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「外科医けいゆう」が語る危機感 不確かな医療情報で“命の危険”も 

ネット上の不確かな医療情報に立ち向かう医師の山本健人さん。「外科医けいゆう」として投稿しているツイッターは、フォロワー5万人を超えます。
外科医として忙しい毎日を過ごす傍ら、“正しい医療情報”の発信を続けています。SNSやネットの医療情報を参考にする患者が増える中、不確かな治療方法を信じて、命が危険にさらされるケースをいくつも目にしてきたからです。

山本健人さん

「今は、もうスマホを使って、簡単に膨大な情報にアクセスできる。その中で専門的知識がない人に取捨選択が委ねられているという現状ですよね。そういう状況に患者さんがさらされているということを十分認識した上で、対応策を変えていかないといけない時代になっていると思うんですよ。」

これだけは知ってほしい 医療情報の見分け方

けいゆうさんが、いつも訴えている医療情報の見極め方がこちらです。

①「○○すれば必ず治る」など、大げさな表現を鵜呑みにしない
医療情報は、ある人には当てはまっても、他の人には当てはまらないということもある。専門家同士でも意見が合わないことがあるほどグレーなものが多いので、「絶対」など断言している情報には注意!

② 医師や薬剤師などの専門家であっても個人の意見は要注意
本やテレビなどで紹介される「ある医師が太鼓判を押している」という情報も鵜呑みにしないで!他の専門家のチェックを経た論文や学会のガイドライン、公的機関からの声明など出典を示さないまま持論を展開しているときは注意。

③ 一般的には“権威のある”ところが出す情報が信頼できる
厚生労働省やWHOなどが発信している医療情報は、複数の専門家によるチェックを経てエビデンスがしっかりしているのが一般的で、信頼できる最新の情報に常にアップデートされている。参考にするなら、まずこうした情報から。

そして、不安や疑問は直接医師に納得いくまで聞いてほしい。直接は聞きにくいと感じる人もいるかと思うけれど、命に関わることもあるので遠慮せずに確認してほしいと話します。

深夜、手術のあとにネットパトロール

11月某日、私たちはけいゆう先生の一日に密着させてもらいました。

この日は、大阪の病院で午前9時から外来患者の診察、その後、午後にかけてがんの手術などを2件行いました。

さらに京都大学の医学部に戻ってがんの治療研究。自宅に帰ったのは、夜11時過ぎでした。ひと休みするのかと思いきや、すぐにパソコンを開いてツイッターを立ち上げると、他の医師のアカウントなどの投稿を確認します。

そして、SNS上で明らかに間違っていたり、根拠の不確かな医療情報が出回っていないかをチェックします。けいゆうさん曰く、ネット上の“パトロール”です。

他にも、たとえば、有名人が病気で亡くなったときなどは、すぐにネット上で検索し、その病気に関する誤った情報が出ていないかチェックするとともに、ニュースサイトなどでの原稿執筆に取りかかるといいます。

同じようにユーチューブも検索します。

若い世代は動画で情報収集する人が増えている一方、最近はフェイク情報も多く出回っていると感じているからです。不確かな情報や気になるテーマを見つけると、それについて医学論文などを調べた上で、最新の医学的根拠に基づいた“正しい情報”を分かりやすい言葉で発信しています。

けいゆうさんのブログには、こんなタイトルが並びます。

「がんにまつわる3つの誤解」
「がんの標準治療に疑問を感じる人はなぜ多いのか」
「医療ドラマでは描かれない真実」
(ブログ「外科医の視点」より)

根拠ある情報を知ってもらうために やさしい言葉とSEO対策

ネット上では、“フェイクニュース”のほうが正しい情報よりも拡散されやすいとも言われています。けいゆうさんは、自分が発信した情報ができるだけ多くの人に届くよう、試行錯誤しています。そのうちの一つが、やさしい言葉を使うこと。「やさしい」には2つの意味があるといいます。

まずは、難しい医療の話に耳を傾けてもらうために「易しく」伝えたい。
そして、「優しく」あることで患者さんとの距離を少しでも縮めたい。

5万人のフォロワーを抱えるツイッターでは、毎日のように新しい情報を投稿し、フォロワーの質問にもできるだけ答えています。今年始めたユーチューブチャンネルでは、「胃カメラは痛い?」「点滴のしくみ」「CT、MRI、エコーの違い」など、“今さら聞けない”基本的な情報を手作りのスライドを使って解説しています。

「医者って基本怖いじゃないですか。病院に行っても、しかめ面してたり、結構言葉にとげがあったり。もともとそういうふうにちょっと怖い、とっつきにくい、少し距離感がある存在の人が、より正論で冷たい話し方をしていると、より距離を感じてしまう人がいると思うんですね。

とにかく優しさが、ふだん診察では見せることのできないような優しさが伝わるといいなという感じに思ってますね。」

届けるためのもう一つの工夫がSEO対策です。

多くの人は、医療のことで疑問を持ったらまずGoogle検索するため、自分で書いた記事を検索で上位に表示させることが重要になります。

けいゆうさんは、検索で上位に表示させる方法=SEO対策を、200以上のサイトを研究して独自に分析しました。キーワード設定などを工夫し、専用のソフトを用いて詳細なアクセス解析を行い、多くの人に読まれるための施策を試みています。

その結果ブログを開設してから2年間のアクセスが、800万PVを記録しました。

同じ思いの医師が集結

(左から堀向健太医師、大塚篤司医師、けいゆうさん)

最近では、同じような問題意識を持ち、発信している他の医師とのネットワークも生まれています。ツイッター上でお互いの投稿をチェックし合い、必要だと思った情報はシェアしあっています。

2018年12月には、思いを同じくする2人の医師と、医療情報の見極め方に関するイベントを大阪で開催。その後、東京、札幌、京都と全国各地で開催を繰り返し、毎回100人以上が参加しています。今後も、各地で開催していく予定です。

けいゆうさんへのメッセージや聞いてみたいことなどがあったら、ぜひコメント欄にお書きください!