クロ現+
2019年8月6日

エピソード|雪に書いた「ABC」

戦時中に禁止されていた、英語の勉強が大好きだった初子さんのエピソードです。

「わたしは昭和2年、山陰地方の雪深い地に生まれました。勉強が好きで、特に、英語に興味津々でしたが、戦時中は英語の勉強は禁止。学んでいると叱られました。

でも、どうしてもアルファベットを覚えたい。
そこで学校からの帰り道、降り積もる雪の上に「ABCD~」とアルファベットを書いて覚えながら帰りました。とめどもなく降る雪で、アルファベットはすぐにかき消されてしまうため、叱られることはありません。

寒くて、お腹もペコペコでしたが、こうして学ぶ英語はとても楽しかったです」。

投稿を寄せてくださったのは、初子さんの娘さん、ぺこりんさんです。 ぺこりんさんが、お母さまから最初に買ってもらった絵本は「ABCの本」。初めて教えてもらった歌も「ABCの歌」。そして、初めて持たせてくれたハンカチは、イラストと一緒に「KONNNICHIHA」や「GENKI?」など、ローマ字表記がプリントされたものだったそう。

戦後、大阪に移住されたお母さま。“英語ペラペラ”とはならなかったそうですが、街で外国人をみかけると、大阪弁で声をかけて仲良くなり、バス代を支払ってあげることもあったそうです。

お母さまの死後、身の回りの品を整理していると、チラシの裏に歌謡曲『オールド・ブラック・ジョー』の歌詞が。
I hear their gentle voices calling…

「母は自分の死が近いと感じ、英語の歌詞を書いて、自分なりに死を受け入れようとしたのかな」とぺこりんさんはいいます。

*オールド・ブラック・ジョー:アメリカの作曲家フォスターの代表的歌曲。若さと喜びの日々は過ぎ去り、友をすべて失ってしまった老人の哀しみを歌っている。


#あちこちのすずさん」では、当時、この世界のあちこちで起きていた暮らしの中のエピソードを集めて、イラストやアニメにしていきます。

あなたのおじいさんやおばあさん、身近な人が、戦争中、日常をどんなふうに暮らしていたか教えてください。
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