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クロ現+
2020年7月2日
このお題はクローズアップ現代+で番組になりました

アフターコロナの企業に変化が必要なワケ サイボウズ青野社長インタビュー【働き方のヒント】

多くの企業でテレワークが導入されるなど、新型コロナウイルスの感染拡大によって、私たちの働き方が大きく変化しました。そのテレワークを10年前から導入し、ほかにも子連れ出勤や副業を認めるなど、多様な働き方をいち早く実践してきたサイボウズ。ソフトウエア開発を手がける従業員約900人の会社です。社長の青野慶久さん「新型コロナウイルスが企業にもたらした影響」について聞きました。

新型コロナウイルスは企業に何をもたらしたのか
ディレクター:
「新型コロナウイルスは企業にどのような影響をもたらしましたか」

サイボウズ社長 青野慶久さん(以下 青野さん):
「新型コロナウイルスは、企業の“場所” に影響を与えました。シンプルに場所なんです。これまで会社という場所に集まって働いていましたが、分散せざるを得なくなった。今までの仕事の形をやめざるを得なくなったということです。しかし、やめたことにより “新しい活動にチャレンジするきっかけに” なったと思います。よくテレワークが取り上げられますけど、テレワークだけではなく、営業スタイルが変わったという話も聞きます。例えば、イベントをオンラインで開催する。顧客発掘をオンライン化して、その後の営業体制もビデオ会議、メールやチャットを利用して営業をすることなどですね」

会議室いらなくない?
ディレクター:
「テレワークを経験した後に、私自身、従来の働き方を思い返して“場所に縛りつけられていた”と感じました。アフターコロナは、これまでの固定観念にとらわれない働き方が生まれてくるのでしょうか」

青野さん:
「テレワークを経験した多くの人が “テレワークの方が効率良くない?” と気付きました。会議の資料とかもそうかもしれませんね。会議の資料のコピーを当たり前にやってきたことが、オンラインになると資料をコピーして配れませんから、デジタル化した資料を事前に配布しますよね。そうすると『え、これでよくない?』となります。
会議室が3密になる、感染するというのであれば『会議室いらなくない?』みたいな。それにオンラインで、全員マイクをつけてフラットに会議した方がやりやすいみたいなことも出てきました。いらないものに気付いてしまった。新しい手段によっていらないもの、固定観念が可視化されました」

会社は実在しない“河童”である
ディレクター:
「アフターコロナは『会社のあり方』がより問われることになりそうですね」

青野さん:
「経営者は “会社のために頑張ってくれ”や“会社の方針だからこれに従ってくれ” という言い方をしてきました。けれども実際に会社なんてものは実在していません。あくまで法律上、人と定義した法人に過ぎません。つまり、河童と同じ幻想なんです。にもかかわらず、 “河童のために頑張ってくれ” “河童の方針だから” と経営者は言ってきました。しかし、“河童のために仕事をしてくれ”ということ自体が本来おかしなことなんです。何かをするときに“会社に迷惑がかかる”と表現する人がいますけれど、本当は、迷惑をかける相手はお客さまや同僚です。

実在するのは僕たち一人一人の人間ですよね。ですから本来、注目すべきは人間です。在宅勤務が定着した後に“もうコロナ終わったんだから出勤してこい”という経営者がいた時に、あれ?って思いますよね。アフターコロナで、経営者がつまらない発言をすると、みんな気付くわけです。つまり犠牲にならない働き方というのを経験すると、一人一人の人間を犠牲にしようとする人に対して疑念が湧いてくるということです。コロナ前は、会社のために出張に行って、会社のために転勤して、といわれてきたけれど、コロナを機に新しい手段を使ったことで、いらないものが見えてきたのだと思います」

(サイボウズのオフィス 2017年撮影)

「アフターコロナには、変化する会社と逆戻りする会社が出てくると思います。緊急事態宣言が出てから、“よし、在宅勤務やろう。けれど、緊急事態宣言が解除されたから在宅勤務から出社に戻してしまおう”みたいな会社です。でも、そうなると、若い人たちは転職してしまうと思います。今回、若い人たちはテレワークの良さを知ってしまった。それをやらせてくれない会社に魅力を感じません。そうすると、アフターコロナというのは、変われる会社と、変われない会社に二極化する。そして、変われない会社はまさに淘汰される。それがちょっと加速したという印象です」

アフターコロナの会社経営で求められるもの
ディレクター:
「一方で、子どもが自宅にいて仕事に集中できないなどの理由で、テレワークで働くには限界があるという人もいます。第2波の可能性がある中、仕事のやり方はどのようになっていくと、青野さんは考えますか」

青野さん:
「今回のコロナにおいてメンタル的に辛かったことに、学校が閉まったことがあります。学校と保育園が閉まったため、子育て中の社員が子どもの面倒を見ながら、在宅勤務でパフォーマンスを出さないといけないっていう。これ無理ゲーですよ。パフォーマンスを出せる訳ないですよ。だからここにケアが必要です。私も “パフォーマンス落としていいよ”と全社員に向けて発信をしました。『そのことにより人事評価を下げるようなことはしないから、子育ては大事な仕事だから』と、みんなのメンタルケアをしました。諦めた上で、出来ることやろうということです。日本人は根性論好きなので“根性があれば何とかなる”となってしまう。むしろ、これからは相互扶助の仕組みを作っていった方が良いと、私はそう思います」

(子連れ出勤の様子 2014年撮影)

ディレクター:
「どのようにすれば相互扶助の仕組みを実現できますか」

青野さん:
「大切なことは、嘘を許さない組織を作れるかどうかと考えます。そう言うと、会社でありがちなのは、監視的な事をやり始めるということです。そうではなく、僕たちは監視にはあまりコストをかけないで、その代わり『正直に話して』というモラルの向上の方に力を割いていくべきだと感じています。監視に力を入れれば入れるほど、社員の間に信じられていないという感じが出てきてしまい、本人も楽しくないです。マネジメント側も監視するためカメラを設置するなどコストがかかってしまいます。ですから、コストだけかかって何も良いことないですよ。」

「そのために重要になってくるのは組織のあり方。私は、権限のヒエラルキーと情報のヒエラルキーに分けて考えます。サイボウズの場合は社長・本部長がいるなど、権限のヒエラルキーがあります。けれど、情報に関してはヒエラルキーを作らなくて、フラット。社長が知っている情報と、現場が知っている情報にほぼ解離がありません。これが大事なことだと思っています。嘘をつかない、隠さないってこういうことだと思いますよ。でも世の中の多くの会社は、社長が決めた事を部長が翻訳して課長に伝え、課長が翻訳して現場に伝え、3回くらい繰り返します。なんか伝言ゲームで全然伝わらないみたいな感じです。ITツールを使えば全員に対して同時に情報共有できます。オープンな情報共有を徹底する。例えば、さっきの子育てでメンタルがちょっと辛いという人も、情報がフラットであれば、誰かが気付きフォローに入れます。情報がフラットでなかったら、気付かれずに心が折れてしまうわけです。情報が広くオープンに共有されていて、異変にすぐ気付いて、気付いた人がフォローに入る、こういうチームワークの形が、情報がフラット化されたチームです。その人の個性に合った活躍ができるようにしていけば、それがベストです」

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青野さんご出演 2020年6月23日(火)放送 クローズアップ現代+
「ウィズコロナ時代 “カイシャ革命”であなたの仕事は?」放送ダイジェスト


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