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2021年12月16日(木)

半導体 大競争時代
日本の戦略は?

半導体 大競争時代 日本の戦略は?

パソコンやスマートフォン、家電から自動車まで、あらゆる電子製品の製造に欠かすことのできない半導体。コロナ禍でのテレワークの広がりや巣ごもり需要などを受けて世界全体で不足し、日本でも製造業が減産に追い込まれるなどの影響が出ている。さらに半導体は技術覇権の鍵を握る存在として重要性を増し、各国はし烈な開発競争に乗り出した。そうした中、日本は多額の税金を投じて海外企業を呼び込み、生き残りを図ろうとしている。日本の戦略を探る。

出演者

  • 長内 厚さん (早稲田大学大学院 教授)
  • 井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)

※放送から1週間はNHKプラスで「見逃し配信」がご覧になれます。

暮らしを支える半導体 電子機器に見るその役割

半導体は、私たちの暮らしにどれだけ関わっているのか。調査会社を訪ねました。どの製品にどんな半導体が使われているのか。半導体の技術者が大手自動車メーカーなどから依頼を受け、分析しています。

半導体調査会社 テカナリエCEO 清水洋治さん
「これが9月24日に発売になった、最新のスマートフォン」

内部にはさまざまな役割を果たす、51もの半導体チップが使われているといいます。

清水洋治さん
「ここはメモリーといわれるもので、記憶をする」

清水洋治さん
「この黒いチップは何をやっているかというと、電源ICといって、電力のもちを最適化するために制御している」

頭脳にあたるCPU、カメラのセンサー、通信をつかさどるのもすべて半導体です。
取材者
「半導体ないと、どうなるんですか?」

清水洋治さん
「半導体がないと、まずひとつはっきり申し上げると、まったく動きません。ただの文鎮。何にもできない」

一方で、日本製の半導体は減少の一途をたどっているといいます。

清水洋治さん
「新しいワイヤレスイヤホンです。少し荒っぽいやり方でやります」

この半導体はどこで作られたものなのか。

清水洋治さん
「アイロハというメーカーの型名が書いてあります。台湾の通信メーカーです」

別の日本メーカーが作った美容機器も分解しました。こちらはアメリカ製。

日本の半導体の自給率は、およそ27%。大半を輸入に頼っています。

清水洋治さん
「日本の大手の電機メーカーの製品も、ほとんど海外の半導体でできあがっています。日本のものを見かけるのは、どっちかっていうと、ちょっとレアかな。そんな状況がどんどん広がっている」

空前の半導体不足 日本経済を直撃

こうした中で半導体不足をもたらしたのが、新型コロナウイルスの感染拡大でした。テレワークの広がりや巣ごもり需要で、パソコンやゲーム機が飛ぶように売れ、供給が追いつかなくなったのです。

半導体を専門に扱う商社には、日本中のメーカーからの注文が殺到しています。

社員
「いま一度在庫情報がないか、市場も含め、調査をお願いできないでしょうか」

取材者
「こういう問い合わせは結構あるのですか?」

社員
「はい、最近は頻繁に。なんとかして見つけてあげたいとは思うんですけども」

影響は価格にも表れ、半導体の種類によっては、かつてない値上がりが起きているといいます。

半導体商社コアスタッフ 社長 戸澤正紀さん
「数か月ぐらい前までは、(価格が)5倍10倍上がっていれば結構高いなって思ったんですけれども、今では50倍、場合によっては100倍。ワールドワイドでの争奪戦と言っていいんじゃないかなと思います」

日本の雇用を支える自動車産業にも影響が広がっています。

取材者
「これは今、何を作られている場所になるんですか」

自動車部品メーカー オートリブ ジャパン オペレーション担当副社長 村上光広さん
「見ていただいてるのは縫製の工程」

自動車のシートベルトやエアバッグなどを製造している、部品メーカーです。自社製品に半導体は使っていません。しかし納品先の自動車メーカーが半導体不足などの影響で減産したため、受注が大幅に減ったのです。

村上光広さん
「従業員の皆さんには自宅待機をお願いしなければいけないので、そこは大変心苦しかったです」

残業や夜勤がなくなり、従業員の収入も月に数万円程度減りました。

社員
「住宅ローンとか賄えないとなると、今後生活どうしようかなって」

社員
「貯金を取り崩したりとか、普段の生活で節約したりとかはあった」

村上光広さん
「半導体でここまで供給が滞るというのは、正直想像はしていませんでした。本当につくれさえすれば売れるのに、かなり残念な気持ちがあります」

半導体 大競争時代 どうする日本の経済安全保障

半導体を日本国内で自給できる体制をつくれないか。経済産業省は水面下でかつてない戦略を進めていました。

経済産業省 局長
「先方は、C.C.ウェイCEOと、マーク・リュウ議長です」

海外の民間企業を誘致するため、大臣自ら交渉に乗り出していたのです。

その相手とは、台湾の「TSMC」。半導体の製造で世界トップの技術を持つ、巨大企業です。

計画が始まったのは、およそ2年前。きっかけは、アメリカと中国の間で先端技術の覇権を巡る争いが表面化したことでした。日本は国内で使用する半導体のおよそ11%を中国から。そして33%を台湾からの輸入に依存しています。

米中の対立が激化したり台湾周辺で緊張が高まったりすれば、半導体の確保が難しくなると政府は危機感を強めました。台湾メーカーの誘致は、産業に欠かせない物資を確保する経済安全保障の観点から不可欠だと考えたのです。

梶山経済産業相(当時)
「国として、産業政策としてしっかり取り組んでいかなければならない。日本の意志の表れだとご理解いただきたいと思う」

なぜ衰退 "日の丸半導体"

かつて世界シェア5割以上を占め、海外メーカーを圧倒した「日の丸半導体」。しかし、そのシェアは1980年代後半を境に下がり続け、現在は1割を切っています。

なぜ、これほど衰退したのか。長年、大手電機メーカーで半導体の設計開発を手がけてきた技術者です。日本の半導体は、家電の生産に大きく依存していたといいます。

大手電機メーカー元社員 濱田基嗣さん
「テレビとかビデオとか非常に強い企業がたくさんあったので、国内のお客さんに対して半導体を売っていればかなりもうかったし、工場(の生産ライン)も埋まった」

しかし、頼りとしていたテレビなどの家電が海外メーカーとの競争に次々と敗れていきます。大胆な投資が続かず、革新的な製品を生み出すこともできませんでした。

濱田基嗣さん
「強かったテレビ、ビデオというのがだんだんなくなっていき、世界的に見ると小さな市場しかもっていない半導体メーカーになってしまった。海外と伍(ご)してけなくなって、あんまり新しいこと着手できない」

国は、半導体の研究開発を支援するプロジェクトを次々と立ち上げてきましたが衰退に歯止めをかけることはできませんでした。

経済産業省の半導体政策の責任者は、民間企業のビジネスを国が直接支援するという発想がなかったためだとしています。

経済産業省 情報産業課 西川和見課長
「経済産業省はどちらかと言えば、これは民間企業がやることですからと、どうしても一歩引いた。研究開発支援はやるけれども、それ以上は民間の競争でやってくださいと。根底にやはり政府の方針の見誤り。経済産業省(当時の)通産省の失敗も当然あったと思います」

日本が世界シェアを失う中、急成長を遂げたのが台湾の「TSMC」です。世界各国の企業から製造を請け負う受託生産で、世界シェアは5割以上。創業から30年余りで時価総額は60兆円余り(16日時点)。トヨタの2倍近くに上ります。成長の背景にあったのは、台湾当局のしたたかな戦略です。

公的研究機関の元トップで、TSMCの設立に関わった史欽泰(しきんたい)さん。半導体産業の育成は、台湾経済の発展のために欠かせないものだったといいます。

TSMCの設立に関わった 史欽泰(しきんたい)さん
「台湾の発展に何より重要なのは、経済です。そしてその鍵となるのは、科学技術と人材の育成です。どの製品を経済の中心に据えるのか、その視点が重要です。半導体産業の育成に集中したのです」

重視したのは、グローバルな経営戦略。アメリカの大手半導体メーカーで経営の中枢にいた、モリス・チャン氏をヘッドハンティング。チャン氏はTSMCのトップとして積極的な設備投資を続け、世界最先端の技術力を持つ企業に成長させました。当局も、税制面の優遇や人材育成で手厚い支援をしてきました。

史欽泰さん
「TSMCでは数千人規模で人材が不足していました。ここ数年は科学技術、特に半導体の人材を増やしていくため、私たちは台湾トップの大学と協力して専門の学校を設立し、人材教育に力を入れています」

始まった日本の模索

TSMCは先月、日本政府の呼びかけに応じ、熊本県に工場をつくると発表。2024年から、産業機器や自動車向けに生産を始めるとしています。

国はTSMCの進出を確実にするため、法律を改正する準備を進めています。

企業が国内で高性能な半導体を作る際、設備投資額の半分程度を税金で補助するとしています。開会中の臨時国会で可決されれば、TSMCの工場建設に数千億円が投じられると見られています。

経済産業省 情報産業課 西川和見課長
「先端半導体をつくる人たちを、国内に育ててこなかったツケを払わされている。国策として半導体を育てた国、そうじゃなくて、やらなかった国というところでこれだけ差が出てきた」

萩生田経済産業相
「自国の技術でしっかり(供給網を)クローズ(完結)できることも望ましいこと。まずは最先端の技術を共に国内でつくることを優先させた。大いに反省すべきは反省しながら、国内で強じん化をしていく。そのための第一歩がTSMCの日本への進出だと思う」

経済安保 日本の戦略は?

保里:半導体について、一から分かる記事を以下のリンクからご覧いただけます。

井上:スタジオには早稲田大学大学院でイノベーションと企業経営について研究している、長内厚教授です。まず、先ほどの日本の決断についてなんですが、税金を数千億円も投じて半導体工場をつくると。しかも、誘致しようとするのは海外企業。なぜここまでしないといけないのでしょうか。

長内 厚さん (早稲田大学大学院 教授)

長内さん:世界では今、国家主導で半導体の獲得に乗り出していますが、日本でも先ほど出たような電化製品だけではなくて、自動車産業の競争力を維持するために半導体の獲得が何よりも重要なんです。また、今回日本の政府の取り組みは非常に画期的な取り組みだということができると思います。

井上:これまで、こういうことはなかったのでしょうか。

長内さん:これまではどうしても日本では新しいものを追いかけるというのが多かったので、古い半導体に投資する、これは珍しいことなんですよ。

井上:世界もしのぎを削っているわけですが、お金の規模感を見ていきます。日本では、半導体工場の建設などに6,170億円を投じる方針です。一方、アメリカはおよそ5兆7,000億円を投じる方針を示していて、中国は国内での生産強化に10兆円以上を投入しているとされています。そして、さらにEUはおよそ18兆5,000億円の支援を検討。

長内さん、なぜ各国はここまで巨額の資金を投じようとしているのでしょうか。

長内さん:これは各国で必要としている半導体が違うので、それぞれの国がそれぞれの国で必要な半導体を確保したいというのが1つあります。もう1つは、地政学的なリスクです。半導体を供給するエリアというのが、ほとんど東アジアに集中しているんです。トランプ政権以降、米中の対立がある中でやはり東アジアという状況が不安定になってきています。特に半導体に強い台湾と中国との間の関係というのも微妙ですし、韓国に対しても中国は圧力をかけているという中で非常に東アジアでの生産だけだと不安になっているというのが欧米の見方なのかもしれないですね。

井上:ただ、これほど生産拠点が分散したり偏ったりすると、自由な貿易という意味では逆行しませんか。

長内さん:そうですよね。各国に工場があって、オープンな環境でいろんな国が協力し合いながらものを作れる体制が維持できるのなら非常にいいことだと思います。ただ、これが経済ブロック化のような動きになってしまうとマイナスが大きいんじゃないかと思います。

保里:この半導体を考えていく上で重要になるのが性能ですけれども、それを決定づけるのが、チップの表面に描かれる電子回路の幅なんです。黄色く飛び交っているのが、その情報を乗せた電気信号です。これが細ければ細いほどたくさんの回路を書き込むことが可能になり、高度な情報処理が可能になります。これを「微細化」といいます。

最先端の回路幅は、5ナノメートル。この5ナノメートルは一体どれぐらいのサイズなのか。私たちの目に見えるぎりぎりの大きさのスギ花粉をスタジオで表現しまして、拡大してこの大きさだとします。

これと比較して、電子回路の幅はこの6,000分の1というサイズ、5ナノメートル。実際に比較すると、これほど大きさが違うわけなんですね。

ただ今回、TSMCが日本で作ろうとしているのは、回路幅20ナノ台の半導体です。これは4世代から5世代ほど古いものだと言われているわけなんですが、長内さん、なぜせっかく誘致する工場で古い世代の半導体を作ることになるのか。もっと高度な半導体を作らなくていいのかと疑問が湧くのですが、どう見ていますか。

長内さん:先ほども申し上げたように、国ごとに必要としている半導体が違うんです。アメリカでは軍事用、あるいは最先端のAI用にもっと最新のプロセスが必要だという話もあるんですが、日本で今不足しているのは自動車や家電製品に使うようなちょうど10年ぐらい前の4世代、5世代前の20ナノレベルの半導体がいちばん不足しているんです。

保里:その半導体も、逆に言うと日本では今作られていないという状況なんですね。

長内さん:その半導体ですらまだ作れていない状況の中で、もうこの際、海外の力を借りてでも作ろうというのが今回の試みだということになるわけです。

保里:ニーズがそこにあるわけなんですが、日本は今この状況をどうやってものづくりの契機にしていけるのでしょうか。

長内さん:半導体を作るというのは技術を作るだけではなくて、最終的には「製品」に入れ込まなきゃいけないわけです。日本は先ほどのVTRにも出てきたテレビとかビデオみたいな最先端な家電だけを売ってきたところがありましたので、新しいものを作ってもちゃんと世界に供給できる、また再び日本が世界に供給できるようなものを作っていかなきゃいけません。そのためには技術だけではなくて、ビジネスも一緒に成長させていく。半導体の成長と共にビジネスを成長させていく。そのため今リハビリとして、10年前のプロセスのビジネスでしっかりビジネスを取る。それを学んでリハビリをしながら少しずつ段階を置いて、新しいプロセスに行くほうがいいんではないかと思います。

保里:そのハード面で、日本は商機を見いだしていけそうですか。

長内さん:はい。AIやIT、アメリカのほうが得意だといわれてますけど、そこにはやはりハードが必要なわけですね。そのハード、AIとかITが進めば進むほど個人情報など高度な機微情報を使うようになりますので、そうしたハードが安心して作れる国はどこか。70年以上、民主主義と自由経済を守ってきた日本だからこそ作れるハードというのが世界に価値を示せるんじゃないかと思います。

井上:もう一方深く見ていきます。その半導体をめぐって日本はどこで勝負をしていくのか。これまでと全く異なるアプローチでの半導体の開発が始まっています。

半導体 大競争時代 イノベーションは起こせるか

先月中旬、次世代の半導体を開発しようという国のプロジェクトが始動しました。

東京大学と、半導体に関連する企業4社などが参加しています。座長の黒田忠広教授。目指すのは、半導体の3D化です。

現在の半導体は平面に並べて配置され、その間を電気信号が行き来することで情報をやり取りしています。

これを縦に積み重ねようというのが3D化。電気信号の移動距離が短くなるため、処理速度が上がり、消費電力を抑えることも期待されています。

東京大学大学院教授 黒田忠広さん
「どんだけ重ねたって大したことないでしょ、距離が。これが新しい3Dの時代なんです」

半導体の立体化技術で世界のメーカーとの競争を勝ち抜き、主導権を握りたいとしています。

黒田忠広さん
「私たちは細分化競争で、世界から少し後れたポジションをとってしまった。次の競争の舞台である3Dにするというところで先回りして先々の先、先に相手が動こうとする直前にポンと打つ」

きたるデジタル社会で、高度な半導体の開発が求められている分野の一つが「自動運転システム」です。2030年には世界の市場規模は650倍。およそ1兆5,000億円に上ると見られ、各国で開発競争が加速しています。

3D化した半導体を自動運転で生かすことができるのか。黒田教授はこの日、ベンチャー企業が行っている実証実験の場を訪ねました。

黒田忠広さん
「これでもう始まっているんですね」

自動運転システム開発会社ティアフォーCEO 加藤真平さん
「もうこれ、自動(運転)ですね」

公道を走れるまでに安全性が向上したという、この自動運転システム。その一方、実用化には大きな課題があります。

黒田忠広さん
「うわぁ、すごい。これはすごいなぁ」

信号の識別や歩行者の動きの予測など、複雑な情報を処理するため大型のコンピューターが必要で、電力も膨大に消費するのです。

加藤真平さん
「揺れに強い、タクシーとかに載せても大丈夫なコンピューターなんですけど、一般の車載というのはもっと検証しないといけない」

黒田教授は、自動運転専用の半導体を作って3D化すれば、処理能力が飛躍的に上がり小型化できると考えました。

黒田忠広さん
「(半導体の3D化で)ワンチップ化ができたら、大きさがこれより小さくなりますよね。もっと小さいのになりますよね。そうすると、ここに荷物置けますよね」

加藤真平さん
「自動運転を実用化するというのは本当に最低限の目標で、それを自分たちがやらないと産業にならないし、経済にならない。産業で勝つか勝たないかの境界線にある。そういう意味で、半導体はすごく大事」

次の時代のニーズを的確に捉えて半導体開発を進めていくことが欠かせないと、黒田教授は強調します。

黒田忠広さん
「社会が何を求めているのか。どういう社会を求めていて、そこにどういう技術が必要なのか。それに合った半導体技術を用意しないと、誰も使わない技術はあんまり意味がない。坂道を転がるようにして下ってきた日本の半導体シェアを反転させる、非常に重要なこと」

復活の鍵は"ビジネス目線"

保里:半導体大競争時代の舞台裏は、以下のリンクから詳しくお伝えしています。

井上:長内さん、この半導体をめぐる覇権争いというのがどんどん激しくなっている中で、日本が置き去りにされないためにはどんなことが大事になってきますか。

長内さん:日本は新しい技術を作る、新しいものを作るというのは得意なんです。ただそこから自分たちの会社、自分たちの国が収益を上げる、もうけるというのが下手なんです。リチウムイオン電池は日本が作ってノーベル賞を取りました。でもいちばん作ってるのは中国なんですよ。スマート家電も日本が考えたけれども、アメリカやヨーロッパのスマート家電は韓国のメーカーが出している。こういうような状況を変えてかなきゃいけない。官民ともイノベーションの問題を単に技術の問題だ、エンジニアの問題だとするのではなくて、エンジニアだけではなくて戦略やマーケティング、営業、すべての知識を総合して戦っていくことというのが何よりも重要です。企業もそうした取り組みが必要ですし、政府も単に技術開発だけをする、あるいは何かを作ればいいのではなくて、そのあとどうやって収益化するか、そういった後押しが必要になってくるんじゃないでしょうか。

井上:まさに技術と、ビジネスも考えるということですか。

長内さん:そうです。ビジネスと技術、セットで高度化していく。半導体のプロセスも高度化していく。それと合わせるように日本のビジネスも高度化していく。そういうことをしていかないと日本はまた技術だけ作って、もうけるのは他国ということになってしまいかねません。ビジネスをしっかりやっていく。これが日本の課題だと思います。

井上:これほどデジタルデータ社会が進む中で、半導体というのは本当に死活的というところですね。ありがとうございました。


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