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みんなでプラス > “フェイクニュース”に立ち向かう > 新型コロナウイルスをめぐる「インフォデミック」とは?
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2020年5月1日
新型コロナウイルスをめぐる「インフォデミック」とは?
5月5日(火・祝)夜10時45分から、NHK総合テレビで放送する「フェイク・バスターズ」 今回は、新型コロナウイルスをめぐるフェイク情報から、自分の身を守る方法を考えていきます。

いま、新型コロナウイルスをめぐり、大量の情報が急速に拡散する「インフォデミック」と呼ばれる現象が起きています。放送に先立ち、バスターズ4人の議論を一部公開します。

【出演者】
宇野 常寛さん(進行役)
評論家
インターネット社会への鋭い批評で知られる

山本 健人さん
外科医 「外科医けいゆう」のペンネームで、
“わかりやすい医療情報”をSNSやイベントなどで発信している

小木曽 健さん
ITリテラシーの専門家 全国の学校や企業などで年間300回を超える講演を行う
大手IT企業勤務

平 和博さん
桜美林大学教授 専門はメディア・ジャーナリズムの研究
国内外のフェイクニュースの最新事情に詳しい

インフォデミック いま何が起きているのか

宇野)今日のテーマは、新型コロナウイルスをめぐり、世界中で起きているインフォデミックです。WHO(世界保健機関)は、ウイルスよりも早く情報が拡散し社会が混乱することをかなり早い段階から警告をしていました。実際にこの数カ月SNSを見ていると、経験したことがないことがどんどん起きていると、実感しています。

みんなが不安を抱えている中で、冷静に情報を受け止めて発信することが、非常に難しくなっていると思うんですね。そんないまだからこそ、改めて情報との向き合い方について考えていきたいと思っています。



SNS時代になって初めての感染症の流行

平)今回のような感染症の世界的な流行は、本格的なSNS時代になってから、 初めてだと思うんですね。2003年のSARSのときは、まだSNSブームの到来前でしたし、2009年の新型インフルエンザのときは、まだSNS勃興期ですよね。Facebookのユーザー1つとっても、2009年頃はようやく1億人を突破したばっかりだった。それが昨年末には25億人という規模になりました。いまやスマホ1つで、誰でもメディアと同じような情報発信ができる、つまり情報のスプレッダー(拡散者)になりました。それだけ、誰でもが情報発信できる状況が広がっている中で、いま、インフォデミックと呼ばれる情報氾濫が起きているのだと思います。



宇野)SNSの専門家として小木曽さんは、いまの平さんのお話を受けてどうお考えでしょうか?

小木曽)そうですね、悲しいくらい大方の予想どおりのことが起きているなと思っています。新型コロナウイルスのようなことが起きれば、色々なデマが出て大騒ぎになるんだろうなっていうのを、みんな薄々感じていたと思うんですよね。それが予想どおりに起きている。

宇野)僕が真っ先に思い出すのは、9年前の東日本大震災直後のパニックなんです。あの時情報が錯綜して、人々は不安を紛らわすためにとりあえず発信した。 情報ソースをあまり検証をしないで、どんどん再発信が行われて、陰謀論やフェイクニュースが止まらなくなる。いつの間にか、危機に対して語ることが、手段ではなく目的になってしまうところがあると思うんですよね。今回で言うとインフォデミックがパンデミックを補完しているような、そんな状況が生まれているなって、すごく痛感しています。

平)命に関わる情報って拡散性が高いんですよね。だから悪い意味でSNSと親和性が高くなってしまう。

「正解がコロコロ変わる」という初めての経験

宇野)命に関わる情報って非常に扱いが難しい。けいゆう先生はどうですか?

けいゆう)SNSやネットでデマが出回る中で、どうやって情報を取捨選択して自分の行動に生かすか、という問題自体はこれまでもあったことですよね。いま起きているのはそれと根本的に違う。

難しいポイントとしては、われわれ人類がいままで出会ったことのない新しい病気と初めて向き合っていると。しかも出会ってまだ数カ月しかたっていない状況。科学的根拠に基づいた情報を発信していても、その都度新しい情報が入ってきますので、そのたびに方向性が変わってきたり、以前言ったことが、少し時間が経って新たな情報が増えたことで、違う解釈ができるようになる、ということがかなり短時間のスパンで起こっているんですね。

医学・科学の歴史においては、過去に効果があると言われていた治療が、研究が進んだ結果、実は効果がないとわかった、というのは何度もあった。これ自体はある意味当たり前のことで、科学に関する情報というのは、すべてそうです。ところがいま、これが非常に短期的なスパンで起こっている。科学的な思考に慣れていない方がこの状況に直面した場合、どれを信用していいかわからなくなったり、あるいは専門家の言っていることが、コロコロ変わって信用できないというような、不幸なスパイラルが起こっているというのを非常に感じますね。



宇野)いまのお話を聞いていて思ったのが、不安と付き合っていく技術みたいなものが足りない、マスのレベルで共有されていないと思うんですよね。「わからない」ことに耐えられなくて、とりあえず「安心できる情報が欲しい」という気持ちが、本来不必要な情報の氾濫を生んでしまっているように感じますね。

平)情報に対する「ため」というか、宇野さんがおっしゃったようないったん判断を保留するとか、推移を見守りながら自分の立ち位置を取る、というようなことに慣れていないんだろうと思うんですね。これまでのメディア環境って、信頼できる情報がネットなり既存メディアなりにある、という前提で情報の消費をしてきたと思うんですけども、いまは状況が動いていて、確たる情報がない中で判断をするのがすごく不安というか。つかみどころがなくて、嫌な感じなんだろうと思いますね。

小木曽)世の中には一定数、正解だけが欲しい方っていうのは必ずいるんですね。気持ちはもちろんわかりますし、それが早く手に入ればすごく楽なのは間違いないんですけれども、正解がまだない正解がコロコロ変わっていくという初めての経験をしているのではないかと思います。



すぐに白・黒つけずに自分の頭で考えよう

けいゆう)今回の件に関しては、専門家の意見を優先的に取り入れる必要があるんですが、すぐに白黒をつけたい考え方の人は、その専門家は「何派だ」とか、「肯定派」「否定派」とか、派閥のように捉えようとするケースが多いと思うんですね。本当は専門家の中に色々なオピニオンがあり、そのコンセンサスがあるところを探るという余裕がいるんですけど、それがなくなっているという問題がありますよね。

宇野)ちょっと人に依存し過ぎている気がするんですよね。「人基準」でものを考え過ぎているというか。パンデミックに限らず、何かひとつ問題が起こると、何かテレビやネットを見ている人たちの、「こう言ってほしい」と思っていることに一番近いことを言った人が、“大喜利的”にたくさん座布団を獲得していく。そういう評価経済のゲームになっていると思うんです。

そうなると、「この問題に関してはこう言えばうける」という方向にプレイヤーは考えるようになって、問題そのものから離れていっちゃうんですよね。だからあまり「この人がこう言っている」とか、“正しい人”を見つけるのではなくて、いま役に立つ情報とか役に立つファクトを見つける方向に切り替えることが大事なのかなと思うんですよね。

小木曽)人間は自分が欲しい情報を選びますからね。2つ選択肢があったら自分が望むほうを選ぶという、人間の本質を知らないとだまされます、その人は、自分が誤った情報を選んだことに気づかないんですね。

平)自分の頭で考えるトレーニングが必要になってきていると思うんですね。 すでにある価値基準やものさしを当てはめて○とか×とか言うのではなく、いまは“物差し”がゆらいでいるので、自分の頭で一から考えるようなトレーニングをしないと。そういうトレーニングって私自身も含めてできていない中での、このインフォデミックだと思います。

「フェイク・バスターズ」
 5月5日(火・祝)夜10:45~11:15(総合テレビ)
(同時配信・見逃し配信あり)
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