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高校生の25人に1人が『ヤングケアラー』 初調査で見えた実態

家族に代わって家事や介護などを担う18歳未満の子どもたち、「ヤングケアラー」。
これまでもその存在は認識されていたものの、家庭の中の状況が把握しにくい上、子どもたち自身も声を上げづらいことなどから、正確な実態をつかめずにいました。
ところがことし、埼玉県が全国に先駆けて調査を行ったところ、高校生の「25人に1人」の割合で「ヤングケアラー」が存在していることが判明しました。
調査からは「孤独を感じる」「勉強時間が十分に取れない」など、子どもたちの生活に影響が出ている実態も浮かび上がってきました。

(ヤングケアラー取材班)

データから見る『ヤングケアラーの実態』

調査は埼玉県内の高校に通うすべての高校2年生およそ5万5千人を対象に行われ、その結果25人に1人にあたる1969人が「ヤングケアラー」に該当することがわかりました。
介護をしている相手をみると、「祖父母・曽祖父母」が36.9%と最も高く、次いで母親が24%、兄弟姉妹・義兄弟姉妹が22.5%という結果になりました。

ケアの内容をみると、食事の用意や洗濯・掃除などの「家事」が58%と最も多く、そばにいて話しかけたり見守る、外に連れ出したりするなどの「感情面のケア」が41%、買い物などの「家庭管理」が32.4%となっています。

「ケアは毎日」が最多

さらにケアをしている頻度について聞いたところ「毎日」が35.3%と最も多くなりました。

またケアを始めた時期については「中学生の時」が34.9%と最も多く、次いで「小学生4~6年生ごろ」が20.1%となりました。4割近くの子どもが、小学校を卒業するまでにケアを始めていることがわかりました。

「お母さんに元気になってほしい」

高校2年生の凛さん(仮名)は精神疾患を抱える母親と暮らしています。「お母さんに元気になってほしい」との一心で、小学5年生から多い時で週6日、1日3時間家事を担ってきました。
しかし母親の症状は一向に良くならず、学校で授業を受けていても、母親のことが心配で集中できなくなってしまいました。徐々に学校にも通えなくなったといいます。

「孤独を感じる…」 学校生活に影響も

今回の埼玉県の調査からは、家族の介護などを担う子どもたちが、自分の体調や学習に影響が出ている実態も明らかになりました。
生活への影響を複数回答で尋ねたところ「孤独を感じる」が19.1%、「ストレスを感じる」が17.4%、「勉強時間が十分に取れない」が10.2%となっています。

「ヤングケアラー」への支援策を検討

こうした調査結果を受けて埼玉県では、子どもたちへの支援策の検討を始めています。12月23日には福祉関係の専門家などとの会議が開かれました。県の担当者は「子どもたちが相談できる場の整備や、現状への理解を深めるため教職員などに研修を行うことなどを検討している」と説明しています。
令和3年度の予算案に必要な経費を盛り込み、4月から支援を始めたいとしています。

あなたの周りにこうしたヤングケアラーはいませんか?
「誰にも話せずつらい思いをしている」など、体験をお寄せください。

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