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“フェイクニュース”に立ち向かう
番組では、ネット上のひぼう中傷やいじめについて取材しています。 被害を減らすために、「自分や周りの人が経験した」「こんな対策が必要」など、あなたが思っていることを教えてください。 ご意見募集ページからご意見をお寄せください。


★トピック一覧はこちら
㊳5/5放送「フェイクバスターズ」番組ダイジェスト③”トイレットペーパー問題”
㊲5/5放送「フェイクバスターズ」番組ダイジェスト②”医療デマ”
㊱5/5放送「フェイクバスターズ」番組ダイジェスト①”デマと差別”
㉟ネット情報を見極めるポイント 「だしいりたまご」
㉞【平和博さん】その情報は「感染防止に役立つのか?」を判断基準に
㉝【小木曽健さん】情報発信には必ず責任が伴う
㉜【山本健人さん】正しい情報を見極めるために
㉛【宇野常寛さん】情報による社会の分断を生まないために
㉚ 新型コロナウイルスをめぐる「インフォデミック」とは?
㉙ 「フェイク・バスターズ」第2弾 放送のお知らせ!
㉘ データが生み出す“利益”【デジタルVSリアル】
㉗ プライバシーを守って個人データの活用を【デジタルVSリアル】
㉖ 追跡!スマホデータの向かう先【デジタルVSリアル】
㉕ AIで自殺リスクを予測する【デジタルVSリアル】
㉔ アマゾンのグループ会社の監視カメラを警察が利用【デジタルVSリアル】
㉓ 香港デモの参加者に密着取材【デジタルVSリアル】
㉒ フェイクは経済活動も脅かす【デジタルVSリアル】
㉑ “メキシコのフェイク王”を目指した男【デジタルVSリアル】
⑳ フェイクポルノ動画を拡散された女性【デジタルVSリアル】
⑲ SNSのフェイクニュースが起こした殺人【デジタルVSリアル】
⑱ 渡辺直美さんがネットとの付き合い方を語る【デジタルVSリアル】
⑰ フェイク情報に立ち向かう「次の一手」は?
⑯ 番組ダイジェスト【4】SNSのワナ “エコーチェンバー“
⑮ 番組ダイジェスト【3】ネットの医療情報 どう見分ける?
⑭ 番組ダイジェスト【2】ディープフェイク動画の脅威
⑬ 番組ダイジェスト【1】誰もが被害者・加害者に…
⑫ もしかしたらあなたも…?医療情報ネット検索の落とし穴
⑪ 【小木曽健さん】命に関わる“震災デマ” 惑わされないための3つのポイント
⑩ 【平和博さん】忍び寄る“ディープフェイクス動画”の驚異
⑨ 【葉山潤奈さん】人気ユーチューバーが語る デマ被害の恐ろしさ
⑧ 【山本健人さん】不確かな医療情報で「命の危険」も 外科医けいゆうの危機感
⑦ 【神田知宏さん】リツイートしただけで訴えられる!?ネットデマ訴訟の最新事情
⑥ もしSNSで“なりすまし”の被害にあったら・・・
⑤ “フェイク・バスターズ” 番組のお知らせ!
④ “デマいじめ”やネットトラブルに巻き込まれていませんか?
③ その拡散 ちょっと待って!【動画2分19秒】
② 突然の炎上から2年 今も続くデマ情報との戦い【後編】
① 突然の炎上から2年 今も続くデマ情報との戦い【前編】

ネット上で拡散されるデマやフェイク情報について、被害の実態など取材した内容を載せていきます。事件や災害、医療情報など、様々な偽情報や偽画像がSNSなどで拡散され、誰もが被害者・加害者になる可能性があります。専門家や番組ディレクターと一緒に、“フェイクニュース”に立ち向かう「バスターズ」の一人として議論しませんか?あなたが感じていることやご意見を、ぜひコメント欄に書き込んでください。

★被害の体験談や真偽の分からない情報は、下記のリンクからも募集しています。
https://www.nhk.or.jp/gendai/request/fakebusters.html

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2020年5月9日
5/5放送「フェイク・バスターズ」番組ダイジェスト③ “トイレットペーパー問題”
今回のインフォデミックで、とりわけ私たちの生活に影響を与えたのがトイレットペーパー問題。下のグラフは「トイレットペーパー」という単語がGoogle検索で使われた量を国・地域ごとに可視化したものだ。グラフからは、感染拡大とほぼ同じタイミングでトイレットペーパーの検索量が急増していたことがわかる。「ウイルスだけではなく、デマも不安も足並みをそろえて広がった」と、グラフを作成した平和博(桜美林大学教授)は話す。



「デマの否定」が逆にデマを広めたか

トイレットペーパーに関するデマをさらに分析すると、意外なことがわかってきた。
ビッグデータの解析を専門とする東京大学大学院の鳥海不二夫准教授。今回「コロナ」という単語を含む1億余りのツイートを分析した。

日本で品不足のきっかけの1つとされたのが2月に投稿されたこのツイート。「トイレットペーパーの製造元は中国なので、生産が滞り品薄になる」という主旨のデマだった。



一体どのくらい拡散したのか?鳥海が分析すると・・・


東京大学大学院 鳥海不二夫准教授:
「私が調べた限りそのツイートは、しばらくの間、1回しかリツイートされていなかった。しかもその1回は、ご本人が自分でリツイートしたものだった」

一方でさまざまな人が投稿し、広く拡散したのは「デマへの注意を呼びかけるツイート」だった。鳥海によるとその数は460万近くデマを否定するツイートが溢れることで、かえってデマが知れ渡るという皮肉な現象が起きたのだ。さらに「コロナ」「デマ」「トイレットペーパー」という3つの単語を含むツイートを分析すると、最初のデマの2日後に、集中して投稿されていることがわかった。



広島県に住む男性は「デマで品切れが起きるのを防ぎたい」と、トイレットペーパーの在庫があるスーパーの棚を写真に撮るなどして、何度も投稿したという。

注意喚起の投稿をした男性:
「『トイレットペーパーの約98パーセントは国産です。正しい情報を確認しましょう』と、デマ注意を呼びかけるツイートをしました。色々なデマが出回る中で、思いとどまる人が少しでも出てくれればなという思いでした」

しかし、そうした注意喚起も、品切れを止めることはできなかった。なぜなのか?

買い急ぐ消費者は「合理的」?

主婦のみなこ。トイレットペーパーの生産が滞るという情報は「デマだとわかっていた」という。しかし、すでにマスクの品切れが起きたこともあり、「生活者としては、自分の家庭に物がなくなるのは困る」と、ネットでトイレットペーパーを購入したという。





ゲーム理論が専門の大阪大学大学院の安田洋祐准教授は、デマの存在が知れ渡ったことで、「自分だけ損をするのは避けたい」という考えが消費者の間に広まったと分析する。

大阪大学大学院 安田洋祐准教授:
「個々の消費者の立場で考えたときに、買い急ぐのは、ある意味で”合理的な行動”です。『デマを信じて買い急ぐ消費者が出てくるかもしれない』と、不安に駆られる人が増えると、デマ自体の真偽は二の次で、買い急ぐ方が望ましくなってしまう」

4月、緊急事態宣言が報じられると、今度は食料品の品薄も一部で起きた。
こうした事態は今後も繰り返されるのか?防ぐ手だてはあるのか?

フェイク情報と戦う専門家「バスターズ」からは、「カギとなるのはマスメディアの情報発信だ」という声が相次いだ。



宇野常寛さん(進行役):評論家、インターネット社会への鋭い批判で知られる。
山本健人さん:「外科医けいゆう」のペンネームで、SNSなどでわかりやすい医療情報を発信。
小木曽健さん:ITリテラシー専門家。全国の学校や企業をまわり、ネットの炎上対策などについて講演を行う。
平和博さん:桜美林大学教授 メディア・ジャーナリズムの研究が専門。

マスメディアの情報発信 どうあるべき?

小木曽)今回、トイレットペーパーを求めて並んでいる列には、お年寄りが結構いました。その方々は「テレビで『デマが流れている』というのを見た」と言っていました。マスメディアのデマの取り上げ方は、ものすごく難しいと思いました。

平)メディアの場合、「こんなデマが・・・」というようにデマを見出しにしてしまうことがありますが、そうではなくて、「トイレットペーパーはたくさんあります。品不足ではありません」からニュースを組み立てるのが、一つの考え方だと思います。まず事実を伝え、次にデマの内容を伝えて、さらに事実で念押しをする。「事実」→「デマ」→「事実」で「真実のサンドイッチ」という呼び方をしています。



小木曽)ネットの話題を、どこまでメディアが追うべきなのかという問題もありますね。

平)話題になっている情報もあえて取り上げない。意図的にスルーするという判断も必要ではないかなと思います。

宇野)マスコミにはもっとちゃんとしてほしいけれど、それを受け止めている僕ら自身が、この情報氾濫の時代を生き抜くための知恵が全然足りていないんだと思うんですね 。この状況に対してどうアプローチをしていったらいいと思いますか?

平)いま「ポストコロナ」という議論も出てきていますが、そこを生き残っていくために一番必要なのは、やはり「自分の頭で考える」。そこが第一になるんじゃないかなと考えています

けいゆう)先ほども紹介した情報を見極めるためのポイント「だしいりたまご」、それに尽きると思います。



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フェイク・バスターズ「新型コロナウイルス”情報爆発“に立ち向かう」
NHKプラスでは、5月12日(火)午後11:15まで見逃し配信もご覧になれます。
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2020年5月9日
5/5放送「フェイク・バスターズ」番組ダイジェスト②“医療デマ”
拡散する“医療デマ”

新型コロナウイルスを巡って拡散している “医療デマ”
東京・千代田区にあるベンチャー企業では、AIを使って24時間SNSをチェック。投稿を分析し、企業や自治体に情報提供をしている。

新型ウイルスの発生当初から拡散しているのが治療法に関するフェイク情報だという。
「新型ウイルスには花こう岩が効く」
「26度~27度のお湯でウイルスは死滅する」
「深く息を吸ったまま10秒我慢できれば、感染していない」
いずれも、WHOなどの公的機関や複数の専門家が「根拠がない」と否定しているものの拡散が続いている。

さらにいま、日を追うごとにフェイクを見分けるのが難しくなっているという。



その一つが日本赤十字を名乗るチェーンメール。「日赤総合病院」の医師が医療崩壊の危険性を訴えているという書き込みだ。医療現場がひっ迫していることは事実だが、この病院は実在せず、日本赤十字社も投稿との関係を否定している。



Spectee 村上建治郎CEO:
「ちょうど“ロックダウン”の話が出た前後ぐらいで、デマの質がすごく変わりました。『とある政治家の情報筋によると』のような形で、人々の不安をあおるようなデマがすごく増えてきた。」
フェイク情報と戦うSNSユーザー “市民版バスターズ”

デマやフェイク情報が拡散する中、一般のSNSユーザーの間で独自にファクトチェックを行う動きが広がっている。

2人の子どもがいる主婦・みどり(仮名)。以前からSNSには不確かな医療情報が溢れていると感じてきた。 新型ウイルスについて公的機関などの発表を確認し、それと異なる内容の10以上の投稿に対し、訂正のコメントを書き込んできた。





中でも大きな反響をよんだものがある。
知り合いから回ってきた「新型ウイルスにはアルコール消毒が効かない」というフェイク情報。みどりは「アルコールは有効だ」とする厚生労働省のホームページを画面撮影し、ツイートの返信欄に貼り付けた。この投稿は21万回以上閲覧され、その後、元のツイートは削除された。



みどり:
「専門的知識はなくても、医療従事者でなくても、しっかりした情報を調べて、“草の根”で誰かが訂正しなければいけないと思って」

みどりは医療関係の仕事をした経験はない。デマやフェイクを訂正する際、必ず行っていることが2つあるという。それは①厚生労働省など公的機関の情報をそのまま紹介すること、②投稿者を過度に批判しないこと。あくまで根拠が確かな情報を伝えることに徹している。

みどり:
「誰しも勘違いはあることなので、いきなり『デマです』とは言わないようにしています。『デマ』と言われると、心理的にやっぱり反発心が出てきてしまう。ですので『公的機関はこういうふうに広報しています。あなたの勘違いじゃないですか』と疑問を投げかける形で、リプライ(返信)するようにしています」

いわば「市民版フェイク・バスターズ」とも呼べる、こうした取り組み。今回、同じようにファクトチェックをしているSNSユーザーおよそ30人を取材したところ、その多くがインフォデミックへの危機感から活動を始めたという。

どうすれば信頼できる情報を見極めることができるのか。
フェイク情報と戦う専門家「バスターズ」が議論しました。



宇野常寛さん(進行役):評論家、インターネット社会への鋭い批判で知られる。
山本健人さん:「外科医けいゆう」のペンネームで、SNSなどでわかりやすい医療情報を発信。
小木曽健さん:ITリテラシー専門家。全国の学校や企業をまわり、ネットの炎上対策などについて講演を行う。
平和博さん:桜美林大学教授 メディア・ジャーナリズムの研究が専門。

情報を受け取るとき 個人が気をつけることは?

宇野)僕だけかもしれないですけど、みんなTwitter見過ぎじゃないですかね。

けいゆう)TwitterなどのSNSでは医療に関するデマが拡散することも多いのですが、リプライ欄を見ると、専門家がデマを否定していることが簡単にわかることもよくあります。リツイートして拡散しようと思ったときに、まずリプライ欄を見れば、「これデマじゃないかな?」と疑うことができます。

今回に限らず、さまざまな情報に対して当てはまるんですが、僕たちが作った「だしいりたまご」という情報の見極め方のポイントがあって、これをぜひみなさんに覚えて欲しいです。



※「だしいりたまご」について、詳しい説明は こちら


小木曽)中学生や高校生が私に連絡をしてきて、新型ウイルスについて「どういう情報を信じたらいいんですか」と聞いてくるんです。それに対する私の答えは「それを私に聞く時点で間違っている。いま専門家が答えを探しているんだから」。

けいゆう)実際そうだと思います。ただ人間ですからヒューマンエラーがあるので、当然(専門家でも)誤ることがあります。だからこそ専門家個人の意見ではなく、多くの専門家の意見が一致している部分=コンセンサスを見つけることが、とても重要になります。そして「多数の専門家の最大公約数」とも言えるのが、WHOや厚生労働省など公的機関が発表している情報です。

宇野)「だしいりたまご」を鉄の掟にしたいですね。ただ、そもそもTwitter見なきゃいいんじゃないかと思うんですけどね (笑)

あわせてこちらも:
番組ダイジェスト①新型コロナ「デマ・差別」にどう立ち向かう?
番組ダイジェスト③「トイレットペーパー問題」から見えたのは・・・


フェイク・バスターズ「新型コロナウイルス”情報爆発“に立ち向かう」
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2020年5月9日
5/5放送「フェイク・バスターズ」番組ダイジェスト① “デマと差別”
新型コロナウイルスをめぐり無数の情報が拡散する「インフォデミック」と呼ばれる現象が起きています。 根も葉もないデマ、根拠の不確かな陰謀論、感染者への偏見やバッシング。
もしあなたが、「新型ウイルスに感染した」というデマを流されたら・・・

※「インフォデミック」については こちらで詳しく
根も葉もない「デマ被害」を受けた企業



林泉堂 林博樹社長:
「まったく事実無根のデマで、本当に許せないですよね。」

「新型コロナウイルスに感染した」というウソを流され、会社の業績が悪化した人がいる。秋田県で麺製品の製造や牛乳配達の事業を展開している「林泉堂」の林博樹社長だ。林が、最初にそれを耳にしたのは社員のうわさ話だった。







林泉堂 林博樹社長:
「全く青天の霹靂ですよね。なぜデマに巻き込まれなきゃいけないのか。まったく思い当たるところがないのですが、おそらく秋田県内である程度知名度がある会社なので『クルーズ船に乗っている人がいそう』だと、名前を挙げられたのかなと思います」

林が最も恐れたのは、従業員がいじめや差別の対象になることだった。
いま各地で、感染した人や医療従事者などに対するバッシングや差別的な言動が相次いでいる。クラスターが発生した京都の大学には、学生たちを批判する電話やメールが殺到。中には「大学に火をつける」という脅迫まであった。そして三重県では、患者や家族の家に石が投げ込まれたり、壁に落書きをされたりという事態まで起きている。

林泉堂 林博樹社長:
「自分個人がおもしろおかしく言われるのは、何とも思っていなかったのですが、会社の従業員や家族まで悪く言われたり、いじめられたり、嫌な思いをするのは耐えられないという気持ちがあります」

デマが発信・助長する「コロナ差別」

林はすぐさま会社のホームページで「ネットの噂はデマ」だと否定。さらに地元の新聞が「ダイヤモンドプリンセス号に乗船していたのは、高齢の夫婦だった」と報じたこともあり、すぐにデマは収まるだろうと考えた。

しかし、今度は別のデマが…。




林泉堂 林博樹社長:
「デマがどんどん成長していって…。自分の力ではどうにもならない、という恐怖を感じました」

林は3千あまりの顧客に手紙を書き、必死に事情を説明した。林の訴えは新聞やテレビでも紹介され、同情する声も少しずつ届くようになった。#がんばれ林泉堂とハッシュタグをつけたり、「デマに負けるな」と応援のツイートをしてくれたりした人もいた。

デマやウソへの怒りを隠せない林。そもそも、感染した人を差別する風潮がおかしいと訴える。



林泉堂 林博樹社長:
「いまや誰もが感染するかもしれない、かからないでいる方が難しい中で、感染した方やそのご家族まで責めるというのは、本当に愚の骨頂だと思っているので、やめてもらいたいなと思いますね」

デマ、そして、差別。
ウイルスへの不安からあなたも気づかないうちに、加担していませんか?
フェイク情報と戦う専門家「バスターズ」が議論しました。



宇野常寛さん(進行役):評論家、インターネット社会への鋭い批判で知られる。
山本健人さん:「外科医けいゆう」のペンネームで、SNSなどでわかりやすい医療情報を発信。
小木曽健さん:ITリテラシー専門家。全国の学校や企業をまわり、ネットの炎上対策などについて講演を行う。
平和博さん:桜美林大学教授 メディア・ジャーナリズムの研究が専門。

“コロナ差別” 情報発信の責任

小木曽)情報発信には必ず責任が伴います。4月には、「山形県の飲食店で新型コロナウイルスが発生した」というデマを書いた人が、逮捕されています。「面白ければ本当のことじゃなくてもいい、広めてしまえ」という心理を、人間はどこかに持っていると思うのですが、間違った情報を発信したら、法的責任を問われる場合もあることをみんなが知らないといけないと思いますね。

宇野)「デマは良くない」と言うと、みんな「そうだ」と言うと思うんですよ。ただ、「ネットリンチは良くない」と言ったときに、普段からそれを徹底している社会になっているかと言うと、僕はなっていないと思う。だから、デマを抑制したり、風評被害を抑制したりするためには、まず「ネットリンチを許容する社会」をどうにかしないといけないと思うんですよ。

小木曽)難しいのが、デマや風評被害を拡散している人たちに、当事者意識が無いんですよ。情報をリツイートするという行為自体が、実はネットリンチに加担しているということを、いま一度みんなが認識する必要があるのかなと思います。

宇野)けいゆうさんは、日々、医療現場に携わっていて、もしかしたらご自身もいつ風評被害の対象になってもおかしくない立場で働いていらっしゃると思うのですが、どう思われますか?

けいゆう)僕の知人の医師は、お子さんが幼稚園に通われているんですけど、「医療従事者の子ども」というだけでいじめにあったりしているので、怖いのはウイルスじゃなくてもう人になってしまっている。本当にやるせないですね。

デマは過激な行動へ…

不安と偏見によるデマが、信じられない行動につながったケースもある。イギリスでは、「中国企業が進める次世代の通信規格、5Gが感染拡大に関わっている」というデマが流れ、アンテナへの放火事件が多発している。

平)その中には、新型コロナウイルスの感染者のために、ようやくつくった臨時病院のモバイルアンテナも焼き討ちにあった例もあり、感染対策への障害にもなってしまっています。

宇野)どう考えてもトンデモ的な議論というものが、SNSを中心に流通して、それが排外主義やナショナリズムに利用されているのも、頻繁に目にします。どうやってデマ・差別に立ち向かっていったらいいか、ご意見をうかがいたいんですが。

けいゆう)科学的根拠があるかどうかを常に考える。いま目の前にいくつかの選択肢がある中で、「科学的根拠があるもの、ないものどちらを選ぶか?」となったときに、「科学的根拠がある方が安全」という発想が絶対に必要だと思うんですよね。

平)いまの状況の中では、「感染防止に役に立つのか」というのは、ひとつシンプルな判断基準かと思います。例えば、医療関係者や感染者に対する差別的なツイートをして感染防止に役に立つのか?もし役に立ちそうもないならば、そのリツイートの手をいったん止めてみるというのが、1つの考え方じゃないかなと思います。

新型コロナウイルスへの不安を抱えているいまだからこそ、ネット上でも行動変容が求められている。



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番組ダイジェスト②“医療デマ”にどう立ち向かう?
番組ダイジェスト③「トイレットペーパー問題」から見えたのは・・・


フェイク・バスターズ「新型コロナウイルス”情報爆発“に立ち向かう」
NHKプラスでは、5月12日(火)午後11:15まで見逃し配信がご覧になれます。
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2020年5月4日
ネット情報を見極めるポイント 「だしいりたまご」
新型コロナウイルス感染症をめぐって、医学的根拠の乏しい情報が数多く出回っています。フェイクに惑わされず、情報を見極めるための7つのポイントを、SNSで「わかりやすい医療情報」を発信している山本健人さん(外科医)が教えてくれました。

その名も、7つの頭文字をとって「だしいりたまご」です。
(「だしまき」ではありません)

(※山本さんと相談の上、「ご」の表現を変更しました)
「だしいりたまご」



①「だ」=誰が言っている?
その情報を発信している人が、本当に専門家なのか。一見すると、専門家のようでも、実は厳密に言うとその分野は専門ではない、という場合もあります。例えば医師であっても「心臓血管外科」「神経内科」「感染症内科」など、診療科によって専門性が明確に分かれています。



②「し」=出典はある?
いくら優れた専門家でも、人間である以上間違えることはあります。ですので、その情報の「出典は何か」「エビデンスはあるのか」を、常に考えておきましょう。もし出典がないとしたら、その情報が正しいかどうかを他の専門家が検証することができません。その場合は「あくまで個人的な意見にすぎない」と、考えることも必要です。



③「い」=いつ発信された?
医療に関する情報は、最初は正しいと思われていたことでも、時間が経って研究が進んだ結果、「実は間違いだった」とわかることがあります。これは医学に限らず、すべての情報に当てはまることだと思います。特に新興感染症の流行期のような、次々と新しい知見が明らかになるような状況では、少しだけ前の情報でも、のちに評価が変ってしまうことは十分あり得ます。その都度、その情報がいつ発信されたものなのかを確認しましょう。



④「り」=リプライ欄にどんな意見がある?
TwitterなどのSNSでは医療に関するデマが拡散することも多いのですが、リプライ欄を見ると、専門家がデマを否定していることが簡単にわかることもよくあります。リツイートして拡散しようと思ったときに、まずリプライ欄を見れば、「これデマじゃないかな?」と疑うことができます。「他の人がどういう見解を示しているか」を常に確認しようすることが大切です。



⑤「た」=たたき(攻撃)が目的の投稿ではないか?
例えば、自分が「あまり好きではない」と思っていた人が、SNSで批判を浴びていたとします。そんな時は、情報が正しいかどうかを判断することより、「拡散したい気持ち」を優先しがちです。その心理がデマの拡散につながることがあります。誰かを攻撃することが目的の投稿ではないか、拡散する前にもう一度考えてください。



⑥「ま」=「まずは一旦 保留しよう」
見つけた情報を友達に教えたり、リツイートしたり、情報の内容を実際に試したり・・・、そうした行動を起こすのを、一旦保留してみませんか。「これは」と思った情報でも、時間が経つとすぐに評価が変わるかもしれません。急ぐ気持ちを抑え、すぐに判断を求めないようにしてください。



⑦「ご」=公的情報は確認した?
自力で複数の情報を取りにいって比較検討する。出典が正しいかを確認する。これがベストです。でも、例えば英語の医学論文を何本も読むとなると、できる人は限られますよね。そうであれば、多くの専門家のコンセンサス(合意)である公的な情報を参考にするのが、もっとも安全ではないかと思います。

最後は「ご」でなくて「こ」になってしまいましたが、この7つのポイント、ぜひ覚えておいて下さい。


メッセージや質問などは、ぜひコメント欄に書き込んでください。

「フェイク・バスターズ」
 5月5日(火・祝)夜10:45~11:15(総合テレビ)
(同時配信・見逃し配信あり)
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2020年5月3日
その情報は「感染防止に役立つのか?」を判断基準に
メディア論が専門の桜美林大学教授、平和博さん。
本人いわく「“フェイクニュース”の収集家」で、国内国外を問わず、ネット上の様々なデマやフェイク情報を分析しています。新型コロナウイルスをめぐって多くの情報が飛び交う中、その情報が「感染防止に役立つのかどうか?」を情報発信の判断基準にしては、と提案します。

デマが感染対策への障害にも

Q.新型ウイルスに関して、海外ではどんなデマが問題に?
次世代の通信規格「5G」が新型コロナウイルスを感染させているというデマが、世界中で氾濫しています。実際にイギリスなどでは、モバイルのアンテナに放火する事件が40件以上報告されています。なかには感染者のためにつくった臨時病院のモバイルアンテナが焼き討ちにあった例もあり、感染対策への障害になっています。見過ごせない問題だと思っています。
その情報は「感染防止に役に立つのか?」

Q.情報発信する時に気をつけることは?
スマホを使って情報発信することの「威力」が、体感できていない人が多いかもしれません。新聞・テレビなど旧来のメディアは、情報発信の恐ろしさを新入社員にまず徹底的にたたき込みます。誤報を出したらどういう影響を社会に与えてしまうのかについて、教育・トレーニングを行います。

しかし、スマホを子どもの頃から持っているいまの人たちは、情報発信の恐ろしさや威力というものについて、きちんとトレーニング、教育を受けていない気がしています。教育現場にいる立場としては、私自身にも言い聞かせることなんですが、それをきちんとトレーニングをしていく、教えていくことが非常に大事になっていると、いまの状況を見て強く思います。

Q.自分がデマを拡散しないためにはどうすればいい?
いまの状況では「感染防止に役立つのかどうか」というのは、ひとつシンプルな判断基準かと思います。例えば、医療関係者や感染した人に対する差別的なツイートをして、感染防止に役に立つのか?  あるいは「ウイルスは生物兵器」などの陰謀論をリツイートすることで、感染防止に役に立つのか? もし役に立ちそうもないならば、そのリツイートの手をいったん止めてみるというのが、1つの考え方ではないかと思います。

「情報リテラシー」って、情報を「読み解く能力」だと思われがちですけが、実は情報を「発信する能力」でもあるんですよね。受信だけ上手、発信だけ上手という人はあまりいません。情報リテラシーは受信・発信が必ずバランス良くセットになった技術であることを、ぜひみなさんに知ってほしいです。

平さんへのメッセージや質問などは、ぜひコメント欄に書き込んでください。

平和博さん出演 「フェイク・バスターズ」
 5月5日(火・祝)夜10:45~11:15(総合テレビ)
(同時配信・見逃し配信あり)
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2020年5月3日
情報発信には必ず責任が伴う
ITリテラシーの専門家、小木曽健さん。
「SNSとの付き合い方」や「ネットで失敗しない方法」などをテーマに、
全国の学校や企業、自治体などで年間300回以上の講演を行っています。

新型コロナウイルスに関するデマで逮捕された事例も

Q.情報発信をする時に、まず気をつけることは?
情報発信には必ず責任が伴います。山形県のある店舗で「新型コロナウイルスが発生した」というデマを書いた人が、4月に逮捕されています。たとえそれが「善意」や「正義感」によるものだったとしても、間違った情報を発信したら、法的責任を問われる場合もあることを、みんなが知らないといけないと思いますね。

誰が得をして、誰が損をするのか?

Q.何を意識すればよいのか?
「面白ければ本当のことじゃなくてもいい、広めてしまえ」という心理を、人間はどこかに持っていると思うんです。それを認識した上で情報発信をすることが、特にこのSNSの時代ではすごく重要です。また、情報を見極める時に意識して欲しいのが、その情報で「誰が得をして、誰が損をするのか」を考えることです。誰かが意図的にデマを流している場合もあるからです。私は学生向けに講義する際、毎回必ずこのことを伝えています。

まずは専門家会議の情報を見よう

Q.いま、どんな情報を信じたらいいのか?
新型コロナウイルスについて中学生や高校生が私に連絡をしてきて、「どういう情報を信じたらいいんですか」って聞いてくるんです。それに対する私の答えは「それを私に聞く時点で間違っている。いま専門家が答えを探しているんだから」。

新型ウイルスに関しては、これからもびっくりするようなデマや、一見、本当に見えるフェイク情報が必ず出てきます。絶対に出ます。それを覚悟した上で、もし情報を取捨選択するのが難しいと思ったら、まず「専門家会議」の情報を見ましょう。それだけでいいはずです。



小木曽さんへのメッセージや質問などは、ぜひコメント欄に書き込んでください。

小木曽健さん出演 「フェイク・バスターズ」
 5月5日(火・祝)夜10:45~11:15(総合テレビ)
(同時配信・見逃し配信あり)
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2020年5月2日
正しい情報を見極めるために
ネット上の不確かな医療情報に立ち向かう“バスターズ” 山本健人さん。
外科医として忙しい毎日を過ごす傍ら、「外科医けいゆう」の名でツイッターで “わかりやすい医療情報” を発信していて、フォロワーは6万人を超えます。

新型コロナウイルス感染症について信頼できる情報を選び取るためには、専門家個人の意見より、多くの専門家が一致している意見=コンセンサスを見つけることが大切だと言います。

新型ウイルス、正しく怖がるために

Q.『インフォデミック』と呼ばれるいまの状況をどう受け止めていますか?
私たちが直面しているのは、新型コロナウイルス感染症という人類が出会ったことのない新しい病気です。不安や恐怖を感じるのも当然だと思います。新型ウイルスに関する情報は日々更新されていて、専門家が言っていたことが、少し時間が経って新たな情報が増えたことで、違う解釈ができるようになる、ということが非常に短いスパンで起こっています。

でも、実は医学や科学の分野では、これはよくあることなんです。例えば「効果がある」とされていた治療方法が、研究が進んだ結果「実は効果がない」ことが判明した、というようなことは医学の歴史では何度もありました。とはいえ、すべての人がこうした科学的な思考に慣れているわけではありません。新型ウイルスをめぐっては「専門家の言うことがコロコロ変わる」と不信感を抱き、誰を信用していいかわからなくなる、といった非常に不幸なスパイラルが起こっていると感じています。

多くの専門家の意見が一致している部分を探ろう

Q.医学の専門知識がない私たちは、どうしたらいいの?
今回のような新しい病気に直面している状況では、専門家の意見が一致している部分と、一致していない部分が必ずあります。だからこそ専門家個人の意見ではなく、多くの専門家の意見が一致している部分=コンセンサスを見つけることが、とても重要になります。そして「多数の専門家の最大公約数」とも言えるのが、WHOや厚生労働省など公的機関が発表している情報です。つまり、公的機関の情報は、専門家のコンセンサスの代表なのです。

今回、画期的だと感じたのは、クラスター対策班のような公的情報を担う専門家集団が公式Twitterアカウントを作ったことです。あっという間にフォロワーが数十万人になりました。つまり、専門家たちの生の声が、直接数十万人の人に届くという構図ができました。

またSNSには、科学的根拠に基づいた発信をしている、医師のアカウントがたくさんあります。そうした信頼できる専門家たちを10人以上(できれば20人)フォローすれば、どういう意見が専門家のコンセンサスなのか、見えてくると思います。

ネットに飛び交っている医療情報は玉石混交です。科学的根拠があるかどうかを常に意識しておかないと、自分や家族の健康被害に直接つながるので、気を付けていただきたいと思います。



山本さんへのメッセージや質問などは、ぜひコメント欄に書き込んでください。

山本健人さん出演 「フェイク・バスターズ」
 5月5日(火・祝)夜10:45~11:15(総合テレビ)
(同時配信・見逃し配信あり)
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2020年5月2日
情報による社会の分断を生まないために
今回、番組の進行役をつとめる評論家の宇野常寛さん。
ネット社会への鋭い批評で知られています。宇野さんが特に問題視したのが、新型コロナウイルスに関する “陰謀論” です。

ネットの世界でまことしやかにささやかれる“陰謀論”

例えば「新型ウイルスは中国の生物兵器だ」といった議論がSNSを中心に流れていて、それが排外主義やナショナリズムに利用されているのを、頻繁に目にします。こうした“陰謀論”がなぜ支持されるのかというと、それが心を安定させてくれる、ある種の“薬”になっているからだと思います。

「世の中には隠されている現実がある。それを見つければ、直面している不透明な状況に突破口が見つかるはずー」こうした考え方を持っていると、陰謀論を信じてしまいがちです。

不安」が情報氾濫を助長

新型コロナウイルスをめぐるインフォデミックを見ていると、我々は「不安と付き合っていく技術」が足りていないと感じます。いまはトライ&エラーを繰り返して、探り探り進めていかなければいけない状況なのに、わからないことに耐えられず、とりあえず安心できる情報を求めてしまう心理が、本来不必要な情報の氾濫を生んでしまっているように感じています。

情報への向き合い方で 社会に“分断”も

僕が恐れているのは、世の中が「自分から情報を取りに行き、それを批判的に検証できる」人たち「情報を一方的に受け取り、消費する」人たちに分かれてしまうことです。それによって生じる社会の断裂は、実はパンデミックよりも恐ろしいのではないかと思っています。

僕らひとりひとりが、不安だからといって安直に情報に接し、陰謀論に逃げたりしないよう、気をつけなくてはいけないと思います。



宇野さんへのメッセージや質問などは、ぜひコメント欄に書き込んでください。

宇野常寛さん出演 「フェイク・バスターズ」
 5月5日(火・祝)夜10:45~11:15(総合テレビ)
(同時配信・見逃し配信あり)
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2020年5月1日
新型コロナウイルスをめぐる「インフォデミック」とは?
5月5日(火・祝)夜10時45分から、NHK総合テレビで放送する「フェイク・バスターズ」 今回は、新型コロナウイルスをめぐるフェイク情報から、自分の身を守る方法を考えていきます。

いま、新型コロナウイルスをめぐり、大量の情報が急速に拡散する「インフォデミック」と呼ばれる現象が起きています。放送に先立ち、バスターズ4人の議論を一部公開します。

【出演者】
宇野 常寛さん(進行役)
評論家
インターネット社会への鋭い批評で知られる

山本 健人さん
外科医 「外科医けいゆう」のペンネームで、
“わかりやすい医療情報”をSNSやイベントなどで発信している

小木曽 健さん
ITリテラシーの専門家 全国の学校や企業などで年間300回を超える講演を行う
大手IT企業勤務

平 和博さん
桜美林大学教授 専門はメディア・ジャーナリズムの研究
国内外のフェイクニュースの最新事情に詳しい

インフォデミック いま何が起きているのか

宇野)今日のテーマは、新型コロナウイルスをめぐり、世界中で起きているインフォデミックです。WHO(世界保健機関)は、ウイルスよりも早く情報が拡散し社会が混乱することをかなり早い段階から警告をしていました。実際にこの数カ月SNSを見ていると、経験したことがないことがどんどん起きていると、実感しています。

みんなが不安を抱えている中で、冷静に情報を受け止めて発信することが、非常に難しくなっていると思うんですね。そんないまだからこそ、改めて情報との向き合い方について考えていきたいと思っています。



SNS時代になって初めての感染症の流行

平)今回のような感染症の世界的な流行は、本格的なSNS時代になってから、 初めてだと思うんですね。2003年のSARSのときは、まだSNSブームの到来前でしたし、2009年の新型インフルエンザのときは、まだSNS勃興期ですよね。Facebookのユーザー1つとっても、2009年頃はようやく1億人を突破したばっかりだった。それが昨年末には25億人という規模になりました。いまやスマホ1つで、誰でもメディアと同じような情報発信ができる、つまり情報のスプレッダー(拡散者)になりました。それだけ、誰でもが情報発信できる状況が広がっている中で、いま、インフォデミックと呼ばれる情報氾濫が起きているのだと思います。



宇野)SNSの専門家として小木曽さんは、いまの平さんのお話を受けてどうお考えでしょうか?

小木曽)そうですね、悲しいくらい大方の予想どおりのことが起きているなと思っています。新型コロナウイルスのようなことが起きれば、色々なデマが出て大騒ぎになるんだろうなっていうのを、みんな薄々感じていたと思うんですよね。それが予想どおりに起きている。

宇野)僕が真っ先に思い出すのは、9年前の東日本大震災直後のパニックなんです。あの時情報が錯綜して、人々は不安を紛らわすためにとりあえず発信した。 情報ソースをあまり検証をしないで、どんどん再発信が行われて、陰謀論やフェイクニュースが止まらなくなる。いつの間にか、危機に対して語ることが、手段ではなく目的になってしまうところがあると思うんですよね。今回で言うとインフォデミックがパンデミックを補完しているような、そんな状況が生まれているなって、すごく痛感しています。

平)命に関わる情報って拡散性が高いんですよね。だから悪い意味でSNSと親和性が高くなってしまう。

「正解がコロコロ変わる」という初めての経験

宇野)命に関わる情報って非常に扱いが難しい。けいゆう先生はどうですか?

けいゆう)SNSやネットでデマが出回る中で、どうやって情報を取捨選択して自分の行動に生かすか、という問題自体はこれまでもあったことですよね。いま起きているのはそれと根本的に違う。

難しいポイントとしては、われわれ人類がいままで出会ったことのない新しい病気と初めて向き合っていると。しかも出会ってまだ数カ月しかたっていない状況。科学的根拠に基づいた情報を発信していても、その都度新しい情報が入ってきますので、そのたびに方向性が変わってきたり、以前言ったことが、少し時間が経って新たな情報が増えたことで、違う解釈ができるようになる、ということがかなり短時間のスパンで起こっているんですね。

医学・科学の歴史においては、過去に効果があると言われていた治療が、研究が進んだ結果、実は効果がないとわかった、というのは何度もあった。これ自体はある意味当たり前のことで、科学に関する情報というのは、すべてそうです。ところがいま、これが非常に短期的なスパンで起こっている。科学的な思考に慣れていない方がこの状況に直面した場合、どれを信用していいかわからなくなったり、あるいは専門家の言っていることが、コロコロ変わって信用できないというような、不幸なスパイラルが起こっているというのを非常に感じますね。



宇野)いまのお話を聞いていて思ったのが、不安と付き合っていく技術みたいなものが足りない、マスのレベルで共有されていないと思うんですよね。「わからない」ことに耐えられなくて、とりあえず「安心できる情報が欲しい」という気持ちが、本来不必要な情報の氾濫を生んでしまっているように感じますね。

平)情報に対する「ため」というか、宇野さんがおっしゃったようないったん判断を保留するとか、推移を見守りながら自分の立ち位置を取る、というようなことに慣れていないんだろうと思うんですね。これまでのメディア環境って、信頼できる情報がネットなり既存メディアなりにある、という前提で情報の消費をしてきたと思うんですけども、いまは状況が動いていて、確たる情報がない中で判断をするのがすごく不安というか。つかみどころがなくて、嫌な感じなんだろうと思いますね。

小木曽)世の中には一定数、正解だけが欲しい方っていうのは必ずいるんですね。気持ちはもちろんわかりますし、それが早く手に入ればすごく楽なのは間違いないんですけれども、正解がまだない正解がコロコロ変わっていくという初めての経験をしているのではないかと思います。



すぐに白・黒つけずに自分の頭で考えよう

けいゆう)今回の件に関しては、専門家の意見を優先的に取り入れる必要があるんですが、すぐに白黒をつけたい考え方の人は、その専門家は「何派だ」とか、「肯定派」「否定派」とか、派閥のように捉えようとするケースが多いと思うんですね。本当は専門家の中に色々なオピニオンがあり、そのコンセンサスがあるところを探るという余裕がいるんですけど、それがなくなっているという問題がありますよね。

宇野)ちょっと人に依存し過ぎている気がするんですよね。「人基準」でものを考え過ぎているというか。パンデミックに限らず、何かひとつ問題が起こると、何かテレビやネットを見ている人たちの、「こう言ってほしい」と思っていることに一番近いことを言った人が、“大喜利的”にたくさん座布団を獲得していく。そういう評価経済のゲームになっていると思うんです。

そうなると、「この問題に関してはこう言えばうける」という方向にプレイヤーは考えるようになって、問題そのものから離れていっちゃうんですよね。だからあまり「この人がこう言っている」とか、“正しい人”を見つけるのではなくて、いま役に立つ情報とか役に立つファクトを見つける方向に切り替えることが大事なのかなと思うんですよね。

小木曽)人間は自分が欲しい情報を選びますからね。2つ選択肢があったら自分が望むほうを選ぶという、人間の本質を知らないとだまされます、その人は、自分が誤った情報を選んだことに気づかないんですね。

平)自分の頭で考えるトレーニングが必要になってきていると思うんですね。 すでにある価値基準やものさしを当てはめて○とか×とか言うのではなく、いまは“物差し”がゆらいでいるので、自分の頭で一から考えるようなトレーニングをしないと。そういうトレーニングって私自身も含めてできていない中での、このインフォデミックだと思います。

「フェイク・バスターズ」
 5月5日(火・祝)夜10:45~11:15(総合テレビ)
(同時配信・見逃し配信あり)
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2020年5月1日
「フェイク・バスターズ」第2弾 放送のお知らせ!
ネットに出回るデマやフェイク情報の実態を取材し、情報との向き合い方を考える番組「フェイク・バスターズ」 去年12月に放送し、反響を呼んだこの番組の第2弾を5月5日(火・祝) 夜10時45分からNHK総合テレビで放送します。今回は、新型コロナウイルスをめぐるフェイク情報から、自分の身を守る方法を考えていきます。

「フェイク・バスターズ」

―それはネット上に飛び交うデマや根拠の不確かな情報と、日々戦っている人々のこと。
医学、IT、メディアなど様々な分野で、 “情報との向き合い方” を伝えようと奮闘するバスターズたちとともに、デジタル時代を生き抜くための具体的な方法を考えていきます。

【出演者】
宇野 常寛さん(進行役)
評論家
インターネット社会への鋭い批評で知られる

山本 健人さん
外科医 「外科医けいゆう」のペンネームで、
“わかりやすい医療情報”をSNSやイベントなどで発信している

小木曽 健さん
ITリテラシーの専門家 全国の学校や企業などで年間300回を超える講演を行う
大手IT企業勤務

平 和博さん
桜美林大学教授 専門はメディア・ジャーナリズムの研究
国内外のフェイクニュースの最新事情に詳しい



なお、今回の番組は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4人のバスターズたちが、それぞれ別の場所からリモート出演し、撮影を行いました。収録時のスタジオの様子がこちら。どのような仕上がりになっているかもお楽しみに!



このページでは、バスターズ4人がどんな議論をしたのか記事を掲載していく予定です。
ご意見など、ぜひコメント欄に書き込んでください!

「フェイク・バスターズ」
 5月5日(火・祝)夜10:45~11:15(総合テレビ)
(同時配信・見逃し配信あり)
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2020年4月10日
データが生み出す“利益”【デジタルVSリアル】
個人データの利益は誰のもの?

私たちの生活に欠かせなくなった、スマホの便利なサービス。使う時に生まれる利用履歴などの個人データは、広告配信に使われ、サービスを展開する巨大IT企業の収益源になっています。

一方、個人データが生む利益をユーザーに返すことをアピールする企業も生まれています。
スローガンは「あなたは商品ではない」
広告を受け取る頻度を自分で設定し、余分な広告をブロックできます。



そして、興味を引かれた広告を開くと、利用者は電子マネーを受け取ることができる仕組みです。



サービスを展開する企業のデビッド・テムキンさんはこのように語っています。
「あなたは利用者であり商品ではありません。我々は利用者のプライバシーと利益を守ります」

このアプリを使い始めた男性はたまった11ドルで婚約者に花束を買っていました。



利用者は急激に増え、900万人を突破しています。


NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。
テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!

第1回「フェイクに奪われる“私”」は、4/12(日)夜9:49まで配信します


第2回「さよならプライバシー」は、4/12(日)夜10時頃~4/19(日)夜9:49まで配信します
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2020年4月9日
プライバシーを守って個人データの活用を【デジタルVSリアル】
EUで始まっている社会実験「デコード」

2017年からEUで始まった社会実験「デコード」。それはプライバシーを守りながら個人データを活用しようという動きです。



そのひとつが、特殊なセンサーを自宅に置くプロジェクト。部屋の明るさや音声などを24時間データ化します。
参加者のひとり、ルーベン・カルデナスさんはこのように語っていました。
「データを使えばいつ家に人がいるのか、パーティーをしているのか、話し合いをしているのか、ケンカをしているのか、すべて筒抜けになってしまいます。どのデータを誰と共有するのか、その判断は私に委ねられているのです」

こうしたデータを使ったひとつの動きを取材しました。

それは市民が悩まされていたゴミ収集車の騒音です。



その問題を解決したいと、カルデナスさんは、あるコンサルティング会社に音声データを提供することを決めました。その会社には市民25人からのデータが集まってきました。



CEOのマーラ・バレストリーニさんは、この社会実験の意義をこのように語っていました。
「市民自らが個人データを生成し、共有する動きが活発になっています。個人データを適切に利用すれば、非常に役立つものです。市民がデータを収集し、地元議会と共有すれば都市計画や行政サービスなどに反映して、より効率的な計画を立てることができます」

NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。
テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!

第1回「フェイクに奪われる“私”」は、4/12(日)夜9:49まで配信します


第2回「さよならプライバシー」は、4/12(日)夜10時頃~4/19(日)夜9:49まで配信します
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2020年4月8日
追跡!スマホデータの向かう先【デジタルVSリアル】
地下50メートルから太平洋へ

あなたがスマホから発信するデータが、どこに行っているか知っていますか?

データを追った先で取材班が目にしたのは、東京の地下50メートルにまで張り巡らされた光ケーブルです。実は私たちのデータの多くは地下空間を流れているのです。



そして、データが向かう先にあるのは、太平洋。2020年に開通が予定されているのは海底ケーブル「ジュピター」です。



ジュピターは日本とアメリカを横断し、その総延長は1万4000キロメートルもあります。国内外の巨大IT企業が出資し、建設が進められています。



こうして張り巡らされた海底ケーブルをすべて合わせると、地球30周分にも及びます。

データの“終着点”、それは「データセンター」です。



こうしたデータセンターは世界中にあり、国内外のIT企業がデータを高速処理しています。機密情報を守るため、所在地を非公開にしているところも少なくありません。あなたのデータも地球のどこかで24時間処理され続けているのです。

NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。
テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!

第1回「フェイクに奪われる“私”」は、4/12(日)夜9:49まで配信します


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2020年4月8日
AIで自殺リスクを予測する【デジタルVSリアル】
SNS投稿から自殺リスクを予測

人工知能、AIを使えば未来が分かる。そんな話を聞いたことはありませんか?
実は中国の市民団体は、AIを使った自殺予測をもとに、救済に取り組んでいます。

人口14億の中国では、2分に1人が自殺すると言われています。
そこで市民団体はSNSの投稿をAIで解析し、自殺するリスクを10段階で予測することにしました。さらに、ネット上の様々な情報を入り口に、リスクの高い人の住所や連絡先を特定していきます。

市民団体の代表、李虹さんの取材をしていたところ、「自殺リスク7」の人がいるという通知がスマホにきました。
調べてみると、その人は20代の女性でした。


市民団体の職員が、その女性のもとへ支援に乗り出しました。 マンションの下まで行き、その女性に携帯で会えないかと連絡をします。 女性は失恋をきっかけに、飛び降り自殺を考えていたところだったそうです。 その日は、会うことは出来ませんでしたが、今も支援は続いています。

SNSの爆発的な普及が開発を進めた

市民団体は1年半でのべ1700人の自殺を防いできました。 自殺予測AIを開発した武漢科技大学の黄智生特任教授はこのように語っています。
「私たちは多くの情報や考え方をデジタルデータとして残しています。我々は(分析により)市民の自殺をくい止めなければなりません。これは間違いなく個人のプライバシー保護よりも重要です。」



NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

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第1回「フェイクに奪われる“私”」は、4/12(日)夜9:49まで配信します


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2020年4月7日
アマゾンのグループ会社の監視カメラを警察が利用【デジタルVSリアル】
大手IT企業×警察×市民の監視ネットワーク

アマゾンのグループ会社が販売している監視カメラがアメリカで人気になっています。市民は監視カメラの映像を近所の人とシェアして楽しんでいます。



そして警察は、この監視カメラを犯罪捜査に利用。事件が起きるとネットを介し、市民に映像を提供してもらいます。そして例えば、盗まれたばかりの盗難車を監視カメラの映像から見つけ出し、犯行時刻を特定するのです。


このカメラを捜査に使う警察署は全米で400を超えます。 「この監視カメラのいいところは、あのアマゾンが展開していることです。あらゆるサービスを提供する大企業なので、もっと普及します」と警察官は語っていました。



NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。
テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!

第1回「フェイクに奪われる“私”」は、4/12(日)夜9:49まで配信します


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2020年4月6日
香港デモの参加者に密着取材【デジタルVSリアル】
NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。
テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!
香港デモで進む“デジタル断ち”とは

香港の抗議活動では、半年間で6000人以上が逮捕されています。そのためデモの参加者は身元が特定されないように顔を隠しています。参加者の間で進んでいるのは「デジタル断ち」という現象です。

参加者のひとりは電子マネーをやめて、現金を使う生活に戻っています。自分の居場所などの情報が残らないように気をつけているためです。



携帯が義務づけられているIDカードは、街中を歩くだけで位置情報が収集されると噂されています。そこで電波を通さない特殊なケースにいれることで、身を守ろうとしています。

スマホの使用も最低限にとどめていました。

「中国製のゲームもすべて削除しました。私のデータが中国本土に送られ、追跡されるのではないかと心配だからです」

とその心境を語ります。


香港中文大学のロクマン・ツイ准教授は、このように語っています。

「警察は裁判所の命令なしに通信会社からデータを提供させているとみています。企業が集めたデータを使って、市民を逮捕できるようになっているのです」

デモの現場でケガ人の救助を行うチームのリーダーに密着取材

デモの前日、救助チームは活動拠点のホテルに入りましたが、深夜2時に異変が起きました。



取材班がリーダーの部屋にいくと、「荷物を全部まとめて、別のホテルに移動しなければなりません」と言い出したのです。

デモ隊が宿泊しているホテルが警察に把握されたという情報が入ったためでした。

メンバーのひとりは「警察はデモ隊が泊まっているホテルに押しかけ、ガスマスクの不法所持で逮捕しているそうです」と、ホテルを出る準備をしながら語りました。

メンバーが急いでホテルを出てタクシーに乗り込んだとき、ホテルに向かっていく警察の姿がありました。メンバーは「警察が追いかけてきた」といい、タクシーに回り道をして、警察をまくように伝えます。この日は、何とか振り切ることができました。

デモ当日、警察に位置情報を把握されることを警戒したチームは、スマホの使用をやめることにしました。メンバーとの連絡は個人が特定されにくいトランシーバーを使うことにします。


デモが始まると、催涙弾によるけが人が続出します。催涙弾はメンバーの足下にも着弾。メンバーは散り散りになって逃げたため離れ離れになり、トランシーバーが通じなくなってしまいました。そこでやむなく、スマホで連絡を取り合って救助を続けることになりました。

デモから数日後。リーダーは仲間たちが次々と逮捕されていたことを知らされました。 取材の最後にこんな言葉を漏らしていました。

「警察は私の行動を把握しているので、いますぐ逮捕しなくても、1年後か2年後か、いつだって逮捕できるのです」


第1回 「フェイクに奪われる“私”」は、4/12(日)夜9:49まで配信します
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2020年4月3日
フェイクは経済活動も脅かす【デジタルVSリアル】
NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。
テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!

フェイク音声を使った“オレオレ詐欺”

日本でいまだなくならないオレオレ詐欺。将来、さらに見破ることができない詐欺が出てくるかも知れません。そう感じさせる事件が、去年イギリスで起きました。エネルギー会社の支店長は、その日、ドイツの親会社のCEO「ヨハネス」を名乗る人物からの電話を受け取りました。

「クライアントにお金を支払わなければいけないのだが、すでに、ドイツ時間では3時を回っているから、振り込みが終わってしまった。でも、イギリスなら、間に合うはずだ。いますぐ、22万ユーロを支払ってほしい。」

彼は言われるがままに、22万ユーロを支払いました。しかし、その金は、クライアントではなく、詐欺グループの手に渡ってしまいました。

なぜ、支店長は騙されてしまったのか。当時を振り返り、こう話しています。

「確かに奇妙だなとは思ったのですが、確かに声はヨハネスだったのです」

実は、電話の声は、CEOの音声データを元にAIが作り出した「フェイク音声」だったのです。こうした事件は、イギリスに限らず、アメリカでも報告されていました。分析を行ったのは、アメリカのノートン社。すでにアメリカで3件、同様の事件が報告されています。そのうちの一つは、被害総額1000万ドル。そこまで精巧なフェイク音声はどのように作られたのか。

分析官のサウラボ・シャントレイさんは、私たちの目の前で、フェイク音声を作ってみせてくれました。あるアプリに文字を入力すると、その場ですぐに、ターゲットの人物の音声が生成されたのです。こうしたアプリのプログラムは、ネットで誰でもダウンロードできると言います。



「インターネットに、少しでも音声のデータがあれば、世界中に住むどんな人の音声も作ることができてしまいます。映像と音声は、人類の歴史の中でも、信頼できるソースとして使えるものだと思われてきましたが、もはや、あなたが耳に聞こえるもの、見るものは、現実のものではないかもしれません。」

フェイクは株価も動かす

そして、フェイクは株価をも大きく動かしかねません。同じく去年イギリスでは、一つのフェイクが、銀行経営に大きなダメージを与えました。

「銀行は経営難で、倒産するかもしれない。」
「口座からお金を引き上げた方がいい」

これがSNSで拡散、すると、銀行前には、長蛇の列ができました。当時、現場でその様子を目撃した人物に状況を聞くことが出来ました。

「本来なら誰もいないはずの、土曜の午後という時間帯に、すごい人だかりでびっくりした。カウンターでは多額の現金を出している人もいて、銀行が破綻すると、みんな口々に言っていました。」

銀行はこれを受け、「倒産する事実はない」と、フェイクを打ち消しました。しかし、週明け、市場が開くと、株価は大きく値を下げることになりました。

証券取引所が対策に

フェイクが経済に与える影響を心配する声は、日に日に高まっています。リスクコンサルティング会社krollが行った調査では、フェイクによって市場操作が起きる恐れがあると感じるビジネスマンは6割にのぼっています。



こうした状況を鑑みて、日本でも対策が始まっています。東京証券取引所では、フェイクによる市場操作が起きていないか、SNSの監視を強化し始めています。さらには、審査にAIも導入し始めています。売買審査部の宮野満さんは、日本ではまだ具体的な被害が起きていない一方で、これから起きる可能性は大いにあるとして、危機感を募らせています。

「怪しい文書が兜町界隈で広がったことはあったのですが、SNSになると当然日本全国あるいは世界どこからでも書き込みができる、匿名性も非常に高い。しかも非常に気軽に誰でも行える、数も非常に多いと言うことで、SNSによる色々な書き込みの脅威は昔に比べて比較にならないほど、増えてきていると考えています」

この番組は放送終了後(4/5(日)夜10時頃)~4/12(日)夜9:49まで配信します
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2020年4月2日
“メキシコのフェイク王”を目指した男【デジタルVSリアル】
NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。
テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!

政治家を顧客にして、選挙を動かす

3ヶ月にわたる交渉のすえ、フェイクで世論操作をしてきた会社を取材することができました。代表は31歳のカルロス・メルロ氏。9年前に政治マーケティング会社を立ち上げました。メルロ氏が得意にしているのが、フェイクニュースの拡散です。

メルロ氏が活用してきたのは「ボット」です。まず、ネットにある別人の写真を使用して、実在する人物のようなアカウントを大量に作成します。そして、それらのアカウントから自動的にコメントを書いたり「いいね」をつけたりするのです。

このシステムを使って1秒間に150回のツイートを5分間続けることで、ツイッターのトレンド上位に入ることが出来るのだと言います。

 メルロ氏がビジネスチャンスだと感じたきっかけは、6年前。「事故で亡くなったポールウオーカーが実は生きていた」というフェイクニュースを拡散したときです。「一日に600万回も見てもらえたんだ。感動だったよ」と話します。

その後、ビジネスの軸足を選挙に移してきたメルロ氏。選挙期間中、何人もの政治家から依頼を受けたといいます。多いときで1日500万円も稼いだと言います。

アカウントを乗っ取り、世論操作をする

私たちはさらに、メルロ氏の下請け会社を取材することができました。ここでは本物のアカウントを乗っ取っての世論操作をしています。実際の手口をカメラの目の前で見せてくれました。

それは現役の政治家から依頼を受けたネットのアンケートです。得票数を増やして欲しいという依頼でした。

独自に開発したスマホ用のアプリの操作を始めます。このアプリは表向きは「いいね」や「コメント」の数を勝手に増やしてくれるという仕様になっています。しかし本当の目的は、フェイスブックとこのアプリをつなげ、「本物のアカウント」を乗っ取ることです。管理者は利用者のアカウントを自由に操作して、「いいね」や「コメント」をつけることができます。このとき、本物のアカウントを使っているため、削除されることはないのだと語っています。そして、このサービスにはメキシコだけでなく、ドミニカ共和国やボリビア、ペルー、アルゼンチンなど海外の政治家からの依頼も舞い込んでいます。

メキシコ国民に影響を与えた仕掛け

メルロ氏の下請け会社が選挙にどのような影響を与えたのでしょうか。私たちがインタビューしたのはフェイクニュースの拡散について分析をしているアルベルト・エスコルシアさんです。アルベルトさんが注目したのはメキシコ国内で大きな話題になったというひとつの記事です。

それは「ベネズエラのチャベス氏と大統領候補がつながっていた」というフェイクニュースです。

拡散のきっかけとなったのは、メルロ氏と一緒に仕事をしていたアカウントによるツイートです。この仕掛け人のツイートをメルロ氏らが動かせるアカウントで一斉に拡散します。ネットで話題になっていることに気づいた市民が、さらに拡散。ついにはテレビ局などのメディアが取り上げるまでになったのではないかと分析しています。

結果、4000万回もツイッター上で見られました。アルベルトさんは「何も起きていないのに、大事のように見せかけるというのが、彼らの手法です。一般市民は、お金がある人によって操作されます。これからはデジタル絶対主義の時代がやってきます。最悪な事態はこれからなのです。」と警鐘を鳴らします。

このようにフェイクニュースを拡散してきたメルロ氏は、社会への影響について、以下のように語っていました。

「仕事に関して後悔したことは一度もありません。それは無責任なのかもしれません。 しかし、SNSのユーザーは無責任に何かをシェアしたりしていました。人々が文章をもう1分だけでも読んでいたならば、私が投稿したものであったとしても、多くのフェイクニュースは何も影響を与えることは出来なかったでしょう。 みんながもう少し早くに気づいていたなら、このようなことは起こらなかったのです。ですから、これは自然に起こったことなのです。」

もはやフェイクニュースなしでは選挙に勝てない

 なぜ、彼らのビジネスは成長を続けてきたのか。私たちは、マーケティング会社を利用している政治家にも話を聞くことができました。とある市の市長のポロ・デスチャンプスさんは、自身のPR動画の作成と拡散を依頼しています。見せてくれた動画は、3万回もの再生回数を記録していました。

こうした拡散を行っている人たちは、全員がリアルな人物なのか。そう問うと、あっさりと、フェイクアカウントの存在を認めました。

「政治家は皆、ボットや偽のフォロワーを持っていますよ。私も、意図している訳ではありませんが、おそらくたくさん、偽のフォロワーなどが紛れ込んでいるのだと思います。」

 さらに、フェイクニュースを流したことはあるかと問うと、自身は意図して流したことはないとした上で、フェイクニュースを流す戦略的重要性は認めました。

「もはや、フェイクニュースなしで勝てる選挙なんてありません。なぜなら、拡散力がすさまじいからです。一度機能してしまった以上、問題があることであっても、続けられてしまうものなのです。」

こういった世論操作は、世界70の国や地域で行われているという分析結果も出ています。一方で、選挙や災害などで悪意を持って流されたフェイクニュースなどには、複数の国で罰則を設ける動きも出ています。




(資料:株式会社三菱総合研究所)

この番組は放送終了後(4/5(日)夜10時頃)~4/12(日)夜9:49まで配信します
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2020年4月1日
フェイクポルノ動画を拡散された女性【デジタルVSリアル】
NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。
テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!

巧妙に作りだされた「偽りの自分」

最新のテクノロジーによって映像のフェイクが作られるようになり、一見、自分と全く見分けがつかない「偽りの自分」がネット上に出現する事態になっています。

取材班は、その被害にあったオーストラリアのノエル・マーティンさん(25)に話を聞きました。始まりは、ノエルさんが法学部の学生だったときのこと。グーグルの画像検索システムで、自分の写真を何気なく検索したところ、身に覚えのない自分の裸の写真がポルノサイトに出回っているのを偶然見つけたのです。



悪用されたのは、SNSで公開されていた写真でした。友人との旅行や食事、家族と撮影した写真、地元のバーで開かれたイベントに参加した時の写真など、何気なく投稿した日常の写真がポルノ女優の体と挿げ替えられていたのです。初めてフェイクポルノを見つけたとき、すでにネット上の様々なポルノサイトに拡散してしまっている状態だったというノエルさん。

拡散しているフェイクポルノには、本物の写真も一緒に投稿され、自分の名前や住所、学歴などの個人情報が添えられているものもありました。フェイスブックに公開されていた情報が悪用され、ノエルさん自身が投稿しているように見せかけていたのです。

「ショックでした。何が起こっているかわからなくて。胃がきりきりと痛み、吐き気がして・・・とにかく怖かったわ。私の容姿についてのコメントや私に何をしたいかなども書かれていました。ネットで広まっている私は私ではないわ。私は『本当の私』を取り戻したいだけなの・・」

誰がやったのか心当たりもなく、ノエルさんは弁護士や警察などに相談。ポルノサイトの運営者などにも削除を求めましたが拡散が止まることはありませんでした。

そこで、ノエルさんは意を決して被害をメディアの前で公表することにしたのです。

「偽りの自分」だけが信じられていく恐怖

しかし、この告白をきっかけに、事態は悪化します。SNSでノエルさんの告白を疑ったり、揶揄したりする投稿が拡散し、炎上する事態に発展したのです。

「お金が目的で、キミが自分でアップしたんじゃないの?」
「注目を浴びたいだけじゃないか?」
「太った醜い猫め!」

偽りの自分だと伝えれば伝えるほど、フェイクの自分が信じられていく。支えてくれたのは仲の良い友人だけだったといいます。

「私は思ったんです。『私はフェイクだとわかっているから、フェイクだと気づけているだけなんだ』と。誰かがこれを見たとき、会社の人や友達がこれを見たとき、これは私だと思うのではないでしょうか。将来の家族や子供が見るかもしれないし、私の子供の友達もみるかもしれない。人生に影響を及ぼし続けるのです。」

こうした動画はAI=ディープラーニングで作られたフェイク動画であるため、「ディープフェイク」と呼ばれています。オランダのサイバーセキュリティー会社ディープトレースの調査では、こういった動画は半年間で倍増。このうち96%の動画が女性をターゲットにしたものだといいます。

フェイク動画の96%は女性がターゲットに

どのように女性たちがディープフェイクに狙われているのか。私たちは、ディープフェイクの対策に乗り出している弁護士を訪ねました。カリフォルニアに住む、ドッジ弁護士が見せてくれたのは、ディープフェイクの作成依頼を受けつけているサイトです。そのサイトの掲示板を見てみると、

「知り合いの女性のディープフェイクを作ってほしい」
「作ってくれたら75$支払います」

といった依頼が書き込まれており、依頼したい女性の写真も添付されていました。

ノエルさんはSNSでの中傷にも屈せず、「本当の自分」を取り戻すため、市民1人1人に自らの経験を語り続け、オーストラリアのディープフェイク対策の法制化や同様の被害に遭った人たちへの支援を続けています。

アメリカやノエルさんが活動を続けているオーストラリアでは、ディープフェイクを規制する法律が制定され始めています。しかし、国境関係なく、依頼や作成が行われているデジタル世界では、規制が追いつかないのが現状だと、ドッジ弁護士は指摘します。 

では、被害を止める手立てはないのか。ドッジ弁護士は、誰もが被害者になりうる時代だということを認識することから始めなければならないと言います。

「私たちは何気なくSNSに写真や動画を投稿していますが、それが悪用されるということを考える必要があります。写真がオンライン上にある限り、皆、その危険にさらされていると言っても過言ではありません。事件を防ぐということ以外のことを考えなければいけません。なぜなら今のところ、事件を防ぐことはできないからです。」

この番組は放送終了後(4/5(日)夜10時頃)~4/12(日)夜9:49まで配信します
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2020年3月31日
SNSのフェイクニュースが起こした殺人【デジタルVSリアル】
NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。
テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!

大衆の「正義」は、ここまで暴走する

2018年.メキシコ中部の小さな街アカトランで、フェイクニュースによる殺人が起きました。亡くなったのは、リカルド・フロレスさん(21)と叔父のアルベルトさん(43)。「子供を誘拐した」という、無実の罪を着せられ、殺されたのです。



なぜ、無実の罪の人間が殺害されるにいたったのか。事の始まりは、SNSに投稿された、リカルドさんに関するフェイクでした。

「子どもを誘拐した男が捕まった」

「3人の子どもが連れ去られそうになっていたらしい 」

この投稿がされたとき、確かに、2人は警察署の中にいました。この村に作業用の資材を購入するためにやってきた2人、路上飲酒をしていたところを、警察に事情聴取を受けて警察署に連れて行かれていたのです。事情聴取を受けた理由は、誘拐とはまったく異なっていました。

なぜ、人々はこのフェイクを信じてしまったのか。背景にあったのは、人々の「不安」でした。メキシコは、年間で推計8万件もの誘拐事件が起きています。その中で、リカルドさんたちが殺害されるこの事件が起きる数日前には、

「臓器売買目的の誘拐があった」

「15人の誘拐された子どもの遺体が発見された」

というフェイクが流れ、不安はピークに達していたのです。
そして、不安を感じる市民を煽るような動画が、事態を深刻化させていきました。

「これは誘拐犯の車だ。中には酒の瓶や鎖がある。」

「これが証拠だ 」

この動画は、まさにリカルドさんたちが警察署にいるときに撮影されたものです。車の中に入っていた作業用の鎖が、誘拐の証拠だと指摘され、市民の正義感を駆り立てていったのです。

「もうこれ以上、子どもたちの誘拐事件が起きてはいけない」
「警察が、誘拐犯を解放しないために、皆さんの支援が必要だ」

 2人が事情聴取を受けている警察署の前には、150人の人が集まってきました。そして、釈放されるやいなや、大衆は、リカルドさんとアルベルトさんを引きずり出し、殴る蹴るを繰り返したのです。そして横たわっている2人にガソリンをかけて、焼き殺すという事態にまでエスカレートしました。

息子を失った母の慟哭

取材班は、リカルドさんの母、ロザリオさんに会って話を聞くことが出来ました。

当時、ロザリオさんは、子どもたちを養うためにアメリカに出稼ぎに出ていました。
事件の直前、SNSに流れてきた息子のニュースを目の当たりにしたロザリオさんは、すぐさま「息子は無実。危害を加えないで」と投稿。しかしその声はフェイクにかき消され、悲劇が起こってしまったのです。

さらに、ロザリオさんに追い打ちをかけるように、衝撃的な事実が判明しました。実は、息子たちを殴打した大衆の中に、自分たちの親族も含まれていたというのです。「なぜこんなことが起きてしまったのか。なぜ、フェイクを信じて拡散してしまったのか。本当に分からない」と、涙ながらに話してくれました。
 
事件から2年。街には、まるで事件などなかったかのような平穏な空気が流れていました。
そう、ロザリオさん家族を除いては。ロザリオさんは、事件後、出稼ぎをしていたアメリカからメキシコに帰国。事件が起きた現場には、毎日買い物で通るたびに、当時の思い出がよみがえり、今も苦しい気持ちになると言います。
さらに、生活も追い詰められていました。故郷で仕事を探していますが、いまだに定職を見つけることができずにいます。現在、夫と、母親、二人の子どもと暮らしていますが、すでに貯金は底をつき、今後、どのように養っていけばいいか、分からないと言います。

なぜこのような事件が起きたのか。私たちは、この事件についてファクトチェックを行った地元メディアに、取材を行いました。記者のモニカ・クルズさんは、ファクトチェック動画を投稿したところ、思わぬ反応が返ってきたと言います。

「亡くなったあの青年は、車を盗むことで有名だったのよ」
「あの青年は、大学で勉強もせずに、密輸に関わっていたんだ」

その根拠を問いただすと、「そういう噂を聞いただけ」など、根も葉もないフェイクニュースを信じていたと言います。事件後、警察が「亡くなった二人は、誘拐などしていない」という声明を発表したにも関わらず、真実よりも、「フェイクニュース」を信じる人が多いという現実がありました。モニカさんは「フェイクニュースは常に感情に訴えかけます。それはほぼネガティブな感情です。誘拐犯が来たというニュースで不安が煽られている中で、“こいつが犯人だ”というフェイクニュースが、火に油を注ぐ結果となってしまったのです。だからこそ、ニュースを拡散する前に、いかに私たちが冷静になって事実かどうかの判断をすることが、何より重要なのです」と言います。

この番組は放送終了後(4/5(日)夜10時頃)~4/12(日)夜9:49まで配信します
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2020年3月31日
渡辺直美さんがネットとの付き合い方を語る【デジタルVSリアル】
NHKスペシャル「デジタルVSリアル」
第1回 フェイクに奪われる“私”
 4月5日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)
第2回 さよならプライバシー
 4月12日(日)午後9:00~9:49(総合テレビ)

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。
テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!



撮影時間は6時間。今回、渡辺直美さんは「リアルナオミ」と「デジタルナオミ」という2役を演じた。「デジタルナオミ」はCGで合成した渡辺直美さんだ。その姿を作るために、通常のカメラだけでなく体の位置をとらえるセンサーを使って、体の動きをデータで収録した。
ネットの自分と向き合って怖くなった

―― 今日の撮影はいかがでしたか?

渡辺 最新技術を使った撮影の経験があまりなかったので、できあがりがすごい楽しみです。今回は私自身とフェイクの自分という2人を演じてすごい怖くなってきました。

―― 怖くなってきたというのは?

渡辺 「ネットの自分」とか「リアルな自分」ってあまり向き合った人はいないと思うんです。今はネットから色んな情報を得るから、「ネットの自分」と「リアルな自分」というのを区別したことはなかったんです。けど、よく考えたら、ネットの自分って、リアルな自分とは違うなあって思いました。個人情報の問題だったりとか、色んな危ないこともあるなというのが勉強になりました。

―― デジタルの自分とリアルな自分の二面性を感じることはありますか?

渡辺 悲しいかな、「デジタルな自分」が本当の自分なんじゃないかなって、私は思っています。リアルって人付き合いとか仕事とかがあって、「この場はこう言った方がいい」というのがあると思うんです。ですが、自分の家に帰ってSNSやネットニュースを見ながら検索するものって、自分の奥の本当の自分が出る場所なのかなって思うんです。

―― 番組では個人の検索履歴からその人物像を暴いていくシーンがありますが、どう感じますか?

渡辺 検索履歴って、ふと思ったものが現れていますから、それは見られたくないですよね。

 前に友達にスマホを見せたときに、検索履歴がでてしまっていて、一番上に「パラレルワールド」って出ていたんです。友達は「え?何?パラレルワールド調べてるの?」って(笑)。別に変な言葉ではないんですが、自分のふとした瞬間を見られている気がして…。自分の日記を見られるのと一緒ですよね。誰にも見られていないと思って、自分の鬱憤とか書いたものをいろんな人に見られちゃうような気がしますよね。



フェイクを拡散させてしまった経験から学んでいます

―― フェイクニュースとは、どう向き合っていますか?

渡辺 私は事実を伝えるために、自分から発信することを多くしていますね。例えば友達の男性と2人で食事に行く場合、もしかしたらカップルだと思われることがあるじゃないですか。だから、そういう記事が出る前に、自分のSNSで今日は親友とご飯を食べましたって載せたりします。フェイクを事前に防止するというか。

―― フェイクにだまされない自信はありますか?

渡辺 例えば芸能ニュースなら、芸人になってラッキーだなと思うのが「あれ、本当なんですか?」と本人に聞けること。なので、自分で色々と調べたほうがいいなと思っています。だから人から聞いた話も全部調べますね。しかも1つの記事を頼りにするんじゃなくて、色んな角度からの記事を見て。本当かウソか分からないなら触れないでおこうとか、これは確実だなと思ったら、載せたりします。

 特に震災とか災害のときは、私はすごく意識しています。こういうの載せてくださいとかDMにたくさん来るんです。現地の方のDMよりも、現地にいない人からのDMがいっぱい来ます。東日本大震災のときは、ツイッターで人を助けたいからこその拡散というのがすごく多くて。私も当時、分からなくて、人を助けたいと思ってフェイクのものを拡散してしまったことが1度あるんです。そうしたら「その人はもう助かっています」とか「2日前のものです」とかあって。拡散するときは自分でちゃんと調べて、どういう情報を拡散していくのかを、そのときにすごく学びましたね。

この番組は放送終了後(4/5(日)夜10時頃)~4/12(日)夜9:49まで配信します
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2019年12月19日
フェイク情報に立ち向かう「次の一手」は?
12月19日に放送した「フェイク・バスターズ」。スタジオトークの最後に、フェイク情報に立ち向かうための「次の一手」を出演者の皆さんに書いてもらいました。番組をきっかけにバスターズ同士が「コラボしよう!」という提案も。
中田 敦彦さん


「メディアの情報は『良質だけど難解』と『分かりやすいけど雑』のどちらかになりがちだと思います。この間をうまくとるという作業ができればいい」

神田 知宏さん(弁護士)


「法律家として色々な案件を扱って裁判例や判例を作る。それによって国会に新しい法律を作ってもらう。そういう流れになればいいかなと思っています」
小木曽 健さん(ITリテラシー専門家)


「『フェイクではない情報って全部本当なんですか?』というのが、本来の情報リテラシー。お互いの意見を認め合いながら議論ができる世界にしたいです」
平 和博さん(大学教授)


「フェイク情報が拡散される背景のひとつに、メディア不信があると指摘されています。メディアがしっかりと情報を収集し、それを視聴者や読者に説明して納得してもらうことが、非常に重要だと思います」
葉山 潤奈さん(芸能事務所社長/YouTuber)


「自分が発信できるところで、自分の言葉で落とし込んで分かりやすく発信していきたい。この番組にたどり着かないかもしれないユーザーに呼び掛けをして、見てもらうこととか、そういうことができればいいなと思っています」
山本 健人さん(外科医)


「SNSで情報啓発しても医療に興味がない方には届いていない状況です。中田さんや潤奈さんのようなエンターテインメントのプロと、コラボレーションというか力をお借りしたいと思います」

バスターズの皆さん、本当にありがとうございました!
#フェイクバスターズ
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2019年12月19日
番組ダイジェスト④ SNSのワナ “エコーチェンバー“
★あわせてこちらも★
番組ダイジェスト① 誰もが被害者・加害者に…
番組ダイジェスト② ディープフェイク動画の脅威
番組ダイジェスト③ ネットの医療情報 どう見分ける?

出演者:
MC 中田敦彦さん(オリエンタルラジオ・YouTuber) 葉山潤奈さん(芸能事務所社長・YouTuber) 山本健人さん(外科医) 神田知宏さん(弁護士) 小木曽健さん(ITリテラシー専門家) 平和博さん(桜美林大学教授)

SNSのワナ “エコーチェンバー” どうすれば抜け出せる
不確かな情報を信じてしまうきっかけ。普段使っているSNSにも落とし穴がある。同じ考えの人同士がSNSでつながると、目にする情報が偏ってしまいがちだ。こうした閉鎖的な空間は「エコーチェンバー」と呼ばれ、誤った情報でも信じ込みやすくなる危険がある。

山本亜希子さん(仮名)
「ワクチンは打たない主義でいたんです。フェイスブックとか見てたらそういうのが出てきて、打たないっていう選択肢もあるんだなと思って」

山本さんは、国が乳幼児に推奨するワクチンを、幼い次男に受けさせなかった。「ワクチンは危険」という情報ばかりを信じこんだためだ。出産するまでシステムエンジニアとして働き、自分はネットの世界に詳しいと思っていた山本さん。エコーチェンバーに陥ったきっかけは、子育てサークルの友人に「ワクチンには危険な成分が含まれている」と言われたことだった。

ちょうど引っ越した直後で、さらに夫の単身赴任が重なった時期。子育ての不安を受け止めてくれるのはサークル仲間だけ。山本さんはSNSにかじりついた。その話題の中心はワクチンだった。



山本さん
「どんどん出てきてそれが毎日続いて、ずっと情報入れていたという感じですね。信じてしまったかなと」

その山本さんが、エコーチェンバーから抜け出したきっかけは何だったのか。

山本さん
「大きなきっかけになったのは仕事を始めたこと。普通にワクチンを打ってるママさんとお話したり。全然違う環境なので、あれ?ってなって」




山本さん
「『おかしいと思うよね』『ちゃんと聞いてくれる?』とか何回も何回も言ってくるので。すごく心配してくれてるんだなっていうのが感じ取れたので、だんだん耳を傾けて真面目に受け取るようになっていって。『そう言われると、そういう気もするな』と」



大阪大学大学院の大竹文雄教授。経済学の視点から、人の思考の『癖』を分析。よりよい意思決定を行えるような仕組みを研究している。山本さんが異なる意見にも耳を傾けるようになったのは、「同僚たちの接し方」に理由があるという。

大竹教授
「同僚の方も『お子さんの健康を心配している』という共通の目的を持って説得されている。それを山本さんが理解されたというのが第一歩だったと思います。『あなたの信念が間違っている』と言おうとしている訳じゃない、と入っていかないと信じている人を説得するのは難しいと思います」

自分の考えに疑問を持ち始めた山本さん。改めてワクチンについて調べることにした。すると、これまでは素通りしていた科学的根拠に基づいた情報が次々と目に入ってきた。ワクチンには副反応のリスクがあるものの、それを上回るメリットがあると感じるようになった。特に、目をひいたコメントがある。

『周りの人の多くがワクチンを受けていると受けていない人も守られます』

世の中には病気やアレルギーなどでワクチンを打ちたくても打てない子どもたちがいる。自分の子どもにワクチンを打つことで、こうした子どもたちをウイルスなどから守ることができるというのだ。



山本さん
「自分の子どものことも、一緒に集団生活している他のお子さんたちのことも守ることができる。すごく腑に落ちたというか納得して『打とう』って思いました」

ワクチンに対する考えが大きく変わった山本さん。次男のワクチン接種を再開した。

大竹教授
「周りの人にどんな影響を与えるを考えると人の行動は変わると思います。良い行動を取れば、周りの人にもメリットがあると認識すると、やはりより良い行動を取りたいと多くの人は思います」





★放送では詳しくお伝えできなかった、バスターズたちの「次の一手」はこちらをご覧ください。
#SNS#フェイクバスターズ
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2019年12月19日
番組ダイジェスト③ ネットの医療情報 どう見分ける?
★あわせてこちらも★
番組ダイジェスト① 誰もが被害者・加害者に…
番組ダイジェスト② ディープフェイク動画の脅威
出演者:
MC 中田敦彦さん(オリエンタルラジオ・YouTuber) 葉山潤奈さん(芸能事務所社長・YouTuber) 山本健人さん(外科医) 神田知宏さん(弁護士) 小木曽健さん(ITリテラシー専門家) 平和博さん(桜美林大学教授)

あなたや家族に体調の異変が起きたとき、症状や治療法をネット検索していませんか?日本医科大の研究チームがネット上のがんについての情報を調査した結果、診療ガイドラインに基づくなど、医学的に信頼できるサイトはわずか1割しかなかったと報告しています。あなたが検索で見つけた情報、もしかしたら人生を狂わせることになるかもしれません。
夫が末期がんに ネットの情報信じた結果…


轟浩美さん
「500万以上かかってますよね。こんなにやっていたんだと思うと書いていて悲しくなります…。」

轟さんは、3年前に夫をがんで失った。がんと告知された後、ネットで見つけた「がんに効果がある」とうたわれた多くの方法を試した。その数、15種類以上。





轟さん
「そのときエビデンスって言葉をたくさん言われて。エビデンスって何?エビ?って。言ってることはただ一つ、『助けられない』って言うことなんだっていうことしか分からなかった。もう突き放されたんだって思って」



轟さん
「検索のときに『がん』と入力すると、サジェスト(予測変換)で『治る』とか『消える』って出てくるんです。それで、ああそうか、ここに諦めない人がいるじゃないかと。自分の聞きたい言葉を言ってる情報を信じちゃうっていう」

轟さんが最ものめり込んだもの。それは、にんじんジュースだ。アメリカで治療法が存在しているという情報を、ネットで目にしたのがきっかけだった。

轟さん
「夫に背を向けて、ずっとニンジンジュースを作り続けてるって日々が続いたんです。毎日朝昼晩って。もう狂ってきちゃってるので、冷蔵庫を開けると全部ニンジンなんですよ。50本くらい入ってるんじゃないですか」

街を歩いていても、気づけばがんの治療法を探していた。



一度抜いた血液にオゾンを混ぜ、体内に戻すという「血液クレンジング」。そこで待っていたのは、医師の優しい言葉。ここで30万円を費やした。



島根大学医学部の大野智教授。厚生労働省の研究班として、さまざまな医療情報の科学的根拠を調査してきた。轟さんが試したものは「補完代替療法」と呼ばれ、大野医師によるとその市場規模は今、推計で年間2兆円近くに達しているという。(※1)
特に最近では、比較的若い世代がネット検索をきっかけにのめり込むケースが多いという。(※2)

大野医師
「がん患者さんあるいはご家族は、不安でたまらない。そこにちょっと救いの手を差し伸べるかのように商品を持っていけば、手間をかけずに売れるというような状況がある。」

去年、世界的な医学雑誌に掲載された論文がある。補完代替療法を利用する患者は、利用しない患者よりも、国の保険が適用される標準治療を拒否する人が多いため、生存期間が短くなると報告されている。(※3)

大野医師
「生活の質を少し改善してくれる、少し良くしてくれるって意味では、補完代替療法が少し役立つ場面ってのもあるかもしれない、というような考え方も最近言われてはいるんですけども、ガンを治すっていう意味では補完代替療法で効果が証明されたものはひとつもない」

轟さんのもとには、知人や友人からも、さまざまな情報が寄せられ、そのほとんどを試した。ところが、夫の体調は悪化していく一方。主治医からは、「この体調では抗がん剤を投与できない」と告げられた。それでも轟さんは、食欲もなくなった夫に、にんじんジュースを作り続けていた。



轟さん
「きっともう耐えられなかったんだと思うんです。私が狂ったようになってる姿を見るのもつらいし。夫の名誉のために言いますと、夫は何も信じてませんでした。とにかく、抗がん剤だけをやりたかったんです」

思わず家を飛び出した轟さん。一晩中外を歩く中、自分が情報に踊らされ、夫の求めるものに頭が回らなくなっていたことに気づいた。この日を境に、轟さんは試していたすべての補完代替療法をやめた。
不確かな医療情報 どうすれば見分けられる?
潤奈:私の父親はあれやってるんですよ、血液クレンジング。心臓がすごい弱くて手術に耐えられないから「この治療法しかない」という勧められ方をして。

けいゆう:代替療法を完全に否定するつもりはないです。そういうものに希望を見いだして治療意欲を高める方もいます。希望を奪ってしまう権利は我々にはないです。ただ標準治療を否定したり、標準治療を受ける機会を奪ってしまうものに傾倒してしまうことだけは避けてほしい。

山本健人(やまもと・たけひと)。またの名を、「外科医けいゆう」。
消化器専門の外科医として手術、外来、がんの治療研究などを行うかたわら、ネットで、根拠のある医療情報を発信。ツイッター、ブログ、ユーチューブを駆使し、誤解されがちな医療情報をわかりやすく解説している。


けいゆう:完全に信じ込む人というのは、すごく情報収集力が高かったり頭が良かったりするんですよ。自分で一生懸命調べて、努力をして情報を集めて行き着いた結論というのは、本人にとっては揺るぎないんですよね。

中田:VTRで経験を語ってくださった轟さんにもお越しいただきました。外側から見ていると、「それが効くのか」という疑う目線で見ることはできるんですけど、どうして疑えずにのめり込んでしまったとお思いですか?

轟:今から思うと、検索で表示されたところに小さく「広告」と付いてるんですけど、そんなものは目に入らないし、検索の順番がエビデンスがあるものから順に並んでるんだと思ったので。ページの下の方に表示されるものは信頼できなくて、上の方にあるものが信頼できると思い、すがりました。

小木曽:検索って、すごくフラットに見ているように見せかけて、自分が欲しい情報にどんどん近付いていくんですよ。がんの標準治療がどれだけ信用できるのか、というところにはいかないんですね。医療に関してはネット検索はしない方がいいと思います。病院を調べるとか、標準治療の知識を得るためにはネットは非常に有効ですけれども。

中田:けいゆうさん、がん治療とか健康情報があまりにも色々な情報が飛び交ってるじゃないですか。科学的根拠というのはそもそも何なんですか?

けいゆう:科学的根拠という言葉がそもそも難しいんですけど…。



けいゆうさんが取り出したのは、お医者さんにとっては常識というこちらの図。難しい専門用語が並んでいるが、簡単に言うと、ピラミッドの上に行くほど医学的に信頼度が高くなることを表しているという。国の保険が適用される治療は、たくさんの研究や検証に基づいているので上の部分に限られている。逆に一番下、具体的なデータに基づかない意見は、たとえお医者さんの言葉でも信頼性が低い、というのが医学の常識だという。

けいゆう:「白、黒」「ある、ない」「効く、効かない」の2択ではなくて、医療の難しいところは、そこがグラデーションになっていること。どの程度「白寄り」なのかを調べるのが医療の歴史。

中田:真っ黒っぽいものから、ちょっと濃いめのグレーとか色々混ざってるから、難しい。

けいゆう:我々としては、科学に誠実であればあるほど「あなたを絶対に治します」とは言えないんですよ。

中田:だから冷たく映っちゃうんだ。

轟:(情報を集めるために)最初に行ったのは図書館なんです。がんのコーナーに並んでいるものはほとんどが体験談なんですね。「こうやって私は末期のがんを克服した」とかというのが並んでいた。

中田:テレビでもよくやってますよね?これをやると健康にいいとか。

けいゆう:テレビも同じですよね、同罪というか。だから、そういう情報を発信するのであれば、出典を明示しないといけない。どの程度の根拠があるのか。何を参考にしてつくったのかということですよね。

中田:いわゆるエビデンス、証拠、正確性、そういうもののためにプロのお医者さんたちはいろんな論文や実験を裏付けにしているけど、毎週画期的な情報をオンエアしているその番組は、一体どこにエビデンスがあるんだと。そういうことですね?

けいゆう:はい。攻めてますね(笑)。

中田:テレビ…!!



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番組ダイジェスト④ SNSのワナ “エコーチェンバー”

(※1)「Hyodo et al. Journal of Clinical Oncology 23;2645-54,2005」 を元に推計
(※2)厚生労働省がん研究助成金「我が国におけるがんの代替療法に関する研究」より考察
(※3)出典:Johnson SB, et al. JAMA Oncology2018;4(10):1375-1381
#SNS#医療#フェイクバスターズ
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2019年12月19日
番組ダイジェスト② ディープフェイク動画の脅威
★あわせてこちらも★
番組ダイジェスト① 誰もが被害者・加害者に…
出演者:
MC中田敦彦さん(オリエンタルラジオ・YouTuber) 葉山潤奈さん(芸能事務所社長・YouTuber) 山本健人さん(外科医) 神田知宏さん(弁護士) 小木曽健さん(ITリテラシー専門家) 平和博さん(桜美林大学教授)
最新AIで「顔」だけが… ディープフェイク動画
つづいては、最新のAI技術によって生み出されたフェイク動画について。 顔の部分だけを別の動画に合成した「ディープフェイク動画」と呼ばれているものが、いま世界中で次々に作られている。

中田:面白いけど、ものすごい精巧作られたら被害は相当大きいですね。こんなことできると思ってないですもん。

平:今から2年ぐらい前に、アメリカの大手のネット掲示板から出てきたものなんです。そのとき“ディープフェイクス”というハンドル名を使った人が、AIを使ってハリウッドの女優さんの顔をポルノ動画に合成しちゃった。

中田:写真ではなく動画でそれを…?
ディープフェイク動画 「ポルノ被害」が急増中


オーストラリアに住むこの女性。以前から自分の顔を使った「偽のポルノ写真」が拡散される被害に悩まされてきた。サイト運営会社に削除申請をするなど対策に追われてきたが、去年、写真に加え動画も拡散されているのに気づいた。

ノエルさん
「ショックでした。何が起きているのか全く分かりませんでした。吐き気がしました。とにかく怖かったんです」



ディープフェイクによる「ポルノ動画」だった。ノエルさんがSNSにあげていた動画を、誰かが別のポルノ動画と合成したものとみられる。すでに3万回近く再生されている。

ノエルさん
「将来パートナーができたら、まず被害について話すことになるでしょう。悲しいことに私の裸のフェイク動画が世界中に流れてしまっているのですから」

オランダのサイバーセキュリティ会社の最新調査によると、これまでネット上で確認された「ディープフェイク動画」のうち、実に96%がこうした「ポルノ動画」だという。ディープフェイクの脅威に、我々は、どう向き合えばいいのか。



中田:一般の人をディープフェイク動画にして、デマとして拡散してしまう。そういうことも日本でも起こり得る?

小木曽:起こり得ると思います。このスピード感でいうと。

潤奈:非常にやばい時代ですよね。非常にやばい。

中田:どうしたらいいんだろう。ディープフェイク動画をそもそも作られないためには何かできないんですか。

平:これは難しいですよね。一切、自分の画像(動画)をネットに上げない。

中田:私ユーチューブを毎日投稿している。何百本出していると思うんですか!手遅れじゃないですか
ディープフェイク動画 AIで被害は防げるか
AI技術が生んだ、ディープフェイク動画。その対策の鍵を握るのもAIだ。去年、ネット上で公開されたオバマ前大統領のディープフェイク動画。実際には行っていない、トランプ大統領を「ののしる」演説をしている。一見しただけでは分からないが、瞬きの回数が少ないなど、本物と比較すると不自然な箇所があるという。
ロサンゼルスにあるシステム開発会社では、人の目では見抜けない、こうしたわずかな違いをAIに判別させようとしている。本物の映像を解析し、顔の動きなどの特徴を学習させている。研究の中心となっているのは日本人エンジニアだ。

日本人エンジニア
「例えば口がどれくらい開いているか、瞬きをどれくらいの頻度でするかなど、全部で20個くらいの特徴が相互にどういう相関があるかを解析すると、本物か偽物かを見分けることができる」

まだ開発段階だが、政府機関などからも複数の問い合わせがあるという。
フェイク動画 政治利用の危険も
平:例えばフェイスブック、グーグル、ツイッター、マイクロソフトなどのIT企業が、フェイク動画を拡散する前に検知して、排除しようというような取り組みも出始めています。その背景には、この技術が政治的に使われる可能性もあるというのが一つ。政治的に対立している相手が、発言していないようなことを発言させる。実際にインドでは、政権に批判的な女性ジャーナリストの顔をポルノ動画に貼り付けて、ネットで拡散させるということも起きているんですね。

中田:恐ろしい社会ですね。政権側の動きでそうさせられているってことですか?

平:恐らく政権の支持者が、そういうことをしてるんじゃないかと思いますけれども。

けいゆう:技術の進歩で確実に本物に近づいてくる。それを止めることはできないですが拡散するのは人間なので。だからまずは「そういう技術が存在する」ことを知ることが大事ですよね。医療も全く一緒なんですけど、見る側のリテラシーが高まっていくことで拡散は食い止められるのかな。僕ら今までこういう技術があることを全く知らなかったので、全く無防備というか100パーセント信じちゃう。

中田:「こういうものがあるんだよ」という理解があると、ディープフェイク動画かもしれないという目線を、みんなが持てるわけですね。

デジタル時代のバスターズノート。



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番組ダイジェスト③ ネットの医療情報 どう見分ける?
#SNS#ディープフェイク#フェイクバスターズ
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2019年12月19日
番組ダイジェスト① 誰もが被害者・加害者に…
「フェイク・バスターズ」それは、現代社会にはびこるフェイク情報と、日々戦っている人々のこと。「デマの拡散を防ぐ方法はある?」「正しい医療情報の見分け方は?」「最新フェイク動画は見破れる?」などをテーマに、オリエンタルラジオ・中田敦彦さんが、弁護士や医師などの専門家と徹底討論。フェイク情報の被害者・加害者にならないための“新常識”とは!?

出演者:
MC 中田敦彦さん(オリエンタルラジオ・YouTuber) 葉山潤奈さん(芸能事務所社長・YouTuber) 山本健人さん(外科医) 神田知宏さん(弁護士) 小木曽健さん(ITリテラシー専門家) 平和博さん(桜美林大学教授)
ネットのデマやフェイク情報 誰もが被害者・加害者に
中田:ネット上のデマやソースが分からない情報を毎日目にするけど、何が本当なのか何を信じたらいいのか困ってるという方も多いと思うんです。そこで今日は、色々なフェイク情報と戦っている5人の「バスターズ」と一緒に、自分の身を守る具体的な方法を考えていきたいと思います。
番組では、フェイク情報で人生を狂わされてしまったという人たちを取材しています。まずは、全く身に覚えがないのに事件の犯人だというデマを流されてしまった、ある女性の体験です。
ある日突然“犯人”に 被害者の告白
笹原さん
「笹原です。仕事は、WEB制作だったり、デザイン作成をしています。ことしの8月に根拠のないデマ情報の拡散で被害に遭いました」





その翌朝。SNSのコメント欄を見ると…
「出頭しろ」「殺したろか」「ガラケー女、謝って」



ニュースで伝えられていた「常磐道あおり運転事件」。暴行する男の隣で、携帯電話で写真を撮る女が、笹原さんだというデマが流れていた。「服装や顔の輪郭が少し似ている」「笹原さんのSNSが男にフォローされていた」というのが理由だった。全く身に覚えのないこのデマは、リツイートやシェアによって一気に拡散。一晩で犯罪者に仕立て上げられた。笹原さんのSNSアカウントにも、デマを信じた人たちから人格を否定するようなダイレクトメッセージが殺到。その数は1000件を超えた。

笹原さん
「『死ね』『殺す』『家から出たらどうなるか分かっているな』とか。それを見て、外へ買い物に行ったら隣の人かもしれないという怖さはありました。ここまで人を攻撃できる人たちに対しての恐怖でした」



小沢一仁弁護士
「笹原さんからの電話で『どうしたらいいか分からないからアドバイスが欲しい』と。いったん広まると元に戻すのは大変。『なるべく早く正式なものを出した方が良いでしょう』と話したら、『私もそう思います』と」

ネットの炎上案件を数多く扱ってきた小沢弁護士。これまでの経験から「デマは強く否定することが何よりも大事」だと考えていた。笹原さんから電話を受けたその日に「声明文」を作り、笹原さんの会社のホームページですぐさま公開した。

「当該情報は、全く事実無根のものです」
「笹原の名誉権を、著しく侵害するものです」

すると、狙い通り書き込みを削除する動きが相次いだ。

小沢一仁弁護士
「第1段階としてはあのタイミングで結構消えた感じ。その次はやっぱり記者会見。『本人ではない』ことを正式な場でもう1回明確にしておく必要があると思った」

記者会見を提案した小沢弁護士。削除された投稿はまだ一部に過ぎず、残りの膨大な量を消すには、次の一手が必要だと考えたのだ。炎上から6日後。笹原さんの顔を撮影しないことを条件に、2人は記者会見に臨んだ。






これが事態をさらに大きく動かす。すぐに300通を超える謝罪のメールが送られてきたのだ。

特に悪質な投稿をした人に対しては慰謝料を請求、和解が成立した。デマの書き込みはほとんど削除され、いまは検索にもヒットしなくなっている。

笹原さん
「ものすごく嫌ではありましたけど、記者会見はやって良かったと思います。“デジタルタトゥー”って言いいますけど、あんなに一気に消えるんだと思った。手のひらを返したように謝ってきて、人間の二面性みたいなものをすごく実感しました」

炎上から4か月。笹原さんと小沢弁護士はいま、謝罪の連絡がない数百人を相手に訴訟をおこす準備を進めている。もし、あなたが同じような被害にあったら、どうすればいいのか。

もしあなたが被害者になったら
中田:潤奈さんも同じように完全なデマを流されて、否定したんですよね?

潤奈:そうです。ネットニュースに色々なスレッド立っちゃって。その頃ツイッターで10万人ぐらいフォロワーがいたんですけど、1万人ぐらい消えたんですよ。

葉山潤奈。芸能事務所社長、歌手、アパレル経営など多彩な顔を持つ。ユーチューバーとしてもチャンネル登録者数は20万人。そんな彼女がネットデマの被害にあったのは2年前。事故で愛犬を失った際、「犬を殺し、骨を販売した」というデマや偽画像を拡散されたのだ。その経験から、デマ被害にあった若者たちの相談に乗っている。

潤奈:応援してくださる人が減ったのもそうですし、実際に商売にもすごい響きました。決まっていた仕事もなくなりましたし。動物愛護団体とかに通報されて「二度と犬を飼うな」みたいな。弁護士の先生にお願いして削除依頼と謝罪文をいただけないかやったんですが、記者会見とまではいかなかった。

中田:VTRで取材した笹原さんが来てくれています。まだ闘いは終わってないっていうことですよね?

笹原:今回私の場合、拡散が10万件超えてると言われていて。

中田:すごいですね、10万件なんて僕リツイートされたことないですよ。どれだけ発信したって。

笹原:どこかで誰かがやらないと、また同じことが起きたときに同じ進め方をされてしまう。被害者も加害者も何も学ばない。誰かがやるしかないなら私がやってもいいのかなと思いました。

中田:泣き寝入りした前例にはなりたくないと。

潤奈:犯人の特定ってめちゃくちゃ難しいですよね。特定できました?

笹原:今、調べてる最中です。

中田:まだかかってるんだ。難しいんですかそんなに?

潤奈:私、特定できなかったんです。

神田:見つけたら早く動かないと、誰が書いたか特定できなくなるんです。3カ月、6カ月という時間的な制約があるのでなかなかたどり着かないですね。

ネット炎上に関する案件を数多く扱っている神田知宏弁護士によると、匿名で書き込みをした人を特定し訴えるにはスピードがとても重要だという。多くの携帯電話会社やプロバイダは、ユーザーのアクセス履歴を3か月から6か月しか保存していないからだ。データが消されてしまうと、相手を訴えることはとても難しくなる。

中田:弁護士さんに相談しようと思えず、右往左往して自分で悩んでしまう人も多いんじゃないですか?

神田:来るまでに時間がかかってる人は多いと思います。ネットの問題を扱ってる弁護士は非常に増えていますけど、「ネットで悪口書かれたから弁護士のところに行こう」という人は、そんなに多くはないと思います。

中田:かかる費用もかなり大きいですよね。お金がない人はどうしたらいいんですか?

小木曽:かわいそうなのが、こういうのって子どもが多いんですよ。デマ情報に直面してるのって。

ITリテラシーの専門家・小木曽健。年に300回以上、全国の学校や企業などで講演を行い、ネット炎上の被害者・加害者にならない方法を教えている。デマの拡散を止めるため、お金がなくても「自分で出来る対策」があるという。

小木曽:自分のSNSアカウントのトップに「警察関係・法律関係の方に相談して対応中です」と書かせるんですね。嫌がらせしてる子たちは、本人が困ってるのを見たがるんですよ。だから絶対それを見てびっくりしてバーッと消します。SNS上で「ミニ記者会見」をやっちゃうんです。



リツイートだけで慰謝料も デマ加害者にならないために

中田:リツイートって色々な人がやるじゃないですか。

小木曽:根っこの部分には「情報発信に責任があるということを、みんなが知らな過ぎる」ということがある。正義感とか善意、悪意はどうでもいいんですよ。これは全部情報発信です。そして全部責任があるんです。

平:スマホでポチッと押すだけだから些細なことだとつい思ってしまうんですけれども、それによって、間違えたときの影響力というのもある。例えば「新聞が誤報を出す」「テレビが間違ったニュースを流す」のと同じぐらいの影響を与えてしまうんだ、ということがどうしても体感として理解できてないところはあるのかもしれない。

小木曽:言ってみれば、みんながネット使い始めたのは長くても20年ちょっとなんです。みんな「二十歳過ぎの青二才」がネットを使っているのが今の地球の状況ですよね。

中田:みんな初心者マークの自動車みたいなものなんですね。

平:リツイートする人の6割が、(記事の見出しだけで)中身を見ないでリツイートしてるという…

中田:僕それで一回、先輩芸人さんとちょっともめましたもん。ユーチューブをやってるカジサック(キングコング・梶原)さんのことを「批判した」みたいな記事が出たんですよ。ネットニュースやネット記事って、タイトルだけ激しくて中身はそうでもないということがある。タイトルだけ読んでリツイートしてる人、めちゃくちゃ多いんですよ。

平:それが6割。

中田:カジサックさんその6割に入っちゃってたんですよ。それで怒っちゃったんですから(笑)

デマを拡散した場合、被害者に慰謝料を請求されることも増えている。いくらくらいになるのか?

神田:悪質であれば慰謝料は30万円、50万円、70万円どれかになると思います。先日、判決があったものも、リツイートした人への慰謝料請求は30万円でした。

中田。なるほど、そういう時代になってきてるんですね。

潤奈:加害者にも被害者だけでなく、何もしない人たちもどうなんだろって、すごい疑問に思ってたりして…。「この情報、どう考えたっておかしいでしょ」っていう一言を発する人がいない。

中田:リツイートしたり罵詈雑言を浴びせてくる人たちに対して、「それは違うよ」って言ってくれる人がいたら助かりますよね。



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番組ダイジェスト② ディープフェイク動画の脅威
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2019年12月17日
もしかしたらあなたも…?医療情報ネット検索の落とし穴
あなたや家族に体調の異変が起きたとき、症状や治療法をネット検索していませんか?日本医科大の研究チームがネット上のがんについての情報を調査した結果、診療ガイドラインに基づくなど、医学的に信頼できるサイトはわずか1割しかなかったと報告しています。あなたが検索で見つけた情報、もしかしたら人生を狂わせることになるかもしれません。

★12月19日(木)放送「フェイク・バスターズ」の内容を、特別に少しだけご紹介します。

轟浩美さん
「500万以上かかってますよね。こんなにやっていたんだと思うと書いていて悲しくなります…」

轟さんは、3年前に夫をがんで失った。がんと告知された後、ネットで見つけた「がんに効果がある」とうたわれた多くの方法を試した。その数、15種類以上。

始まりは、6年前の12月。





轟さん
「『助けられない』って言うことなんだっていうことしか分からなかった。もう突き放されたんだって思って」





轟さん
「検索のときに『がん』と入力すると、サジェスト(予測変換)で『治る』とか『消える』って出てくるんです。それで、ああそうか、ここに諦めない人がいるじゃないかと。自分の聞きたい言葉を言ってる情報を信じちゃうっていう」

轟さんが最ものめり込んだもの。それは、にんじんジュースだ。アメリカで治療法が存在しているという情報を、ネットで目にしたのがきっかけだった。

轟さん
「夫に背を向けて、ずっとニンジンジュースを作り続けてるって日々が続いたんです。毎日朝昼晩って。もう狂ってきちゃってるので、冷蔵庫を開けると全部ニンジンなんですよ。50本くらい入ってるんじゃないですか」

街を歩いていても、気づけばがんの治療法を探していた。

一度抜いた血液にオゾンを混ぜ、体内に戻すという「血液クレンジング」。そこで待っていたのは、医師の優しい言葉。ここで30万円を費やした。



医師の大野智さん。厚生労働省の研究班として、さまざまな医療情報の科学的根拠を調査してきた。轟さんが試したものは、補完代替療法と呼ばれるもので、大野によると、その市場規模は今、推計で年間2兆円近くに達しているという。(※1)
特に最近では、比較的若い世代が、ネット検索をきっかけにのめり込むケースが多いという。(※2)



医師・大野さん
「がん患者さんあるいはご家族は、もう不安でたまらない。そこにちょっと救いの手を差し伸べるかのように商品を持っていけば、手間をかけずに売れるというような状況がある」

去年、世界的な医学雑誌に掲載された論文がある。補完代替療法を利用する患者は、利用しない患者よりも、国の保険が適用される標準治療を拒否する人が多いため、生存期間が短くなると報告されている。(※3)

医師・大野さん
「生活の質を少し改善してくれる、少し良くしてくれるって意味では、補完代替療法が少し役立つ場面ってのもあるかもしれない、というような考え方も最近言われてはいるんですけども、ガンを治すっていう意味では補完代替療法で効果が証明されたものはひとつもない」



轟さんのもとには、知人や友人からも、さまざまな情報が寄せられ、そのほとんどを試した。ところが、夫の体調は、悪化していく一方。主治医からは、「この体調では抗がん剤を投与できない」と告げられた。それでも轟さんは、食欲もなくなった夫に、にんじんジュースを作り続けていた。



轟さん
「きっともう耐えられなかったんだと思うんです。私が狂ったようになってる姿を見るのもつらいし。夫の名誉のために言いますと、夫は何も信じてませんでした。とにかく、抗がん剤だけをやりたかったんです」

思わず家を飛び出した轟さん。一晩中外を歩く中、自分が情報に踊らされ、夫の求めるものに頭が回らなくなっていたことに気づいた。この日を境に、轟さんは試していたすべての補完代替療法をやめた。

ネットにあふれる根拠のない医療情報、一体どう見極めればいいのか。
12月19日放送の「フェイク・バスターズ」でオリラジ・中田敦彦さんが専門家と議論します。ぜひご覧ください。
「番組の放送予定」

(※1)「Hyodo et al. Journal of Clinical Oncology 23;2645-54,2005」 を元に推計
(※2)厚生労働省がん研究助成金「我が国におけるがんの代替療法に関する研究」より考察
(※3)出典:Johnson SB, et al. JAMA Oncology2018;4(10):1375-1381

#SNS#医療#フェイクバスターズ
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2019年12月17日
命に関わる“震災デマ” 惑わされないための3つのポイント
ネット上のデマやフェイク情報と戦う“バスターズ”、小木曽健さん。大手IT企業の情報教育部門の責任者を務めていて、「SNSとの向き合い方」や「ネットで失敗しない方法」などをテーマに、年間300回以上の講演を行っています。ITリテラシーの専門家として、全国の学校や企業、官公庁から依頼が殺到しています。

いま小木曽さんがもっとも危機感を持っているのが、地震などの災害時に出回る「震災デマ」。間違った情報を多くの人が信じ、拡散されることで、避難や救助の妨げになる可能性があるからです。今回は“震災デマ”に惑わされないための心得について、小木曽さんが寄稿してくれました。


震災デマは怖くない
2011年の東日本大震災の頃から、少しずつ見かけるようになった「震災デマ」。最近では大きな災害が起きると、必ずと言ってよいほど、フェイク情報が投稿されますが、震災デマは「明らかなウソ・間違い」の代表選手です。2016年の熊本地震では「動物園からライオンが逃げた!」という震災デマが拡散しました。実は震災デマって、手順を踏んで確認すれば、すぐにフェイクを見破れるんですよ。

その①:科学的にあり得ない
 「明日、大地震が発生するらしい」
 「今回の地震は●●の陰謀」

言うまでもなく、地震の発生を、事前に正確に予知できる人、意図的に地震を引き起こせる人は、地球上にいません。冷静に考えれば、すぐに分かるレベルの話ですが、災害時には冷静さを失いがち。こういったフェイク情報には、当たり前の科学的知識で冷静に対処して下さい。慌てて拡散させると、あなたが恥をかくのはもちろん、多くの人に迷惑をかけることになります。

その②:情報源が曖昧、その後の続報がない
 「友人から連絡あり。●●駅で電車が転覆したらしい」
 「●●地区は今夜から断水。自衛隊から聞きました」

こうした書き込みは、一見、情報源が明確のように見え「あの人にも教えてあげよう」という親切心から拡散したくなります。しかし、「●●から聞いた」「現場に居合わせた人からの伝聞」は必ずしも正確な情報源とはいえません。
そもそも大きな事故や重要な情報には、運営会社や行政からのアナウンスが必ず存在しますから、それらの「情報源」が書かれていなければ高確率でフェイク情報。たとえ現場に居合わせた一般の人からの情報のほうが早くても、そのすぐ後に、正式な発表がされるはずです。いつまで待っても「正式発表」がされないものは、やはり高確率でフェイク情報です。

その③:画像付き
 「●●スーパーが燃えてる!」(デパート火災の画像)
 「動物園から動物が逃げたぞ!」(動物が逃げ出している画像)

私たちは、なぜか「画像」が添えられているだけで、その情報を信じてしまいがちです。だから、「それっぽい画像が添えられたフェイク情報」は相当たちが悪いのです。だって信用させる為、拡散させる為に、わざわざそれっぽいニセ画像を添付しているんですよ。もし拡散して大きな問題になったとき、「悪気はなかった」なんて言い訳は通用しないでしょう。熊本地震の「ライオンが逃げた!」というフェイク情報にも、ライオンが町中を歩く写真が添えられていました。

でも安心してください。悪質な「画像フェイク」は、最も白黒つけやすいフェイク情報でもあります。この手の画像フェイクで使われているのは、たいていネット上から適当に拾ってきたもの。だったらその逆の作業をすれば良いのです。

ちょっと怪しい、と感じた投稿に画像が添付されていたら、その画像を検索エンジンで「画像検索」してみて下さい。すぐに元ネタとなった「全く無関係の画像」が見つかるでしょう。無関係の画像が添付された情報なんて、100%フェイクに決まっています。だから白黒つけやすいんです。

熊本地震の「ライオンが逃げた!」という投稿でも、「南アフリカの街中で撮影された映画のロケ風景」を勝手に使っていました。

震災時に出回る様々なフェイク情報には、慌てず落ち着いて、この①②③チェックで対処して下さい。卑劣なフェイク情報に負けてはいけません。


小木曽さんの著書より引用


震災デマは、極めて違法性が高く、しかも多くの人命にかかわる深刻なフェイク情報です。そのせいで、必要のない「問合せ対応」や「安全確認」に費やされる稼働が発生し、消防や救急などの緊急対応に支障が出る可能性もあるからです。また、そのデマを単に「リツイート」「転載・転送」しただけでも、場合によっては責任を問われることがあります。
情報リテラシーとは「読解力」・「記述力」
そもそもリテラシーとは「読解力」「記述力」という意味。情報リテラシーは、情報の本質を理解し、その情報を適切に使うことができる能力と言えるでしょう。フェイク情報と戦うためには、この「情報リテラシー」が必要なのです。「フェイク・バスターズ」という番組をきっかけに、多くの方が「情報リテラシー」に興味を持ってほしい、そう強く願っています。

小木曽さんへのメッセージや聞きたいことなど、ぜひコメント欄に書き込んでください!

★小木曽さんには、この他にもITリテラシーで重要な「疑似相関」や子どものスマホのフィルタリング機能についても教えていただいたので、またご紹介したいと思います。

★小木曽さんが出演する「フェイク・バスターズ」は12月19日(木)夜10時半から放送します。 詳しくは「番組の放送予定」 をご覧ください。
#SNS#震災デマ#フェイクバスターズ
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2019年12月16日
AIが作る「ディープフェイク動画」アメリカで脅威の理由
メディア論の研究をしている桜美林大学の平和博教授は、本人曰く「“フェイクニュース”の収集家」。国内国外を問わず、ネット上に拡散した様々なデマやフェイク情報について分析しています。その平さんがいま強い危機感を抱いているのが、最新のAI技術によって作られた「ディープフェイクス(ディープフェイク※)動画」の急増です。いったい何が起きているんでしょうか?



「ディープフェイクス動画」とは、ある動画の顔部分だけを、他の動画と合成した「偽動画」です。最新のAI技術によって、表情の動きなどもきわめて精巧に作られていて、合成と見破るのはきわめて困難です。平さんによると2年ほど前から、ディープフェイクス動画による被害が急増しているというのです。

知っておきたい ディープフェイクス動画から身を守るには
Q どんな被害が出ているの?
ほとんどは「ポルノ」による被害です。実在するポルノ動画の顔の部分だけを、全く別の女性の顔にすげ替え、拡散するのです。その女性を狙った嫌がらせやリベンジポルノなどに使われていて、各国で被害者が相次いでいます。日本でも、芸能人のディープフェイクスのポルノ動画が出回り始めています。

Q 誰が作っているの?
AIに詳しい人なら、その気になれば簡単に作れてしまうと言われています。ネット上にある動画などを元に、様々な表情や顔の動きも再現できます。動画合成の技術は、近年めざましいスピードで進化していて、ハリウッド映画などでも多用されていますが、それを低価格でつくることが可能になり、悪用されているのです。

Q 見分ける方法はあるの?
本物と比べるとディープフェイクス動画は「まばたきが少ない」「鼻の向きがわずかにずれる」などの特徴があると言われています。しかしAI技術の進歩でどんどん精巧になっており、人の目で見分けるはますます難しくなるでしょう。一方で、AIによって作られたディープフェイクスですから、AIを使った対策が期待されています。AIを活用し、自動的にディープフェイクス動画を判別する技術の開発が進められています。

Q 自分のディープフェイクス動画が出回らないように、できることはある?
残念ながらできることは限られています。ただし、ディープフェイクス動画をつくるためには、材料となる画像や動画が必ず必要です。SNSなどに自分の動画をアップする人は多いと思いますが、それが悪用されるリスクは知っておくべきです。もちろん家族や友人の動画も同様です。

ディープフェイクスで民主主義が脅かされる?
平さんによると、いま懸念されているのは「政治」や「選挙」に関するディープフェイクスです。去年、ネットで公開され話題となったのが、オバマ前大統領のフェイク動画。実際には発言していない、「トランプ大統領をののしる」内容を口にしているものでした。

このようにディープフェイクスの技術を使えば、ある政治家の演説動画で、実際には発言していない内容をしゃべらせる、といったことも可能です。それを多くの人が信じて選挙で投票するようになれば、民主主義の大きな危機です。アメリカでは来年大統領選挙がありますが、グーグルやフェイスブックなどの大手ITプラットフォームもディープフェイクス対策に本腰を入れ始めています。

まるで“特ダネ合戦”!? リツイートの6割は「中身を見ていない」
元々平さんは、新聞記者としてメディアやIT業界の取材を担当していました。Windows95の登場以降、パソコンやネットの普及で社会が急速に変化していく様子を目の当たりにしてきました。アメリカのシリコンバレーに駐在した経験もあります。その中で、「ネット上のデマやプロパガンダがどう生み出され、社会にどんな影響を与えているか」について大きな関心を抱くようになったと言います。そして、トランプ大統領が当選した2016年のアメリカ大統領選で、フェイクニュースが民主主義の脅威になっていることを実感し、このテーマを本格的に追いかけるようになりました。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの調査によると、フェイクニュースのほうが、事実を伝えるニュースより20倍速く広がってしまうといいます。
またアメリカとフランスの共同研究チームによると、ツイッターでニュースをリツイートした人の6割が、記事のリンクをクリックしておらず、つまり中身を見ていなかったという、調査結果もあるそうです。

こうした状況について、平さんはこう分析します。

「まるで新聞記者が特ダネ争いをするように、『自分が一番にこの情報を見つけた』という心理に陥っているのではないでしょうか。フェイクニュースの拡散に加担しないためには、リツイートする前に深呼吸をして、立ち止まって考えることが必要だと思います。」
メディアは「しっかりしろ」
その一方で、フェイクニュースが拡散する背景には、新聞やテレビなどマスメディアの信頼度が落ちていることがあると、平さんは考えています。人手と費用と時間をかけて取材しているメディアが信用されなければ、ますます“正しい情報”が伝わらなくなると危機感を抱いています。そのため今こそメディアは、信頼性を高める努力をすべきだと訴えます。

「メディアが何かを隠しているんじゃないか、真実はネットの中にしかないと思っている人も少なくないと思います。メディアがしっかりと情報を収集して、その裏付けをとってきちんと、それをユーザーに説明していく、理解してもらうことが非常に重要ではないでしょうか」

平さんへのメッセージや聞きたいことなど、ぜひコメント欄に書き込んでください!

★平さんが出演する「フェイク・バスターズ」は12月19日(木)夜10時半から放送します。 詳しくは「番組の放送予定」 をご覧ください。

※番組では「ディープフェイク」という表現を使っていますが、この記事では平さんの著書などの表記に合わせて「ディープフェイクス」を使用しています。「ディープフェイクス」の名称は、2017年にアメリカの掲示板サイトにフェイク動画に関する投稿をした、ユーザーのハンドル名に由来しています。
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2019年12月16日
人気ユーチューバーが語る デマ被害の恐ろしさ
ネット上のデマやフェイク情報に立ち向かう“バスターズ”の一人、葉山潤奈さん。芸能プロダクション社長、歌手、アパレルブランドのプロデュースなどいくつもの顔を持ち、ユーチューバーとしても10~20代を中心に人気を集めています。その潤奈さん、実は、過去にネット上で悪質なデマを拡散され「死にたい」と思ったことがありました。一体、何があったのでしょうか?
「死にたくなった」 愛犬について根も葉もないデマが拡散
ユーチューブのチャンネル登録者数が20万人を超える潤奈さん。「なぜ中卒になったのか」「婚約破棄の理由」など自分のこれまでの経験を赤裸々に語ったり、おすすめのメイクやファッションを紹介したりしています。熱狂的なファンがいる一方で、アンチの人からは、しばしばネット上でデマを流されるなどの嫌がらせを受けてきました。特に悪質で、潤奈さんが精神的に追い詰められたのが、2年前の愛犬に関するデマです。

当時、潤奈さんは、生後4ヶ月になるチワワの「ジェス」を我が子のように大事にしていました。しかし、ある日潤奈さんが家の中で座っていると、ジェスが勢いよく走ってきて、潤奈さんのひじに頭を強くぶつけしまいました。そのまま動かなくなり、死んでしまったのです。

「目の前でパタッと倒れたときに、私も冷静さを失ってパニックを起こしたし、泣いてしまって『どうしよう、どうしよう』って。すごい自分を責めて、何をしているんだろうっていう気持ちでした。」

その直後、潤奈さんはジェスの死を伝えるブログを公開しました。すると、「葉山潤奈が犬殺しちゃった」という書き込みが相次いだのです。その内容は日に日に過激さを増し、「愛犬の遺骨をネックレスにして販売している」との悪質なデマが拡散されるようになりました。潤奈さんがプロデュースした新作バッグを紹介する投稿に、全く別の犬の遺骨の画像を合成したフェイク画像まで出回りました。さらに、韓国人の父親を持つ潤奈さんに対し「韓国人は犬を食べるから、食べたんでしょ」と中傷する、差別的な書き込みまでありました。

「そんな性格じゃないんですけど、私はやっていないのに、なんかいけないことをしてしまったと思ってしまうぐらい、心理状況がおかしくなるというか。本当に死にたいなって思ったくらいきつくって。どれだけ巻き返そうと思っても、フェイクのほうがどんどん、どんどんでかくなっていっちゃって。」


(左:潤奈さんと愛犬ジェス 右:実際のネット上の書き込み)
デマはスルーしない 私は戦う
ネットの世界では、スルースキルという言葉があります。デマや嫌がらせの被害にあった場合、あえてスルー、無視したり受け流すことで騒ぎが収まるのを待つことを指します。しかし、潤奈さんは、自分が泣き寝入りしてしまうと、社長をつとめる芸能事務所に所属するモデルやアーティストにも迷惑がかかってしまうと考え、デマと戦うことを決意しました。

「ネットの中で言われているスルースキルは、嫌がらせを受けても無視しなさいとされているんですよね。それができない人は子どもっぽいみたいな。でもひたすら言われたことに対して我慢して言いたい放題にさせる、それもおかしいなってすごく思う。」

潤奈さんは、拡散されている情報が根も葉もないウソであり、こうした投稿を今すぐやめてほしいと繰り返し発信しました。さらに、弁護士に相談し、悪質な書き込みの削除や、書き込んだ人の特定を依頼しました。すると、潤奈さんの話を支持する人が増え始めました。「潤奈ちゃんはそんなことする人じゃない」とSNSで発信し、一緒に戦ってくれるファンも現れました。

被害者に愛のある言葉を


潤奈さんは今、同じような被害にあった人の相談に乗る活動を行っています。先月、都内のカフェで開いた相談会には、10代から40代の8人が集まりました。

大学生の大崎はるかさん(仮名)は、高校時代に仲のよかった友人が自殺してしまいました。その後、同級生の間で「大崎さんが殺した」「大崎さんが見捨てたからだ」というデマを流されたといいます。大崎さんは当時、相手のことが怖くてそのデマをはっきり否定できなかったと話しました。

また別の女性は、自分の娘がSNS上で同級生にデマや悪口を書かれて登校拒否になった経験を語りました。学校や同級生に対し強く抗議しましたが、娘からもうそっとしておいてほしいと言われたといいます。

デマに対して「スルーはよくない」と考えている潤奈さんですが、参加した人の話を聞くと、しかたなく我慢している人が多いことを痛感しました。被害を受けた人がこれ以上傷つかないよう、周囲の人たちは味方になってほしいと感じたといいます。

「傷ついてる人がいたら、別に友達じゃなかったとしても、愛のある言葉を投げてあげるとことが増えるといいなって。私は分かってますよっていう言葉をかけるだけでも全然違うと思うし。みんながそういう風に変わってほしいなって、すごく思う。」

番組では、ネット上のひぼう中傷やいじめについて取材しています。 被害を減らすために、「自分や周りの人が経験した」「こんな対策が必要」など、あなたが思っていることを教えてください。 ご意見募集ページからご意見をお寄せください。
#SNS#フェイクバスターズ
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2019年12月13日
不確かな医療情報で「命の危険」も 外科医けいゆうの危機感
ネット上の不確かな医療情報に立ち向かう“バスターズ”・山本健人さん。外科医けいゆうのニックネームで、ツイッターのフォロワーは5万人を超えます。外科医として忙しい毎日を過ごす傍ら、“正しい医療情報”の発信を続けています。SNSやネットの医療情報を参考にする患者が増える中、不確かな治療方法を信じて、命が危険にさらされるケースをいくつも目にしてきたからです。

「今は、もうスマホを使って、簡単に膨大な情報にアクセスできる。その中で専門的知識がない人に取捨選択が委ねられているという現状ですよね。そういう状況に患者さんがさらされているということを十分認識した上で、対応策を変えていかないといけない時代になっていると思うんですよ。」

けいゆうさんが、いつも訴えている医療情報の見極め方がこちらです。
これだけは知ってほしい 医療情報の見分け方
①「○○すれば必ず治る」など、大げさな表現を鵜呑みにしない
医療情報は、ある人には当てはまっても、他の人には当てはまらないということもある。専門家同士でも意見が合わないことがあるほどグレーなものが多いので、「絶対」など断言している情報には注意!

② 医師や薬剤師などの専門家であっても個人の意見は要注意
本やテレビなどで紹介される「ある医師が太鼓判を押している」という情報も鵜呑みにしないで!他の専門家のチェックを経た論文や学会のガイドライン、公的機関からの声明など出典を示さないまま持論を展開しているときは注意。

③ 一般的には“権威のある”ところが出す情報が信頼できる
厚生労働省やWHOなどが発信している医療情報は、複数の専門家によるチェックを経てエビデンスがしっかりしているのが一般的で、信頼できる最新の情報に常にアップデートされている。参考にするなら、まずこうした情報から。

そして、不安や疑問は直接医師に納得いくまで聞いてほしい。直接は聞きにくいと感じる人もいるかと思うけれど、命に関わることもあるので遠慮せずに確認してほしいと話します。
深夜、手術のあとにネットパトロール
11月某日、私たちはけいゆう先生の一日に密着させてもらいました。この日は、大阪の病院で午前9時から外来患者の診察、その後、午後にかけてがんの手術などを2件行いました。さらに、京都大学の医学部に戻り、がんの治療研究。自宅に帰ったのは、夜11時過ぎでした。ひと休みするのかと思いきや、すぐにパソコンを開いたけいゆうさん。ツイッターを立ち上げると、他の医師のアカウントなどの投稿を確認、SNS上で明らかに間違った情報や根拠の不確かな情報が出回っていないかを確認します。けいゆうさん曰く、ネット上の“パトロール”。他にも、たとえば、有名人が病気で亡くなったときなどは、すぐにネット上で検索し、その病気に関する誤った情報が出ていないかチェックするとともに、ニュースサイトなどでの原稿執筆に取りかかるといいます。



同じようにユーチューブも検索します。若い世代は動画で情報収集する人が増えている一方、最近はフェイク情報も多く出回っているといいます。もし、不確かな情報や気になるテーマを見つけると、それについて医学論文などを調べた上で、最新の医学的根拠に基づいた“正しい情報”を分かりやすい言葉で発信しています。

けいゆうさんのブログには、こんなタイトルが並びます。

「がんにまつわる3つの誤解」
「がんの標準治療に疑問を感じる人はなぜ多いのか」
「医療ドラマでは描かれない真実」
(ブログ「外科医の視点」より)
根拠ある情報を知ってもらうために やさしい言葉とSEO対策
ネット上では、“フェイクニュース”のほうが正しい情報よりも拡散されやすいとも言われています。けいゆうさんは、自分が発信した情報ができるだけ多くの人に届くよう、試行錯誤しています。そのうちの一つが、やさしい言葉を使うこと。「やさしい」には2つの意味があるといいます。

まずは、難しい医療の話に耳を傾けてもらうために「易しく」伝えたい。
そして、「優しく」あることで患者さんとの距離を少しでも縮めたい。

5万人のフォロワーを抱えるツイッターでは、毎日のように新しい情報を投稿し、フォロワーの質問にもできるだけ答えています。今年始めたユーチューブチャンネルでは、「胃カメラは痛い?」「点滴のしくみ」「CT、MRI、エコーの違い」など、“今さら聞けない”基本的な情報を手作りのスライドを使って解説しています。

「医者って基本怖いじゃないですか。病院に行っても、しかめ面してたり、結構言葉にとげがあったり。もともとそういうふうにちょっと怖い、とっつきにくい、少し距離感がある存在の人が、より正論で冷たい話し方をしていると、より距離を感じてしまう人がいると思うんですね。とにかく優しさが、ふだん診察では見せることのできないような優しさが伝わるといいなという感じに思ってますね。」

届けるためのもう一つの工夫がSEO対策。多くの人は、医療のことで疑問を持ったらまずGoogle検索するため、自分で書いた記事を検索で上位に表示させることが重要になります。けいゆうさんは、検索で上位に表示させる方法、すなわちSEO対策を、200以上のサイトを研究して独自に分析。キーワード設定などを工夫し、専用のソフトを用いて詳細なアクセス解析を行い、多くの人に読まれるための施策を試みています。その結果、ブログを開設してから2年間で、アクセスとして800万PVを記録しました。
同じ思いの医師が集結

(左から堀向健太医師、大塚篤司医師、けいゆうさん)


最近では、同じような問題意識を持ち、発信している他の医師とのネットワークも生まれつつあります。ツイッター上で、お互いの投稿をチェックし合い、必要だと思った情報はシェアしあっています。2018年12月には、思いを同じくする2人の医師と、医療情報の見極め方に関するイベントを大阪で開催。その後、東京、札幌、京都と全国各地で開催を繰り返し、毎回100人以上が参加しています。今後も、各地で開催していく予定です。

けいゆうさんへのメッセージや聞いてみたいことなどがあったら、ぜひコメント欄にお書きください!

★けいゆうさんが出演する「フェイク・バスターズ」は12月19日(木)夜10時半から放送します。 詳しくは「番組の放送予定」 をご覧ください。
#SNS#医療
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2019年12月13日
デマや誹謗中傷を訴えたいと思ったら・・弁護士が教える手順
弁護士の神田知宏さん。ネット炎上に関する訴訟を数多く担当する、まさに“フェイク・バスターズ”です。弁護士になる前はIT社長としてプログラミングやウェブデザインもこなしていた異色の経歴を持ち、ネットやITの世界に精通しています。これまで1500~2000件ほど、ネットトラブルの裁判手続を扱っていますが、もっとも多いのは、デマやひぼう中傷を拡散された被害者からの相談だといいます。

さっそくですが、もし、自分が悪質なネットデマの被害にあったらどうしたらいいのか、神田さんに聞きました。

Q 弁護士には何をお願いできるの?
デマを書き込んだ人や拡散した人に関する情報開示を請求し、特定できた場合は慰謝料を請求する訴訟を起こします。サイト運営会社などへの削除要請も行います。

Q 相談するときにどんな準備が必要?
アクセスログと呼ばれる通信記録は3ヶ月から6ヶ月しか保存されないことがほとんどなので、訴訟を起こすにはスピードがとても大事です。とにかく早く弁護士に相談してください。また、デマやひぼう中傷の書き込みは、必ずプリントアウトしておいてください。自分で削除請求する人も多いのですが、それだと裁判官に見せるための証拠がなくなってしまい、発信者を特定できないことがあります。

Q 相談したらすぐに解決するの?
開示請求をしても、プロバイダなどから情報が出るまで時間がかかることが多く、手続きがスムーズに進まない場合もあります。個人情報を開示させるまでに裁判が1~3回必要となり、さらに慰謝料請求の裁判も半年~1年くらいかかるため、少なくとも1年以上、たいていは2年以上の長期戦になります。

Q どれくらい慰謝料を請求できるの?
もちろんケースによりますが、これまでの裁判例では、悪質なデマをリツイートした人に対し、数十万円の慰謝料支払いを命じたものがあります。ネットの投稿による慰謝料は30万、50万、70万というのが相場です。これに開示にかかった弁護士費用が加わり、100万円を超えるケースもあります。

一方で、神田さんは被害者だけでなく、デマを拡散した“加害者”の弁護をすることもあります。ほとんどの人は、まさかリツイートしただけで訴えられるとは夢にも思っておらず、「おもしろい」からと深く考えずリツイートしたり、「許せない」といった正義感でリツイートした人が多いといいます。

「拡散する際にウソの情報なのかどうか一度立ち止まって考えてほしい。特に誰の個人情報なのかがわかる表現や中傷的な言葉など刺激的なコメントがある投稿はリツイートする際に注意が必要です。」



IT社長からIT弁護士へ 異例の経歴
神田さんは、中学生の頃パソコンにのめり込み、大学卒業後は起業して、プログラミングやパソコンの入門書を書く仕事をしていました。

その後、司法試験に合格したのは39歳のときでした。初めてネットに関する訴訟を担当したのは、弁護士になって2年目。ネットの掲示板にひぼう中傷を書き込まれた被害者からの相談でした。掲示板の運営会社に情報開示請求をし、書き込んだ人を特定しました。この時期を境に、ネットトラブルに関する相談が相次ぐようになりました。
ネット社会の法整備を進めたい
2017年、神田さんは大きな注目を集めた訴訟を担当しました。ある男性が、自分の個人情報が検索結果に表示されないよう、グーグルに対し検索結果の削除を求めた裁判です。最高裁まで争い、結果として棄却されましたが、決定の中で「表現の自由より、プライバシーの保護が明らかに優先される場合は検索結果を削除請求できる」という基準が初めて示されました。これは、その後のネットトラブルに関する裁判に大きな影響を与えています。

IT 分野に注力する弁護士として、数多くの案件を扱ってきた神田さん。日本はネットに関する法整備が現実に追いついていないと感じています。たとえば、アクセスログの保存期間が現在、3ヶ月から6ヶ月ですが、被害者救済のためには、より長期間の保存を法律で定めるべきだと考えています。

「人の社会にルールを作るのが“法”です。人の集まるところにはルールがないとうまくいきません。色々な訴訟や判例を積み上げていくことで、もっとネット社会がうまく回るようにしたいと思っています。」
#SNS#フェイクバスターズ
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2019年12月13日
もしSNSで“なりすまし”の被害にあったら・・・
ネット上のデマやフェイク情報についての情報を募集したところ、複数の方からSNSで偽アカウントを作られる“なりすまし”の被害にあったという投稿が寄せられました。番組出演者のひとり、ITリテラシー専家の小木曽健さんによると、こうした被害は10代を中心に全国で起きているといいます。もし、被害にあったらどうすればいいのか?小木曽さんと一緒に対策を考えました。同じような体験をした方や、小木曽さんに聞いてみたいことがある方は、ぜひコメント欄に書き込んでください。

(フェイク・バスターズ取材班)



ある日突然 同姓同名の偽アカウントが・・・
投稿してくれた一人、大学4年生の浜田雄介さん(仮名)。コンタクトをとったところ、直接会って体験を聞かせてくれることになりました。待ち合わせたのは、浜田さんがアルバイトをしているNPO団体の事務所。活動の内容や、大学での専攻などについて明るく話してくれました。そんな浜田さんが“なりすまし”の被害を受けたのは2年前。まさか自分がこのような目に遭うとは思いもしなかったといいます。



2017年6月。被害に気づいたのは、友人からのメッセージがきっかけでした。
「ツイッターで変なことばかりつぶやいているけど、これって浜田なの?」

浜田さんが慌ててツイッターを検索すると、なんと自分の本物のアカウント以外に、同姓同名のアカウントが現れたのです。しかも、アイコンには浜田さんの高校時代の卒業アルバムから切り出した写真が使われていました。

その偽アカウントは、「○○ちゃん(実名)と遊びたい」「ホテルに行きたい」といった下品な内容を、毎日のように投稿していました。フォロワーはわずかでしたが、浜田さんの本物のアカウントをフォローしていた友人たちに対して、メッセージを書き込んでいました。20人以上の友人に対し、「お前しょうもねえな」「暇そうだな」といった馬鹿にするような内容を送っていたのです。

「びっくりしました。全く同じ名前だし、僕の写真が使われているし。信じ切って偽アカウントとツイッター上でやりとりしている友人もいたので…」


  偽アカウントによる実際の投稿画面

突然の偽アカウントによる嫌がらせに、戸惑いつつ何もすることができなかった浜田さん。その一方で偽アカウントの投稿は過激さを増していきました。浜田さんが過去に付き合っていた人によく似た女性が上半身裸になった写真を載せ、「俺の彼女」と紹介していたのです。写真は合成したように見えました。

「本当に不気味でした。毎日朝から晩まで偽アカウントのことが頭から離れず、授業中もチェックしながら『次は何をつぶやかれるのか・・・』と監視しているような状況で。当時はテスト中だったので、学業にも支障が出ていたと思います。」
警察に相談に行くも・・・
偽アカウントによるなりすましが始まって1ヶ月。浜田さんは、まず高校の先生に相談しに行きました。卒業アルバムの写真が使われていたことから、高校時代の同級生に犯人がいるのではないかと考えたからです。しかし、先生から返ってきたのは、「力になりたいけど、誰がやっているか分からず、対応は難しいかもしれない」という言葉でした。

ネットトラブルについてのテレビ番組で警察の相談窓口が紹介されていたのを見て、地元の警察署のサイバー課にも電話をしました。なりすましの犯人を捜査してもらえないかと聞いたところ、「名誉毀損の条件には達していないと思う。様子を見てさらにひどいことをされたらまた相談してほしい」と言われたといいます。

「あとはとにかく耐えるしかなかった。日常の活動を一生懸命やることで、なりすましの犯人のことは考えないようにして。誰が犯人だろうと考え出すと、周りに対する人間不信にもつながってしまうので…」

しかたなく浜田さんは、自分のアカウントに鍵をかけ、しばらく投稿するのをやめました。さらに、偽アカウントがコメントを書き込んでいた友人に一人一人連絡をとり、「これは自分じゃないから信じてほしい」と訴えました。友人の中には、自分のツイートで浜田さんがなりすましの被害にあっていることを広めてくれた人もいたといいます。


  浜田さんが友人に送ったメッセージ

日ごろから接している大学の友達や、バイト先のNPOの仲間は浜田さんを心配してくれる人がほとんどでした。一方で、しばらく会っていない中学や高校時代の友達の中には、偽アカウントの投稿を信じ、「あいつ変わっちゃったな」と受け取った人もいたそうです。

なりすましの被害が始まってから半年ほどたった頃。偽アカウントの投稿は突然、止まりました。しかし、誰が偽アカウントを作ったのか、犯人はいまだに分かっていません。浜田さんはいつまたこうした偽アカウントが現れるか、心配でならないといいます。

浜田さんは当時を振り返り、もっとできることはなかったのか、今でも時々考えるそうです。

「弁護士に相談するとか、訴えるっていうのは学生にとってはハードルが高いです。もっと自分の力や友達の助けを借りてできる対処法はあるのか知りたい。もしまた、こういうひどいことをする人が現れても、色んな対応を知っているだけで支えになると思うんです。」

すぐにできる「偽アカウント」対策とは?
浜田さんのような被害にあった場合、身近なところで何ができるのか。私たちは、ITリテラシーの専門家で、全国の学校や企業で年間300件を超える講演を行っている小木曽健さんにアドバイスをお願いしました。



Q もし“なりすまし”の被害にあったらまず何をすれば?
SNSで、自分の偽アカウントを勝手に作られ、友人への暴言や、炎上するような投稿がされる。また女性の場合、わいせつなコメントや捏造されたポルノ画像がばらまかれる……残念ながら、犯人はほぼ100%身近な人間です。今回はそれを逆手に取った対処法をご紹介しましょう。

犯人には「被害者が困っている様子を見たい」という心理があるので、被害者本人のSNSアカウントも頻繁に見に来ているはずです。そこで「情報戦」を仕掛けます。例えばツイッターなら、特定のメッセージを常に最上位に表示する「ツイートの固定」という機能があるので、そこに次のようなコメントを投稿してください。

●●というアカウントはニセモノです。発言や行為は全て無視してください。
現在、法的措置を取るために関係機関と協議を進めています。●●という
アカウントから迷惑行為を受けた場合はすぐにお知らせください

どの投稿のどの部分が問題なのか、具体的に記載すると、より効果的です。たいていの犯人はすぐに、恐らく大慌てで偽アカウントを削除します。

小木曽さんの著書より引用


Q メッセージを上部に固定表示する機能がない場合は?
フェイスブックなど、メッセージを上部に固定表示する機能がない場合は、トップの「画像」にメッセージを入れた画像にすることで、同じような効果が得られます。もし、これでも嫌がらせが続くようならば、その時はお望み通り法的な対処を検討しましょう。

Q SNSの運営会社に削除は頼める?
こんな面倒なことをしなくても、SNSの運営会社に通報すればいいのに、と思われるかもしれませんが、通報したからと言って必ずしも偽アカウントが削除される訳ではありません。削除まで相当な時間がかかる場合もあります。また偽アカウントが削除されても、犯人にまた同じような偽アカウントを作られたらキリがありません。通報は「削除されたらラッキー」くらいの気持ちでしましょう。

大切なことは、被害者が偽アカウント被害をしっかりと公表し、自分に非がないことを伝え、堂々と振る舞うことです。もし偽カウントが削除されても「ニセモノだから削除された」という情報はどこにも残らないし、何より「誤解」や「デマ」を独り歩きさせない為にも、事実はしっかり伝えるべきです。

※自宅の住所、電話番号を拡散されたり、自身の身に危険が及ぶ可能性があれば、迷わず警察など関係機関に相談して下さい。
#SNS#フェイクバスターズ#なりすまし
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2019年11月29日
番組のお知らせ!
ネット上に出回るフェイクニュースやデマの実態を取材し、どう向き合っていくかを考える番組を12月19日(木) 夜10時半からNHK総合テレビで放送します。
「フェイク・バスターズ」
「フェイク・バスターズ」―それは、現代社会を蝕むフェイク情報を駆逐するため、人知れず戦っている勇者たちのこと。 この番組では、司法、医学、IT、メディアなど様々な分野で、“正しい情報”を伝えようと孤軍奮闘しているバスターズたちとともに、フェイク情報から自分の身を守る方法を考えていきます。

MCは、ユーチューバーとしても大活躍中の中田敦彦さん。「デマを拡散した人を訴えられる?」「フィルターバブルから抜け出すには?」「フェイク動画を見破るには?」など、最新事情をもとに徹底討論します。

いまや誰もがフェイク情報の被害者になるかもしない時代。番組では、「朝起きたら、ネット上で自分が“犯人”になっていた」「SNSで見た治療法を試したら病状が悪化した」など、実際にデマや不確かな情報に振り回された人たちを直接取材。

さらに、いま世界中で大問題となっている“究極の合成動画”=「ディープフェイク」を追跡、その恐るべき被害の実態が見えてきました。フェイク情報に負けない社会を作るにはどんな制度や取り組みが必要なのか?中田さんとバスターズたちの答えは!?

番組では、出演者の方々をキャラクター化。今回、そのイラストが完成しました!

中田 敦彦さん
芸人だけなくユーチューバーとしても大活躍。 社会問題やビジネスの最新事情を日々勉強し、発信している。

葉山 潤奈さん
芸能事務所社長 10~20代に人気のユーチューバー
身に覚えのないデマをネット上に拡散された被害経験を持つ

山本 健人さん
外科医 「外科医けいゆう」のペンネームで、“正しい医療情報”をSNSやイベントなどで発信している

小木曽 健さん
ITリテラシーの専門家 全国の学校や企業などで年間300回を超える講演を行う
大手IT企業勤務

神田 知宏さん
弁護士 ネット炎上に関する案件を年間200件近く扱っている
被害者・加害者双方の事情に詳しい

平 和博さん
桜美林大学教授 専門はメディア・ジャーナリズムの研究
国内外のフェイクニュースの最新事情に詳しい

このページでは、出演者の方々にも協力してもらい取材した記事や動画のコンテンツを掲載していく予定です。皆さんに聞きたいことやご意見など、ぜひコメント欄に書き込んでください!取材したディレクターやフェイク・バスターズのメンバーも参加し、議論を深めていきたいと思っています。

★過去のトピック一覧はこちら
④ “デマいじめ”やネットトラブルに巻き込まれていませんか?
③ その拡散 ちょっと待って!【動画2分19秒】
② 突然の炎上から2年 今も続くデマ情報との戦い【後編】
① 突然の炎上から2年 今も続くデマ情報との戦い【前編】
#SNS#フェイクニュース#フェイクバスターズ
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2019年11月22日
“デマいじめ”やネットトラブルに巻き込まれていませんか?
ネット上のデマが原因でいじめや友人関係のトラブルなどにつながるケースについて、実態を調べています。ネットやスマホのトラブルに関する相談に対応している全国の自治体窓口やボランティア団体などに取材をしたところ、中学生や高校生など若い世代が様々な事例に巻き込まれていることが分かりました。

自治体やボランティア団体に寄せられた相談内容





あなたは、同じようなトラブルに巻き込まれた経験はありませんか?また、自分の家族や友人から見聞きしたケースを聞かせてくれませんか?皆さんからの声を集めて、取材の参考にさせていただきたいと思っています。コメント欄もしくはご意見募集フォームにお寄せください。

(フェイク・バスターズ取材班)

#SNS#フェイクニュース#フェイクバスターズ
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2019年11月22日
その拡散 ちょっと待って!【動画2分19秒】
先週、「突然の炎上から2年 今も続くデマ情報との戦い」の記事を公開しましたが、デマ情報を拡散され今も戦い続けている人が他にもいます。

今年8月、茨城県の高速道路で男があおり運転をしたうえ、相手の男性を殴った事件で、男の横でガラケーを構えていた容疑者の女と間違われ、全く関係のない女性がネット上で悪質なひぼう中傷を受けました。女性は今、情報の真偽を確かめずに拡散した人も含めて法的措置をとる手続きを進めています。

ネット上のデマについては、情報を流すだけでなく、拡散させた人も責任を追及される可能性があります。悪意のない「リツイート」や「シェア」が誰かを気づけてしまわないように、SNSとどう向き合っていったらいいのでしょうか。また、どのようなシステムやルール作りが必要だと思いますか?

あなたの意見や体験をコメント欄に寄せてください。

↓↓詳しい記事はこちら↓↓
未来スイッチ「その拡散 ちょっと待って」
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2019年11月15日
突然の炎上から2年 今も続くデマ情報との戦い【後編】
ネット上で突如、いわれのないひぼう中傷を拡散され、個人情報までさらされた石橋秀文さん。書き込みをした人物との戦いは2年たった今も続き、法手続きの過程では予想外の壁にぶつかってきました。

(フェイクバスターズ取材班)

突然の炎上から2年 今も続くデマ情報との戦い【前編】

悪質な投稿 11人を刑事告訴

2017年10月。あおり運転がきっかけで一家4人が死傷した事件で、「容疑者の父親だ」というデマを流され、ネット上で炎上した秀文さん。1日100件近くの嫌がらせの電話だけでなく、襲撃予告などもあり身の危険を感じたため、すぐに警察に相談。刑事事件として、悪質な投稿をした人物を訴えようと考えていました。

しかし、投稿をした人物の特定は期待していた通りには進みませんでした。炎上から5か月後。警察による家宅捜索などを経て、告訴までこぎつけられたのは、11人だけでした。

「アクセスログの保存期間」が捜査の壁に

実は、投稿した人物の特定には“タイムリミット”があります。特定するため必要なのは、「○月○日○秒に●●社の携帯電話回線でツイッターにログインしていた人物」などといった、携帯電話会社やインターネット回線会社などが持っている「アクセスログ(履歴)」。このわずかな情報だけを頼りに、人物を割り出していきます。

しかし、唯一の手がかりでもある「アクセスログ」の保存期間は、各携帯電話会社やインターネット回線会社によって異なるものの、ほとんどが3か月~6か月。個人情報保護の観点や、サーバーのデータ保存容量の観点から、その期間を過ぎてしまうと、自動的に消去されてしまうのです。

警察による捜査であっても、弁護士をたてた民事訴訟であっても、データ自体が消えてしまっていれば、手の打ちようがありません。ネット上の人物の特定は、迅速に進められなければ、時間切れとなってしまうのです。

「警察の方に、『他にも(書き込んだ人が)たくさんいますよね?その人たちもお願いします』と言ったんですが、『ログが消えてしまうので、これ以上は捜査できません』と言われました。」

「納得できない」 全員不起訴に

わずかながら特定できた11人は、その後書類送検され、いずれも容疑は認めていました。ところが、事件から10か月が経った2018年8月。検察の判断は、11人全員不起訴。「別の投稿内容をコピーして掲示板に投稿したにすぎない」「起訴するに足りる十分な証拠が得られなかった」などという検察の判断でした。

「(被告は)当然、私の息子でもないし、身内でもないし、うちの社員でもない。どこを誰がどう調べてくれてもいいよって言う状態。その人間がいきなり、ひぼう中傷されて、個人情報の漏えいまでされて、司法は不起訴って言う判断で。納得いかないですよね。書き込みは残り続けますからね、一生消えないですからね。」



「泣き寝入りはしない」検察審査会に申し立て

不起訴という処分結果は、報道などを通じて、すぐに話題となりました。秀文さんが見た、不起訴を伝えるウェブニュースのコメント欄には、「やっぱり不起訴か」などといった内容のコメントが、いくつも書き込まれていました。

「このまま、泣き寝入りしていいのか・・・。」
秀文さんは、不起訴は不当だとして、検察審査会に審査を申し立て。その間、民事訴訟で徹底的に戦いながら、検察審査会の判断を待つ覚悟をしました。

「本当に、長い戦いですよ。いろんな方には相当な心配をかけていると思います。ただ、とにかく、前例を作っちゃいけないなと思ったんです。その前例を作ってしまうと、これと同じような事件があったら、全部不起訴になるだろうし。だから、迷いもなく検察審査会にあげました。」

デマ被害から2年 ようやく光が見えた

そして、不起訴となってから1年2か月が経った、ことし10月。秀文さんのもとに、検察審査会から連絡が来ました。検察審査会による議決は、「起訴相当」。「不起訴とすれば、同じような犯罪への社会の認識にも多大な影響を及ぼす。刑罰による抑止力でインターネット社会に警鐘を鳴らす必要性は決して小さくない」などとして、検察庁に捜査のやり直しを求める内容だったのです。

「正直、半分くらいは『もう不起訴で変わらないんだろうなぁ』っていう気持ちはあったんですよ。なので、今回の議決はすごくありがたかったです。ちょっと光が見えた気がしました。」



デマの被害者になってから2年。今なお戦い続ける秀文さんが、ネットを使う人に強く伝えたいことがあると話してくれました。

「悪質なコメントを流すこと、それがデマであろうが何であろうが、それを流すことによってどれだけ人に心配や迷惑にかけるのかをわかってやってほしい。ネットやSNSって、正しい情報が流れていればすごく便利なツールだと思うんですよね。だからこそ責任を持って、絶対に間違った情報っていうのは流しちゃだめだし、ちゃんと責任感を持って使って欲しいです。」

(終わり)

#SNS#フェイクニュース#フェイクバスターズ
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2019年11月15日
突然の炎上から2年 今も続くデマ情報との戦い【前編】
インターネットの投稿や記事などに対して、非難や中傷が多数寄せられる「ネット炎上」。 中には、全くのデマ情報を拡散されたことで、身に覚えのないバッシングを受け、実生活にまで影響が及んだ被害者もいます。いま、誰もがこうしたデマの被害者になったり、軽い気持ちで拡散することで加害者となったりする可能性があります。「同じような経験をしたことがある」「被害者や加害者にならないためには」など、あなたのご意見をコメント欄かご意見募集フォームにお寄せください。

(フェイクバスターズ取材班)

「犯人の父親」身に覚えのないひぼう中傷が1日100件

今回、取材に応じてくれた、石橋秀文さん(49)。福岡県北九州市にある従業員およそ10人の電気設備工事会社を経営しています。異変が起きたのは、おととし10月11日のことでした。この日、秀文さんは、出張で東京に来ていました。会社の事務所には、妻が一人。すると、事務所に突然、身に覚えのない電話が殺到したのです。

「おやじを出せ」「なめるな」と罵声を浴びせるものや無言電話など、1日に100件近くかかってきました。妻は慌てて出張中の秀文さんに連絡。中傷の電話が始まって6日後、ようやく会社に戻ってきてみると、依然として中傷の電話は鳴り続けていました。

「夜中の2時とか3時とか朝方まで着信がありました。もし、会社にきた電話が自宅や携帯電話に転送されるように設定していたら、気が狂っていたと思います・・・。」

原因は、その4か月前に起きた事件。神奈川県の東名高速道路で、あおり運転をきっかけに一家4人が死傷した事故でした。電話がかかり始めた前日の10月10日、事故の原因は、別の乗用車が一家が乗るワゴン車の進路を妨害して停車させたことだとして、乗用車を運転していた男が逮捕されました。逮捕されたのは、秀文さんの会社の隣の市に住む、建設作業員の石橋和歩容疑者(現在は被告)。「石橋」という名字が同じで、容疑者の住所が会社に近いという理由で、関係のない2つがネット上で結びつけられ、秀文さんが「容疑者の父親だ」というデマが広がったのです。

襲撃予告も・・・ 見えない相手からの攻撃

デマは、ツイッターや匿名掲示板、そしてそれらの内容を引用する形で掲載する「まとめサイト」によって拡散されていました。11日の昼頃に、会社の住所や電話番号がネット上に書き込まれ、その翌日には、公開していない秀文さんの自宅の住所までもが明らかにされました。さらに書き込みの文言も、時間の経過とともに過激さを増します。

「親も親。いっしょに死んでくれ」「自殺に追い込め」
「石橋建設の社員、石橋の親族を徹底的につぶす」

危害を加えるようなことを匂わせるものまで出てきはじめ、ついには、自宅の前に不審車両が停まっているのを見かけるようになりました。身の危険を感じた秀文さんは、事務所を閉鎖し、4人の子供たちには学校を休ませました。

「襲撃予告などもありました。実際はそこまではやり切らないと思いますけど、もしそれが本当にあったりしたら恐ろしい。向こうからは我々が見えているけど、我々からは相手が見えないので・・・。」



ネットで反論も ますます炎上

当時、秀文さんは、ネット上にまん延する疑惑を晴らすことは、簡単だと思っていました。 石橋和歩容疑者(現在は被告)とは無関係であることを、証明することができたからです。

秀文さんが調べたところ、確かに2人の住所は近いものの、出身地は異なりました。また容疑者と妻の年齢を照らし合わせると、妻が13歳の時に出産していないと計算が合いませんでした。さらに秀文さんは戸籍謄本まで取り寄せて、容疑者とは遠い血縁すらないことも確認できていました。

ネット上で「容疑者とは無関係である」と、デマ情報を打ち消すための投稿を始めた秀文さん。しかし、反応は想像を絶するものでした。

「このコメントをしているやつは偽物だ」「こいつ、犯人か?」
「離婚歴がある。前の奥さんとの子供だ」

「反論して、さらに炎上したのにはビックリしました。違うって言っているのに、信じないわけですからね。当の本人が『私の息子でもないし、うちの社員でもない』って言っているのに。僕は離婚歴なんてないので、ねつ造ですよね。そうやってストーリーを作り上げるんですよ、勝手に想像して。」

効果を発揮しなかった打ち消しの投稿。秀文さんを中傷するネット上の書き込みはどんどん増え、嫌がらせの電話も鳴り続けました。

家族や社員だけは守りたい



身に覚えのない中傷にさらされながらも、秀文さんはせめて自分の家族と会社の社員の安全だけは守ろうと考えました。ネットで炎上しはじめてすぐに、秀文さんは、子供達の通う学校の校長に電話。子供がいじめの対象とならないように、ネットの書き込みは全て嘘であることを学校内で周知してもらうようお願いしたのです。

また、近所への挨拶回り、会社の取引先への事情説明も、即座に行いました。ネット上で出回っているデマを目にするよりも先に、自らが行動することが、信用してもらう上で大事だと考えたからです。

「中傷が自分に来るだけならいいけれど、子供だとか、うちの会社の社員に向く可能性もある。弱い者の方に行くのが怖いんですよ。会社だって、取引先から仕事を止められるというのは一番致命傷なので、全てにおいて、まず手は打ちました。」

さらに秀文さんは、メディアからの取材依頼にも全て応じるようにしました。すると、中傷する書き込みは減り始め、反対に、擁護するコメントが増えたと言います。秀文さんのとっさの対応。そのおかげもあり、実生活への影響は最小限に留めることができたのです。

突然、“フェイクニュース”の被害者になってから2年。秀文さんは、書き込みをした人を相手に、刑事告訴と民事訴訟を続けてきました。後編では、秀文さんの2年におよぶデマ投稿との戦いについてお伝えします。

突然の炎上から2年 今も続くデマ情報との戦い【後編】

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