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2020年3月4日(水)
追跡!ネット広告の闇 “アカウント売買”~気づかぬうちに個人情報が売りさばかれる~

追跡!ネット広告の闇 “アカウント売買”~気づかぬうちに個人情報が売りさばかれる~

「フォロー&リツイートだけで現金をプレゼント!」。今、こうした「プレゼント企画」をうたうアカウントがSNS上に乱立し、応募した人が手数料をだまし取られたり、投資話に巻き込まれるケースが後を絶たない。そして、多くの運営者の真の目的は「アカウント売買」とも言われる。注目を集めやすい動画でフォロワーを増やした後、そのアカウントごと転売。数万人のフォロワーがいるアカウントは数百万円という高額で転売されている。さらに、集められたフォロワーはだまされやすい情報弱者とされ、そのアカウントが高値で流通。新たな詐欺商法に利用される構造も浮かび上がってきた。信用をフォロワー数で競う社会の落とし穴を伝え、対策について考える。

出演者

  • 石井光太さん (作家)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学 教授)
  • NHK記者
  • 武田真一 (キャスター) 、 高山哲哉 (アナウンサー)

話題になったプレゼント企画

「総額10億円!!100万円が1000名の皆さまに当たるというキャンペーンになることになりました。」

ファッション大手ZOZOの前社長、前澤友作氏は、正月に、ツイッターで「現金プレゼント」を企画しました。
これにより前澤氏のフォロワーは爆発的に増加し、一時700万を超え、日本一に。当選したという人が相次ぎ、SNSで大きな影響力を手にしました。

この直後から、同じようにお金をプレゼントするというアカウントが続々と登場。
しかし、確認できた150以上のうち、ほとんどは企画者の身元が分からないものでした。

追跡!謎の現金プレゼント

一体、何が起きているのか。
私たちは追跡をスタートしました。

高山:現金のプレゼント企画、どのくらいあるのか。

初めに、ツイッターで「現金プレゼント」と検索。
すると…。

高山:結構たくさん出てきました。ダーウィン社長「現金プレゼント」と言っている、この人を見ると…。見てください。10万人を超える人がフォローしている。

こちら、「【公式】ダーウィン社長」という名前のアカウントです。
ツイートには札束の動画も一緒にアップされ、少なくとも去年末から現金プレゼント企画を投稿していました。
さらに調べていくと、「ダーウィン社長に金を盗まれた」と訴えるツイートが見つかりました。

私たちは、このツイートをした人にすぐに連絡。
会って話を聞くことができました。

高山:ずいぶんお若いですよね。おいくつですか?

「高校3年生の18歳。」

被害を訴えている、かんなさん。
ことし、高校を卒業し、4月から1人暮らしを始めるため、お金が必要だったといいます。

2つのアルバイトを掛け持ちし、週に6日働いていますが、目標の金額まで貯金できず、悩んでいたときに見つけたのがダーウィン社長の「現金プレゼント」だったといいます。

かんなさん(仮名)
「まわりの友だちも同じ人(ダーウィン社長)をフォローしていて、みんなリツイートとかしていて。友だちもやっているなら大丈夫かなみたいな感じもありました。」

応募してすぐにダーウィン社長から「当選した」とのメッセージが届きました。その際、当選金の振り込みに必要と、あるアプリをインストールするよう指示があったといいます。

それは電子決済用のアプリ。あらかじめお金をチャージすれば、クレジットカードのように使えます。事前の審査はなく、未成年でも利用できます。

ダーウィン社長は、当選した金を振り込むために、アプリに表示されたカード番号などの写真を送るよう要求。指示に従うと、続いて「手数料として3万円をチャージして支払ってほしい」とメッセージが来ました。

かんなさん(仮名)
「私の場合は、お金がなかったんで1万円しかチャージしていなかったんですけど、1万円をチャージした瞬間(お金が)全部なくなっちゃって。」

高山:残高ゼロ?

かんなさん(仮名)
「ゼロになっちゃいました。」

高山:連絡まったく?

かんなさん(仮名)
「はい。もうとれなくて。」

数日後、ダーウィン社長のアカウントにアクセスできなくなり、結局、お金が振り込まれることはありませんでした。

かんなさん(仮名)
「ほんとうに状況が理解できなくて、大泣きしながら友だちに電話して、涙でぐちゃぐちゃになるくらい泣いた。」


一体、ダーウィン社長とは何者なのか?
私たちは、ウェブに残された過去の情報から手がかりを探すことにしました。

高山:「投資家」の3文字しかないんですか、プロフィール。

「住んでいるところも、『地球』。」

「ちょっと気になったのが、条件のところに、参加方法に、別の人のフォローをするというのが条件になっていて。」

かすかな手がかりとして見つかったのは、この書き込み。
ダーウィン社長は、お金を渡す条件として、自分以外の人物をフォローするよう要求していました。

その1つが、ある男性のアカウント。
所属しているグループの名前も載っていました。

高山:この人をたどれば「ダーウィン社長を知ってるよ 友だちだよ」という可能性はあるかもしれない。

イベントの予定を見つけ、会場から出てきた本人に直接聞きました。

取材班
「すみません、NHKの者なんですけど。」

「ぼく、全くわからないです。勝手にタグ付けみたいな感じで。」

取材班
「迷惑?」

「迷惑です。」
「ぼくの名前使って、ぼくが参加しているかに見せているか。」

男性は全く心当たりがないといい、知らぬ間に自分をフォローしていたダーウィン社長をブロックしたといいます。

私たちはほかに有力な手がかりを見つけることができず、追跡は暗礁に乗り上げてしまいました。
壁となったのは、メールアドレスさえあれば、誰でもアカウントを作れてしまうツイッターの匿名性の高さ。その後も、ダーウィン社長を名乗る似たような名前のアカウントが次々と登場。今も、フォロワーの数を伸ばし続けています。


武田:確かに前澤さんはプレゼントされてましたが、ほかに、そんな話がそうそうあるわけないと思うんですよ。取材した田隈さん。それでもフォローしてしまうというのは、どうしてなんですか。

田隈記者:VTRの街頭インタビューの声でもありましたけれども、フォローするだけなら、ただ。リスクはないんじゃないかという意識がやはりあるんだと思います。最近では、企業もプレゼント企画で新商品のPRを盛んに行っているというのもあります。これ自体は、ファンとつながりを持つために認められた正当なキャンペーンなんですけど、フォローやリツイートだけで商品がもらえるという手法が身の回りにあふれていますので、敷居が低くなってしまっているというのはあると思います。

高山:被害の話を伺った、かんなさんなんですけど、この春からどうしても切実な事情があって、自立をしなければならない。そのために高校に通いながら、2つのアルバイトを掛け持ちしてもなかなかお金がたまらない。まいったと思っているところに「当選しました」というメッセージが来て、周囲に相談する事なく、ダーウィン社長の指示に従ってしまったということなんですね。

武田:いろんな事情があるんだとは思うんですけど。石井さんは、こうしたアカウントをフォローしてしまうのは、どうしてだというふうに考えますか。

ゲスト 石井光太さん(作家)

石井さん:昔から宝くじだとか企業のプレゼント企画というのはあったと思うんですね。ただ、それは国だとか企業ときちんと信頼関係があった上で成り立っていた。今、インターネットの世界というのは、フォロワーの数やコメントの数だけで信頼というのができてしまう。非常に希薄な環境の中で成立してしまうんですね。だからといって、みんなが詐欺に遭うかといったら、そうじゃないと思うんです。遭う人というのは、非常にせっぱ詰まっている人。生活だとか学費に困っている人。そういった人というのは、客観的に考えることはできないので、どうしてもそこにしがみついてしまうんですね。そこに対して、詐欺というのはうまい口ぶりで言ってくるわけです。「これはあしなが基金だよ」とか「奨学金だよ」という形で近づいてくる。インターネットの特殊な信頼性と、うまいことば、この2つでだまされてしまうのかなという印象がありますね。

武田:現金に限らず、いろんなものをプレゼントしますよという企画は、今あふれているわけですよね。そうした中で、この詐欺的なものを規制するという方法はないものなんでしょうか。

高山:かんなさんの受けた被害のケースは詐欺罪の可能性はあるんですけれども、どんな規制があるのか、消費者庁に聞きました。何かを買って「温泉旅行をプレゼントします」という企画をよく見ますよね。例えば、ビールを買って応募したというケース。これが、うそだった場合には、うその情報でビールを買わせたということで「景品表示法違反」に当たるんです。ここからやっかいなのですが、きょうご紹介した、「フォローしただけで当たる」という企画が、もしうそだったら、何か物を買わせているということがないので、現状では規制がない。なかなか取り締まることはできないというのが現状なんですね。

ツイッター社にルールの確認をしてみますと、このように書かれていました。「他者をあざむき 金銭や個人の金融情報を取得することを禁止」「重大な違反はアカウントの永久凍結」ということなんですが、私たちの取材に対しては、「規約にのっとって適切に対処していきます」とコメントはしていました。

武田:宮田さん、こうした悪質なアカウントをSNSから取り除く方法は何かないんですか。

ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授)

宮田さん:法律をつくって、強制的にルールを守ってもらう。これが有効な場合は、そうすべきなんですが、どうしても時間がかかってしまいます。インターネットの変化の速さには対応できないというときに、プログラムされたサービスであるからこそ、そういった制約を逆手にとって、運営側から悪意のあるユーザーや使い方に縛りをかけることができると。こういった点が今、改めて重要になってきています。

武田:プログラムを使ってやるということですね。

宮田さん:例えば、フェイクニュースが氾濫したときにグーグルがどういうふうにしたかというと、検索のアルゴリズムを変更して、そういったフェイクニュースの優先度を下げる。あるいは、検索にひっかからないようにするということで、ユーザーを守ったという事例もあります。ユーザーはいつもどおり行動しているんですが、プログラムが守ってくれると。こういったものをアーキテクチャーによる制度というんですが、今回のケースでも、ツイッターは匿名空間で自由に発言できるよさもあるんですが、このアカウントだったり、悪意のある使用法に対して制約をかけていくということも一つのアプローチかなと思います。

高山:追跡を進めていくと、お金をだまし取られるだけではなく、ついフォローしただけで危険なわなにはまってしまうかもしれない。そんな実態も明らかになってきました。

気軽なフォロー 気づかぬうちに個人情報が…

私たちは、「現金プレゼント」の手口に詳しいという男性を見つけました。
男性が投稿した動画です。

「今回、私が用意したのは、この1億円。そして、アイチューンズカード。それと、アイフォーン20台です。」

実はこれ、「実際にどれだけフォロワーが集まるか」実験したという動画です。
投稿後、男性はフェイクであることを公表。手の内を明かし、同じような企画でだまされないように呼びかけました。

「現金プレゼント」の手口に詳しいという男性
「単純に、(紙の束の)上に1万円だけのせて、『これプレゼントします』ってやったら(偽物)とわからないです。」

iPhoneやギフトカードも、通販サイトで安く手に入れた空箱や使用済みのカードを並べただけでした。
それでも、動画の投稿直後には1万4000人を超えるフォロワーがついたといいます。男性によると、ネットではこうした動画を使って、だまされやすい人の情報を集め、悪用する手口が広がっているのだといいます。

「現金プレゼント」の手口に詳しいという男性
「“10億円配ります”とか、非現実的な話を受け入れる人たちがフォローしてリツイートしているので。応募されていたら(悪質業者の)カモリストに間違いなく入っています。確実に『養分』と呼ばれている。」


「カモリストに入る」とは一体どういうことなのか?
私たちは「現金プレゼント」に応募して、確かめてみることにしました。

高山:フォロー。とにかく徹底的にフォローしましょう。

当選発表はツイッターではなく、LINEで行うと複数のアカウントに書かれていました。
LINEでやりとりするには、友だちになることが必要です。結果を知るために、20を超えるアカウントに登録します。
当選や落選の結果が来ると思いきや、「お金もうけできます」という広告へ誘導されるばかり。「現金プレゼント」に関する連絡は一切ありませんでした。


その後、登録したアカウントを調べてみると…。

高山:例えば、この人。見てください。9838人。

中には、1万人近くが友だち登録していたものもありました。

実は、プレゼント企画は登録者を集めることが隠れた目的で、友だちの多いアカウントは高値で売られているといいます。

「現金プレゼント」の手口に詳しいという男性
「(友だちが多ければ)アカウント自体の販売で、100万円、200万円で売れるアカウントもある。」

調べてみると、実際にアカウントを高額で売るサイトが複数見つかりました。

驚くのは、その値段です。フォロワーの数によっては、数百万円から数千万円という高値で販売されるものもあります。
アカウントを使う権利を他人に譲れば、そこにぶら下がった友だちの情報がリストとして相手のものになります。

私たちは、その中にあった、お金に困った人を集めたというアカウントを入手しました。ここには、どうしてもお金が欲しいという人たち1000人が友だちとして登録されていました。
アカウントには登録者の名前だけでなく、そこで交わされる切実なやりとりも残されていました。

“最高で何万円ぐらい必要ですか?”

“最低2万5000円 最高3万円です
15歳の女子
会いたい人が遠くに住んでいて急きょ会うことになったからです”

“58歳 男
働き方改革で残業出来なくなって息子の病院代が払えなくて困っている”


こうしたリストは、どれほどの価値を生むのか。
自分で友だちを集めたリストを使って、年間1億円を稼ぐという女性に聞きました。

女性
「インターネットビジネス業界は『リストが命』と言われるほど、リストはすごく価値を生み出し続けるものなんですね。」

女性はこれまで、自分のセレブな暮らしぶりをSNS上で演出。それに憧れた1万人が友だち登録をしてきました。ほとんどが、自分も女性のようにお金持ちになりたいという人です。その人たちに女性は、例えば「月100万円稼ぐ方法を教えます」などとうたう広告を送ります。実は、これはほかの業者から依頼を受けた、いわゆる情報商材です。そのうちの誰かが広告をクリックして会員登録などをすると、それだけで女性は紹介料を得ることができます。登録1件につき3000円もらえることもあるといいます。

女性
「1万人の方に(商品の広告)リンクを流すと、100件(会員)登録される。私から1通(広告を)流しただけですが、それだけで30万円になる。もし10回(広告を)流したとすれば300万円。」

お金を必要とする人が集められたLINEアカウントは、“金を生むリスト”として利用され、時には売買までされていたのです。
私たちの取材に対し、LINEは「アカウントの売買は規則で禁止行為と定めている」と回答。さらに「違反行為を見つけたときはアカウント停止等の措置をとる場合もある」としています。

一方で、国民生活センターに寄せられる情報商材のトラブルのうち、SNSが絡むものは増え続け、全体の3割を超えています。

ご注意!気軽にしたフォローが…

武田:何げなくフォローしたつもりが、リストに入れられて、その情報がビジネスに利用される。ちょっと怖いですよね。

高山:アカウントを利用したビジネスを見てみると、多くが、私たちになじみのあるツイッターとLINEを組み合わせている形が多いんですね。まず、ツイッターで不特定多数の皆さんに呼びかけて、フォロワーを増やしていきます。

その後にLINEに誘導して、深い会話や詳しい情報を聞きだして、個人情報をたくさんゲットして。これがお金もうけにつながっているということなんです。

武田:宮田さん、複数のSNSを使って知らない間に利用されているといった現状をどうご覧になりましたか。

宮田さん:匿名性の高いツイッターがあったり、より個人に近いLINEがあったりするというのは、ユーザーにとってすごくいい事だと思うんです、選択肢があると。ただ、これをまたいだような悪意というものに対抗するのは、単一のプラットフォーマーだけでは難しいのではないかと思います。そのときに、例えばクレジットカードであれば、ブラックリストのユーザーを業界が連携して共有するということだったり、保険会社も、事故を起こした人が簡単に乗りかえられないように、業界で連携をしながら情報を共有していくというような取り組みもあります。SNSの世界では、そういった連携ができていないんですが、今後、まさに両方とも負けになってしまうので、この信頼を相乗効果で高めていくための対策も必要なのかなと思いますね。

武田:石井さんは過去に、こうしたアカウントリストを売買している人たちを取材したことがあるんですよね。

石井さん:今回の場合というのは、自分がお金を払って詐欺に遭うということなんですけど、それ以外に、自分が犯罪の加担者になるということもあるんですね。どういうことかというと、例えば、プレゼントを「10代のフリーターだけにプレゼントします」というふうに言って来た人に対して、特殊詐欺の受け子をやらせるとか、アルバイトを紹介するとか。「水商売の人だけにプレゼントする」と言って、今度は売春の道に進ませるといったような形もあるんです。今までは、ある一部の悪い人がいて、そこに近づかなければ犯罪に巻き込まれなかったんですけれども、今は、それがインターネットにつながってしまっていることによって、全く犯罪とは無関係な人が犯罪に巻き込まれている状況ができてしまっているんですね。それは、今の怖さだというふうに考えなきゃいけないのかなと思っています。

武田:SNSが、そういった裏の社会との距離も縮めてしまっている怖さがあるということですね。田隈さん、気軽にフォローしてしまい、LINEで友だちに登録してしまった。いろんな広告が届くんだけど、ちょっと不安だなというふうに考えている人は、どうしたらいいんでしょうか。

田隈記者:怪しいアカウントをフォローしていますと、いわばネット空間で目をつけられて、さらに怪しい勧誘を招くということにつながりかねないので、まずは、怪しいアカウントのフォローを外す、ブロックするということが大事になってきます。今回、番組で入手したリストを見ますと、10代の方もかなり多いという印象を受けました。VTRにありましたように、「遠くの友達に会いに行きたいのでお金が欲しい」という安易な動機で友だち登録してしまうというのもありました。気軽にいろんなアカウントをフォローをしているという人は多いと思うんですけれども、改めて自分のアカウントを見て、整理をするということが大事だと思います。

武田:「現金プレゼント」の企画を追跡してみたら、個人情報の売買という思わぬ落とし穴が見えてきたわけですが、そうした落とし穴にはまらないために、どういう心構えでこのネット社会と対じしていけばいいと思いますか。

石井さん:今まで、人との信頼関係というのは、非常にいろいろ苦労しながら築いてきたと思うんですね。だからこそ、自分が困ったときに人が助けてくれたり、困った人がいたら助けようと思ったりする。これが人間と人間のつながりだったわけです。だけど、インターネットの世界というのは必ずしもそうではない。本当に一部の、例えばメディア、大人、インフルエンサーが派手なことをやって人を集めてきた。そういったものがあるんです。必ずしも、これが悪いとは思わないんですね。ただし、これを悪用する人がいて、それによって本当に社会的弱者が詐欺に遭うというような状況が起きている。だとしたならば、メディアはメディアの社会的責任として、あるいは、インフルエンサーはインフルエンサーの社会的責任として、今の問題に対してどうやって立ち向かっていくのかということを考える段階に来ているのではないかなというふうに思っています。

武田:ネット社会、本当にいろんな取り組みやチャレンジが起きていますけれども、一方で、冷静に考えてみるといった頭も必要だということですね。

石井さん:そうですね。

武田:宮田さんはいかがでしょうか。

宮田さん:SNSが全世界に広がることによって、人と人の距離感が全く変わりました。例えば、対面したことのない人たちとチームをつくって、信頼関係を持って働くことができる一方で、この便利さの裏には悪用されるリスクというのが常にあって。先ほど石井さんがおっしゃっていたように、気軽にフォローした人、あるいは、よく分からないフォロワーが信じられないような悪意を持って、すぐそばにいるということがあります。もう一つ大事なのは、今までデジタルと現実というのは別のものとして扱われてきたんですが、今は結びつくものとなってきていると。すでに、デジタルの活動履歴が現実の評価と結びつくようになってきて、デジタルで好ましい活動をしたら、お金を多く借りられると。一方で、AI解析されて、同一人物として裏アカウントも特定されて、就職の判断を落とされると。こういう事も出てきていると。こういう中で、単なるアカウントのフォローという行為が、長い目で見たときに、その人の信頼を傷つけるだけではなくて、家族や友人を悪意に巻き込むことにもつながっているんですよね。今はフォロワーの数という数字だけに惑わされることなく、新しい信頼をつくり、考えていく時期なのかなというふうに思います。

武田:フォローするだけでもリスクがあるということです。

高山:人生も変わってしまうかもしれないと。

武田:ぜひ気をつけましょう。ありがとうございました。