうね。衛生対策を充実させ、お客様が安心できる環境を整える仕事を1つ1つ積み重ね、夜が明ける日を待つ。そこまでなんとか生き残るということじゃないかと思うんですよね。浅利さんほど、「演劇」を愛していた人はいないと思います。おそらく彼が生きていても、同じことを考えたんじゃないかと思います。

座席数を減らしてチケットを販売

再起のスタート地点「いばらの道でも続ける」
武田:今、劇団再生の道筋の中のどの位置にいるとお感じになっていますか。

吉田社長:スタート地点でしょうね。公演を再開した7月14日がちょうど創立記念日だったんですよ。今の状況は、浅利慶太たちが67年前に劇団を作ったときのような 「これから劇団を立ち上げるんだ」という思いでないとやっていけないぐらいの大きな転機だと思うんです。その象徴が創立記念日の7月14日からの再開だったと思います。ですから、ここから始まるんです。毎日毎日、衛生対策があり、俳優の感染リスクとの闘いがあります。コロナが終息するまでは続きますが、向き合っていかざるを得ないですね。

武田:公演を再開して、観客も客席は半分とはいえ、入るようにはなっていますけれども、まだまだ。

吉田社長:再び感染者が出れば、さらにある程度の期間を中止することも必要になってくるでしょうし、体調不良者が出た場合も、「ちょっと無理して頑張れ」ということはもう絶対に言えない。どんな体調不良でも、すぐキャストチェンジに直結します。代わりに出演できる者がいればいいですが、いないケースも出てくると思います。そうしたら公演は続けられない。公演を休まなくてはいけないリスクは、これまでと違って格段に上がっています。それでも、待っているお客様のために舞台を用意し続けていかねばならない。再開にあたっては、組織を再起動するような意識を持っています。新型コロナウイルスには、それほど強い決意がないと勝てないと思います。

武田:ブロードウェイのようにしばらくやらない決断をしたところもありますが、それでも劇団四季は続けるというのは、どうしてなのでしょうか?

吉田社長:ブロードウェイやロンドンは1年間ほぼ仕事が止まりますよね。どんな影響があるかはまだわかりませんけれど、相当厳しい事態が待ち受けていると思います。もし1年以上仕事をしなくなってしまったら、おそらく一番影響がでるのは俳優でしょう。俳優には、歌唱やダンスなど、特殊な能力を持った人たちが多い。彼らの技術は、本当に長い時間、ほぼ人生そのものをかけて培われたものです。でも、この力は休むと簡単に失われてしまうんです。技術は落ちますし、戻そうと思ったら相当な努力と時間が要ります。何より仕事がないですから、生活もできない。そうすると廃業することになる。こうなってしまうと、1~2年後に「コロナが収まりましたので、演劇の皆さん、どうぞ仕事を再開して下さい」と言われても無理ですね。失ってしまうんですよ、全てを。失われたら戻ってこないと思うんです。だから、苦しい「いばらの道」ですけれど、来るべき再開の日に備えるためには、やはりある程度のボリュームでやり続けなければいけない

本番って、稽古とは違うんですよね。サッカーなどでも、「試合勘がないから負けた」という話が出たりしますが、それと同じで、日々、本番の舞台を積んでいることの経験値は大きいんですよね。これが1年も失われてしまったら、どうでしょうか。私は相当厳しくなってしまうと思いますね。

よく浅利さんが、「ダンサーは1日休むと自分にわかる。2日休むと相手役にわかる。そして、3日休むとお客さんにわかる。だから、ちゃんと毎日レッスンするんだぞ」と言っていたんです。それが3日ではなくて1年になってしまったら、到底元には戻れない。俳優たちのスキルをしっかりと今の状態で維持するためにも、必ず仕事は必要です。これは舞台を提供する側からの、仕事を継続する理由の1つです。

もう1つは、お客様です。今でも一定の方々が、劇団四季の舞台を待って下さっている。こういう方々に作品が全く提供できなくなったら、舞台を見る習慣そのものを失うか、更に縮小してしまう可能性がある。こちらも、もう戻ってこなくなってしまう。だから続けていく必要があるんです、いばらの道でもね。



社会の状況で変わる作品からのメッセージ
武田:公演再開後に『マンマ・ミーア!』を拝見したのですが、肩の力を抜いて楽しめる演目で、コロナや災害でふさぎがちな気持ちが一瞬のうちに晴れました。また、今の状況下で見ると、家族の絆だったり、「一人一人が自立して前を向いて生きていくんだ」というメッセージだったり、深いものを感じたんですね。ロングランを重ねてきた劇団の皆さんにとっても、さまざまな演目の中で、テーマや意味を再発見されるようなことはありますか?

吉田社長:大いにあると思います。演劇はその時代の空気を吸って生きる芸術なんですよね。ですから、お客様にその言葉がどう届くかは、社会の状況で変わってきます。例えば、『ライオンキング』の中に「日はまた昇る」というセリフがあります。いまは、それを切望する気分が社会に満ち満ちていますよね。だからお客様にも、コロナ以前とは違った響きで聞こえているはずです。それが演劇なんだと思います。そういった「時代との呼吸」も含めて、全てが演劇の喜びだと思いますし、楽しみ方だと思います。ご覧いただいた『マンマ・ミーア!』にも、現代の空気が必ず反映している。2020年の『マンマ・ミーア!』なんですね。

武田:『マンマ・ミーア!』は、通常は観客が一緒に歌ったり踊ったりする楽しみがある演目ですが、今回は「歌唱を控えてください」という案内がありました。ですがその分、俳優さんたちが本当に熱を込めて演じているように感じたのですが、吉田さんはどうお感じになっていますか?

吉田社長:全くその通りだと思いますよ。4か月近く自分たちの仕事ができなかったということが、大きく影響しているのでしょうね。スタッフたちは、テレワークなどで仕事ができましたが、俳優たちは舞台がないと何もできないんですよね。自粛期間は、自宅で自分のコンディションを整えるだけという状況が続きましたから、彼らのうつうつとした気持ちはよくわかるんです。それが舞台という場を、舞台というより「生きる場」を、再度得られて爆発したんだと思います。お感じになったエネルギーに直結しているんじゃないでしょうか。

『マンマ・ミーア!』

「演劇の灯」をともし続けるために
武田:「演劇の灯」をともし続けるために、今やらなければならないことは何だとお考えでしょうか。

吉田社長:現状では感染防止でしょうかね。もしクラスターが起きたりすれば、お客様は遠のいてしまいますし、そもそも舞台の維持もできなくなってしまいますから、とにかく感染防止、そして予防、これに尽きると思います。

それと並行して、舞台の感動を高める努力をし続けることですね。出演者のレベルを上げて、よい作品を最高のコンディションでお客様にお届けする。今までも劇団四季が続けてきたことですが、これを変わらずにキープすること。感染防止は全く初めての、想像もしていなかった種類の仕事なので、今はそちらの方にどうしても気持ちが取られていますが、バランスなんでしょうね。「感染防止に気を取られて舞台の質が下がった」と言われないようにしないといけないですね。

武田:舞台を拝見して「こんなにいいものだったら、みんな見に来るんじゃないか」と素直に思ったのですが、それだけでは、やはりなかなか難しいですね。

吉田社長:今は半分の座席しか販売できないので、普段より数は少ないんですけど、満員にならない公演もあります。できるだけ、ご自身の感染リスクを下げたいと思っておられるお客様が多いからでしょうね。お客様のそういうお気持ちを、まず冷静に受け止めて、その上でどうしたら安心して来て下さるのかを考えなくてはいけない。

武田:まさに、それが新しい劇団四季の理念になっていく。

吉田社長:コロナが終息するまでは、徹底した感染対策と、お客様に楽しんでいただける舞台作りの両方が重要な仕事になるでしょう。終息の時期がはっきり見えませんから、この形でしばらく行くしかないのかなと思います。
先ほどもお話しましたが、演劇はお客様がいて初めて成り立つ芸術であることを考えると、その条件設定の1つに感染防止が入ってきてしまった。コロナ禍では、よい舞台を作ることと、しっかりした感染対策をすることは同義に近くなってきていると思います。

武田:「人生は生きるに値する」という浅利さんの言葉は、今この状況の中で、どんなふうに吉田さんの心の中に響いていらっしゃいますか

吉田社長:改めて重みを増しています。そして、今、このメッセージを求めている人はたくさんいらっしゃると思うんですよ。特にコロナ禍では、閉塞感を感じている方が多いと思うんですね。その時に「あなたは、人生をそのまま生きていいんだよ。あなたはそのままでいいんだ」というメッセージは、より強くお客様の心に響くようになっている。お仕事で苦労をされたり、あるいは、経済的な苦境に立ち向かっている方も多いと思います。そんな時には、自分が否定されたり、自分の人生に価値が無いと思ったりする方いるかもしれない。「そんなことはないんだ」と舞台を通して伝えることが、いまほど大事な時代はないと思いますね。



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