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クロ現+
2020年2月10日

脱プラスチックへの挑戦 世界の若者たちが動きだした!

いま、海洋プラスチック問題が深刻化していますが、TOPIC⑭世界中の海からプラスチックをなくすで海のごみをなくすために奮闘している青年をご紹介したのを覚えていますか?

そうです、全長600メートルという巨大な装置を使って、膨大なプラスチックごみが集まる「太平洋ごみベルト」からごみを回収するプロジェクトに世界で初めて成功した25歳のオランダ人ボイヤン・スラットさんです。

注目が高まっているボイヤンさん、実は新たなプロジェクトを始めています。
ボイヤンさんが次に挑戦しているものは何なのか?
そこにかける思いと世界のプラスチックを取り囲む状況がどうなっているのかお伝えします。

ボイヤンさん次なる挑戦は「川」
世界中からプラスチックごみをなくしたいと宣言し、約44億円もの資金を集めてプロジェクトに挑むボイヤンさんとは一体どんな人物なのか?
去年10月、ボイヤンさんが設立したNPOオーシャン・クリーンアップの本拠地があるロッテルダムを訪ね、ボイヤンさん本人にインタビューしました。

素顔のボイヤンさんはちょっとボサボサの髪にTシャツ姿の一見どこにでもいそうな、物静かな若者です。去年ついに世界で初めてプラスチックの大量回収に道筋をつけたことを受けて、「太平洋での成功おめでとう!」と声をかけると、「サンキュー」とはにかんで答えました。どちらかというとシャイな青年です。

ところが、記者発表の場になると、まるで人が変わったよう、大きな身振りを交えて大勢の支援者を前に力強く語り出しました。 そのボイヤンさんの驚きの新プロジェクトが海からのプラごみ回収にとどまらず、ごみが海に流れ出すのを防ぐために、世界1000の川の河口に新しく開発したボートを浮かべ、自動でプラごみを回収するという挑戦です。

(オーシャンクリーンアップの記者会見)


プラスチック問題を解決するためには、海にごみが出てしまってから回収するだけでは大きな限界があり、手遅れになってしまいます。
ボイヤンさんたちは、太平洋での挑戦を続けながら、プラごみの発生源に近い1000の川にまるで「栓」をするように回収する計画を密かに準備してきました。こうすることで、世界の川のプラごみの80%を一網打尽にできる可能性があるからです。

ボイヤンさんは、マレーシアやインドネシアなどアジアの国々の政府に呼びかけ、どの川に優先してボートを設置するかや集めたプラごみの取り扱いなどを協議、さまざまな連携を強めながら現地でプラごみの回収を始めています。
この日は、マレーシア政府の関係者も来ていましたが、満面の笑顔でプレゼンを聞いていました。ボイヤンさんたちの「海をきれいにしたい!」という本気の思いが“国”をも動かしたことに、私は大きな勇気をもらいました。

ことしの元日のNHKスペシャル「10 Years After 未来への分岐点」ではボイヤンさんと中継を結んで、あらためて脱プラスチックに挑む新年の決意を聞きました。

(武田真一アナウンサー)
ボイヤンさんはこれまで取り組みの中で、失敗したこともありますよね。それでもこのプロジェクトを信じている。それはなぜ信じられるんですか?」

(ボイヤンさん)
確かに「不可能だ、到底無理だ」という人もいますが、困難でも取り組むことが大切です。何もしなければ悪くなるばかりですから。たしかにこれまで失敗もありましたが、その体験から人は学ぶことができます。だから恐れてはいません。

(武田アナウンサー)
この番組をご覧になって、自分も何かやりたいと思う人が1人でも出てくるといいなと思うんですけれども。

(ボイヤンさん)
1つのアクションが次のアクションにつながると信じています。小さなことでもかまわないので、まずは何かを始めることです。皆さんが起こした行動が、周りの人々の行動を後押しします。言葉で指図するのではなく、行動で示すことがとても重要だと思います。そうすればみんなが自分の頭で考えられるようになるからです。

(女優・清原果耶さん)
自分がもしボイヤンさんみたいな活動が今すぐ行えるかと言われると、やっぱり不安とかプレッシャーとか責任感が大きく感じてしまったりして、なかなか動き出せないと思うのでそういう強い意志の下、こういう活動をされているのは本当に尊敬します。

(ボイヤンさん)
ありがとうございます。世界を変えるために最も重要なことは意見が異なる人と争うのではなく、互いに合意できる未来を一緒に築き上げていく姿勢です。私たちの取り組みがそのモデルになりたいと思っています。人間は協力して新しいことを生み出すのが得意です。その能力を人類のために活用していきましょう。1人1人は何ができるでしょうか。自分の時間を世界をよりよくするために使いましょう。それが、どんな問題に取り組むにせよ、最も重要だと思います。


このボイヤンさんの言葉、どう受け取りましたか?
私は「1つのアクションが次のアクションにつながる」という言葉を聞いて、あきらめないで一歩を踏み出そうという気持ちになりました。ボイヤンさんを密着した様子や世界の脱プラスチック最前線については、NHKのBS1スペシャル取材班で「脱プラスチックへの挑戦」という本にもまとめています。ボイヤンさんから、勇気をもらったという方はぜひ下のコメント欄でシェアしてください。

ダボス会議でも若者たちが大活躍!
“本気”で持続可能な地球をめざしているのはボイヤンさんだけではありません。
まさにいま、世界を動かそうとしているのは10代の若者たちです。
1月21日に開幕した世界経済フォーラムの年次総会であるダボス会議でも、ことしはグレタ・トゥーンベリさんだけでなく、世界の10代の若者リーダー10人が招待され、大人たちに、「私たちはいつまで待てばいいのか!」と直ちに変革を求める声を発信しています。

(環境NGO代表メラティ・ワイゼンさん)


その一人、インドネシアのバリ島でプラスチックごみをなくすNGO「Bye Bye Plastic Bags」を率いている19歳のメラティ・ワイゼンさんです。 メラティさんは環境問題が最大のテーマとなったことしのダボス会議に招かれました。
「プラスチックの削減」のセッションに参加し、「スーパーマーケットの棚に何を並べるかは私たちが決めなければならない。市民の力で変えていこう」と呼びかけ、会場からは大きな拍手が起きました。
メラティさんが妹とともにNGOを創設したのは、なんと12歳のとき。浜辺でプラスチックごみを回収しながら署名活動を行い、あるときはハンガーストライキまで実施して、活動を広げていきました。2015年にはバリ島の州知事と面会。ついに「2018年までにレジ袋を撤廃する」という覚書を交わし、実際に去年、使い捨てプラスチックの袋やストローの使用が禁止になりました。

今回のダボス会議に招かれていたもう一人の10代、アイルランドのフィオン・フェレイラさん、18歳です。フィオンさんはマイクロプラスチックといわれる5ミリ以下のプラスチックのかけらを水中から取り除く新たな方法を考案しました。その画期的な方法が評価され、世界中の 13~18 歳の若者を対象に科学の力で社会問題の解決を目指すコンテスト「グーグル・サイエンスフェア2019」で優勝したのです。
このように10代の若者たちは、いまやイノベーションの分野でも世界を変える主役に躍り出ています。

中国もインドも、脱プラスチックに動きだした!
こうしたなか1月19日、驚くべきニュースが飛び込んできました。
世界の海洋プラスチックごみ排出量ワースト1位の中国政府が、自然に分解されないプラスチック製品の生産や消費を大幅に減らす方針を発表したのです。具体的には、ことしの年末までに、全国の飲食店で使い捨てのプラスチック製ストローの使用を禁止するほか、北京や上海など大都市ではスーパーで使われているレジ袋の使用を禁止するということです。
さらに2025年までに、都市部で料理の出前に使われるプラスチック製容器の使用を30%減らすほか、全国のホテルで使い捨てのプラスチック製品の提供を控えるよう求めています。

人口の急増や経済成長に伴いプラスチックごみが深刻な問題になっているインドも動きだしています。ナレンドラ・モディ首相は、2019年10月2日、独立の父マハトマ・ガンジーの誕生日であるこの日に国民に向けて演説を行ない、インドを使い捨てプラスチックから解放するための大きな一歩を踏み出すよう呼びかけました。具体的には、2022年までにポリ袋やプラスチック製のカップ、小型ペットボトル、ストローなど6品目の製造・使用・輸入を全国的に禁止にすると宣言したのです。

ひるがえって、日本の脱プラスチックへの取り組みは、どうでしょうか? ことし7月にレジ袋の有料化がようやく始まりますが、使い捨てプラスチックへの本格的な規制は、まだほとんど進んでいません。中国やインドのほうが厳しい規制を先に打ち出しているのです。日本も若い世代を巻き込んで、そろそろ“本気”を示さないと、脱プラ先進国とは言えないのではないでしょうか。世界の急速な動きに追いつけるよう、2020年をみんなで一緒にチャレンジを始める年にできたらと思います。

(地球のミライは私たちの手に 取材班 プロデューサー 堅達京子)


※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。