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クロ現+
2020年11月2日

世界同時アンケート「未来計画Q」 新型コロナ後の社会と環境問題

NHKの国際放送「NHKワールド JAPAN」が世界の公共メディアやNGOと私たちの社会とミライについて行っているオンラインアンケート「未来計画Q」(☜TOPIC㉙世界で同時にミライを考えようを参照)の中間報告がまとまりました。日本では「”ポストコロナ”の時代にデジタル環境の整備を求める」と答えた人が最も多い結果という結果が見えてきました。
世界50か国で人々の意識を調査 データで未来を予測
「未来計画Q」では、新型コロナウイルスの感染拡大を経験した人々の変化や、持続可能な社会に対する意識を世界同時に調査しようと、新型コロナや経済、環境問題など社会の変革に欠かせないテーマについて130の質問を実施しています。すでに世界50の国と地域から39万人以上が参加し、日本からも約4500人が参加しています。(2020年10月19日時点)

分析を行ったのは「スマートニュース メディア研究所」と、クローズアップ現代+に出演されているデータサイエンティストの宮田裕章さん(慶應義塾大学教授)です。

▶調査方法:インターネット調査 ▶中間報告対象 時期:2020年5月27日~8月31日
▶調査内容:コロナ後の持続可能な社会についての意識調査(130問)
▶調査対象:16歳以上のインターネットユーザー(任意)
▶サンプル数 日本 4,112 フランス 243,272 ドイツ 109,540 アメリカ 3,842
▶条件:空欄、無回答の回答は集計に用いる設問ごとに除外

ポストコロナ ”日本は デジタル環境の整備が急務"

コロナ禍で大きく変化した人々の暮らしや経済活動。これをきっかけとした社会変化はどうなるのか、その期待される変革とはなにかを予測するため、「Q ポストコロナで対策を強化すべきなのは?」の回答結果を日本ドイツフランスアメリカで比較しました。

「Q ポストコロナで対策を強化すべきなのは?」



その結果、 日本の回答者は「デジタル環境」20%以上高い一方、「持続可能な産業」20%近く低い結果となりました。
特に「デジタル環境」を選択した人が40%以上と他国に比べて有意に高いことがわかりました。

慶應義塾大学教授 宮田裕章さん
「日本でアンケートに回答した人の4割がポストコロナの課題として「デジタル環境」を選択しました。これはほかの国と比べても有意に高いです。これは、コロナによってデジタル環境の遅れを日本社会全体が認識した結果だと感じています。

特別定額給付金や雇用調整助成金の給付でオンラインのトラブルが続出したり、遠隔教育がなかなか進まないなど、コロナをきっかけに日本のデジタル化の遅れが露呈しました。
実際、2018年のOECD(経済協力開発機構)調査でも、日本の教育現場での ICT活用の遅れが指摘されていました。デジタル分野の改革は急務です。例えば、教育の分野ではこれまで行ってきた対面式の授業の補完として行うのではなく、ひとりひとりの習熟度にあわせながら個別最適化された学習の機会を提供できるようにするなど、デジタルの力を多様性と包摂を実現した持続可能な社会の実現のために活かしていく必要があります。」

「誰も置き去りにしない社会は可能」 7割以上が回答

各国がコロナショックによる経済の低迷からの立て直しを急ぐ一方、すべての人が豊かさと平和を享受できるようにすることもグローバルな課題です。
「誰も置き去りにしない持続可能な社会の実現」は、2015年に国連が掲げた2030年の社会を見据えたSDGs(持続可能な開発目標)の基本理念です。
この質問にアメリカで80%、フランスで77%、ドイツで75%、日本で69%が「可能だ」と回答しています 。

「Q誰も置きざりにしない 持続可能な社会の実現は?」


さらに、「Q ポストコロナの時代に 対策を強化するべきなのは」との設問をかけ合せて集計を行ったところ、「可能だ」と回答した人は 、「持続可能な産業」「社会的弱者の保護」「国際的な連携」 を重視する傾向にあることがわかりました。一方、「不可能だ」と回答した人は、「デジタル環境」を選択した人が最も多く47. 5%でした 。

「Qポストコロナの時代に対策を強化するべきなのは」



慶應義塾大学教授 宮田裕章さん
「アンケートの性質上、回答者の多くが社会変革に関心をもつ若い世代であることを考慮に入れる必要がありますが、「変えることができる」と考える人が各国で7割近くあることに希望を感じます。
「可能だ」と信じる人たちがいるのであれば一緒にアクションを起こすことで、変わる可能性があります。コロナ以前は想像すらしなかった新しい社会、新しい日常 という目標を 人々が共有できるようになったということです。

日本でこの質問に対して「可能だ」と回答した人たちがポストコロナの課題として「弱者救済」「持続可能な産業」を挙げているのは、「誰も置き去りにしない」ためにはさまざまな社会課題にコミットする必要性の認識が現れています。
一方、「不可能だ」と答えた人たちは、「デジタル環境」を一番の課題としています。 コロナ禍で日本の IT 後進国の認識が共有され、ここを変えなければ未来が開けないと多くの人が感じていることがうかがえます。」

環境問題のキープレーヤー 日本は「19-34歳の女性」?

2019年の秋、若者を中心に地球温暖化対策を求めるさまざまな抗議活動が世界で巻き起こりました。アンケートでは、こうした行動への意識についても聞きました。
「Q環境活動への立場 あなたは…」の質問に対しては「積極的に活動している」「賛成派だ 」という回答が多数を占める一方、日本では「何も感じない」と答える人が15%で4か国のなかで最も多いことがわかりました。

「Q環境活動について あなたの立場は?」


また、日本の回答をそれぞれ性別 年齢別にみると、環境活動に「活動家として参加している」人のなかで 「19-34歳の女性」29%と最も多く、「反対派だ」と答えている人では、「19-34歳の男性」が21%で最も多いことがわかりました。
 

慶應義塾大学教授 宮田裕章さん
「環境問題に関して欧州では選挙の争点になるなど、社会の関心は高いということは前から言われていましたが、この点はこの調査でも明らかになりました。日本の結果については、環境問題に「無関心」という人の割合が欧米に比べて高いことについて、今後 SDGs に取り組んでいくうえで広く共有するべきだと思います。

「環境」は SDGs の 17 の目標の一つであり、人権 教育 健康 などほかのさまざま軸に関心を持ちながらコミットしていくということが求められています。
そういう意味では「無関心」の割合が日本で比較的多いことは要改善ポイントです。
一方、今回の分析では「19 歳から34 歳の女性」 が環境問題のキープレーヤーになりうるという結果が出ました。
社会が変わるとき、一部の集団が最初に声を上げ、その人たちに呼応する人たちが最初のマジョリティーを形成し、変革につながるといわれています。最初に声を上げる人たちが、呼応する人たちとネットワーク を作りながら変革を促していく、そういう流れを作っていくことが大事だと思います。」


ポストコロナの時代一番心配なのは「古い日常」に戻ること

「Qポストコロナの時代 いちばん心配なのは」の質問に「誰も教訓を学ばないこと」と回答した人は、ドイツで58%、フランスで64%、アメリカで75%、日本では42%で 、それぞれの国で一番多い回答でした。
日本では、二番目に多い回答は「大量失業」で28%。ドイツ・フランスでは「気候変動を忘れること」で 、それぞれ 21%、13%でした。



慶應義塾大学教授 宮田裕章さん
「“誰も教訓を学ばないこと”と回答した人の割合が、日本に比べフランス、ドイツ、アメリカで高くなりました。これは、いわゆる第1波が去ったあとの人々の行動にあると見ています。ヨーロッパやアメリカでは、ロックダウン解除後は、マスクを外し、コロナを忘れて生活しようとする人が少なくなく、いま“第2波”が直撃しています。

日本でも緊急事態宣言のころに比べ、8月の段階で人々の感染防止のための行動変容意識は大きく低下しています。在宅勤務をやめて通常勤務に戻す会社や組織がかなりあります。
しかし、「古い日常」に戻るのではなく、コロナを教訓として「新しい日常」を構築しなければ未来はないと多くの人が考えているのではないでしょうか。
コロナが来る前の「未来予想図」はもう消滅してしまいました。世界が退路のない変革に向かって歩み始めるなかで我々もどう変わるのかが、いま問われています。」


「未来計画Q」(https://www.time-to-question.com/ja/intro)(☜※NHKのサイトを離れます)のアンケートは12月17日まで続きます。
引き続き、世界から回答を集め、分析していくこと、ともにコロナ禍を生きる日本と世界の人々が未来に向けていま何が課題だと感じているのかを浮き彫りにし、有効な解決策を探りたいと考えています。

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。