クローズアップ現代

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2021年6月16日(水)
あなたは大丈夫? コロナ禍のアルコール依存

あなたは大丈夫?
コロナ禍のアルコール依存

失業のストレスから飲酒量が増え、記憶が飛ぶようになった女性。 飲み会に行けないストレスから暴飲に走り、警察に保護された中年男性…。コロナ禍が長引く中、飲酒量が増えたという人が続出している。日本最大のアルコール依存症治療機関である久里浜医療センターでは、電話相談が前年の1.5倍に増加。都内の心療内科では、アルコール依存症の新規患者の3割が、コロナによる失業や生活の変化が原因と見られるという。 こうした中、筑波大学附属病院では4月に「アルコール低減外来」をオープン。新薬を使い、酒を完全には断たない“減酒治療”に取り組んでいる。いまだ終息が見えないコロナ禍の日本で、アルコールとの上手な付き合い方、今後の課題を考える。

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから

出演者

  • 樋口進さん (久里浜医療センター院長)
  • 井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)

コロナ禍のアルコール依存 以前はあまり飲まなかったのに…

コロナ禍のアルコール依存症。取材で目立ったのが、これまであまり飲まなかった人が依存症に陥るという実態です。

旅行会社で添乗員をしている女性。コロナの影響で、この1年仕事が全くなく、自宅待機が続いています。以前は休日の前夜だけ飲酒していましたが、しだいに量が増え、毎日飲んでしまうように。

国内ツアー添乗員
「大体(ビールを毎日)12本は買ってくるんですよ。きょうはこれでやめようって思ってるんですけど。飲んじゃったら、また飲みたくなって、コンビニ行って6本くらいプラスで買って、それも全部結局飲んじゃう。1週間分の(ゴミを)見て、『うわー』って思いますよね。ごっそり持ってくるお宅多いんですけど、その中で比べても、うちは群を抜いて多いかな。(飲むのは)私1人、ほとんど1人分なのに」

子ども3人と夫の5人家族。昼間はにぎやかに過ごしていますが、皆が寝静まって1人になると、つい仕事について考えてしまうといいます。

国内ツアー添乗員
「やっぱり働けなくなる、仕事なくなることが不安じゃないですか。酔っ払ってる時は、そういう不安を忘れられますよね。酔いがさめたら何も状況変わってないんですけど、飲んでるときだけ現実忘れられるっていうか」

職場の人との関わりが減ったことで、依存症に陥ったというケースも。スマホアプリの会社を経営する、40代男性。コロナの流行以来、感染対策やリモートワークを支援するアプリの注文が殺到。仕事に追われるようになりました。

しかし、男性以外の社員は全員リモートワーク。1人出社して激務をこなすうち、ストレスを発散する手段がなくなってしまったといいます。

アプリ会社 経営
「前は社員と食事行ったりしてたんですけど、そういう場もなくなってしまって。緊急事態宣言が出ちゃうと、飲食店もやってない。結果的に平日ストレス発散するのは、(1人で)お酒を飲むぐらいしかない」

1人忙しく働き、夜遅く帰宅する日々。飲まないと眠れないため、毎晩900ミリリットルの焼酎をストレートで1瓶空けるようになりました。

そんなある日。感染状況が落ち着いていたため、久しぶりに1人で飲みに行った男性。ところが…。

アプリ会社 経営
「大塚で飲んでたはずなんですけど、なぜか気がつくと高田馬場の警察署に保護されてまして。飲み過ぎて、記憶がなくなって、ブラックアウトして。さすがにワケがわからなくて、パニックになりましたけど」

その後も記憶を失う頻度が増え、肝機能障害の指標γ(ガンマ)GTPも基準値をはるかに超えた570に。クリニックで、アルコール依存症と診断されました。

アプリ会社 経営
「(依存症というと)手が震えてるみたいな、そういうイメージがあったんですけど、肉体的な離脱症状が起こらなくても、もう精神的に依存してたり、飲まずにいられない状態になってることが、もうアルコール依存症なので。意外でしたね。従来の認識と違ってますね」

長引く自粛生活で断たれた、社会とのつながり。その不安やストレスから、知らないうちに飲み過ぎてしまうと専門医は分析します。

さくらの木クリニック秋葉原 倉持穣院長
「孤独の病気と言われてますよね。(コロナで)つながりがなくなっちゃって、お酒にストレス発散を求めるみたいな。コロナがまだ収まってないから、もっと増えていく可能性があるかなと」

なぜアルコール依存に? 飲み方の危険度を見極める

井上:まず最初に、コロナ禍でアルコール依存症が懸念される背景に迫ります。そして後半は、今、広がる新たな治療法についてです。これまで一般的だった、お酒を完全に断つ「断酒」ではなく、飲む量を減らす治療「減酒」についてお伝えしていきます。

保里:アルコール依存の治療に取り組む、久里浜医療センター院長の樋口進さんに伺っていきます。樋口さん、どうぞよろしくお願いいたします。樋口さんの医療センターでも、アルコール依存症の相談が増えているということですね。

樋口進さん (久里浜医療センター 院長)

樋口さん:そうですね。2019年に比べると、2020年は大体1.5倍ぐらいに増えています。コロナに関係するような相談も来ています。例えば、仕事がなくなってしまったので、その分お酒を飲むとか、あるいはテレワークがあって、そこでお酒を飲んじゃうとかですね。顔が赤いというので会社から注意されたり、主婦の方でご主人と子どもさんが家にずっといて、それでストレスが高くなって飲むとか、そんなことがあるようです。これについてはWHOとか学会、それから専門家、そういう方々がコロナ禍でストレス等で飲酒が増えるかもしれないから気をつけましょう、というメッセージを出しています。

保里:当てはまりそうなケースがたくさんあるような気がするのですが、世界的にも懸念されているということなんですね。

井上:樋口さんがまさにおっしゃっていただいた、さまざまな飲み方の変化が今、コロナ禍であると思うのですが、こうした変化の中でどんなことをいちばん懸念されていますか。

樋口さん:国税庁のデータによると、2019年に比べると、2020年、2021年は飲酒量が減っている、アルコールの消費量が減っているということです。これは恐らく家飲みじゃなくて、外飲みが減ったのだと思いますけど。逆に家飲みが増えているのではないかと懸念する声は、いっぱいあります。例えば外飲みの場合は、周りが「飲み過ぎだよ」とか注意してくれる。「電車に乗り遅れちゃう」とかそういうようなことがあるのですが、家だとそういうことがなく、ブレーキがなくて、いくら飲んでもすぐ寝れるとか、そんな状況になってしまうと。

井上:そういう意味で、オンオフのさかいがなくなっていくわけですね。

樋口さん:そうですね。

保里:なかなかブレーキがききづらくなっている、当てはまるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。アルコール依存症の危険がどれぐらい自分に当てはまるか、3つの質問に答えて判定する方法というのがありますので、当てはまる項目の点を合計して考えてみていただきたいと思います。
まず1つ目が、アルコールを飲む頻度についてです。全く飲まない人は0点。そして、月に1回以下の方は1点などとなっています。自分がどれぐらいか、点数を確認してみてください。

次に2点目。1日に飲む量です。ここでは分かりやすく、ビール500ミリリットルを1本として換算しています。画像の右にも出ているとおり、ほかのお酒も日本酒の場合だと1合。ハイボールだと350ミリリットル1缶という形で、どれぐらい飲んでいるか、その量を確認してみてください。

3点目です。ビール1缶で換算して、3缶以上飲む頻度ですね。これぐらいの量をどれぐらいの頻度で飲んでいるか、点数を確認できたでしょうか。

ここまでの点を合計して6点以上ですと、アルコール依存が疑われるということです。

このテスト、関連記事からも簡単に受けることができます。井上さんは?

井上:私も最近ちょっと酒量が増えていたので心配していたのですが、3点でした。

保里:ちょっと気をつけていた?

井上:上手におつきあいできているみたいですが。樋口さん、そもそもなのですが、アルコール依存症は一見分かりにくいところもあると思うのですが、どういう状態をアルコール依存症と見たらいいのでしょうか。

樋口さん:まずはアルコールといったら依存性薬物と同じように、依存性があることは理解いただきたいと思うのですが、依存症はひと言で言うと、自分が大事にしている家族とかお仕事とか、健康、そういうものよりもお酒を優先させる状況というふうに言われています。
例えば、お酒を強烈に飲みたいと。万難を排してお酒を買いに行くとか、昼間仕事をしている間に夜にお酒を飲むことを考えちゃうとか。それから、アルコールのコントロールができない。例えば、飲むと泥酔するまで飲んじゃうとか、自分はきょうここまでにしようと思っても飲み始めてしまうと止まらないとか。
それからほかに、お酒に強くなったという証拠があるとか、あるいは禁断症状ですね。手が震えるとか、そんなことも症状としてはあります。

井上:じゃあ、よく昼間から酒瓶を飲んでいるというイメージは違うわけですね。

樋口さん:そういう方ももちろんいますけど。ごく普通の仕事をされているけれど、やはり依存だという方ももちろんいらっしゃるわけです。

井上:精神依存から始まって、身体的な体の悪影響。これはどういうことが出てくるのでしょうか。

樋口さん:一方で、アルコールは少量であれば、特定の疾患についてはむしろ発症率が下がるという研究もよく言われています。しかし一方では、最近はいや、そうじゃないと。飲めば飲む量に従って、リスクが上がっていくんだと。そういうことを言われていて、そのあたりはまだ明確じゃないところはあります。いずれにしても、量が増えればいろんな問題、健康問題を起こすということです。WHOは、お酒によって200以上、あるいは健康問題、あるいはけが、あるいは病気、そういうものが起こるといっています。

井上:今まさに出ていますけど、200以上ですか。

樋口さん:ええ。例えば、ここにあるとおり、肝臓の障害とか、それから脳の萎縮とか、すい炎とかですね。がんは、食道がんとか大腸がんが有名ですよね。こういう体の健康問題だけではなくて、心のほうにも影響が出てくると。いちばん有名なのが、うつ病を引き起こすということです。逆に、うつ病の方々というのは、うつうつとした気持ちとか不眠とかを自己治療としてお酒を飲んで、それで飲む量が増えて依存症になっていくケースもよくいわれています。
それからDVとか、虐待もアルコールに関係しているというようなことがいわれています。特にこういうコロナ禍なので、うちに籠もっている方が多いので、そういうリスクが高くなってくるのではないかなと思います。

保里:家庭内暴力にまで、さまざまな影響があるということなんですね。そうした中で、国も対策に取り組んでいます。ことし3月には、厚生労働省がアルコール依存症に対する新しい基本計画を発表しました。その中に、お酒の飲み方を大きく変えるかもしれない動きがあります。
例えば、通常このビール缶のように、少しアップで見ますとアルコール度数がパーセンテージ表示されています。ただ、実際に含まれるアルコール量を、グラム表示するようにメーカーに求めているということです。

実際、それぞれどれぐらいのアルコールが含まれているのか調べたところ、350ミリリットルの缶ビールの場合ですと、14グラム程度。

一方で、飲みやすいと人気があるというストロング系酎ハイについては、25グラム。

井上:結構ありますね。

保里:そうなんです。さらに、最近各メーカーが取り組んでいる、0.5%程度の低アルコール飲料ですと、1.4グラムということでした。

こうした取り組み。樋口さん、どんなねらいがあるのでしょうか。

樋口さん:お酒にはいろんな種類があって、濃さがみんな違うので、例えばビールを500ミリリットル飲んでも、一体、中にアルコールがどれぐらい入っているのか分からないわけです。それを表示することで、自分がきょう、どのぐらい飲んだんだということがより正確に分かるということがあります。
厚生労働省は、生活習慣病のリスクを高める因子として、男性の場合は1日平均40グラム以上、女性20グラム以上。半分ですね。そういうふうにいっているのですが、それって実際分からないですよね。40、20と言われても。こういうラベルにグラムが書いてあれば、よく分かるということだと思います。

保里:目安があって、ラベルにもグラムが書いてあるとかなり分かりやすくなるなと思うのですが。ただ、女性で20グラムまでと考えますと、ストロング系酎ハイ1本だけで基準値を超えてしまうことになりますが、この目安、そもそもなぜ女性は男性の半分なのでしょうか。

樋口さん:いろんな理由があるのですが、1つの大きな理由は、女性は男性に比べると肝臓が小さく、肝臓が小さければアルコールの分解も遅れる。
アルコールというのは肝臓だけではなくて、筋肉でも分解されるのです。その筋肉も女性は少ないですよね。なので、アルコールの分解が遅いということ。
それから女性は男性と同じ体重であっても、脂肪の量が多いのです。脂肪の量が多いと、脂肪はあまりアルコールが溶けないので、その分だけ水が少ないと。水が少なければ血中濃度が上がりやすくなるということです。
それから女性ホルモンが影響して、肝臓障害を引き起こしやすくなるということも言われています。

保里:これまでの経験上、男性女性関係なく、たくさん同じように飲むという経験もたくさんありますが、体のさまざまなところで違っているのだなというのが。

樋口さん:体の小さな女性は、相当無理して飲んでいるということになるでしょうね。

保里:そこに気付くということも大切ですね。こうしたことを受けて、メーカー各社、ホームページにグラム表示を載せたりとか、順次商品の表示をグラム表示にするという取り組みを行っていく予定だということです。

井上:続いては、治療の最前線を見ていきたいと思います。これまでは、お酒を一滴も飲まない完全に断つ「断酒」が一般的な治療方法だったのですが、そこに近年、新たに「減酒治療」が登場しています。

本当は治療が必要な"隠れ患者" 新たな治療「減酒」とは?

今回の取材の中で依存症の人たちが、たびたび口にすることばがありました。

「やっぱ(依存症と)認めたくない。自分より大酒飲みがいっぱいいるわけですよ。そうすると、俺まだ大丈夫じゃんて」

「いつかは量を減らさないとぐらいは思っているんですけど。(依存症だと)認めると、お酒をやめさせられる、断酒させられる」

アルコール依存症の患者数は、全国に100万人以上。しかし、医療機関で受診し治療を受けているのは、そのうちの5%にすぎません。

多くの人は依存症の自覚がなかったり、断酒したくないと治療を拒否。さらに飲んでしまう悪循環に陥っていきます。

こうした隠れ患者たちに、どうやって病院に来てもらうか。長年の課題を解消するため、この春、筑波大学附属病院にできたのが「アルコール低減外来」です。

医師
「自力で(お酒を)減らそうと思ったことはあります?」

患者
「減らそうと思ったことは何度かあるんですけど」

医師
「レコーディングダイエットって聞いたことあると思うんですけど。記録する。例えば、体重を毎日つけると意識しますよね。それと一緒でお酒の量も書くと、ちょっと飲みすぎかなみたいな感じで意識しだして、それだけでお酒の量が減っていくということがありますね」

お酒を完全に断つのではなく、減らすことを目指す「減酒治療」。ヨーロッパなどでは、症状が軽い患者を対象に、広く行われているといいます。

治療はまず、医師とのカウンセリングから。現状を詳しく把握して、患者自身が目標とする飲酒量を決めます。毎日の生活では、飲んだ量を正確に記録。必要に応じて、減酒薬を服用します。その後も定期的に通院。お酒との上手なつきあい方を学んでいきます。

減酒外来を開いて2か月。これまで病院を敬遠していた患者が受診するようになり、常に予約が埋まっているといいます。

筑波大学 吉本尚准教授
「そんな外来作っても(患者が)来ないんじゃないかと思ってたんですけど、開いてみたら結構たくさん来るようになった。患者さん自身が主体的に『飲まない』、『減らす』と考えて、治療にあたる事が可能になっていると思います」

減酒治療を始めると、飲み方はどう変化するのか。実際に治療を受けている、50代の男性です。かつては、好物のハイボールを毎日10本近く飲んでいました。現在の目標は、1日4本以下。1缶空けるたびに、専用アプリに記録します。この日の合計は目標どおりの4本。アルコールの総量は56グラムでした。

男性が治療に使っているのが、2年前に認可された新薬「ナルメフェン」。世界30か国以上で減酒治療に使われ、効果を上げている薬です。通常私たちがアルコールを飲むと、脳内にエンドルフィンなどの神経伝達物質が分泌されます。

この伝達物質が受容体と呼ばれる部位に結合することで、飲酒による高揚感や気持ちのいい感覚を得られます。

しかし、減酒薬を飲むと神経伝達物質より前に、薬のほうが受容体と結合してしまいます。

すると、お酒を飲んでもエンドルフィンなどが結合できず、高揚感や快感を得られにくくなります。その結果、自然と飲みたい欲求が抑えられるという仕組みです。

減酒治療中の男性
「(薬を)飲んだからといって、お酒の味が変わるっていうのはないんだけど。ひとつ変わるのは、もうきょうはこのへんでやめとこうって気持ちは今までなかったけど、これ飲むようになって、まあきょうはもういいかみたいな。もうあす仕事だからって、最後に締めるのがホットミルク、ありえないでしょ」

「奥様から見て効果出てます?」


「出てますね。話ができるようになりましたね、会話が」

「今はもう昔に戻ったと思っていい?」


「いや、まだですね。もうちょっとですね」

今まさに広まりつつある「減酒治療」。その現状や課題とは。

コロナ禍のアルコール依存 依存症にならないためには?

井上:関連記事からは、減酒治療に対応している医療機関のほか、アルコール依存に悩む人たちが相談できる窓口などをご覧いただけます。

保里:「断酒」ではなくて、「減酒」という治療法がある。治療の幅が広がったということですね。

樋口さん:そうですね。われわれも一昔前まではアルコール依存症というと、すごくよれよれのひどい状況の方々を考えて、こういう方々の治療をどうしようかと考えていたのですが、アルコール依存症の診断ガイドラインを当てはめると、実はもっと軽い人がいくらでもいるわけです。こういう方々に対する治療をやっていかないといけないと。そういうときに、おしなべて「断酒」でいいのかどうか。ヨーロッパでは、「減酒」という治療を前からやっていて、エビデンスも確立されていますので、「減酒治療」というのが始まったわけです。アルコール依存の患者さん、病院に来るときに、お酒をやめたくないと思っている方が多いわけでして。

井上:それが一つの大きな障壁なわけですよね。

樋口さん:そうです。そうすると減酒でもいいですよというと、行ってみようかということになるわけで、治療のハードルがかなり下がるということがあります。われわれの病院も2017年から減酒外来を始めているのですが、やはり断酒のところにお見えになる方は大体、家族に説得されて付き添われて来ることが多いのですが、減酒外来というのはみずから進んでお見えになるということで、だいぶ状況が違います。

井上:本当にリスクの手前にある人たちにとっては、ハードルが下がるということですね。

樋口さん:そうですね。

井上:VTRでもご紹介した減酒薬「ナルメフェン」、これはどういうふうに捉えていますか。

樋口さん:これは依存レベルが低い方とか、あるいはアルコールによる健康障害がそんなにひどくないとか、それから禁断症状もひどくないとか、こういう方々に適応になると思うのですが、VTRにもありましたがかなり有効性が高いと思います。
一方で副作用もありますので、先生とよく相談して使うか使わないか。あるいは、使う場合にはどんなリスクがあるかということをお話しされて使うのがいいと思います。

井上:どんな副作用があるのでしょうか。

樋口さん:副作用でいちばん多いのは、めまいです。それから吐き気とか、場合によっては吐いたりすることもあるということです。やはりでもアルコール依存症は、治療目標として断酒がいちばん安全で安定的なので、もしうまくいかない場合には断酒に切り替えていくことを考えていただければと思います。

保里:いずれにしても、必要に応じて先生と相談しながらということですね。

樋口さん:そうですね。

保里:取材した減酒治療中の方も使っていましたが、飲酒量を記録する便利なアプリも今、出てきているということですね。こうしたアプリを身近に活用するというのも、一つの手かなと思います。

樋口さん、これは誰にでもリスクがあると思います。お酒の量がちょっと私も増えているかな等と、心配だという方はたくさんいるかもしれませんが、どんなアドバイスをいただけますか。

樋口さん:こういう生活習慣を変える方法というのは、よく似ているんです、ほかのものも。まず自分の今現在のお酒の量を評価して、それで減らしたいと思う目標を作って、それを毎日モニターしていってうまくいってるかどうか確認していくのが大事です。
減らすときには、特に今、リモートの状況だとここまでは飲まないという時間を設定するとか、それから食事と一緒にお酒を飲んでゆっくり楽しむと。それから場合によっては、お酒の前にノンアルコールビールのようなものを飲んでいくと、飲酒量が減るでしょうし。

井上:ちょっとおなかを満たしていくということですね。

樋口さん:そうですね。それから薄めてお酒を飲むとか、飲酒のスピードをゆっくりするとか、そういうことが大事だと思います。

保里:家族とみんなで、あの手この手でと。

井上:皆さんもお気をつけください。