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2020年5月26日(火)

キーマンに迫る 注目のポイント ~緊急事態宣言解除の先は~

キーマンに迫る 注目のポイント ~緊急事態宣言解除の先は~

東京などの緊急事態宣言解除で、ウィズコロナ時代の新しい段階を迎える日本。今後の焦点になっていくのは「ウイルスとどうつきあいながら日常を取り戻していくか」という点だ。中でも、簡単には解決しない重要な課題となっている3つのテーマを深めていく。▽感染抑制やクラスター対策、そして第2波はどうなる?▽ワクチンや治療薬の開発は?▽困窮する生活者の支援は?それぞれについて、3人のリポーターが最新の動向を取材しながら、キーマンに取材を行い、未来を切り開くためのカギを深掘りする。

出演者

  • 西浦 博さん (北海道大学大学院 教授 ※VTR出演)
  • 舘田一博さん (東邦大学 教授 ※VTR出演)
  • 森島恒雄さん (愛知医科大学 客員教授 ※VTR出演)
  • 猪股正さん (弁護士 ※VTR出演)
  • 武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)、合原明子 (アナウンサー)、小山 径 (アナウンサー)

「まだ1回裏」 「再流行のリスクに気をつけて」

クラスター対策の専門家、北海道大学大学院の西浦博教授です。

クラスター対策専門家 北海道大学大学院 西浦博教授
「(接触)8割減がとても重要である。」

国の対策班に加わり、感染状況のデータ分析を主導。人との接触を大幅に減らすよう訴えてきました。

合原:気になるのが、警戒がいつまで続くのか、見通しを教えてください。

クラスター対策専門家 北海道大学大学院 西浦博教授
「長い旅路になると考えていますが、野球は9回で勝負するじゃないですか。野球が9回のゲームがあるとすると、『1回の表裏』が終わった程度が、今私たちがいる時点。」

合原:まだ、そこなんですか?

クラスター対策専門家 北海道大学大学院 西浦博教授
「1回の攻撃をして、予防して、ハンマーを大きく振りかざしてという状態が今やっと終わった。2回の守備につく状態だと思います。」

合原:第2波が来る可能性について、具体的にはいつごろどういった規模で起こる?

クラスター対策専門家 北海道大学大学院 西浦博教授
「小規模な流行、例えば集団感染がどこかのとても密な接触を必要とするような場で起こるかというのは、いつ起こってもおかしくないと考えています。それは5月6月の段階で起こっても仕方がないと思っています。少なくとも今年いっぱいの間は、再流行のリスクに向かいながら暮らしていかなければいけないと考えています。」


今月、国の専門家会議が示した感染抑え込みの考え方です。
再流行が起きるたびに、クラスター対策などを講じていくとしています。

合原:緊急事態宣言解除のあとは、どの程度 警戒すべき?

クラスター対策専門家 北海道大学大学院 西浦博教授
「感染者数が全体的に減って、感染リスク全体も減ったわけですので、それに関しては皆さんで『自分たちでやれたぞ』という自信の気持ちを持っていただきたいと思いますし、社会全体で8割を減少させる当初の目標、社会全体での接触を削減しようという目標はここまでで、ハイリスクの場での感染管理対策に移行して、段階的に新しい生活様式に適応していこうというフェーズに入っていくことになると思います。」

具体的には、韓国のナイトクラブで制限が緩和される中で起きた集団感染。日本も教訓にすべきだと言います。

クラスター対策専門家 北海道大学大学院 西浦博教授
「人々の生活が元に戻ろうとした瞬間の出来事でした。人と人が向かい合ってお酒を飲む、密に話し合う環境で、これまでもハイリスクであると考えられてきた場なんですね。今後、日本の国も段階的に少しずつ新しい生活をやっていこうという中では、これまで言われていた基本に立ち返って、3密と言われている場所で、人と人が長時間にわたって会話する環境がリスクになると考えています。」

今後も長く続くウイルスへの警戒。西浦さんは、それと並行して進めていかなければならないことがあると指摘します。

クラスター対策専門家 北海道大学大学院 西浦博教授
「今後 長期的なスパンで、この感染症とどのように向かい合わなければいけないかは、治療薬や予防のためのワクチンであったりという開発の状況とともに大きく変化することが予想されますので、ワクチンがとても多くの人口対象に接種できるまでには1年以上の経過を要するものですから、複数年をかけて、どうなるかは 今後その経過を見ていかなければ分からないと思います。」

開発の最前線で何が? 国産が重要なワケ

そのワクチンの開発。
日本感染症学会の理事長で、政府の専門家会議のメンバーを務める舘田一博さんは、いま重要な時期を迎えていると言います。現在の開発状況について聞きました。

小山:ワクチンの開発について、今どういう段階にあるんでしょうか?

専門家会議メンバー 日本感染症学会理事長 舘田一博さん
「(専門家会議でも)ワクチンの開発というふうな、そういうものは出ない。まだ出ていないです。緊急事態宣言が解除になって、少し落ち着きつつある状況の中で、開発に集中して、いま進めなければいけない。そういう時期だと思います。アカデミア(研究機関)と企業、政府が一緒になって開発を進めていくという、その体制が重要だと思います。ただし、そこで絶対に守らなければいけないのは、副作用が出ない。副反応が出ないような検証はしっかりしないと大変なことになってしまいます。」

舘田さんが懸念するのは、SARSやMERSが流行したときのこと。
動物実験で重篤な副作用が起き、ワクチンが完成しませんでした。こうしたことは避けなければならないと考えています。

当時のワクチンは、主に2種類。ウイルスそのものの毒性を弱めた「生ワクチン」と、感染能力を失わせたウイルスの断片を使う「不活化ワクチン」でした。
これに対し、最近開発された技術が、DNAやRNAの一部や変形させたものを使う「遺伝子ワクチン」と呼ばれるもの。ウイルスそのものを使わないため、副作用が少ないと考えられています。

専門家会議メンバー 日本感染症学会理事長 舘田一博さん
「ワクチンによって抗体が作られると、その抗体が逆に悪さをしてしまうような可能性というものも指摘されています。可能性があるということですね。そういうふうなものが起きないかどうかを注意深く検討していかなければいけない。DNAワクチン(遺伝子ワクチン)というのは副作用も少なくできる。」

今、注目されているワクチンの多くが「遺伝子ワクチン」です。
アメリカのバイオベンチャー企業 モデルナ社では、初期の臨床試験で安全性を確認し、秋の実用化を目指しています。

イギリスの大手製薬会社 アストラゼネカ社では、ことし9月に供給を開始する体制が整ったと発表しています。

日本では、大阪大学とバイオベンチャー企業の遺伝子ワクチンが注目されています。7月から臨床試験を行う計画で、来年春までに実用化を目指しています。

舘田さんは、海外に比べ少し後れをとってはいても、国産ワクチンの開発が重要だと言います。

小山:世界のどこかでワクチンが開発されると、日本でも大丈夫とはならないですか?

専門家会議メンバー 日本感染症学会理事長 舘田一博さん
「世界中に広まっているウイルスですよね。何億人という単位で必要とする人がいるわけですから、なかなか日本には回ってこないかもしれないと考えておかなければいけない。」

小山:量産できるのか?

専門家会議メンバー 日本感染症学会理事長 舘田一博さん
「すぐに1億人というのは、なかなか難しいわけですよね。ただ、こういう緊急事態ですよ。インフルエンザワクチンだったら(日本の人口)1億人分作るわけですよね。ですから、それこそさっき言った、チーム、連携して できるだけ多くのワクチンを作るという、そういう体制を作らなければいけない。」

ワクチンの開発について、先週 、国は9件の研究に70億円余りの補助を行うことを決めました。
第2波の懸念もある中、ワクチン開発は間に合うのか。
スタジオで深めます。

ウイルスとの闘い キーマン注目のポイント

武田:緊急事態宣言は全面解除となりましたが、感染が再び拡大するときが来るとすれば、どう備えていくのか。そして、暮らしや経済をどう立て直していくのか。今夜は、キャスター3人が専門家を直撃しました。まず、西浦さんに話を聞いた、合原アナウンサーです。

合原:まず、現在の私たちの立ち位置ですけれども、ちょうど1つ目の山を越えた、このあたりです。これは新規感染者数が減少して、効果的なクラスター対策が可能な水準まで来たことを意味しています。

最終的にはワクチンの開発、治療法の確立によって感染が収束されていくことを目指しています。そこまでに医療提供体制のキャパシティーを上げたり、効果的なクラスター対策が可能な水準を高めていくことを専門家会議では提言をしています。その上で西浦さんがこの先、注意すべきと言うのは、ぶり返してくる状況。第2波なんですね。いつどこで起こるかは分からないということですし、早ければ今月、来月にも来る可能性はあると言います。だからこそ、第2波に備える これからの時期が大切だとしています。その上で、西浦さん次のようにも指摘をしています。これまでのような外出の制限はそれほど必要ないんですが、3密を避けることは常に忘れないでほしいと言います。

きょうは、私たちも互いの間に仕切りを置いてお伝えをしていますけれども、こうした工夫が必要になってくると言います。今回 お話を伺いしまして、長期戦が避けられない中、宣言が解除となっても一人一人の行動が持つ重みは変わらないという意識を持って、新しいフェーズに向かう姿勢が大切だと感じました。

武田:感染拡大を防ぐもう一つの鍵は、ワクチンや治療薬の開発をいかに前倒しできるかということです。そのワクチンについて取材した、小山アナウンサーです。

小山:海外では秋にも完成すると言われているワクチンなんですけれども、WHOによりますと、世界で開発中のワクチンというのは、今124種類あるということなんですね。このうち10種類は人への臨床試験が始まっています。しかし、これらが仮にできたとしても、日本に回ってくるかどうかというのは分かりません。なので、日本国内でワクチンを作っていくことが重要になります。国内では、来年の春にワクチンができるかどうか。でも、十分な量を供給するというのはもっと先になるわけです。これを早くしていくために、いま求められていることは、“競争よりも協力”。

すでに研究者の呼びかけで、今月21日に共同研究グループが発足して、国内でのワクチン開発を急いでいます。ですから、少しでもこのスケジュールを前倒しできるようにしたいというわけなんですね。安全性を重視して進めていくということも大切ですので、ワクチンができて使えるようになるまでに第2波が来てしまうということもあり得ます。そこで急ピッチに今、進められているのが治療薬を見つけていくことです。

開発の最前線で何が? 特効薬がない中で

世界中で開発が進められている新型コロナウイルスの治療薬。
しかし、まだ特効薬は出来ていません。

国の研究班で、薬の研究にも携わる愛知医科大学の森島恒雄客員教授は、第2波が来るまでの今が極めて大事な期間だと指摘します。

小山:さまざまな薬の名前が挙がっていますが、現状、治療薬はどういう状況なんでしょうか?

愛知医科大学 森島恒雄客員教授
「たぶん6月以降、9月とかですね。そういったところまでの間にきちんと評価が出されて、いろんな形の治療体制、治療方法ができあがっていくという形になってきて、願わくは次の第2波の流行前までにきちんと治療法が確立することが望ましい。薬として全て100点満点の薬で、一番が決まればOKという感じではなくてですね、やっぱり一長一短があるということから、その薬の長所に合わせた形の使い方になるだろうと。」

感染してから重症化するまでの間、既存の薬を組み合わせて使うことで、治療効果を高められるのではないかと言います。
感染の初期から、ウイルスの侵入や増殖を抑えると期待されるのが「アビガン」などの抗ウイルス薬です。さらに、炎症が起き始めたころ、有効ではないかと考えられているのがすい炎の治療薬、「フサン」。


東京大学などで、臨床研究が急ピッチで進められています。

重症化の過程で起きる可能性があると指摘されているのが、血管の炎症です。ウイルスが侵入するなどして血管が傷つき、炎症が起きると血栓が出来ると考えられています。

こうなると血液の流れが阻害され、さまざまな臓器にダメージを与えます。フサンは、この血栓を出来にくくする可能性があるのです。

東京大学 井上純一郎特命教授
「血液凝固を抑制する薬として使われているということで、そういう観点からも、抗ウイルス剤に加えて血栓を防御してくれる。そういうことで悪性化を防ぐということに役立つのではないか。」

そして、全身性の炎症への効果が期待されている薬もあります。
全身性の炎症は、体を守るはずの免疫細胞が暴走することで引き起こされると考えられています。

「これがアクテムラという薬です。」

免疫細胞の暴走を抑えるリウマチの治療薬「アクテムラ」です。
大阪にある病院では、13人の重症患者に対し、他の薬と併用して投与。すでに9人が回復して退院しています。

薬を投与された男性
「息苦しさというか、胸のあたりがもやもやした感じでしたね。それが1日、2日でだんだんと薄れてという感じですから。もう3日目くらいには、ほぼなくなって元気になりました。」


愛知医科大学 森島恒雄客員教授
「いろんな手段、いろんな薬があった方が現場の先生も使いやすいところがあって、どういう順番がいいんだろう、どういう組み合わせがいいんだろうということを考えながら、秋の第2波に備えていくことが必要なのではないか。」


小山:治療薬になりそうだという薬の名前はいろいろ挙がるんですけれども、これは必ず効くのかなというふうに思うんですが、新型コロナウイルスの特効薬は今のところないということなんですね。症状の進行に合わせて、さまざまな段階で効きそうな薬があるということでした。

ですから、新しくできたウイルスに、これまで人類が作ってきた薬をさまざまな段階に投入して、力を結集して立ち向かうというイメージなんですね。森島さんによりますと、先ほど出てきた薬以外にも、治療過程のどこかで効いていきそうだという薬の名前はいくつも挙がっているということなんです。そうした薬がたくさんあればあるほど、症状の重さ、あるいは持病のあるなしなどに合わせて薬を選んで、こういった段階に使うことができます。今、その膨大な数の薬の中から、そうした薬を見つけ出す研究が続けられています。

武田:緊急事態宣言の解除で大きく変わるのが、私たちの暮らしです。宣言の期間中、経済活動は停滞し、すでに深いダメージを負っています。専門家は、戦後最悪の暮らしの危機を迎えていると言います。

中間層にも…こぼれ落ちる前に救う

長年、生活困窮者の相談支援を行ってきた弁護士の猪股正さんです。
これまで「自分は大丈夫」と思っていた中間層からの相談が増えていることに危機感を強めています。

生活困窮者の相談支援を行う 猪股正弁護士
「解雇されて、今 所持金っていくらありますか。」

「本当500何十円とか。」

生活困窮者の相談支援を行う 猪股正弁護士
「500円」


栗原:過去のケースとの違い、今回の相談の特徴は?

生活困窮者の相談支援を行う 猪股正弁護士
「リーマンショックの時は、派遣や非正規の方が収入や住居を同時に失うことが多かった。今回は正社員、事業者もたくさん困って、“中間層”にまで危機が広がっている。“戦後最悪の暮らしの危機”が、今 現実に広がっている。数日前に相談を頂いた方ですけれども、この方は70代 夫婦ふたりで生活。イベントの会社を経営されていた。けれど、コロナの危機で仕事が減って、借金もたくさんある。よく聞くと、実は所持金がゼロで、食料もあと数日しかもたない。自分がどこまで追い詰められているか、リアリティ、現実感がない。本当はギリギリまで、もう崖っぷちまで追い込まれている方が相当たくさんいる。支えがない中で一気に困窮に陥る人が増えて、スピードも追いつかない、そういう状況になっている。」


緊急事態宣言が解除されても、先が見えないという人は数多くいます。

こちらの経営者は営業再開を目指し、金融機関から2600万円を借り入れました。

しかし、夜の営業は当面、再開しない方針です。

焼きとり つかさ 長一江社長
「解除になったからといって、『営業時間を戻しました』『お客さんも戻りました』にはならない。自粛があけても外食は控える方とかいらっしゃると思うので。」

ランチやデリバリーを始めていますが、売り上げは以前の半分以下に激減。回復のめどが立たない中、返済は今月から始まりました。

焼きとり つかさ 長一江社長
「返済額が合わせて21万5千円。負担感、不安はあります。売り上げがたつのか、売り上げがないと返済もできないし、お給料も払えない。自分だけの生活ではなくて、従業員の生活もかかっている。」


厳しい経済状況の中、専門家が危惧するのが失業者の急増です。

ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次さん
「今年の末までに、新しく失業者が100万人増えると予想。今回 戦後最大の需要減が起きて、さらに、この後も感染の恐怖が消えないことを考えると、V字に戻るというシナリオの可能性は非常に少ない。」


今後 多くの失業者が出ると予想される中、求められる支援とは何か。

生活困窮者の相談支援を行う 猪股正弁護士
「今、一番伝えたいのは“こぼれ落ちる前に救う”、支えること。これだけたくさんの人が困窮に陥ってから、こぼれ落ちてから再建する、支えるのは本人にとっても非常に困難なこと。今、国や自治体に求められるのは、あらゆる層に包括的に支援を、こぼれ落ちる前に、今、届ける。スピーディに、一度だけではなく継続的に届けることが求められる。」

栗原:今この瞬間も、厳しい局面の中で過ごしている方がいると思うが。

生活困窮者の相談支援を行う 猪股正弁護士
「もう自分の力では、どうにもならない事態になっている。自分だけの力では、自己責任で越えていくのは難しい。“助けて”という声をあげて欲しい。声をあげるということは自分のためだけではなくて、同じように苦しい思いをしている人を救う、そういう人たちとつながるというところがあるので、ぜひ“助けて”という声をあげて欲しい。」

いまどんな支援が必要か

武田:新型ウイルスが暮らしにどんな影響をもたらしているのか。取材を続けているのは、栗原アナウンサーです。

栗原:猪股さんは取材の中で、“こぼれ落ちる前に支える”と何度も繰り返し話してくれました。一度家や職を失った人は、そこから支えるというのは当事者の方にかかる精神的な負担が相当なものになるために、とにかく早く支援につなげることが大切なんだと話していました。

武田:困窮の現場は相当厳しいものがあるんだと思いますけれども、具体的にはどうなんでしょうか。

栗原:戦後最悪の暮らしの危機ということばもありましたけれども、猪股さんたちに所持金がないと相談があった99人のうち、所持金が5万円以下の人たちが32人。3人に1人もいたんですね。さらに この中で、所持金が1000円以下の方というのは21人。5人に1人と、これだけ深刻な状況になっているということなんですね。そして、声を上げにくい状況だということだったんです。

なぜ、ここまで急に深刻になってしまったのか。猪股さんは、“自己責任は人々の内面に向かってくる。今、生活が苦しいのは自分の努力が足りないからではないか、頑張りが足りないからではないかと考えてしまう風潮がまん延しているので、とにかく声を上げられない、支援につながらないんだ”と危惧していました。

武田:これから感染拡大の防止、暮らしや経済の立て直しを同時に進めていかなくてはならないわけですけれども、どんな支援が必要なんでしょうか。

栗原:エコノミストの矢嶋さんの挙げたキーワードは「アクセルとブレーキ」なんですね。「アクセル」はといいますと、経済活動の加速なんですが、そのために安心して「アクセル」を踏み込めるように、感染への不安をできるだけ減らす必要があるということなんですね。検査体制の拡充などが求められるということです。そして、「ブレーキ」ですけれども、再び休業に追い込まれるような状況になったときに、休業できる環境を整備していくことが大切だということでした。そのためには、確実で迅速な休業補償を約束することが求められると強調していました。

武田:きょうは3人のリポーターが専門家に話を聞きました。緊急事態宣言が解除されましたけれども、3密を避ける新たな生活様式を いかに実践できるのか。そして、暮らしが行き詰まった人々を いかに早く支えて、取り残されないようにしていくのか。まだウイルスとの闘いは終わっていません。