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Twitterフォロワー15万人超 89歳、戦争を体験した大﨑博子さんが話す「なぜツイートし続けるのか」

「ウクライナの状況は、戦争を経験した私でさえ実感がわかないの」
「話しても、本当には誰も戦争下の暮らしはわからないと思うわ。だって何もかも今と違い過ぎるもの」

ストレートに、そしてきっぱりと、当たり前のことを告げるように言う大﨑さんの言葉は
私たちの胸にとても重く響いた。

大﨑博子さん、89歳。Twitterで15万人以上のフォロワーを持つ“インフルエンサー”です。

今を生きる楽しさと丁寧な暮らしの秘訣について、そして自身の戦争体験の発信について、
2/27に開催された学芸大学edumotto×NHK「#あちこちのすずさん」のワークショップに登壇した大﨑さんに聞きました。

(取材・文/石丸 響子 松本 千裕)

#あちこちのすずさん2022 今、戦争を見つめてみる

【放送】2022年8月12日(金) 午後7:30~8:42 [総合]
【出演】片渕須直(映画監督)、千原ジュニア(芸人)、伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)、黒柳徹子、池田エライザ(俳優)

元気の秘訣は毎日の太極拳と手作りのぬか漬け

朝起きて軽く朝食を取った後、毎日歩いて20分の公園まで行き1時間太極拳をします。
そのあとゆっくりとお散歩をして、スーパーに寄ったりなんかしたら8000歩ぐらい歩きます。
これを続けているので若い人と同じ歩調で歩けるんです。

毎日のことだから、大変とかではなくて、もうしないと気持ち悪いのです。
もちろん寝坊して行けなかったこともあります。

日曜日は太極拳がないから1時間だけゆっくり寝ます。ネットフリックスを見たり、
好きな時にツイートしたり、ストレスを溜めないことが楽しく生きる秘訣だと思います。

気が進まないことでも「脳トレなんだ」と思ってやるようにしています。
一番怖いのは認知症になることだもの。

BTSのメンバーの名前も覚えました。

野菜中心にご飯を作って、健康には気をつけています。毎日ぬか漬けを食べているの。
ぬか漬けは普通に野菜を食べるよりとても体にいいんです。

柿の皮を入れたり、生姜を入れたりすると、ぬか床に甘味が出て美味しくなります。
セロリもカブも葉っぱまで全部使います。炊き立てのご飯に合わせると最高だし、
お酒もおいしいです。

お酒は健康のバロメーターです。体調が悪いとお酒が飲めないから、夕方になって
お酒が飲みたい、と思うのは健康の証なのだと思います。そのために夕方を楽しみに待つのよ。

コロナ禍であまり外に出られないけど、何も窮屈ではないです。
ネットフリックスを見れば楽しいじゃない?

60歳を超えてからゴルフもやったし、ボーリングもマイボール・マイシューズを持つほどです。
楽しみは自分で見つけていけばよいのです。

毎日続けるTwitter発信 好きなことを、好きな時に

Twitterは娘に「してみれば?」と言われて始めました。何にも面白くなんかなかったのよ。
だってフォロワーなんて1人もいなかったんだから。何が面白いの?と思っていました。

でも、その意識が変わったのは東日本大震災でした。唯一連絡が取れたのがTwitterだったのです。イギリスに住む娘ともTwitterで連絡を取りあって。その時に投稿したツイートが話題になって、どんどんフォロワーが増えていきました。すごい!と思ったものです。

そこから、日々の暮らしや昔のことをツイートするようになりました。好きな時にね。

戦争体験についても時々ツイートするようにしています。終戦の日とかは特に。

(大﨑さんTwitterより/@hiroloosaki)

Twitterを始めたのが11年前で、当時から戦争体験を投稿している人なんていなかったけれど、
今は特に、当時物心がついている戦争体験者でTwitterをやっている人なんて、
まずいないでしょう。だから、やらなきゃいけないという使命感もあります。

ただ、戦争のことばかり投稿したくはないと思っています。
だって、今がすごくハッピーなんだもの。
楽しく生きているのに、戦争だらけのツイートなんて私らしくないと思います。
その方が読む人も楽しめるわよね。

「どんなに話しても戦争当時のことは分からない」 それでも伝えたいこと

(2/27には、学芸大学edumottoの学生と小学生が戦争体験について考えるワークショップがオンラインで開催されました)

ワークショップのお話があった時はとても緊張しました。
Twitterは顔の見えない大勢の人たちに向けているし、間違えたら削除すればいいけど、
その場のやり取りは失敗できないというプレッシャーがあります。

(大﨑さんのツイートを元に子どもたちから気になる投稿について質問をしてもらいました)

「慰問袋ってなに?」「出征する人を見送る時になぜバンザイなの?」という質問は
とても印象に残りました。
バンザイはおめでたい時に使う言葉だからなんで?と疑問を持つのは当たり前だと思います。

本当は戦争に行くのはおめでたくないものね。

生きて帰ってくるのはよくないことという洗脳をされていたから…
実際のところは送り出す親や家族たちは悲しかったり寂しかったりしてたはずですよ。

だけど、その気持ちを押し殺さないと憲兵隊にスパイ行為とみなされて連れて行かれてしまうから言えなかったのです。

(大﨑さんのお話を元に子どもたちが当時の様子を想像し絵を描きました。出征する兵士を見送る様子です。)

描いてくれた出征兵士を見送る絵を見て、兵士を見送る光景を思い出しました。
自分で想像して描いてくれたことがうれしかったです。

戦争の時代を本当に実感することは、今は誰にもできないのではないかと思っています。
だって、何もかも違い過ぎるもの。着るものも、履くものも、調味料もお米もない。
本当に何も。今は捨てるほどものがある時代。賞味期限がなんなのよ?って思います。

どんなに話しても戦争当時の暮らしなんて分からないかもしれないって思うけど、
それでも私は伝え続けなければいけないと思っています。

1割でも「そんなことがあったんだ」って思ってくれる人がいたらって思いながら
つぶやき続けます。

取材を終えて

「なんでも、やりたいと思ったことはやりなさい。やってみて嫌だったらやめればいいのよ。
自分の目標を達成するための経験だと思えばいいわ。そう思った方がつらいことも楽しくなる
から。ただ、本当にこれは無理っていうぐらい つらいことは、ある。それは仕方ないわね。
その時は、このあといいことがあるって思うのよ」

大﨑さん特製のぬか漬けを頂きながら、まるで少しだけ年長の先輩と話すみたいに、
気づいたら私たちは自分の悩みや他愛のないことを話していました。

「コロナ禍が終わったら、一緒にお酒を飲みたいわね、3人で飲めばワイン1本すぐよね」そう言って笑う大﨑さんのお話を、その人生を、もっと聞きたいと思いました。

戦争について「学ぶ」、のではなく、大﨑さんの人生に存在した、「戦争があったころ」を
もっと聞きたいと。

モンペを何種類も作っておしゃれをした話。
給食なんてなくて、お芋を半分食べたお昼休み。
学校が終わったら防空頭巾を持ってすぐに帰って、外で遊んだこと。
カエルを捕まえて焼いて食べていたお話。

寒空の下、軽やかに見送りに出てきてくださり、最後まで手を振る大﨑さんに、
今日のお話の続きを聞くのを、私たちはとても楽しみにしています。

今年も特番の放送が決定!

#あちこちのすずさん2022 今、戦争を見つめてみる

【放送】2022年8月12日(金) 午後7:30~8:42 [総合]
【出演】片渕須直(映画監督)、千原ジュニア(芸人)、伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)、黒柳徹子、池田エライザ(俳優)

身の周りの“すずさん”の、戦時中の生活のエピソードを募集します。

当時の暮らしの中にあった「みんなを笑顔にさせた失敗談」「苦難を切り抜けた生活の知恵」など、現在にも通ずる、ささやかな暮らしのエピソードをお待ちしています。

エピソード募集について、詳しくはプロジェクトサイトをご覧ください。または #あちこちのすずさん をつけてTwitterやInstagramで投稿してください。