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みんなでプラス > withコロナを生きるヒント > 宇宙飛行士 野口聡一さん 【 安心のヒント① 】
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2020年5月20日
宇宙飛行士 野口聡一さん 【 安心のヒント① 】
「感染が怖い…」「いつ事態が収束するか分からない…」見えない脅威が広がる中、つのるストレスを乗り切るための心構えや秘けつを、“最前線のプロ”たちに教えてもらいます。

第1回は、“究極のストレス環境”である宇宙に長期間滞在した経験をもつJAXA宇宙飛行士の野口聡一さん。アメリカの民間企業「スペースX」が開発する新型宇宙船への搭乗が決まり、現在、NASA=アメリカ航空宇宙局のジョンソン宇宙センターで訓練を続けています。合原アナウンサーがオンラインで話を聞きました。

新型宇宙船の搭乗に向け 日々訓練中
合原アナウンサー
いま、野口さんはテキサス州のヒューストンにあるジョンソン宇宙センターで日々、訓練を続けていらっしゃいますが、新型コロナウイルスの影響は出ていますか?

野口さん
先ほど訓練を終えて帰ってきたところです。NASAは基本的に全員テレワークを行っていますが、「スペースX」の宇宙船の搭乗が決まっている宇宙飛行士の訓練は、特例で続いています。直接対面しながらの訓練はかなり制限されていますが、テレビ会議のシステムを使ったり、コンピューターでのシミュレーターで対応したり、いろいろ工夫ながら訓練をなんとか継続しようと、NASAもがんばっています。訓練は通常、インストラクターや一緒に搭乗する宇宙飛行士が同じ場所に集まって話が進む部分がとても大きいのですが、さまざまなことが制限されている今は、いかにコミュニケーションを保ち続けるかというのが、すごく問われている気がします。

「ルーチンワーク」と「変化」が大切


合原アナウンサー
野口さんは、2009年に国際宇宙ステーションに半年間 滞在されました。そのときの経験から、外出自粛や自宅待機が求められている今、参考にできるヒントはありますか?

野口さん
宇宙ステーションは、“究極の自宅待機・外出禁止”のようなものです。半年間 地上に行くことができません。滞在したときに心がけたのは、「今ある環境の中で、できることをする」ということです。

中でも、「毎日のルーチンワーク」が大切です。私の場合は、宇宙ステーションにいる間、「朝起きたら水1杯を飲んで、頭が起きてなくても すぐに運動する」ことを習慣にしていました。とにかく起きたら30分から45分 運動する。そうすると、「体にいいことをしたな」という前向きな気持ちで一日を始められます。そういう意味で、ルーチンの役割がすごく大きいと思います。

一方、毎日、同じことの繰り返しだと単調になってしまうので、「少しずつ彩りと変化を加える工夫」もしていました。食事に関して、「今日は日本食をみんなで食べよう」、「次の日はロシア人宇宙飛行士の居住モジュールに行って、ロシアの食事と日本のカレーを交換してみよう」とか、「別の日はみんなでパンの上に、トマトソースとソーセージ並べてピザみたいにして食べよう」とか。普段と違う事を取り入れていくということも大事です。

「ルーチンワーク」と「変化」の2つを行うことで、長い自宅待機、隔離生活も乗り切れるのではないかと思います。



日数を数えず “新しい1日”を祝福する
野口さん
もう一つ、先輩の飛行士から言われたのは、「きょうは1日目、2日目」みたいに数えない方がいいということ。「あと100日、あと50日・・・」とか、「まだ あとこんなにある・・・」など、先が見通せないというふうに思ってしまうと、一日一日が非常につらくなります。あまり構えすぎずに、「その日1日乗り切れればいいや」ぐらいのところから始めるのがいいかなと思います。

新型コロナウイルスの問題も、「ワクチンができるまで あと何年かかるのか・・・」みたいなことを考え始めてしまうと すごくつらいです。だから、とにかく「今日やるべきことなどができた!」「愛する人や家族がコロナウイルスにかからずに1日が終わった!」という小さなサクセス(成功)を積み重ねる。翌日、朝起きたら、また、新しい1日に新しい祝福を与えて、「また がんばろう!」という気持ちを、小さく重ねていくことが大事だと思います。

寂しさやストレスを 分かち合う
合原アナウンサー
「外出自粛が続く中、大切な家族や友人に会えなくてストレスを抱えている」という声が番組にたくさん寄せられています。対処法はありますか?

野口さん
電話、オンライン通話、メールなど、「今できる範囲でどういうふうにコミュニケーションを保てるか」、工夫の見せどころです。大事なことは、「自分がコミュニケーションを大事にしている」ということを、しっかり相手に見せていくことだと思います。また、会えないつらさを無理に隠さなくていいということ。例えば、宇宙ステーションに居たとき、家族の大事な記念日や誕生日に参加できなくて残念だという気持ちは、みんな持っていました。無理に、それを隠す必要はなく、ワーッと出してもいいと思っていました。無理に平気なふりをしない方が乗り切れるかなと思います。

仲間として、その寂しさとかストレスに共感してあげる、お互いにそれを分かち合える というのも、ストレス解消という意味で、すごく大きいと思います。



合原アナウンサー
「みんなそういう思いをしているのだから、口に出すのもはばかられる」という人もいらっしゃると思いますが、そこは口に出した方がいいのでしょうか?

野口さん
そういう気持ちになる方は多いと思います。でも、自分の中にあるストレスは、ため込んで 抑え込んでも、消えるものではないです。短い期間であれば、「みんな、ストレスを抑えて、とにかく乗り切りましょう」など、不満を抑え込みつつ乗り切るという考えも確かにあると思います。でも、このコロナウイルス、おそらく長期戦になる可能性がありますよね。ですから、自分たちのつらさを出していける社会、自粛して外出ができないつらさを分かち合える環境とか社会になれば、すごくいいと思います。

自分も今は、日本に住む家族と離ればなれになってしまっているので、会えないつらさをストレートに伝えています。また、家族は今どういう問題に直面している、僕は今どういう問題を抱えているとか。普段の日用品でなくなっているものは何があるかとか、買い物に行ったらこれが売り切れていたとか。そんな話も含めて、今、自分の周りで起きていることを毎日ちょっとずつでも話すようにしています。

家族で “互いを尊重”、“不満を均等に”


合原アナウンサー
「自宅で家族とずっと一緒に過ごすことにストレスを感じる」という声も寄せられています。国際宇宙ステーションにクルー6人で長期間 滞在されたとき、ストレスとどう向き合いましたか?

野口さん
我々の場合、宇宙に行く2年ぐらい前から一緒に訓練しているので、メンバーみんな、気心は知れていました。ただ、そうはいっても半年間ずっと一緒にいると、やはり人間なので、「自分にとって、すごく大事な時間」というのは少しずつ違ってくるんですよね。「外の景色が見える窓のある空間とか、運動ができる空間を、この時間に使いたい」というのが、それぞれ出てきます。そこで、「ここに関しては、あなたを尊重するけど、それ以外は みんなで共有して使おうよ」という調整がちゃんとできるといいですね。

日本人の場合、私も含めて、いさかいが表面化しないように一生懸命、自分の気持ちを抑えてしまいがちですが、言うべきことは、小さなことでもちゃんと言って、小さなうちに逆にそれを表に出す。そうすることで、“時限爆弾”みたいにワーッと出ないようにすることが、すごく大事と思います。


合原アナウンサー
それでも、家族全員の不満をすべて解消するというのは、すごく難しいと思います。どうすれば、いいでしょうか?

野口さん
私が最初に宇宙に行った時、スペースシャトルの船長、アイリーン・コリンズさんに言われた言葉で、すごく覚えているのは、「全員が満足することではなく、全員の不満にばらつきがないことを目指す」ということです。誰かだけの不満を下げると 絶対に他の人にしわ寄せがくるので、不満を均等にすることが大切です。家族も同じことだと思います。特定の人が不満を多く抱える状態にならないようにすることが、気配りの上で大事だと思います。



先の見えない不安に 惑わされない
合原アナウンサー
先の見えない漠然とした不安も、今、多くの人が感じていると思います。野口さんは、2003年のスペースシャトル・コロンビア号の事故のあと、いつ打ち上げが再開されるか分からない中、2年半近く、ひたすら訓練を続けたそうですね。先行きの見えない不安をどう乗り越えましたか?

野口さん
私の最初の飛行が、コロンビア号の事故後、スペースシャトル打ち上げ再開の第1号でした。だから、スペースシャトルは本当に復活するのかという大きな問題と、宇宙飛行士としてこの先も雇ってもらえるのかという不安もあって、すごく先が見えない時期を過ごしていたと思います。でも、いずれも自分の中でどうにかなる問題ではありませんでした。

そこで、自分ができることというのは日々の訓練しかなかったので、とにかく、それをやっていく。スペースシャトルの打ち上げが再開するときには、自分は準備万端で待機しているという状態を保つ。あとは、この先どうなっちゃうんだろうみたいな、先行きが不安になるようなことに心を惑わされないように気をつける。精神状態をできるだけポジティブ、前向きに保ちつつ、心身を健康に保つようにしていました。しっかりご飯をたべて、運動して、休息もしっかりとるという、わりとシンプルな生活スタイルを心がけていたと思います。



今回も、新型の宇宙船への搭乗は新しい挑戦ですが、やることはわりとシンプルで、その宇宙船の訓練を日々しっかりやっていく。いつ打ち上げがあるかというのは、私自身の能力を超えたところで決断されるので、あまりそこには気持ちがいかないように、気持ちが迷わないように気をつけたいなと思っています。

新型コロナウイルスに関しては、正しい知識を入れつつ、対人の距離を取って、3密を避けることなど、自分が今できることをちょっとずつやっていく。その上で、死への不安、病への不安に心がとらわれないようにする。それが大切だと思います。

“日本のみなさんへ” 野口さんのメッセージ

#新型コロナウイルス#ストレス#コロナ ストレス危機
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