クローズアップ現代

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2020年6月3日(水)
まさか、家を失うとは… ~広がる 住居喪失クライシス~

まさか、家を失うとは… ~広がる 住居喪失クライシス~

新型コロナウイルスの影響で収入が激減、生活の基盤である“家”を失う人たちが増えている。マイホームのローンが払えず売却を検討する30代の家族、家賃滞納が続きアパートから立ち退きを迫られる50代夫婦、雇い止めと同時に住んでいた社員寮から出て行かざるを得なくなった30代男性…。コロナショックの前は“普通に暮らしていた”人たちが路頭に迷うケースが相次いでいるのだ。番組では、新型コロナウイルスの影響で、突然、住居喪失の危機に陥った人たちの日常に密着。厳しい現実を描くとともに、国や自治体の支援のあり方を考える。

※関連記事
「“行き場がない”すぐそばにいる『Aさん』の危機」
https://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/188/index.html

出演者

  • 石井光太さん (作家)
  • 稲葉剛さん (つくろい東京ファンド 代表)
  • 武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)

まさか、家を失うとは…住居喪失クライシス

「これから たくさん電話がかかってくると思うので、みなさんの力に人々の命がかかっている。頑張っていけたらと思う。」

新型コロナウイルスの影響で、生活に苦しむ人たちのための電話相談です。

「(所持金は)300円。食べ物は?カップラーメン。」

「家賃は待ってもらえない?厳しいですね。」

「出て行ってくれと言われている。」

「売ろうとしても、住宅ローン額にすらならない。」

収入が減り、家賃や住宅ローンが払えない。
この日だけで、100件を超える相談が寄せられました。


住宅ローンの支払いに苦しむ、30代の男性です。
マイホームを購入したのは3年前。携帯ショップの正社員になったことをきっかけに、35年の住宅ローンを組みました。

取材班
「いくらでしたか?」

携帯販売員
「3100万円くらい。」

毎月の支払は10万円。
しかし、勤務先の携帯ショップが営業を短縮。残業代がなくなり、収入が半減。ローンの支払いが難しくなりました。

携帯販売員
「とにかく、どうにかしないといけない。家族とも相談をしているが、このままだと厳しい。」

男性は、家族4人の生活費を賄うため、身の回りのものをインターネットで売り始めています。

携帯販売員
「これがいま出品している(商品)。昔 使っていたゲーム、健康器具、使ってない体重計。だいたい2~3千円にはなる。」

取材班
「それで何とか回っていますか?」

携帯販売員
「正直、回ってない。厳しいところですね。」

子どものころからピアノを続け、音楽大学を卒業した男性。長年慣れ親しんだ、このピアノの売却も検討しています。

携帯販売員
「音大に行かせてくれた父と母が、弾くと喜ぶ。自分も頑張った(思い)がこもっているので、(売るのは)嫌だ。」

貯蓄もほとんどなく、日々の暮らしさえ苦しい状況。
勤務先の営業短縮は今も続き、このままでは家を手放さざるを得ないと考えています。

携帯販売員
「こういうふうにピンチになるとは思ってなかった。正直、驚いています。」


賃貸住宅の家賃が払えず、立ち退きを迫られるケースも増えています。

都内の2LDKのアパートで夫と暮らしている、50代の女性です。
感染拡大の影響で勤務先の保育園が休園、仕事を失いました。派遣社員の夫の収入も半減したため、月6万5000円の家賃が払えなくなり、3月から滞納が続いています。

50代 女性
「昨日も大家さんが『払ってもらわないと困る』と。だけど貯蓄もない。」

取材班
「所持金は?」

50代 女性
「300円ぐらい。300円ぐらいしかなかった。」

貯金も底をつき、災害に備えて買いだめていたカップ麺でしのぐ日々。

50代 女性
「これよ」

取材班
「何の薬?」

50代 女性
「心臓、心筋梗塞」

心臓に持病がありますが、薬代も払うことができないと言います。

取材班
「あと何日分?」

50代 女性
「これだけ」

取材班
「これで最後?」

50代 女性
「そう」

取材班
「病院に行くお金も?」

50代 女性
「ない。1万数千円かかるので。」

このまま滞納した家賃が払えなければ、アパートを出ていかなくてはなりません。

50代 女性
「住むところを失ったら、どうにもならない。来月になれば(仕事が)元に戻る約束もない。先が見えない。絶望しかない。」

住居喪失の危機。
一体どこまで広がるのでしょうか。


武田:感染が拡大する前までは普通に暮らしていた人たちが、生活の基盤である住まいを失いかねないという事態。栗原さん、一体どれくらい広がっているんでしょうか。

栗原:VTRでお伝えした人たちのケースは、決してひと事ではないんですね。データで見ていきます。まず、住宅ローンに関する相談ですけれども、住宅金融支援機構に寄せられた相談件数は、2月は15件だったんですが、4月には1158件。77倍に急増しているんですね。「支払いを1か月だけ待ってほしい」など、切実な声が寄せられています。ほかの金融機関でも同じような相談が増えているということです。

武田:賃貸住宅についてはどうなんですか。

栗原:200余りの不動産会社を対象に行った調査によりますと、新型コロナウイルスの影響で、入居者から家賃の滞納や解約の相談があったと回答した業者は35%に上りました。調査が行われたのは4月で、その後も経済や雇用の状況は悪化していますので、こうした相談はもっと増えていると考えられています。

武田:生活困窮者の支援活動に取り組んでいる稲葉さん、こうした人たちの相談に乗っていらっしゃるということですけれども、今、どんな危機感を抱いていらっしゃいますか。

ゲスト 稲葉剛さん(つくろい東京ファンド 代表)

稲葉さん:かつてないスピードで貧困が拡大していて、私たちのもとにも、「家賃が払えない」「立ち退きを迫られている」といったような相談が3月ぐらいから寄せられるようになっています。本来ですと、賃貸住宅の入居者の方には居住権、住み続ける権利がありますので、たとえ家賃を滞納していたとしても、大家さん側から無理やり追い出す、物理的に入居者を立ち退かせるというのは法律に違反している行為ということになります。ただ、そうした権利についてもご存じない方が多いので、不況が長期化する中で6月、7月となってくると、住まいを失う方が続出するのではないかというふうに危機感を抱いております。

武田:石井さんも、新型コロナウイルスによる生活困窮の実態を取材されているということですけれども、今回のウイルスの流行による住居喪失の問題をどう捉えていらっしゃいますか。

ゲスト 石井光太さん(作家)

石井さん:住居というのは、あくまでもマンションや一戸建てだけではないんですよね。仕事と一体化している会社の寮というのがあります。例えば、風俗店、水商売、工場、パチンコ屋さん、警備会社といったような会社というのは、寮を用意することによって、本当に着のみ着のままでも働ける。そして、すぐお金をあげるというような形で、仕事を売りにしています。あるいは私の知っている限りですと、虐待を受けた子どもが家にいたくないということで、ホテルや旅館といったところに就職するケースがあります。今回コロナによって、第1波として住宅の被害を受けた人たちというのは、寮に住んでいた人たちなんですよね。これは追い出されてしまっている。実際、これが4月、5月、6月という段階。今、本当に危機的状況にあるわけです。今回ここで取り上げるローンによる正社員というのは、第2波の状況だということを忘れてはならない。この2つをきちんと支援するということが求められているのではないのかなと思っています。

武田:その支援をどうするかということなんですが、どんな支援策があるのでしょうか。

栗原:住宅ローンに関して住宅金融支援機構は、感染拡大の影響で収入が減った人などについて、最長で15年返済期間を延長して、月々の返済額を減らすなどの対応を始めています。また、返済条件の見直しに応じているので、ぜひ相談してみてください。

そして、家賃が払えない人が利用できる制度、「住居確保給付金」。仕事を失うなどした人に、自治体が原則3か月間 家賃を支給する制度です。さらに、取材した女性も使っていましたが、「緊急小口資金」。収入が減った人が、当面の生活費として最大20万円を無利子で借りられます。

武田:そうした支援策はあるわけなんですが、取材を進めていきますと、それだけでは住まいの危機を救いきれない実態が見えてきました。先ほどのVTRで、家賃が払えず困っていた女性のケースをご覧ください。


家賃の滞納が続いている50代の女性。
この日、国の支援制度を利用するため、区役所に電話しました。

利用しようとしたのは「住居確保給付金」。仕事を失った人などに、自治体が家賃を支給する制度です。

しかし…。

50代 女性
「(契約の)名義が娘の名義なんですよ。」

「賃貸契約書の名義となっている方が申請になります。(娘さんじゃないと)申請も難しい。」

住居確保給付金は、契約者本人でなければ原則 利用できません。
(※住居確保給付金の利用の可否に関しては、それぞれの住居の契約状況などで異なるため自治体の窓口にご相談ください)

しかし、女性はアパートを借りた際、一緒に住んでいた娘の名義で契約。そのままにしていました。名義の変更には、手数料などとして10万円を不動産会社に払う必要があります。

50代 女性
「10万円がないと言っても、どうにもならない?」

「そうですね。(名義)変更していただければと思います。」

制度の利用を諦めざるを得ませんでした。

50代 女性
「決まりがあって、事情は通用しない。制度も受けられない。どうすることもできない。」

立ち退きの危機が迫る中、女性は別の制度を利用することにしました。
「緊急小口資金」、収入が減った人が無利子で最大20万円借りられる制度です。

50代 女性
「とりあえず(家賃)1か月分だけでも『出ていただきたい』と言われたことも事実なので、2か月、3か月(滞納すると)大家さんも困ると思う。一応これで家賃は払いました。」

女性は借りたお金で、滞納していた家賃のうち1か月分を支払いました。

しかし、残ったお金は食費や光熱費に回さなければならず、滞納している残りの家賃を支払うめどは立っていません。

50代 女性
「緊急小口(資金)で助けていただきましたけど、それで今後よくなるわけではない。どうにもなんないけど、なんないよね。限界だよね。限界。」


武田:今の方の「決まりがあって、事情が通用しない」という言葉がすごく印象に残りました。女性のように、本人ではなく親や子どもが契約者になっているケースはよくあるということなんですよね。本当にどうにかならないものなんでしょうか。

稲葉さん:アパートの契約の名義人が別であっても、どなたが住んでいるか調べれば分かることですので、自治体には実態に即した柔軟な運用も求めたいというふうに思います。もう一つ、住居確保給付金そのものにも限界があるというふうに私たちは考えておりまして、例えば東京23区で1人で暮らしていらっしゃる方の場合、収入の要件が月収13万7700円以下の方、支給される家賃の補助額も上限が5万3700円になっています。ただ、この間、私たちが相談に乗っていたケースで、もともと自営業で家賃が10万円のところに暮らしていらっしゃった中所得者以上の方々も家賃に対応せざるを得ないという状況に追い込まれています。そうした方々に対応できる施策になっていない、もともと低所得者向けとして作られた対策ですので、中所得者以上の方が利用しづらい問題があります。

武田:5万3000円余りじゃ足りないわけですよね。

稲葉さん:5万3700円補助してもらったとしても、それだけで家賃は賄えませんので、やっぱり住み続けることができない。そして、転居しようにも転居するために敷金、礼金等、初期費用が必要になっていきますので、この収入要件や家賃の上限額を撤廃する必要があると思いますし、支給期間も最長で9か月となっておりますけれども、コロナの影響がどれだけ続くか分かりませんので、これも延長するべきだというふうに考えております。

武田:石井さんは、こうした支援制度をどうお考えでしょうか。

石井さん:緊急支援は絶対的に必要だと思っています。ただし、このコロナの怖さというのは、あと半月続くのか、1年続くのか、2年続くのか誰にも分からないというところなんですね。その中で、例えば10万円あげますよと言ったとしても、それはその場限りのものなんですよね。受け取る側からすると、いつ自分が家を失うのか分からない。10万円では足りないのが見えているわけです。そうすると、やはり住宅を失う前に心を病んでしまうケースが多々出てくるであろうと。いま制度として必要なのは、その場限りの支援ではなくて、持続可能な支援ではないのかなというふうに思っています。持続可能というのは、例えば10万円をもらっても半年後までは分からない、仕事があるかどうか分からないということであれば、じゃあ仕事も一緒にそこで紹介しますとか、住宅が本当に半年後になくなってしまいますと、じゃあ10万円プラス住宅も用意します、といったような形で、セットできちんと持続可能な生活を安定させるような支援が必要になってくるだろうと。これをするには、やはり国、自治体が縦割りの事業ではなくて、すべての部署が一丸となってセットで支援をしていくことが必要になってくるのではないかと思っています。

武田:ここまで住居を失う瀬戸際に立たされているケースを見てきましたが、実際に住まいを失って、思ってもみなかった路上生活に追い込まれた人たちもいます。その厳しい現実です。


埼玉県のJR川口駅前。
路上生活者を支援する団体の夜回りです。

「支援団体でまわってきていて。いま、家がない感じですか?」

「ないです。」

「収入はどうなっていますか?」

「100円くらいあるけど。仕事はなくなるわ、(居)場所はなくなるわ、大変ですよ。」

この日、駅の周辺だけで、新たに4人が路上生活を始めていたことが分かりました。

先月から路上生活を始めた30代の男性がいます。
以前はホテルで働き、月27万円の収入がありました。3月に退職し、転職先を探していたさなかに感染が拡大。仕事が見つからず、所持金も底をつき、住む場所を失いました。

30代 男性
「21円です。路上生活は今回が初めてで、最初は場所が決まらず転々としていたんですけど、寝るところを探してて、ここに来た。とうとうここまで来ちゃったなという感じです。」

ここ数日は、公園の水を飲んで飢えをしのいできたと言います。

30代 男性
「本当にこれが自分の悪い夢だったらって何度も考えたり、寝て覚めたら元の生活に戻ってるんじゃないかとか。それでも結局、朝起きると今の状態で、今こうして生きてますけど、このまま死んでもという考えも時々よぎって、もうどうしようもないというか、限界というか。」

このままでは生きていけないと、男性は生活保護の申請を決断しました。

区役所職員
「体調悪いとか、持病があるとかってあります?」

30代 男性
「ないです。」

区役所職員
「ちょっと仕事が途切れちゃって、こんな状況になってという感じですかね。まず住むところをしっかり確保して、頑張っていただければいいなと思っています。」

生活保護の受給が決まり、最低限の生活費や家賃の補助を受けられることになりました。早速、アパートを借りて暮らしを立て直そうとした男性。
しかし、壁が立ちはだかります。

不動産会社
「入居の時期としてはいつ?早め?」

30代 男性
「早め。」

不動産会社
「35歳の方で生活保護の方は大丈夫でしょうか?生活保護は不可ってことですね。」

不動産会社
「ダメでしたね。すいませんね。物件はあったんですけど、ダメって言われた。」

生活保護受給者を敬遠し、入居を拒否する大家も少なくありません。

不動産会社
「生活保護の方なんですよ。生活保護 お断りですか。」

不動産会社
「本当、冷たい世間ですよね。」

さらに、感染拡大によって思わぬ事態が起きていました。

不動産会社
「お世話になってます。大久保とか北新宿で生活保護の方で、お風呂、シャワールームで物件ありましたよね?今ないですか?今ない。新宿区においてはないでしょうか?豊島区でも売り切れ。」

生活保護の申請が急増し、家賃の安い物件が奪い合いになっていたのです。

不動産会社
「今後、生活保護の方も増えてくるでしょうけど、このまま物件が増えていくことはないと思われますし、対象となる物件がない以上、ご案内すらできないという感じです。」

男性は、これまで10軒の不動産会社に相談しましたが、アパートはまだ見つかっていません。

30代 男性
「生活保護っていうハードルという壁が、まさかこんなに厚いというか、断られるっていうのは正直 驚きました。しっかりとした職に就くとしたら、必ず住所が必要になると思うんで、いま現状では厳しいのかなと思いますね。」


栗原:この男性のように、生活保護を命綱として申請する人たちが今、急増しているんですね。NHKが東京23区、大阪市、名古屋市など39の自治体に取材をしたところ、4月の生活保護の申請件数は8701件。去年より32%増えていました。中でも東京23区は2121件と40%も増えているんですね。

またNHKは、感染拡大の影響で住む場所を失い、生活保護を申請するなどした都内の551人について、自治体にアンケート調査を行いました。その結果、71%の人が今後の住まいがまだ決まっていないことが分かったんですね。最後のセーフティーネットとも言える生活保護を受給しても住まいが見つけられない。厳しい現実が見えてきました。

武田:これだけ生活保護を申請する人が増えているとすると、本当にどうにかしなければならないと思うのですが、いかがですか。

稲葉さん:私たちの団体では、民間の賃貸住宅の空き家、空き室を借り上げて個室シェルターを整備したり、今晩泊まるところがないという生活困窮者の方からのSOSに応えて、緊急の宿泊費、ビジネスホテル代を基金からお渡しするというような支援事業を行っておりますけれども、やはり民間の支援というのは限界があります。ですから、生活保護を中心とした公的支援を拡充することが重要だというふうに思っております。VTRに出てきた福祉事務所はきちんと対応してくださっていたようですけれども、残念ながら、一部の自治体では生活保護の相談が増える中で、相談に対応しきれなくなって、水際作戦といって、役所の窓口に来た人をたらい回しにしたり、追い返したりするといったような現状が出てきています。ですので、生活保護の窓口をきちんと拡充していくことが重要だというふうに思いますし、制度上では、先ほどの生活保護を利用しても住居が見つからないケースも出てきております。東京の新宿区では家賃の上限が5万3700円なんですけれども、それでは見つからないという現状になっておりますので、家賃の上限額を引き上げていくといったような制度改正も求められるというふうに考えます。

武田:今、ステイホームと言われていますけれども、その家さえないという現実であるわけですね。石井さんは、何が必要だと考えますか。

石井さん:本当に今、稲葉さんがおっしゃったような生活保護だとかNPOの支援というのは絶対的に必要です。ただし、実はそのセーフティーネットをよしとしない人たちもいるんですね。例えば、あるアルコール依存症の人が非常に家に迷惑をかけてしまって追い出されるように出ていって、パチンコ屋さんの寮で働いていたと。そこもだめになって、生活保護を受けてと言ったんだけれども、生活保護を受けたくないと。なぜかというと家族に連絡がいってしまうから、もうこれ以上迷惑をかけたくない。だから俺は生活保護を受けないと。あるいは、貧困から20年間ぐらい風俗で働いていた人がNPOのほうには助けを求めたくない。なぜか。NPOにいって、自分が頑張ってきたことを否定されたくないと言うんですね。このように、本当に今あるセーフティーネットは非常にいいものなんですけれども、そこに引っ掛からない人たちが、どうしても出てきてしまうんですよ。そういった人たちが存在するということをしっかりと見つめた上で、じゃあ そういった人たちをどう救うかを同時に考えないといけない。彼らは、それまで風俗やパチンコといったところの寮にいたんですよね。そうすると、そういったところをきちんと手厚く支援して、そして、そういった人たちも必ずこぼれないようにするという努力が必要なんじゃないかなというふうに思っています。

武田:例えば、寮を持っている会社を支援するというようなアイデアということですね。

石井さん:事業だけではなくて、寮のほうも同時に支援するということが必要になってくると思います。

武田:住まいというのはすべての生活の基盤なわけですけれども、今、それが揺らいでいるという状況。国や自治体がどういう考え方で支援に取り組んでいけばいいのか。稲葉さんにキーワードを書いていただきました。「ハウジングファースト」。

稲葉さん:「ハウジングファースト」というのは、生活困窮者の支援において、安定した住まいの確保を最優先とするという考え方のことを指しています。今コロナの状況の中で、多くの人たちが住まいを失いかけている。そして、すでに失ってしまった方々もいるという状況になっております。私たちは今回の状況を「コロナ災害」と呼んでいます。例えば災害時、災害によって住まいを失った すべての方に対して住宅が提供されます。近年では、みなし仮設というふうに言って、民間の住宅を借り上げて行政が提供するということが行われている。ですから、今の事態においても、住まいを失った方々に直接住宅を提供するといったような支援策が求められるというふうに思いますし、いま失いかけている人たちについては、住居確保給付金や生活保護で、公的な支援というのもフル動員して生活を支えるべき、住まいを支えるべきだと考えます。

武田:まさに、まずは住まい。それがないと、10万円の給付ですとか、いろんなサービスも受けられないということになるわけですね。
稲葉さんも関わっていらっしゃる、住まいや暮らしの電話相談会は今週6日の土曜日にも開かれます。ぜひ困った方は声を上げていただきたいと思いますね。

今後も経済状況の悪化が予測される中で、住まいの危機に直面する人が増えていくことも考えられます。住まいを失うということは、まさに命の危機にも直結します。早急な対策が求められています。