クローズアップ現代

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2021年5月19日(水)
出社?在宅? コロナ禍の働き方最前線

出社?在宅?
コロナ禍の働き方最前線

コロナ禍で働き方は劇的に変化した。リモートワークが広がり、リアルでの出社は減少。新しい働き方に対応するため、今、オフィスの移転やリニューアルを進める会社が増え始めている。しかし、リモートワークでは新人育成が難しい、アイデアを生み出す雑談などのコミュニケーションがとりにくいといった課題も出てきている。今回、感染対策を行いつつも、職場に人が集められるようなオフィスづくりに取り組む大手IT企業の引っ越しを取材。また、パソコンの中で、実際に出社している感覚で働ける「バーチャルオフィス」を導入し、リモートの難点を解消しようとする企業も。職場とは何か、ともに働く意味とは何かを考える様々な企業を通して、これからの働き方を考えるヒントを探る。

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから

出演者

  • 山下正太郎さん (ワークスタイル研究所所長)
  • 合田文さん (経営者)
  • 井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)

出社?在宅?コロナ禍の働き方

新型コロナの影響でリモートワークが広がった今、職場のあり方が根底から見直されています。このIT企業では、社員の座席を4分の1に減らし、ソーシャルディスタンスを確保。

出社前提の働き方を改め、職場に来るときは事前予約。会社にいる社員の位置を可視化し、密を防ぐ取り組みを進めています。

ほかにもオンライン会議の急増で防音ルームを設けた事務所など、新しい働き方に対応するため今、移転やリニューアルを進める会社が増えています。

ペイペイCFO 走出雅紀さん
「コロナが仮に多少収束したとしても、もとの働き方には戻らない。コストを度外視してでも、従業員が安心して成果を発揮していく環境のほうが重要」

そんな中、社員が働きやすいように、オフィスを攻めのリニューアルした企業も。

内装費に2億円をかけた、洞窟のようなオフィス空間。人材コンサルティングを手がけるこの企業では、遊び心あふれる職場に社員たちの意欲が高まったといいます。

レガシードCEO 近藤悦康さん
「オフィスの意味合いが何なのかというのを、今一度、問う時期に来たんじゃないかなと思っています」

職場の形から共に働く意味を見つめ直す、さまざまな企業。これからの働き方を考えるヒントを探ります。

出社?在宅?コロナ禍の働き方 リモートワークの課題

保里:新型コロナの影響が続く中、いかにしてコミュニケーションをとって、生き生きとした働く環境を作っていけるか考えていきます。

井上:まず最初に、リモートワークで生じた課題をどう解消するか。新しいオフィスのヒントを探ります。後半では、リモートワークをする中で人材育成をどうするか。最新のシステムを導入した企業を見ていきます。

保里:私も井上さんも、こうしたスタジオ出演などの業務以外は、極力ずっと在宅勤務ですもんね。

井上:そうなんですよね。オフィス大好き人間なのですが、なかなかこのご時世、しょうがない部分もあるのですが。

保里:ことし1月、首都圏の企業を対象にした調査結果なのですが、およそ8割の企業が職場の見直しを行いたいと答えていまして、3割の企業はすでに見直しに着手しているということです。

その理由と考えられるものの中に、リモートワークの課題があります。「コミュニケーションが難しい」、「マネジメントが難しい」、「生産率・効率の低下」となっています。

井上:まずはコロナ対策をしながらも、いかにコミュニケーションを取り戻すのか。オフィスの移転を機に、職場の見直しに取り組む大手IT企業を取材しました。

出社?在宅?コロナ禍の働き方 オフィス移転 雑談を取り戻せ

先月上旬。オフィスの移転を間近に控えた、都内の企業です。料理のレシピサイトを運営する、創業23年のIT企業。去年から原則、リモートワーク。この日も一部の社員だけが出社して、片づけをしていました。

「新オフィスは横浜になるということですか?」

「個人的には家が遠くなるので、ちょっとウッって感じなんですけど、リモートに慣れてた部分はあったので」

コロナ禍にあえて会社の移転を決めたのは、ある課題を解消するためでした。それは、雑談など気軽なコミュニケーションの不足。

以前は料理を愛する社員どうし、あちこちで会話が自然と生まれ、新たなビジネスのきっかけになっていました。例えば、アプリで新鮮な食材を注文し、専用の冷蔵庫で受け取れるサービス。雑談から生まれたアイデアが盛り込まれ、今では新事業に成長しました。

この会社ではレシピ事業が伸び悩む中、未来への投資を進めています。これまで以上に、新たなアイデアを生み出すことが求められているのです。

大手IT企業 JapanCEO 福﨑康平さん
「一緒に働く人たちが、こういう変化が世の中にあったよといって気づいてくれたら、オフィスで雑談が生まれるんだと思うんですよね。その雑談が生まれてすぐ行動すれば、おそらく2~3日で物事を変えられるんですよ。この空間を作らないかぎりは、なかなかいいプラットフォームサービスというのは作れないんじゃないかと非常に危惧しています」

1か月後のオープンに向けて、新オフィスのレイアウト作業が大詰めを迎えていました。移転プロジェクトを担当する1人、人事部の吉田央(ひさし)さん。この日、オフィスに入れる植物について打ち合わせを行っていました。

大手IT企業 人事部 吉田央さん
「金額的には、全然増やしてもいいかもしれない。もの足りなかったら」

「植栽を?」

吉田央さん
「あとは一回やってみてですけど」

「緑をたくさん入れたねらいは?」

吉田央さん
「出社筋ですか」

「出社筋?」

吉田央さん
「(在宅勤務で)出社する筋肉が落ちてるんで、それをまた鍛え直すためにも自宅と違う環境を設けないといけないと思っていて」

リモートに慣れた社員が、オフィスで創造的な仕事をするために何が必要か。植物には、あるメッセージが込められています。100種類もそろえた木は、コーヒーやアボカドなど、食にまつわるものばかり。何気ない雑談を生むきっかけになってほしいという思いです。

吉田央さん
「なかなかアボカドの木って見ないじゃないですか。アボカドってこうなっているといった発見から、もしかしたらビジネスにつながるようなアイデアを生みだせるきっかけになるかもしれないので」

4月末。緊急事態宣言が発出されましたが、引っ越しは進めざるをえません。先行きが見えない中、オフィスをどう活用していくのか。職種によって、出社の頻度を変える工夫を打ち出していました。

デザイナーやエンジニアなど、交流してアイデアを生み出す職種は出社を多めに。開発に直接関わらない営業や広報は、出社にこだわらない。感染状況も見ながら、新規開発と効率アップをねらっていきます。

福﨑康平さん
「戦略、戦術、思いというのは、誰かが『あなたこれ考えて、あなたこれ考えて』って生みだせるほど簡単なものではなくて。いい雑談といいますか、そういった思いとか雑談とか雰囲気とか、こういった空気の流れが物事を変えていく原動力になるのかなというのは信じているんですね」

5月、新オフィスがオープン。ねらいどおり、雑談は生まれたでしょうか?

出社する人数が少ないためか、この日は雑談する様子はあまり見られませんでした。移転の効果が現れ、活発な交流が生まれるのはまだ先のようです。しかし、移転プロジェクトメンバーの吉田さんにとって、ともに働く意味を改めて考える機会になったといいます。

吉田央さん
「集まり方とか、目的を持つといったところは、当たり前のように毎日出社している頃ってそこまでちゃんと考えてなかったんですね。今回あらためて考えてみて、目的をより明確に持つということと、集まらない中でどういったことをやって、集まる中でどういったことをやるかという使い分けも、これから新しくどんどん生まれてくると思うので」

福﨑康平さん
「変えるのって、すごく時間がかかると思っているので、これが良かったかどうかって、1年後にならないと分からないぐらい長いスパンで見ていくことが大事かなと思います」

出社?在宅?コロナ禍の働き方 使い分けを考える

保里:働き方や、働く場所の変化について国内外の最新状況に詳しい、山下正太郎さん。そして、多様な人々の居場所づくりをテーマにした会社を経営している、合田文さんと共に考えていきます。よろしくお願いいたします。
山下さん、取材した企業はコロナ禍での感染対策をしながらも、対面でのコミュニケーションにも意義を見出して模索していました。どんなポイントに注目しましたか。

山下正太郎さん (コクヨ ワークスタイル研究所 所長)

山下さん:最近の最も重要なテーマとしては、やはり「フレキシビリティ」と「イノベーション」、この大きな2つがテーマかなと思います。
まず最初のフレキシビリティというのは、なるべく時間や場所を自分の意思で選択するという非常に柔軟な働き方です。まさに、このコロナ禍で広がった働き方だと思います。
もう一方のイノベーションは、価値を創造するということですが、今度はフレキシビリティとは逆で、なるべく人が集まって、そこでアイデアを出していくといった働き方です。まさにVTRで紹介されていた企業が、重要視していたところなのかなと思います。

井上:実は、イノベーションについて興味深い発言があります。誰もが知るアメリカの巨大IT企業も、最近こういう発表をしています。

アマゾン ジェフ・ベゾスCEO
「今後の計画として、再びオフィスで勤務することを中心とした文化を取り戻そうと考えている。オフィスに集うことで、協力しあい、学びあい、そして発明や新たな価値を創造することが最も効果的にできると信じている」

あの企業がそういったことを言うというのは意外だったのですが、実際イノベーションのためには集まることは大事ということなのでしょうか。

山下さん:そうですね。実は意外かもしれませんが、テクノロジーを得意とするIT企業ほどリアルな場で集まろうという傾向が以前から見られました。
例えば、オフィスの中に3食、ごはんが食べられる食堂を用意したりとか、あるいはジムを作ったりとか、あるいは娯楽施設を用意したりとか、なるべくオフィスを出なくても過ごせるような施設をたくさん作って、長時間同じ場所にいることによってコミュニケーションの量を増やして、イノベーションを増やしていこうという傾向が見て取れたわけです。

保里:合田さんはミレニアル世代の1人として、どのように聞きましたか。

合田文さん (タイワ CEO)

合田さん:私の経営する会社は20代・30代の若い世代が中心の会社なので、規模もすごく小さいのと、どちらかというとフレキシビリティを大事にしている社風ではあります。なので今、リモートばかりではあるのですが、なるべく「今度何やりたいよね」とか、「今度はこういうことをチャレンジしてみたいね」みたいな会話がオンラインの通話の中でも出るように心がけてはいます。

保里:会えない中でも雑談を大事にしていると。

合田さん:そうですね。

井上:雑談はどうやったら生まれてくるものなのでしょうか。

山下さん:雑談は、偶然出会うタイミングをどれだけ増やすかというところが重要かなと思います。例えば、キッチンのスペースで同時にコーヒーを飲みに来た人が偶然出会ったときに会話が始まるとか、なるべく偶然の出会いをデザインしたい。それから、そこになるべく滞在させるようなことによって、きっかけを長く作ることができると。そういうところがポイントかなと思います。

合田さん:私は偶然会うということは今、リモートが中心のためあまりないので、定例会議みたいなのを毎日やるようにしています。その中で必ずアイスブレイク的に「きょうはこんなことがあって」とか、「こういうニュースがあったよね」とか、そういうものをシェアしながらみんなの考えていることを引き出すようにしています。

保里:意識して行っていくということですね。

合田さん:雑談していくという意味としては、イノベーションを起こすというところ以外にも、一人一人の疎外感をなくしていくというところも大切かなと思っています。

井上:疎外感というのは、どういうことですか。

合田さん:1人で仕事をずっとやっていると、周りの人が何を考えているのか分からなかったり、自分が本当に評価されているのか分からなかったりすることが起きてしまうのかなと思うので、そこへの声かけは大変重要かなと思っています。

井上:やはり、ふだん以上にされているのですか。

合田さん:そうですね。私は意識して褒めるときは、いつもの10倍ぐらいのテンションで褒めるようにしてます。

保里:まさに企業、人によって状況はさまざまだと思います。職種によっては今も出社せざるを得ない方もいますし、今後出社するというときに不安だという方もいると思います。そうした中で、徹底した感染対策を施したオフィスにリニューアルするという企業も出てきています。
こちら、感染対策のため、徹底的に非接触で仕事ができるように作られたオフィスです。例えば、このドアも触らずに手をかざすだけで開けられたりとか。

井上:現代版、開けゴマですね。

保里:そうなんです。今度は照明もよく見ていてください。触らずにつけたり消したりできているのです。

井上:触れていませんね。

保里:対面でのコミュニケーションをより重視しているからこそ、そこに投資をしているという面もあるのかもしれませんが、山下さん、オフィスとリモートワーク、どういうふうに使い分けて考えていけばいいのでしょうか。

山下さん:まずはリモートワークからお話ししますと、ルールとかマニュアルなどでやり方や進め方が明確になっている、言語化しやすい仕事に適していると思います。
片やオフィスに関して言いますと、オフィスは逆に言葉になかなかならないというようなところですよね。つまりカルチャーを共有したりとか、会社のビジョンを共有したりとか、そういった業務という仕事には適している。

何も言わなくてもオフィスにいるだけで何かを感じ取ることができる、そういう違いはあるのかなと思います。

井上:まさに多くの企業がそのはざまで、今いろんな模索をしているわけですが、結局、今何を一番問い直そうとしているのでしょうか。

山下さん:今までは何の意識もせず、オフィスに来る仕事のやり方ということだけを意識してたと思うのですが、オフィスから離れてしまうことによって、じゃあリモートでやるべき仕事は何なのか、オフィスでやるべき仕事は何なのかというところが企業のやりたいことによってまちまちの状態なわけです。それを今は、急速に見直しをかけている状況なのかなと思います。あと、よく誤解されるところではあるのですが、若い世代ほど実はオフィスで働きたいと思っている、こういった調査も出ています。なので、単純にデジタルに強い、若い世代はリモートワークを志向しているということではなく、実はそういった人たちほどオフィスを求めているという現状も意識しておくほうがいいかなと思います。

井上:そういった中で次のお話とつながってくるのですが、リモートワークで難しいといわれているのが「人材育成」です。オフィスをなんとバーチャル空間の中に作ることで、その課題を解消しようとする企業の取り組みです。

出社?在宅?コロナ禍の働き方 バーチャルオフィスの効果

求人サイトの運営や、人材紹介サービスを行う会社の去年2月の様子です。

1,600人の社員が毎日出社していた職場が、去年8月からバーチャルオフィスに。ウェブ上の仮想空間に作られた職場です。

事務用のデスクでは、アバターとなった社員たちが日々の業務をこなし、会議室ではミーティングが行われます。

さらに、このようなバーチャルオフィスが部署や目的別に19フロアも存在し、仮想空間の中で会社全体を構築。すべての社員がこの仕組みに参加しているのです。

しかも、ここではリモートワークの中で失われたといわれる、雑談が復活しているというのです。その実態を探るべく、バーチャルオフィスに潜入!番組ディレクターもアバターとなり、ここで働く人に突撃取材!

広報 清水さん
「あそこでしゃべってるの、1年目と2年目なんですよ。ふってみますか?」

番組ディレクター
「ちょっと近づいてみようかな」

すると黒い円が現れました。これこそが、バーチャルオフィスの最大のポイント。この円の中に別のアバターが入ってくると…。

広報 清水さん
「伏木くん、こんにちは。2人がしゃべってるなと思って」

伏木さん
「こんにちは」

すぐに会話が可能に。何気ない雑談を始められます。

番組ディレクター
「(2人で)何をお話されていたのですか?」

伏木さん
「ゴールデンウィーク、何をするかって話ですね」

とはいえ、こんなことも…。

広報 清水さん
「話しかけたいですね」

番組ディレクター
「はい」

広報 清水さん
「ダメ元で行ってみましょう」

広報 清水さん
「広報の清水です」

「電話中です」とお断り。バーチャルオフィスでも、時に空気を読む必要があるようです。

さらに、仕事が立て込んでいるときに利用する赤いエリアは、声かけNG。一方、青いエリアはいつでも声をかけてOKという新たな職場のルールも生まれました。

そして、結束力を高める恒例のかけ声は、ここでも継承されています。

営業部 恒例の円陣
「気合い入れようぜ。いくぞ!いくぞ!We gotta win!」

さらにこのバーチャルオフィス。人材育成でも効果を発揮するというのです。オフィスの隅で肩を寄せ合う、新人社員の1人。入社直後からバーチャルオフィス上で働く、野坂優斗さんです。

自宅で行っている、電話営業の様子を見てみましょう。

エン・ジャパン 新入社員 野坂優斗さん
「あ、えっと、求人の作成管理画面というのがございまして。あ、何も出てないですか?」

電話の相手は、会社が運営する求人サイトの顧客です。出したはずの求人情報が掲載されていないと、野坂さんに問い合わせをしてきたのです。

野坂優斗さん
「特に求人の下に何か表記とかもされていないって感じですかね。何か、えっと、ボク…」

入社から1か月足らず。対応のしかたが、まだ身についていません。

野坂優斗さん
「申し訳ございません」

リモートワークが前提になったこの会社では去年、新入社員が孤独や不安を感じ、中には辞めてしまった新人もいたといいます。

野坂優斗さん
「電話とかって、かけたことがあんまりなかったので大変ですね」

その反省から会社は、バーチャルオフィスへの切り替えを急ピッチで推し進めてきたのです。

新人の野坂さんが動きだしました。

野坂優斗さん
「今ってさ、誰かいてる?」

同期の社員
「え?」

向かった先には、ことし入社した同期の仲間たちが居ました。

同期の社員
「つらいね」

野坂優斗さん
「(先輩の)清原さんに言っといたほうがいいかな?」

同期の社員
「うん、そのほうがいいよ。『こういう場合どうしたらいいんですか?』って」

同期に背中を押され、先輩のもとへ。

野坂優斗さん
「清原さん今、大丈夫ですか?」

先輩 清原さん
「はい、大丈夫です」

野坂優斗さん
「今さっき1件あったんですけど」

先輩 清原さん
「報告ね、ありがとう」

顧客とのトラブルを報告。

先輩 清原さん
「自分たちに落ち度があるのか、そうじゃないのか冷静に判断をしたうえで、その場でとるべきいちばん誠実な対応をとるのが重要なんじゃないかな。この2つだけやっていきましょう」

野坂優斗さん
「すみません。ありがとうございます」

対応策について、助言をもらうことができました。

相談を受けた先輩 清原啓介さん
「野坂さんは、かなり最初は慣れない電話というところで苦戦をしていた節もあるかと思うんですけれども、自分のできないところを克服するというのを人の協力も得ながらできてる状態かなと思います」

そして、再びあの顧客と向き合います。

野坂優斗さん
「野坂です。ありがとうございます。お電話ありがとうございます」

無事、問題解決。顧客にも納得してもらえました。同期や先輩の助けをいつでも借りることができる、バーチャルオフィス。この会社では、コロナ収束後も続けていくとしています。

出社?在宅?今後のコロナ禍の働き方

井上:新入社員が仮想空間で奮闘していましたが、視覚的にオフィスを準備するというのはどういう効果があるのでしょうか。

山下さん:先ほども問題として出ていた「孤独」ですとか、一人一人がわざわざ声を上げるわけではないのですが、周りが気付いてあげれば解消できるような問題。そういったことに対して対処しやすくなるというのは、大きなメリットがあると思います。あとは例えば障害を抱えていらっしゃる方とか、病気を持たれている方とか、なかなかオフィスに出勤することができない人たちに対して働く環境を提示できるという可能性もあります。最近では、「アプリ中心主義」の働き方というような言葉も出てきています。つまり、何をするにもまずバーチャルオフィスでアプリを立ち上げたりとか、あるいはリアルなオフィスに行くにしても自分の席を予約するにはアプリで予約をするとか、行動の起点がすべてアプリからスタートする働き方というのはあるんだろうなと。これからのデジタルの柔軟な働き方という意味では、増えてくるんだろうなと思います。

井上:保里さん、見た感じメリットもあるけれど、常時つながることの疲れもあるかなと少し思いますね。

保里:そうですね。在宅にいながら常に見られていると思うと、少し面倒だなと思ってしまうところもありますね。

山下さん:まさに、そのデジタルというものが仕事の中心に入ってくることによって、監視という問題が大きくなってきてるのもあります。例えばアメリカですと、ノートPCに付いたカメラで10分置きに自分が仕事をしている風景を撮影されるというようなものがあったりですとか…。

井上:10分置き。

保里:小刻みですね。

山下さん:本当にちゃんと仕事をしてるのかなというところを見たりですとか、あるいは使っているアプリケーションであるとか、そういったもののデータを収集して、仕事の能率が上がっているのか上がってないのかというところをチェックする。デジタルが浸透することで便利になることもあるのですが、反面そういった監視的な側面というのも今、懸念されているところはあると思います。
合田さんに伺いたいことがありまして、こういうデジタルを中心としたようなアプリ中心主義的な働き方というのをどう思われているのかなと。

合田さん:今までの働き方と変わっていくので、会社自体も柔軟な姿勢でいなきゃいけないなというのはすごく経営側として感じていることではあります。私は今からのオフィスは、ずっとそうなんですけど「心理的安全性」が担保されるオフィスがいいなと思っています。やりにくさとか、発言がしにくいとか、発言したら何か思われるかもしれないという懸念とか、そういう要らないストレスをなるべく省いてあげて、誰かが生きづらいとかやりにくいという場所ではなくて、もっと生き生きとポジティブにイノベーションしていく、アイデアを出していく、仕事をしていく、そういう空間が望ましいのかなと思っています。

保里:関連記事からは、合田さんが語るリモートワークのコツなど、ウィズコロナを生きるヒントをお伝えしています。

山下さん、今回共に働くことの意味というのを考えさせられたのですが、その意味はずばり何だと考えますか。

山下さん:やはり共に働くというのは同じ目標に向かっていく、共同体であることを確認する、そのことが重要なのではないかなと思います。特に今からオンラインと、リアルな環境を組み合わせていく「ハイブリッドワーク」というものが非常に注目されているのですが、今まではオフィスだけで共同体意識を育んできたのですが、じゃあハイブリッドになった状況で、どうやってそれを育んでいくのかというのはまだ誰も答えが出ていない状態だと思います。なので、まさに試行錯誤しながら挑戦していってほしいなと思います。

井上:合田さんはどうですか。

合田さん:やはり今までコロナを経験してきて、しっかりと取捨選択して「このタイミングでちゃんと会おうね」とか、そういう一つ一つの行動の意味を見いだしながら、考えながら柔軟に変えていきながらやっていくことが大事になっていくのかなと考えたりします。

保里:会える時間が限られているからこそ、会って話ができる時間にとても貴重な意味を見いだしていらっしゃる。

合田さん:そうですね。われわれは今、1週間に1回会えたらいいほうなのですが、会えない時間に絆が深まるというか。会ったタイミングでこういうことを話したかったんだよねということとか、濃いコミュニケーションを取っていくような社風に変わっていったなとは思っています。

保里:ウィズコロナ時代にも、新しいものを生み出す模索を私たちも続けていきたいなと感じました。

井上:オフィスは変わらず好きでいますので。模索したいと思います。