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2021年9月8日

“私がわがままなの…?”校則や制服に悩み不登校に・・・中学生からの告白

「私は現在中学3年生で、校則や学校の構造・風潮が原因で不登校になりました」

ことし7月、私たちのもとに中学3年生の生徒から、切実なメッセージが届きました。中学1年の終わりから2年近く不登校が続いているという、関西地方に暮らすサヤさん(仮名)。強い憤りを冷静な文体で訴えてくる文章を、私は何度も何度も読み返しました。
勇気を持って声を上げてくれたサヤさん。かけがえのない中学校での学びを、校則が原因で絶たれたというサヤさんの声、ぜひ聞いて下さい。
(報道局 社会番組部 ディレクター 藤田盛資)

番組に届いたメッセージ “私がおかしい?私がわがまま?”

中学3年生のサヤさん(仮名)

サヤさんからのメッセージは、私たちが開設した投稿フォームに寄せられました。

“私は現在中学3年生で、校則や学校の構造・風潮が原因で不登校になりました。
変えたいと思う校則、書ききれないほどありますが、先生に何度問いかけても、「気持ちは分からんでもないけど中学生が服装や髪型、持ち物を縛られるのは当たり前、規制されて当たり前」というような態度で返されます。
私がおかしいのか、私がわがままなのかと思い、何度も酷く悩みました。”

「今どんな思いで過ごしているのか」「どんな校則、どんな学校なら通いたいと思えるのか」…私はサヤさんにお願いし、オンラインで3時間近くお話を伺いました。


――貴重なメッセージを送ってくれて、本当にありがとうございました。

サヤさん:
私の個人的な体験や主観の話しかできませんが、「校則おかしい」「しんどい」「なんで制服ってこうなの?」と思っている生徒がいるという事実を知ってもらえたらなと思いました。
むしろ、こうした機会をありがとうございます。


「学校がしんどい」 違和感の背景に校則や制服

オンラインで約3時間、サヤさんに話を聞きました


――サヤさんは「校則が原因で不登校になった」と書いてくれていたけど、どうして校則がつらく感じるようになったのですか?

サヤさん:
もともと私は、小学校の頃は学級委員をやるような、仕切ることが好きなタイプでした。中学に入っても勉強のことや友だち・先生との人間関係とかに悩んだことはありませんでした。

「学校しんどいな」って思うようになったのは中1の2学期から。だんだん、朝起きて制服着て学校までの通学路がすごくつらくなって。最初は自分でも理由が分からなくて。学校に行きたくない、いづらいのは何でなのか、考えると“校則”や“制服”にいきつきました。


私たちに送ってくれたサヤさんの校則についての考えが凝縮された文章の一部を、本人の許可を得て以下に転載します。

“変えたいと思う校則、書ききれないほどありますが、特に分かりやすいものだと、髪型の規定、それも男女で分けられているというものです。
私の学校では、男子は髪は耳にかからないように切るなど、校則によって短髪しか認められていません。対して女子は髪の毛を伸ばすことが出来る、これは分かりやすい性別による差別だと思います。 髪の毛を伸ばすことは男子はダメで女子はOK、女子は良いとされているのだから、男子にだけ短髪を強制することの合理的な理由はないと思います。
このようにとても合理的とは言えない理由で、とても合理的とは言えない性差をつけて人の髪型まで縛る権限が、本当に学校にあるのでしょうか。この校則があることで男子で髪が長い、あるいは伸ばしたい人や、LGBTQ+、この問題に関しては特にトランスジェンダーの生徒などがあぶれてしまうことになってしまいます”


サヤさんは中学校に入ってから、LGBTQ+など性的マイノリティーの存在について学び、男女の区分だけでは単純に分けられないこと、多様な立場の人たちがいることを学びました。それまでいわゆる“女の子らしい”格好が好きでしたが、パンツスタイルも好きになり、「女性」ではなく「人」としてありたいと考えるようになったといいます。

しかし、サヤさんの学校では、女子は髪を伸ばせますが「男子は耳にかからない短髪」「女子はスカートのみ、男子はスラックスのみ」などと性差がはっきりある校則でした。
また髪型以外にも夏は半袖しか認められず、気温の低い日や冷房で寒いときもカーディガンなどを羽織ることさえ認められていません。次第に、「校則」は誰かを苦しめたり、人権を踏みにじったりしているのではないかと感じるようになったと教えてくれました。


合理的と思えない校則…“議論さえ許されない”雰囲気にがく然


“不合理の象徴”と感じる制服を着るのがつらくなり、午後だけの登校や休むことも増えるようになったサヤさん。そこに追い打ちをかけたのが、校則についての議論に正面から向き合ってくれない先生の態度だったといいます。


サヤさん: なんかおかしいな、矛盾してるよなって思って、先生に聞いても、微妙な反応というか。「分からなくもないけど、こういうものだし」という反応で。

私は「もう制服だとしんどくて、自分のしたい格好だと居心地がいいんです」と話をしたんですけど、取り合ってもらえませんでした。もう思い切って「みんなに同じ格好させて、管理しやすいようにして、秩序を守っていることの方が、ルールを守る方が大事なんですか?」って先生に聞いたら、返ってきたのは「先生“個人”としては中学生がピアスしていようがメイクしていようが気にならないけど、なんか“先生”だと気になる」と。「えーっ」てなりました。

「人に迷惑をかけずに心地よく過ごすことより、ルールを守ることが大切って言うのも分かるけど、ルールが何かも考えないで、ただただ守らせることが大事なんですか」って聞いたりしたんですけど、先生が途中で相づちを打ちながら「聞いてるよ、賛同はしてないけど」と言ってきて、何その念押し!って思ったり。


――かなり踏み込んだ、勇気のいる質問だったのに、ちゃんと受け止めてくれているようには感じられなかったんですね。

サヤさん:
次の週に親と担任の先生と面談があったんですけど、そのときに担任から「“制服アレルギー”みたいになってるな」って言われて。その表現にもすごくひっかかって。
私は色々考えて言葉にしたのに。ちゃんと“おかしい、矛盾してる”っていう理屈もあるのに、担任には伝わらなかったようで。意味もなく制服にこだわっているわけじゃないのにな…って思いました。



――“ラベリング”というか、単純化されるもどかしさがありますね。

サヤさん:
私も制服を全面的に否定したいわけじゃなくて、着たい人は着たらいいと思うんです。同時に着たくない人や着れない人は着ないという選択肢もあってほしいなと思って。それって本来あるはずだなって考えて調べたら、弁護士の方の発信にはっとしました。
「そもそも憲法には自己決定権、自分が自分のことを決める権利は、他の人の人権を侵害しない限り認められる」という内容が書いてあったんです※。だから、それ以上に縛るべきことってあるのかなって思いました。

(※憲法第十三条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」)

本来なら“基本は自由である”っていうのがあって、それを規制するならちゃんとした理由や効果、規制される側の同意が必要なはずなのに、学校はそうじゃないという意見もあって、共感しました。縛られて当たり前、多少理不尽でもそれが普通で、それがいやで制服を着たくないってなったら、それなりの理由が必要なのが現状なんです。「それって本当は逆じゃない?」と思います。


校則を変えたい!と動こうとするも……

校則を問題提起するため、サヤさんは自分の意見やデータ、専門家の意見などをメモに残していました


サヤさん:
1回、校則を問題提起するために、原稿用紙にわーっと思っていることや理屈やデータを書いて印刷して、先生や校長に配ったら見て見ぬふりできなくなるんじゃないかと、意地悪いことを考えて計画したことがあるんです。

けど、論理立てて構成を組むとかやったことなかったし、生徒側の視点だけじゃ厳しいかと思い、先生にも誰か協力してほしいと思ったんですね。今までも“子どもが言ってることだから”って軽く流されることを何度か経験してきたから、それはイヤで。

ひとり信頼している国語の先生がいて、あの先生なら頼めるかなって、口説き落とすための文章も書いたりしたんですけど……先生、めちゃくちゃ忙しいんですね。

ある授業中の雑談で「きのう夜10時まで学校にいて~」とか言ってて、朝は7時半にはいるのに。別の日には「一時期忙しすぎてお菓子ばかり食べてたら栄養失調になった」とか笑ってて。その先生すごく真面目で、ただでさえ忙しいのにこれも加わったら絶対負担になるなと思って……結局やめました。

校則を変えるには、きっと先生を巻き込んで、先生の意見を変えて、校長先生や教頭先生にお願いして…というふうになると思うんですが、そもそも今の私は不登校傾向にあって、勉強のことも不安だしメンタルもすり切れてる。元気いっぱいのときだったら先生と掛け合ったり動いたり、もっとできたかもしれないけど、今の私にはすごく難しい。でかい壁を感じますね。


救いとなったのは“SNS” 多様な意見の存在を知る


サヤさん:
校則のことを考えると、私ひとりだけの問題なのか、私がわがままなだけなのかとひどく悩むようになりました。でもSNSで調べてみると、同じように考えている人がいっぱいいることに気づいたんです。中には、学校の先生で「制服を着ない自由」を呼びかけ署名活動をしている人もいて、ひとりじゃないんだ、間違ってないんだと救われました。

不登校になって、「自分どうする、将来」ってなったんですけど、調べてみると意外といろいろな選択肢があるなって気づきました。来年は高校ですが、全日制以外にも通信制もあるし、東京の世田谷区には校則のない中学校もあったし(※世田谷区立桜丘中学校)。社会ってそんなに狭くないんだって、分かってよかったです。


――自分の力でそれに気づけるのはすごいですね。いっぱい調べたんですね。

サヤさん:
中学生にとっての社会は、基本は学校と家しかないんです。学校に居場所がなかったら全部終わりなんだなって思いました。私の場合は、SNSでいろいろなことを言う大人がいると知れてよかった。居場所ってここだけじゃないんだ、合わなかったら変えればいいと思えるようになりました。だから高校は楽しみです。中学校は、諦めます。



インタビューの最後に、どんな学校なら通いたいと思えるのか伺いました。

“校則を変える仕組みで今あるのは生徒総会くらいだけど、それも形だけで、議論できる雰囲気は全く無かった。校則を話し合う進め方や、共有すべき大前提など、全ての公立学校で手続きを明記してほしい。おかしいことはおかしいと話し合える場所があってほしい”


今回、サヤさんから話を聞く中で感じたのは、令和の時代の中学生らしい、現代的な人権感覚や多様性が当たり前のように備わっていること。だからこそ大人が見過ごしてきた校則や制服の矛盾に気付き、納得できずに苦しんだ気持ちが伝わってきました。
サヤさんの言葉を胸に刻み、さらに取材し、伝えていきたいと思います。


関連番組
2021年9月9日放送
クローズアップ現代プラス
「その校則、必要ですか? 密着!改革の最前線」

※放送から1週間後までは見逃し配信もご覧になれます

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