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2021年4月22日(木)

あなたの服選びも変わる!?
~サステイナブルファッションが示す“地球のミライ”~

あなたの服選びも変わる!? ~サステイナブルファッションが示す“地球のミライ”~

国連から「世界第2位の環境汚染産業」と批判されたファッション業界で今、資源の有効利用や環境への配慮を重視する「サステイナブルファッション(持続可能)」な経営が急速に広がっている。 世界ではシャネルやアルマーニなどトップブランド32社がファッション協定に署名。2050年までに二酸化炭素の排出量をゼロにすることを約束。フランスでは売れ残った衣類の廃棄を禁止する法律も成立した。日本でもユニクロが、リユースブランド「RE.UNIQLO」を設立。山形のベンチャー企業が開発した「人工合成タンパク質素材」は、ポリエステルやナイロンといった石油を全く使わない革新的な素材として世界中の有名ブランドから利用希望が殺到。さらに、針も糸も使わない、切れ端や糸くずも出さない、服作りの手法も誕生するなど、衣服が消費者のもとに届くすべてのプロセスで、その見直しや技術革新の動きが加速している。番組では、その動きの最前線を追い、私たちの暮らしに欠かせない身近な「衣服」を通し、地球の未来を考えるヒントを提示する。

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから

出演者

  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学教授)
  • 井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)

ファッションが環境を破壊?

井上:きょうのテーマは、私たちに身近な「ファッション」です。その最先端の動きについて、3つの項目で見ていきます。まず「ファッションは環境汚染産業?」「変わる生産者と消費者」、そして後半では「ファッションの未来」についても考えていきます。

保里:宮田さん、すごい。今夜はいつにも増してファッショナブルですね。

宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授)

宮田さん:これは「サステイナビリティ」と「多様性インクルージョン」をテーマに、ちょっとカスタムしてもらった服になります。

井上:これ、どういう所がサステイナブルなんですか?

宮田さん:いろいろ特徴はあるんですが、1つはこのレザーです。私が持っていたこのレザージャケット、そこに廃棄される予定だったものをつなぎ合わせながら未来に向けて作っていくという、これが1つの考え方ですね。

井上:実は、私の着ているこのTシャツなんですが、たんぱく質で作られているんです。着てみるとものすごくしっとりとした生地でして、とても肌触りがいいですね。

宮田さん:シルクのような艶感もありますよね。

保里:この靴も、野菜染色の技術で、ブルーベリーを使って染められているんです。薄いピンク色で肌なじみもいいですが、優しい技術を使ってこの色合いが生み出されていると。

井上:サステイナブルファッション=持続可能なファッション。これが今、大きな流れとして世界で起きているんです。例えば環境に配慮した素材や、工程を使っているとか。あとは労働者の人権問題の配慮。これは最近ニュースにもなっていますけれども、強制労働によって作られた素材を使った衣服を販売して、そこから利益を得ているのではないかという。そういう指摘を受け、各国の企業が批判をされて対応に追われました。

宮田さん:かつてバングラデシュで、強制労働ではないんですが、非常に人々を過酷な条件で働かせて、かつ工場が崩落しそうだというのに明日来なさいと。結果、崩落して多くの人たちが亡くなった。これは、その国の問題だけではなくて、安い価格でものを作らせようとする先進国の欲望が生んだ人災なんだと。そこから非常に大きな反省が世界中で起こって今日に至っているという。

井上:もう1つ、環境にもこのファッション業界というのは、相当な負荷を与えているんです。国連は2年前、ファッション業界は石油業界に次ぐ世界第2位の環境汚染産業だと名指しで批判しました。これはなぜかといいますと、例えば服を作る時、布を洗ったり染めたりするのに水を使いますけれども、この水の使用量が930億立方メートル。そして衣服の製造や流通過程での炭素の排出量、これはちょっと驚いたんですが、国際航空業界と海運業界を足したものよりも多いんだそうです。

保里:そこまでとは、なかなか驚きますよね。

井上:そして最も環境に負荷をかけているのが、「廃棄」の部分になるんです。

保里:確かに衣服って誰でも必要で毎日使ってるものですから、第2位の環境汚染産業と聞くと、それほど私たちはこの衣服のことを考えないといけないんだって、改めて考えさせられますね。

井上:ファッション業界とひとくくりに言っても、実際、消費者に届くまでには、例えば素材の生産者から染色、縫製、流通など、本当に多くの企業や人が関わっているんです。

今、このそれぞれの現場でおしゃれと環境をどう両立させるのか、新しい挑戦が始まっているんです。

サステイナブルとは?激変するファッションの現場

業界大手の繊維商社。取り引きするブランドは1500を超えます。高まるサステイナブル素材のニーズに合わせ、ラインナップを充実。独自の素材も開発しています。

豊島 佐藤菜津紀さん
「要らなくなった野菜や廃棄予定の食材を買い取って、そこから色の成分を抽出して、生地や糸を染め上げて商品にしていく」

佐藤菜津紀さん
「使い終わった漁網が、不法投棄を含めて問題になっていると思うんですけれど。これが実際の漁網になります」

漁網から作られたこちらの服。硬い漁網のイメージからは想像できないほど、柔らかい生地が特徴です。

この流れは、低価格帯のブランドにも波及しています。

豊島 内田哲史さん
「サステイナブル素材を買ったら、自分、地球にいいことしてるみたいな、そういうムードが高まっているのは間違いない」

「結構ニュースとかですごい出てるから、お客様も意識しているのはもちろんあると思うので。環境に対して取り組みが、お客様と一緒にできればなと思うので」

今、20~30代をターゲットにしたブランドと進めるのが、価格帯を維持した商品の開発。環境を意識した素材を使った商品は、急速にマーケットの中心になりつつあるといいます。

内田哲史さん
「2、3年前だったらまだ『ふーん』だったものが、逆にお客さんから見に行きたいとご依頼をいただいて。そういったお客さんの熱量も感じます」



環境面で、世界から厳しい視線が注がれるファッション業界。製造現場でも技術革新が進められています。

創業120年を超える広島県福山市の工場が開発したのは、デニムに使う綿糸を環境に優しく染める技術です。従来の技法では 環境への悪影響が問題視されていました。

「糸っていうのは結構、こうやってぽつぽつ汚れがあるんです。やっぱり前洗浄は非常に大事なんですね」

綿糸を作る過程で、どうしても残ってしまう綿花のカス。薄い藍色から濃い藍色まで繊細に染め上げるためには、汚れをしっかり落とす作業が欠かせません。そのため大量のお湯と洗剤を使ってきたのです。

坂本デニム 岡本康弘さん
「これですね、洗剤。これを水に溶いて。1日で1袋じゃききませんよね。排水処理に対する負荷って、かなり大きいですからね、洗剤は」

坂本デニム 社長 坂本量一さん
「町なかの溝という溝が、真っ青だった。洗剤を当たり前のように使う、それも温水で使う。それが業界の当たり前のやり方なんです」

危機感を抱いた社長が取り入れたのが、水の電気分解を利用した新技術です。

坂本量一さん
「電解水の酸性水とアルカリ水だけで、洗浄処理をしている」

その結果、洗剤とお湯の使用を大幅に削減。環境への負荷を減らすことができました。

坂本量一さん
「ここの水は、ザリガニが住んでいるんですよ、今は。うちの排水口から1番近いところに生き物がいるっていうのは、非常にほほえましい」

経営にもよい影響をもたらしています。お湯を沸かす燃料代が大幅に減り、およそ2000万円かかった設備導入のコストを、すぐに回収することができました。

坂本量一さん
「油代が1か月に2000万円が800万円に落ちたんだから、安いもんじゃないですか。いくらいいことをしても、お金かかりすぎて効果が薄かったらできないことなんで」

「エコ染色」として世界でも高く評価され、アパレルメーカーからの注文も増加しています。



そして、小売りの現場でも大きな変化が生まれています。売上高日本一のこの百貨店では、サステイナブル商品を年々増やし、環境対策への情報発信を続けてきました。
ことし3月スタートしたのは、汚れで着られなくなった服を染め上げ、再生させるサービス。京都の老舗織物会社の技術を用いた重ね塗りで、一着ずつ異なる風合いを出しています。

三越伊勢丹 鳥谷悠見さん
「お客様がご使用されている中で、いろいろと汚れが目立ってくると思うんですけど、こちらをきれいに、黒に染めかえていただくようなサービスになっております」

さらに、流行の最先端を追う販売戦略に加え、古着の販売にも乗り出しています。長く大切に洋服を着続けるライフスタイルの提案へ。百貨店の目利き力を生かした転換を図ろうとしているのです。

三越伊勢丹 神谷将太さん
「サステイナブルは作り手だったり、売り手の責任だと思っているので、お客様には今まで通り、この商品がかわいい、かっこいい、そういう高揚感を第一に物を購入いただくのが1番大切かなと思っています。それをお客様に感じさせるような展開や提案を私たち百貨店やデザイナー、クリエイターの皆さんで提案していくのが1番大事なのかなと思っています」

お客さん
「流れがそうなっているので、自分もそういうところで貢献できたらなと」

お客さん
「知らないで着て、後から知ったら、貢献しているなって感じがしますよね。環境に」

世界で活躍する、モデルの冨永愛さん。環境への負荷を減らすこの動き。最後に鍵を握るのは、私たち消費者だといいます。

モデル 冨永愛さん
「選ぶことですよね。何かを応援するという気持ちで、そこの服を買う。ここのブランドを応援したいなっていう、その消費行動って応援することなので、募金と一緒ですよね。なので、そういったような考え方を持つと、ここのブランド応援したいな、応援しているんだ自分はっていう、なんかそういう自分のパワーにもなったりするので」

サステイナブルとビジネスの両立は?

保里:こうしたさまざまな企業努力を知ると、消費者としても是非、応援したいと思うんですけど、どう応援していったらいいんでしょう?

井上:冨永さんによると、「まずは自分の好きなブランドに注目してみる」ということだったんです。やはり個々のブランドで取り組んでいたりもするということなので、まずは自分の好きなブランドがどんなことをしているのかというのを調べてみることから始めるのもいいんじゃないかと。

保里:ただ実際どの程度、環境への負荷を減らすのに貢献できているのかって、まだなかなか実感が湧かない部分もありますよね。

宮田さん:そうですね。成果をデータで分析する、これも大前提として必要なんですが、世界全体として今、大きな流れになっているのは、こうした取り組みをしている企業をしっかり評価するということです。「SDGs経営」というのがあったり、あるいはこの持続可能性に対する貢献をできているか。一定程度の持続可能性に貢献しなければ、もう投資を入れることができないと。それぐらい強い基準として今求められてきているという。

保里:ただ、やはりサステイナブルということを意識すると、どうしてもコストがかかるというイメージも、一方であるんですよね。そのサステイナブルとビジネスって、両立していけるものなんでしょうか?

井上:京都工芸繊維大学の水野特任教授に伺いました。

今、サステイナブルファッションに関するビジネスモデルは過渡期なんだと。企業も消費者もどうしてもコストがかかる時。例えば、リユースなどを前提に、「コストを下げながらファッションを楽しむ」ということ。またはバイオテクノロジーなどを前提に、環境負荷を下げた「高くても価値あるファッションを楽しむ」ということだそうです。こういった選択肢が充実していけば、今の当たり前が必ず変わると。

宮田さん:いわゆる、かっこいいとは何なのか。例えば古いものを長く使っていくとか、廃棄をするところで工夫をしていくとか、今までのものをもう一回活用していくということで、私自身の服もそういった工程で作られてるんです。

保里:これ、どのように作られてるんでしょうか?

宮田さん:これは廃棄される予定だった革をつないでマントのように作っているんですが、これをドットと呼ばれる素材でつないでいます。

保里・井上:ドット?

宮田さん:はい。こういった、誰でも簡単に留められるものなんです。この2つのナットみたいなのを作って。これは簡単に外すこともできます。誰でもつなぐことができる素材を使うことによって、服作りというものを多くの人にひらいていくんだと。

井上:例えば、その革のどれかがまた傷ついてしまったりとか、そういう場合はすぐ取り替えられるんですか?

宮田さん:はい、そういうことです。なので、この革は長さも調節できますし、傷ついた部分を補修できると。あるいは、これが役割を終えた時に、また違う形で作るということもできるということです。まあ今のところその予定はないんですけれども(笑)。やはり、これまでは大量消費、大量生産で皆が同じものに自分をはめにいくっていう工程だったんですが、この服は、対話をしながら一人一人に向けて作ることによって、より自分のストーリーだったり、自分が大切にしているものと重ねる。これはもう必然的に一生着る服になりますよね。こういったこともまた、持続可能性につながっていく重要な要素になっていくのかなと思います。

保里:本当にお話を伺ってると、これまで衣服って、その時自分がどう見えたいかどう見せるかっていう観点で選ぶイメージがあったんですけれども、もう生き方まで含めて、その衣服の着方に表れてしまうんだなっていう…。

宮田さん:そうですね。

井上:そして、この宮田さんの服を作られたデザイナーが今、日本初の最新素材を使って、究極のサステイナブルファッションに挑戦しているんです。その秘密を、宮田さんが取材してきてくれました。

最先端の現場 ファッションの未来

宮田さんの服をデザインした、中里唯馬さん。5年前から毎年パリコレに参加。レディー・ガガなど、世界的アーティストの衣装も手がける新進気鋭のデザイナーです。

中里さんのコンセプト、それは「自分のためだけの服」。人が愛着を持ち続け、長く大切に着る服を作ることです。

中里唯馬さん
「どうしても不特定多数の人に向けられて大量につくられたものよりは、やっぱり自分のためだけにこの服は存在しているんだと思えると、そこに感情移入して、そしてそれを大事にしていきたい。そうすることで実は1番いろんな負荷が下がっていく可能性が、そこにあったりするんじゃないかなと」

今、中里さんが注目しているのが、こちらの一見何の変哲もない茶色い生地。

中里唯馬さん
「カラフルな形になると、またちょっと、すてきなのかなって」

好きな色を生地に印刷して、70度のお湯に1分浸すと…。

中里唯馬さん
「いい感じですね。これなんか、もう既にこれだけで」

宮田裕章さん
「これいいですね、すでに。こういうデザインですね」

色をつけていない所だけが縮み、一枚の生地が凹凸のついた立体的な生地になるのです。

宮田さん
「この凹凸面は、結構しっかり形が出ているので、これで服の曲線も作っていくこともできるでしょうし、しっかり伸縮性もあるので体の動きに寄り添うしなやかさもある。服の素材としても、すごく可能性をもっている」

中里唯馬さん
「パターンを作って裁断してというプロセスは、実はどこにもないので、全く別次元の服作りのプロセスというのがここにあるんじゃないか」

この生地を生み出したのは、山形県にあるバイオベンチャー企業。

Spiber 代表 関山和秀さん
「これも、たんぱく質で出来ている」

この企業が開発したのは、人工的に合成した、たんぱく質素材。世界に先駆け、量産化技術の確立に成功しました。軽くしなやかで、破れにくい特性を持ち、自動車のシートやドア、そして衣服など、さまざまな分野で使われています。2年前、大手アパレル企業との製品化が進んだことをきっかけに、世界中から投資が殺到。およそ700億円の資金を調達しています。

関山和秀さん
「私たちのたんぱく質は脱石油で作れて、しっかり環境分解もする。それだけでなくて、さまざまなバリエーションの材料を設計できるというところ。必ず大きな産業というか、分野として成長していくだろうと」

石油由来に代わるサステイナブルな素材だと、世界中から注目されるこのたんぱく質素材。

関山和秀さん
「材料としてはもちろんですけど、抗体だったりとかホルモンだったりとか、そういったものも、たんぱく質ですし」

宮田裕章さん
「おもしろいな」

開発のきっかけは「クモの糸」。伸縮性があり、鋼鉄のワイヤーをしのぐ強さがあると、世界中で研究が行われてきました。

この企業ではクモの糸を生み出すDNAを分析し、新しい遺伝子を生成。それを微生物に組み込み培養することで、たんぱく質の粉を取り出すことができたのです。

関山和秀さん
「こういった大型のタンクを使って培養していく」

宮田裕章さん
「かっこいいな」

関山和秀さん
「発酵プロセスで作られた、たんぱく質がこんな感じでして」

宮田裕章さん
「美しい。真っ白」

関山和秀さん
「本当にプロテインみたいな。これを溶かして糸にする」

関山和秀さん
「たんぱく質で出来てる、これボタンなんですけど」

宮田裕章さん
「たんぱく質、いわゆる体の延長線上にあるような、持続可能、世界に優しい素材に包み込まれる」

私たちが生きていくのに欠かせないlたんぱく質。この素材で持続可能な社会の実現に貢献できると、関山さんは考えています。

関山和秀さん
「たんぱく質って、生物にとっては1番重要な素材といっても過言ではないというか。例えば気候変動の問題だったり、食糧問題だったりといったものは、社会不安だったり、そこから紛争だったり戦争につながっていくと。自分たちの、ある意味幸せのサステイナビリティにとって、リスクになる可能性のあるさまざまな問題に、こういった素材の分野で我々ができることを貢献していこうとか、そういったことにつながっているということなんです」

地球の未来への哲学が込められた、たんぱく質の生地。デザイナーの中里唯馬さんは今年、この生地を使った作品を発表。パリコレで高い評価を受けました。

デザイナー 中里唯馬さん
「もともと衣服の起源というのは、動物の皮をまとったところから始まっていて、人工的に作られたたんぱく質なんですけど、何か衣服の起源でもあり、そして未来でもあるみたいな、そういうところをつなげるようなドレスなのかなと思っています。サステイナビリティの意味としては、一度立ち止まって、本当に衣服ってなんで着るんだっけ、みたいなところから始まったりとか、その衣服っていうのは人にとってどうあるべきなのか、もう一度考え直そうみたいな、これがサステイナビリティのコアなんじゃないかと思ったりします」

ファッションの未来と私たちの生き方

井上:このたんぱく質の生地、ちょっと手に取ってみてください。

保里:まず触ってみると、やはり硬さがあって、しっかりとした生地なんですよ。面白い形をしていますが、ちょっと伸ばそうとすると…少し力を加えるだけで自在にこの形が(変わる)。

宮田さん、今回の取材を通してどんなことを感じられましたか?

宮田さん:ふだん どういう服を選ぶのか。選択肢がいくつある中で何を選ぶ、あるいは、どういう形で服の役目を終えるのか、どう捨てるのかということです。こういった何気ないこの選択が、どういう未来につながってるかということを、考えることなんです。それは例えば大量廃棄ということだけじゃなくて、途上国を搾取しているのかどうか。地域や伝統文化というものを守ることはできるのか。あるいはファッションに関わる人たちの未来をつくることはできるのか。いろいろな未来につながっていると。

井上:でも服って毎日着ますけど、意識を持続させるのもなかなか大変ですよね。

保里:まずは、今自分が着ている服を長く大切にすることからでも…。

宮田さん:自分が大事にしているものとか、大切な、ファッションとか好きなものが、どんな意味を持ってるのか考えることだったり。どういう未来に共感するのかということを、やはり考えていくっていうのがサステイナビリティなんだなと感じました。

Q: 真のサステイナビリティとは?

Spiber 代表 関山和秀さん
「何がサステイナビリティなのかといったときに、例えば動物材料はすごく環境負荷が高いんですけれども、そういった分野も完全にやめにするということではなくて、例えば持続可能な規模ってどれぐらいの規模なのか、そういう新しいバランスに向けて協力し合っていくことがすごく大切だと思っていて。我慢してこれを使わなきゃいけないとか、例えば自分の幸せを犠牲にして世の中の役に立たなきゃいけないとかって、サステイナブルじゃないと思うんですよね。」

デザイナー 中里唯馬さん
「実は人は、ひとりひとり違っていて、もちろん体型が違うだけではなくて、その中身、アイデンティティもみんな違っている。これがもう少し可視化されたりとか、尊重されていくような、そういった未来というのも、衣服の観点からより作っていけるんじゃないかと。どこか1か所だけをサステイナブルにするだけでは、やっぱり実現しえないものがあったりして。全体を見つつ、どうしたらこれを大きく変えていけるのか、あらためて問い直していくところが、サステイナブルファッションの本質なんじゃないかなと思ったりするんですね。」

保里:NHKでは「未来へ17action」をすすめています。SDGsに関する番組情報や、さまざまなデジタルコンテンツにアクセスできます。またサステイナブルファッションについては、「地球のミライ」のインスタグラムでもご紹介しています。

<関連リンク>
未来へ17action
『地球のミライ』インスタグラム @nhk_sdgs(※NHKサイトを離れます)

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