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2020年3月9日

国連のトップに聞く「気候変動 これからの10年どう立ち向かう?」

2020 年からの10 年がミライを決める―。 地球温暖化、食糧や水不足の問題など人類のミライを左右する課題が2030 年に分岐点を迎えると国連などが報告書などで指摘しています。 数ある課題の中でも国連が重要視しているのが「気候変動」。 この問題をどう捉え、どう解決しようとしているのか、 トップのアントニオ・グテーレス国連事務総長に聞きました。



アントニオ・グテーレス氏、70歳
ポルトガルの首相や国連難民高等弁務官を経て、2017年1月、第9代の国連事務総長に就任。2020年で5年の任期の3年が経過


(アメリカ総局 佐藤文隆記者)
Q.国連が掲げたSDGs(持続可能な開発目標)を達成する期限まであと10年です。
これからの10年はどのくらい重要だとお考えでしょうか?

 (グテーレス国連事務総長)
私たちは公平なグローバル化を実現することを主な目標としています。
グローバル化やテクロノジーの進化はとても大きな利益を生み出しましたが、多くの人が取り残されていて、利益がうまく配分されていません。そのため多くの社会で不満がみられ、多くの社会不安が見られます。私たちは誰1人取り残さない、すべての人が貿易や技術による利益を享受できるような、公平なグローバル化を実現する必要があります。これがまさに持続可能な開発のための2030アジェンダの目標(2015年に国連で採択された2030 年までに達成すべき持続可能な開発目標)です。

しかし、世界は私たちが定めた目標からほど遠く、ひどく遅れをとっています。
ですから、いっそうの努力が必要です。持続可能な開発目標を達成のためには、誰もが享受できる公平なグローバル化に合わせて、予算や企業戦略、社会の動きを調整していくには、政府や市民社会、実業界からもっと多くのコミットメントが必要です。
この10年は「気候変動と戦う」

2030年までのこの10年間の行動は、持続可能な開発目標の主要な目標の1つである「気候変動」と戦うことです。気候変動と戦うためには、2030年までにCO2の排出量を劇的に減らす必要があります。現在の最も優れた科学分析によると、2010年の水準と比べて45%減らす必要があり、そのうえで2050年にはカーボンニュートラル(森林などの吸収分をさしひいて、気候変動に影響を与える二酸化炭素などの温室効果ガスを大気中に排出しない)な状態に至る必要があります。

だからこそ、私は世界のすべての国に気候変動のための行動にコミットするよう求めています。炭素に値段を付け、課税を人から炭素に移せるようにするためです。人々の所得に課税するよりも汚染に課税した方がウィン・ウィンの状況を作れます。同時に、持続可能な社会にするためには食料供給体系や都市や輸送のありかた方を具体的な目標にそって、変える必要があります。2020年に新たな石炭発電所の建設や化石燃料への補助金を中止し、私たちの社会を自然、地球に優しいものにする、また気候変動が今よりも早く加速した場合に悲劇的な状況を避けるため変革できるよういくつかの施策を実行します。


Q.去年、グテーレス国連事務総長はアフリカのモザンビークを訪問した際、「発展途上国の排出量は少ないが気候変動による影響は大きい。それは不公平で不平等だ」と言われました。この問題に対処するための次のステップは何だと思いますか?

 (グテーレス国連事務総長)
先ほど言ったように、私たちは気候危機に対処する必要があります。
しかし、私たちは気候に関連するだけでなく、台頭している新たな技術に関連して、公正に利益を享受できるような経済に移行するよう保証する必要もあるのです。
私たちは教育制度や生涯学習制度を見直す必要があり、それらの変革により必然的に悪影響を受ける人々を守るためのもっと優れたセーフティーネットを作る必要があります。そして同時により大きな悪影響を受ける地域や部門?を支えるための努力をすべきです。そのためにはそれぞれの国や国際社会において強い結束が必要です。
不可欠なのは若い世代の役割


Q.気候変動を解決するためにグテーレス事務総長は折に触れ、力や若さ、いま言われたようなイノベーション技術について語ってきました。グレタ・トゥーンベリさんのような若い世代の力が社会に大きな影響を与えていることについてお聞きしますが、若者にはどんな期待を持っていますか?

 (グテーレス国連事務総長)
気候変動の影響を見たり、人工知能や台頭している新たな技術を見たりすれば、これらはいすべて異なる方法で世界を形成していることが分かります。若者はそれらの側面、変革の影響をすべて受けながら生きることになるのです。
ですから私たちは、彼らのために地球を守り、技術革新が彼らにとって良い力になるようにするためには、発言力を持ち、リーダーシップを持たなければなりません。だからこそ私は技術革新においてだけでなく、社会運動、啓発活動を通じて、私たちの世代に圧力をかけてほしいと期待しています。若い世代の役割は絶対的に不可欠です。


Q.国連は創立75年を迎え設新たな取り組み、グローバル・コミュニケーション(人々との未来に関する対話)を開始するということですが、なぜいま始めるのでしょうか?

(グテーレス国連事務総長)
私たちが言う「コミュニケーション」とは、私たちが人々とコミュニケーションをとるということではなく、人々が主導して私たちと対話していくことです。
世界の国際組織や政党、その他の団体は、自分たちは多く話しをする一方で相手の話に耳を傾けていないということがあります。いまこそ会話を始める時なのです。人々が何を恐れているか、どんな願望を持っているかを聞きたいと思っています。
私は、より多極化した世界に進むべきだという考えを強く支持しています。
しかし、それは単一の国際法の枠組みがあった上で、多国間の統治の仕組みがあるような世界です。これらはすべて、私たちが世界で目にしているすべての変革により形成される必要があります。どのようにしてこれができるのか厳密には分かりませんが私たちは国連を改革し、私たちが資するべき人々の願望に対応できるようにするために人々の声や人々が求めているもの、そして懸念にも耳を傾ける必要があります。


Q.2030年以降は、どんな世界になると想像していますか?

(グテーレス国連事務総長)
未来を想像するのはとても難しいです。状況はとても急速に変化しています。ことしは国連創立75年を迎えましたが、75年を見た時に100年について考えることが大事です。私たちは25年後の2045年(AIが人間の能力を超える技術的特異点で2045年に起きると予測されている)の世界の課題に対処するための国連の動き、変革、近代化をどうみるのか?私たちは自分たちが大きく変わる必要があると理解しています。私たちは人々の願望、ニーズ、恐怖や不安に寄り添い、新たな技術が私たちの生き方やコミュニケーションに与える影響と合わせて、自分たちが大きく変わる必要があります。
世界は急速に変化するでしょう。私たちはその変化に苦しむのではなく、その変化を予測できるようにしたいと考えています。これが2020年の私の主な目標です。

どうもありがとうございました。

取材した佐藤記者は、インタビューを通じて、世界の現実と未来に楽観も悲観もしないグテーレス氏の胆力を感じ、ミライへの希望を見たような気がしたと話していました。
あなたにはグテーレス氏の言葉、どう響きましたか?

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。