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2021年12月7日(火)

“多重変異”オミクロン
見えてきた未知の領域

“多重変異”オミクロン 見えてきた未知の領域

南アフリカからの報告を皮切りに、世界各地で報告が相次ぐ新たな変異ウイルス「オミクロン株」。ウイルスのスパイクたんぱく質に30もの変異があり、抗体をすり抜け、強い感染力を持つ恐れがあるとされるが、詳しい特性は分かっていない。先進国と途上国の間の“ワクチン偏在”が是正されない限り変異株の出現は避けらないという指摘も。オミクロン株の感染拡大は何を意味しているのか?最新情報と共に報告する。

出演者

  • 齋藤智也さん (国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター センター長)
  • 井上 裕貴 (アナウンサー)

※放送から1週間はNHKプラスで「見逃し配信」がご覧になれます。

"多重変異"オミクロン 見えてきた未知の領域

オミクロン株が最初に確認された、南アフリカです。1日の新規感染者数は、12月4日には1万6,000人を超え、先月中旬に比べて50倍近くに急増。その4分の3が、オミクロン株に置き換わっていると見られています。

最初に感染が確認された地区では今、何が起きているのか。

開業医のモーゼス・ポアネさんは25歳から40歳までの陽性患者を診察してきましたが、これまでとは傾向が異なる新たなケースが見られるといいます。

1週間前に高熱が出ていた、看護師の女性。検査の結果、陽性と判明しました。実は、この女性はすでにワクチンの追加接種も済ませていたのです。

モーゼス・ポアネ医師
「ワクチン接種済みの人でも、陽性になる人が目立ちます。かつて感染し、ワクチンも接種したのに今回また陽性になった人もいました。同じコロナではあるけれど、全く別の変異株だと感じます」

ただほとんどの場合、軽い症状で済んでいるといいます。

モーゼス・ポアネ医師
「患者の多くは頭痛、めまい、発熱、鼻水、鼻づまりを訴える程度。せきも、のどからの浅いせきなんです。重症ではなく、入院も必要ないのです。ワクチンが効いている可能性があります」

一方、アフリカ最大規模のこの病院では重症化し、集中治療が必要なケースも出ています。オミクロン株による感染かどうかは把握されていませんが、2日の時点で入院している重症患者全員が、ワクチンの接種を終えていなかったといいます。

南アフリカ ラマポーザ大統領
「国民の皆さん、どうか一刻も早くワクチンを打ってください」

オミクロン株に対しても重症化を防ぐ鍵になるかもしれない、ワクチン。南アフリカで今、喫緊の課題となっているのが接種をどう広げていくかです。

南アフリカの接種率は、世界の平均を大きく下回る25%。特に、これまで重症化しにくいとされてきた若い世代の間で理解が進んでいません。

若者
「気楽に行こうよ。今まで周りは誰も感染していないしね」

さらに、国民の半数近くを占める貧困層にはワクチンが届きにくい現状があります。国やNPOなどが孤立する地域の住民を直接訪ね、接種を急いでいます。

接種を受けた住民
「貧しくて接種会場に行く交通費も出せないので、助かります」

NPOスタッフ
「たった1人でも感染すれば、地域全体に感染が広がります。接種していない人が大勢いるので、重症化のおそれもあります。だから、みんなで一丸となることが大切なのです」

いま世界の専門家が注目していることは

世界48の国と地域で確認されている、オミクロン株。(6日現在)

世界の専門家が今、何に注目しているのか。オミクロン株に関する研究論文は、まだ僅か。そこで人工知能・AIを使い、過去の論文やリポートの中で数多く引用されているのは何か調べました。

SNSで最も引用されていたのが、南アフリカの医療グループが伝えた、再感染のリスクについてのリポートです。1度感染し、抗体を持つ人が再び感染するリスクがこれまでの変異株と比べて3倍になるというものでした。

コーネル大学 ジョン・ムーア教授
「感染力が非常に強いようです。南アフリカの研究は、オミクロン株が抗体による防護を突破する能力が高いことを示しています。しかしいまは非常に初期の研究で、これから多くの情報が得られると思います」

オミクロン株の遺伝情報に注目している、ウイルス学が専門の武内寛明准教授です。

東京医科歯科大学 ウイルス制御学分野 武内寛明准教授
「これはオミクロン株のスパイクたんぱく質の3次元構造モデルを示しています。変異部位をそれぞれ色分けして示した3Dモデル」

武内さんが注目するのは、ウイルスの表面にある突起「スパイクたんぱく質」。ウイルスが人間の細胞と結び付く、「鍵」となる部分です。

オミクロン株では、ここにおよそ30か所の変異があることが分かっています。武内さんは、30の変異は大きく2つに分けられると捉えています。

武内寛明准教授
「ブルーの箇所はどういった特徴を持つか、すでに分かっている変異部位。それに加えて、われわれが変異として今までにみられてこなかった、初めてみられる未知の変異が入っている」

オミクロン株には、世界各国で感染拡大につながった「N501Y変異」など、すでにその特徴が分かっている変異に加え、実態がよく分からない未知の変異がいくつも見つかっているのです。

武内さんが未知の変異の中で特に注視しているのが「G446S」。

コンピューターのシミュレーションでは、人の細胞と結合しやすくなることが予測され、感染力が高まると懸念されていました。それが現実の変異として初めて現れたのが、オミクロン株だったのです。

武内寛明准教授
「特徴が分かっている既知の変異と未知の変異が合わさっている変異株だから、感染・伝ぱ性やワクチン(の効果)や、われわれに対して非常に悪い影響を与える可能性もある。まだ特徴をつかみきれていない、その変異がどういう意味があるのか分からない、注視しなければいけないというのが私の意見です」

実際のワクチンの有効性にどんな影響を与えるのか。AIの解析では、多くの研究者が3回目のブースター接種など、ワクチンの効果に注目していました。

ジョンズ・ホプキンス大学 アメシュ・アダルジャ准教授
「ワクチンがどの程度効果を表すか、よく理解しておかなくてはいけません。初期のデータはワクチンが重症化、入院、死亡から守ってくれそうである事を示しています。重症化を防ぐ機能は、失われていないと強調したいです」

重症化は?ワクチンの効果は?

井上:オミクロン株に関する詳しい記事は、以下のリンクからご覧ください。

そして最新の情報です。オミクロン株が確認された国や地域の数は、7日の夜に1つ増えて49になりました。
国立感染症研究所の齋藤智也さんに聞いていきます。齋藤さん、まだ限られた初期のデータにはなりますが、デルタ株とオミクロン株の比較を用意したのですが、どうやらオミクロン株、感染力は高そうだと。気になるのが重症化のリスクなんですが、これはどう見ていますか。

齋藤智也さん (国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター長)

齋藤さん:先ほどのVTRでもありましたが、まだ重症者は多くなさそうだという報告がございますけれども注意が必要です。現在流行の初期にあって、感染してから重症化するまで時間がかかりますので、まだ重症化する方を見つけていないということがあります。それから、まだ重症化しやすい方、例えば高齢者の方とかそういうところまで感染が及んでいないという可能性もあるので、これから数週間は注意をして見る必要があります。

井上:確かに若い方の報告も多いわけですよね。そして今回の取材でもありましたが、突起の変化、これにも注目しているそうですね。

齋藤さん:今回非常にウイルスの突起の変化、変異の数というのが多いということが特徴的です。そしてこれまで感染性が増えたり上がったり、それから免疫を回避する可能性がある、そういった特徴を持つウイルス、同じような変異がたくさん入っている。そのほかにもまだ未知の変異がたくさん入っているということで、非常に注意をして見ているところです。

井上:重症化の程度でいいますと、時期としてはどれくらいで大体見えてくるものなんですか。

齋藤さん:今、南アフリカで非常に感染者数が増えているところで、ここから2~3週間というところでだんだん見えてくるものがあると思います。

井上:早くても年内ぐらいには見えてくるわけですか。

齋藤さん:はい。

井上:そして、もう一つ。ワクチンの効果ですけれど、これについてはモデルナとファイザーのCEOのコメントをまずご紹介したいと思います。まずモデルナですね。「デルタ株と同じレベルの効果が得られることはないと思う」とバンセルCEOが言いましたが、モデルナの指摘はどう受け止めたらいいんですか。

齋藤さん:先ほど申し上げたように、ウイルスの突起の変化というのが非常に多い。顔つきが大きく変わっているという状況です。そうすると、ワクチンの効果の中でも特に感染予防の効果、ウイルスが入ってきたときにそれを止める効果というのはどうしても標的の顔つきが変わっているのでなかなか難しくなってきている可能性があるということを指摘されているのだと思います。

井上:そしてファイザーのブーラCEOですが、「ワクチンの効果が低下するのならば新たなワクチンを作らなくてはならない」としまして、「すでに作業を始めていて100日以内にできる」と。これはどう見ていますか。

齋藤さん:今回使われているmRNAワクチンというものは、ウイルスが大きく変異をしてもすぐにその変異に合わせたワクチンを作れる、そういう特徴があります。なので今、まず今使っているワクチンがどれくらい効果があるのかというところを見極めつつも、もしそれが効かなかった場合を想定して、現在の変異ウイルスに合ったワクチンを同時に作り始めている、そういう段階にあると考えています。

井上:この長い闘いで今どこにいるのかというところなんですが、間違っていたらご指摘いただきたいんですけど、このウイルスはいずれかぜのようになっていく、インフルエンザのようになっていって無害になっていき収束にどんどんどんどん向かうと私は思っていたんですが、実際、これは分岐点になるのでしょうか。どう見ていますか。

齋藤さん:これまで何度か波を乗り越えてくる中で、もしかしたらこのまま終わってくれるのではないかとか、あるいはかぜのようになってくれるのではないかと期待していたんですけれど、いつも裏切られてきたというのが実情です。ここ1~2か月は非常にデルタ株の流行も落ち着いてきて、野球に例えれば7回の表まで来たかなというような気持ちでいたんですけれど、全く顔つきの違うウイルスが出てきてかなり初回のほうに戻されてきてしまったのかもしれないと思ってたんです。ただ一方で、この2年間の間にわれわれは非常にいろいろと準備を整えてきた。ウイルスの性状についても昔よりも分かっているし、ワクチンもたくさん打ってきたし、そして何より感染対策、感染予防、これが市民の方々の間で非常に生活の中で浸透していってる。そして医療体制も整えてきている。そうするとこういった経験を生かして、今回の変異ウイルスもきっちり乗り越えていけるのではないかと思っています。

井上:そういう意味では、これまでの大変だった時期というのもむだではないということなんですね。

齋藤さん:これまでの経験は必ず生きると思います。

井上:そして当然去年の冬とは状況が違うということですね。それでは各国はどう対応しているのか、見ていきたいと思います。ワクチンの追加接種にいち早くかじを切ったのが、イギリスです。ロンドンの向井支局長が伝えてくれます。

向井麻里(ロンドン支局長):こちらはロンドン市内にあるワクチンの接種センターです。オミクロン株が確認されたことで、追加接種を受けに来る人が急増しています。多い日には1,000人を超えるということなんです。対象年齢を40歳以上から18歳以上に引き下げたほか、接種の間隔を6か月から3か月に短縮しました。1月末までに接種を終わらせることを目指しています。
そして同時に打ち出しているのが、規制の強化です。入国前後の検査や結果判明までの自主隔離といった、水際対策。さらに公共交通機関などでのマスクの着用も義務化しました。イギリスでは、オミクロン株への感染がこれまでに336人確認されています。複数の地域で国外への渡航とは関係ない人の感染が確認され、警戒が強まっているんです。

井上:向井さん、確かにたくさんの人の姿が見えますけれども、イギリスではこの夏以降、規制の緩和を進めてきたと思うんですが今は相当深刻に捉えているということなんでしょうか。

向井:危機感を相当強めています。今の規制強化は、あくまで追加接種が終わるまでの時間稼ぎという意味合いが強いと思います。というのも政府は、オミクロン株によって感染が拡大するのは時間の問題だと見ているんです。そこで追加接種によって免疫を高めることで、感染した人の重症化を防ごうとしています。政府に感染対策を助言する専門家は次のように指摘しています。

英予防接種・免疫合同委員会(JCVI)副委員長 アンソニー・ハーンデン教授
「高いレベルの抗体があれば、ウイルスを無効化するうえで優位に立てます。私たちは(追加接種で)国内の集団免疫のレベルを高くしたい。そうすることで、この変異株と戦う最善の備えができるのです」

向井:変異ウイルスに対応した改良ワクチンが必要になったとしても、実用化までにはまだ時間がかかると見られます。こうした中、イギリス政府は追加接種を現在持ちうる最大の武器として立ち向かおうとしています。

日本の対応は? 羽田空港検疫に密着

日本はオミクロン株にどう対応するのか。水際対策の最前線、検疫の現場に密着しました。

オミクロン株の広がりを受け、即座に外国人の新規入国を原則停止する措置に踏み切った日本。入国できるのは、日本人の帰国者や在留資格を持つ外国人など、1日最大3,500人に制限されています。

「陰性証明書は問題ないので、お返しします」

原則として、出国前72時間以内の陰性証明書の提出を必須としています。到着後も、全員に「抗原定量検査」を実施。1時間ほどで分かる結果を受けて、入国者は次の手続きに進みます。

「1日1件か2件は、羽田空港の検査でも(新型コロナの)陽性のお客様はいらっしゃいます(11月時点)」

入国後もスマートフォンのアプリを使って、居場所や健康状態を把握。世界的にも厳しい対策を実施しています。

さらに今回、検疫法に基づいて対応を強化。オミクロン株の感染が確認された国や地域に滞在歴があれば、検査が陰性であってもホテルでの待機を要請したのです。

母親が入院したという連絡を受け、急きょドイツから帰国した男性です。水際対策に理解を示しつつも、焦りが募っているといいます。

ホテル待機中の男性
「私の場合は母親の手術も決まっていますので、その間に(ホテルでの)強制的な6日間の待機(合計)14日間自主待機をしなければいけない。やはりこちらとしては1日でも早く会いにいきたいわけですし」

水際対策への理解を得るのが難しいケースも頻発しています。

「人をむだに拘束していいの?俺は受けたくない」

オミクロン株の感染が確認された国から帰国した、日本人の男性。空港での検査は陰性でしたが、新たな措置として始まったホテル待機に抗議していました。

「どうすんの俺、ホテル行けって狭い部屋にぶち込まれるわけ?」

「感染を市中に拡大させないためにとっている、政府の措置になりますので」

「ちょっとあなたの話で頭にきているから、少し時間くれる? I wanna cool down」

5時間に及ぶ説得の末、男性はようやくホテルに向かいました。

羽田空港の検疫で、陽性と確認された入国者がオミクロン株に感染していたことが6日に判明。検疫の現場では、瀬戸際の対応が続いています。

東京空港検疫所支所 岩崎容子支所長
「国を守るという使命感を持っている一方で、まずやれることを精いっぱいやることしかわれわれにはないだろうなと思っています」

市中感染への備えは

自治体では、市中感染を見逃さないための取り組みが始まっています。東京・墨田区の保健所では、今月から民間の検査会社に依頼し、独自にウイルスの解析を行うことを決めました。

保健所は、発熱外来を設置する区内のすべての医療機関に陽性が出た場合、検体を送るよう呼びかけます。

そして帰国者など、オミクロン株である可能性が疑われるものは国や東京都の検査機関へ。可能性が低い検体もすべて区が民間の検査会社に回し、市中感染が起きていないか解析するのです。

墨田区保健所 西塚至所長
「第6波の恐らく株になるだろう、流行株になるだろうという前提のもと、本当に市中感染が起こっていないか。万が一オミクロン株だった場合は、さらに広い輪をかけて接触者を追いかけていきたい」

患者を受け入れる医療機関では、オミクロン株の感染の広がりに対応しようとしています。

「陰圧ストレッチャーと言いまして」

この病院では、ウイルスの飛散を防ぐ特別な装置がついた陰圧ストレッチャーや人工呼吸器の準備を進めています。

さらに今月3日からは、当初の予定を2週間以上前倒しして、医師や看護師の3回目のワクチン接種を始めています。

東京医科歯科大学病院 若林健二病院長補佐
「われわれ1年半でさんざん予想を超える経験をしてきた。自分たちにできることもわかっているし、対応力もついてきたと思う。粛々とやるという形で、慌てずにやるしかない」

求められる対策は

井上:齋藤さん、ちょうど6日に日本でも3回目接種の前倒しが表明されましたけれども、どうしてワクチンの追加接種というのが必要になるんでしょうか。

齋藤さん:今回使っているタイプのワクチンは1回打っただけでは効かず、1回、2回と打って免疫力を高める必要があったのでこれまで2回接種を行ってきました。そして、どうしてもこのワクチンはだんだんと免疫力、防御力というのが落ちてきてしまうので、また免疫のレベルを上げて、そして長く持続させる、それが3回目の接種ということになります。

井上:ただ、3回目を打ったとしても例えば免疫逃避だったり、すり抜けがありますよね。それだったら元も子もないんじゃないかと思うんですけど、それはどうなんでしょうか。

齋藤さん:ワクチンが効くことが分かっているデルタ株もまだ優性ですし、仮に今回のワクチンに合わないウイルスであったとしても、このウイルスのたんぱく質に防御するいろんな抗体があります。それが必ずしもぴったり合うものばかりではなくても、ちょっと合うものがたくさんあることで多少顔つきが変わっていっても全体の防御レベルが上がっていることで抑える効果が期待できる。

井上:それが重症化を抑えたりする可能性があるわけですね。

齋藤さん:そういうことですね。

井上:今後の向き合い方をお聞きしていきたいんですが、水際対策を日本は進めていますけれども、いずれ市中感染が起きるという前提で考える場合、どんなことが大事になってきますか。

齋藤さん:基本的な考え方は、感染者が急に増えないように、大きく増えないようにしていくことだと考えています。個人個人のとる対策というのはこれまでと基本的には変わらなくて、日常的にマスクを使う、それから3密を回避する、手を洗う、こういった対策を日々続けていくことが必要ですけれども、これがもし大きく広がり始めてきてしまったらば多人数で集まることを避けたり、なるべく人と接触する機会を社会全体として少なくしていくという対策というのが必要になってきます。

井上:仮に拡大していった場合、どんなことをいちばん心配されていますか。

齋藤さん:まず急激に感染者が増えることで、重症者が急激に増える。そして医療体制の準備が追いつかないということを懸念しています。今回もだいぶ病床の確保などで準備してきているので、これはすぐに対応していくことが大事です。

井上:あと日本でも3回目接種が始まるに当たって、やる方ももちろんいると思うんですが、まだ打てていない方だったり、打てない方というのも当然国内にはいて、その辺りのワクチンの差といいますか、どういうふうに考えていったらいいでしょうか。

齋藤さん:まだ接種の進んでいない年代の方もいますし、3回目のブースター接種が始まったからといって、1回目、2回目の接種が終わったわけではないので、できるだけ多くの方がワクチン接種を受けていただきたいと思っています。

井上:ワクチン格差というのをなくさないと、いずれ変異が出てくるよということは科学者の方々がずっと警鐘を鳴らしていたわけですよね。それが今回変異が起きたと。どんな教訓をこれから大事にしないといけないでしょうか。

齋藤さん:今回、南アフリカからの報告が最初にありましたけれど、これが南アフリカから発生したとは限らない。恐らくはサーベイランス体制、監視体制や、ワクチン接種が整っていないアフリカ諸国で発生してきた可能性もありますので、こういったところでも対策をしっかり世界中で進めていくことが大事です。

井上:長い闘いの中で今がいちばん正しく恐れるときなのかもしれません。ありがとうございました。


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