クローズアップ現代

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2020年1月16日(木)
シリーズ 検証・かんぽ問題② 郵政グループ 再生への課題は?

シリーズ 検証・かんぽ問題②
郵政グループ 再生への課題は?

2年前からの郵便局の不適正な保険契約の問題を指摘してきたクローズアップ現代+。当時、番組の中で郵政グループの幹部が問題を認識し再発防止を約束したにも関わらず、その後、事態は社会問題化。郵政トップの3社長が辞任する事態にまで発展した。番組では2夜にわたって、再発防止のために何が必要か、多角的に検証する。

第2夜は、一連の問題がなぜ起きたのか。二度と被害を出さないために何が必要かを考える。調査報告書では、問題の一つとして一部の販売実績の高い局員の存在を指摘。「不適正を黙認する風潮」が組織のなかに形成されていた、と指摘している。さらに、取材を進めると、民営化の過程で生まれた構造的な課題も浮かび上がってきた。今月から経営陣を刷新した郵政グループ。真に再生するためには何が必要なのか?幹部へのインタビューのほか、スタジオに識者を招き徹底討論する。

過去に放送した郵政グループに関する内容・記事はこちらから https://www.nhk.or.jp/gendai/tag/yuseigroup/

出演者

  • 郷原信郎さん (弁護士、元日本郵政ガバナンス検証委員長)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学 教授)
  • 武田真一 (キャスター)

検証2年 かんぽ問題 巨大組織の体質に迫る

武田:昨日から2夜連続でお伝えしている、日本郵政グループの保険の不適正契約問題。今夜は一連の問題がなぜ起きたのか。二度と被害を出さないために何が必要かを考えていきます。

郵政グループには、持ち株会社の「日本郵政」と全国に郵便局を持つ「日本郵便」、そして「かんぽ生命」、「ゆうちょ銀行」があります。「かんぽ生命」や「ゆうちょ銀行」は、金融商品などの販売を郵便局に委託。郵便局は業績によって手数料を得ます。

問題の調査にあたった特別調査委員会は報告書で抜本的解決を先延ばしにし、「問題わい小化の組織風土」であったなど、組織の体質に言及しました。とりわけ「高い実績の局員に依存」せざるを得ない状況の中、「不適正を黙認する風潮」が形成されたと指摘しています。

この高い販売実績の局員の中でも、特に会社から評価されているのが“優績者”と呼ばれる人たちです。彼らを取材しますと、組織の中に長年染みわたっていた深刻な問題が見えてきました。

かんぽ問題 組織を支える“成績優秀者”の実態

問題の原因のひとつとして報告書が指摘しているのが、“成績優秀者”の存在です。1%あまりしかいない販売実績の優秀者が、違反が疑われる契約の、実に4分の1以上に関与していたと指摘しています。
こうした人たちはどのような契約をしていたのか。成績優秀者の中でも、会社が高く評価する“優績者”が取材に応じました。

みずからも不適正契約を行っていたことを認めたうえで、その手法について語りました。

郵便局 優績者 Cさん
「ゆるいお客さん、こちらの言っていることに言いなりになってくれるお客さん。『ゆるキャラ』ですとか、1年間で何度も契約を交わす方もおいでになりますので、そういった世帯ばかりを訪問していました。」

主に高齢者や、持ちかけた話に疑いを持たない人にねらいを定め、契約数を稼いでいたといいます。
契約の数は、会社内での評価に直結していました。年間、数百万円から数千万円以上の販売実績を上げる局員だけが“優績者”と呼ばれ、模範として位置づけられていました。優績者の中でも、「ゴールド」「ダイヤモンド」などの称号でランク付けがなされ、契約額の多さなどで手当を支給。年収が2000万円を超える局員もいたといいます。

さらに取材を進めると、優績者であれば不適正の疑いのある契約でも、一定程度は許容されていたとも受け取れる実態が浮かび上がってきました。
取材に応じた優績者が差し出した内部資料。日本郵便の保険の販売実績、上位1000人のリストです。年間販売実績・数百万円から、トップクラスは1000万円以上が並んでいます。そこに示されていた、ある数値。契約に問題がないかどうかを示す、品質基準です。優績者の基準は甘く設定されていました。

不要な保険料を払い込ませ、客の不利益となる「二重払い」などの疑いがある契約については、全体の5%以下。本来、顧客の利益を守るための仕組みを悪用している可能性がある「料済」や「減額」は12%以下。こうした基準は、一般の局員を含む全局員の不適正な疑いのある契約の、実際の発生率よりも高いものだったのです。

郵政グループも取材に対して、「結果として優績者への基準は緩かった面があった」と認めています。こうした仕組みから、この優績者は「利益さえ上げれば、ある程度の不適正な契約は許される」と受け止めていたと言います。

郵便局 優績者 Cさん
「会社も形の上では『不適正な行為は行うな』と言っていましたけれども、実際のところ不適正な募集をしても、会社から処分を受けることはないという感覚でした。優績者には数字を、契約を取ってきてもらわなければならないといった、会社のひとつの合図だったのかなと。」

さらに、優績者の手法が組織の中で広がっていた可能性も内部資料から浮かび上がってきました。これは、優績者などが有志の局員に販売手法を指導する、自主的な勉強会で配られた資料です。契約がたくさんある顧客ほど勧誘しやすいなど、ねらい目となる顧客の特徴などが具体的に記されています。ほかにも、特定事案にもなった「二重払い」については“いつやめるの?あとでしょ!”と解約時期を遅らせ、客に不利益を生じさせることを推奨するかのようなタイトルが付けられていました。

“自主研”と呼ばれる、こうした勉強会は全国で開かれていました。
自主研に参加し、優績者から指導を受けたという一般局員がその内容を語りました。

自主研の参加者
「管理者である部長が『お前は参加しろ』という感じで、ほぼ強制的に参加させられました。二重払いとか、こういうやり方ですよと教えてもらいました。こういう方法で頑張っている人は推進しているから、それをまねしろみたいな形です。数字をやる(上げる)ものが全てだっていうような体質があった。」

優績者による手法が組織で共有され、顧客の利益はないがしろにされてきました。

優績者によって被害を受けたと訴える家族です。
契約した保険は、確認されただけで68件に上っていました。この契約に関わっていたのは、全国で上位30位以内に入り、9年連続ダイヤモンドの表彰を受けていた優績者。その優績者が母親の担当になった10年前から、毎年のように新規契約が繰り返されていました。最も契約数が多い2015年には、わずか2か月で20件の新規契約が行われ、1000万円以上の保険料が支払われていました。


「『保険に入れば(税金を)免れる』ということを聞いて『はい、わかりました』って。調べてもらったら、もう(お金が)減っていて。郵便局の人ということだけで信頼しきっていて。本当に悲しいですね。」

保険の多くは2年あまりで次々と解約され、払い戻された金を元手に新たな保険契約が繰り返されていました。その際、優績者が最大限の営業実績や手当を得るため、保険の対象となる被保険者を次々と変更する手法が用いられたとみられています。

異変に気づいた娘は郵便局に抗議。
しかし、自宅を訪れた上司は優績者をかばうかのような発言を繰り返したといいます。その音声記録を入手しました。


「どう思いました?あなたは。」

管理者
「(担当の優績者は)お客さまの立場にたった仕事は一応させていただいておりますので。」


「親の財産が減っとるん。なんでそんなの勧めとんのよ。それを何とも思わんのよ。」

管理者
「どうしたらよろしいんでしょうか?」


「母のもとに全部お金を戻してよ。」

管理者
「それは、できることとできないことがございますので。」


「どうにもならんことぐらいわかるやん、私だって。取り返しのつかんことをやってくれたのは、あんたんとこなんやで。」

娘の再三にわたる抗議の結果、かんぽ生命は63件の契約を解約して、生じた損失1100万円の返還を認めました。


「本当にあきれるっていうか、会社は大丈夫なのって。おかしくないですかって。怒りが収まらないですね。」

別の郵便局の管理者が取材に応じました。
会社も売り上げ達成のために優績者に依存し、不適正な手法を黙認してきた風潮があると語りました。

郵便局 管理者 Dさん
「優績者が頼りですから。頼りなんですよ。なので、どうしても営業優先のなかで、やっぱり優績者を守っていく、かばう形になる。いつの間にか、適正なのか不適正なのかがマヒしながらになったのかなと。経営陣の責任でしょうし、本社も支社も一番の責任かなと。」

問題を解決し、再発を防ぐことはできるのでしょうか?


武田:取材にあたった望月さん。新体制になった郵政グループ、この優績者の問題に厳しく対応していくとしていますが、なぜ、ここまで十分に対処しきれていなかったのでしょうか?

望月ディレクター:優績者が処分されにくい仕組みがありました。これは、実際に販売した局員本人が認めなければ不適正と認められなかったんですね。もし顧客側から強い苦情があったとしても、返金をして契約自体をなかったことにすると。これが問題として明るみに出ることはなくて、処分もほとんどされていなかったという状況で。これについては、実態を調査報告書も指摘をしています。

武田:昨夜に続いて弁護士の郷原さんに伺いますが、報告書も指摘するとおり、優績者個人の問題にとどまらず、むしろ利益を上げさえすれば一定の不適正は見過ごすという組織の問題もあったのではないかと思うのですが、いかがですか?

ゲスト 郷原信郎さん(弁護士、元日本郵政ガバナンス検証委員長)

郷原さん:本来、顧客の利益にかなっているかどうかを見たいのであれば、一人一人の顧客がどういう契約をしているのか、それがプラスになっているのかマイナスになっているのかをしっかり見極めるべきですね。ところが、実際には募集品質の向上という言葉でそれを隠れみのにして、顧客の利益に目をそむけてきたのではないかという気がします。募集品質というのは、法令違反とか社内規定違反があるかないか、しかも、それを認めるかどうかの問題です。そういうことであれば、優績者と言われる人たちは、不適正にならないようにうまくすり抜けながら、どんどん営業成績を上げている。そういった実態が放置されていたということは、組織として顧客の利益に本当の意味で向き合ってなかった。このような体質がずっと続いてきたということではないかと思います。

望月ディレクター:取材した優績者は、これまで散々自分たちをもてはやしてきた会社が、問題が明るみに出て以降、今度は自分たちを犯人扱いすると。これはトカゲの尻尾切りだということで、強く憤りを感じていました。もちろん不適正契約に携わった局員は責任を取るべきだとは思いますが、管理者も含めた組織全体に重い責任があると思います。

武田:果たして、対策がきちんと実効性を持って進められるのか。優績者の問題や、それを助長してきた組織の体質を変えられるのか。日本郵便の幹部に聞きました。

かんぽ問題 幹部に問う 組織の体質は変わるのか?

以前、番組のインタビューで「踏み込んだ対策をする」と語っていた日本郵便の佐野公紀常務執行役員。保険の営業推進の責任者です。2年前の放送を踏まえ、今回の事態をどう受け止めるのか改めて問いました。

日本郵便 佐野公紀常務執行役員
「(2年前の)番組放送後、私どもはかんぽ生命とともに募集品質改善に努めてきたつもりでございました。しかし今回、明るみになってきた事実を見ると、その取り組みというものが非常に不十分であったと。」

クロ現ディレクター:優績者が一般社員よりも緩い基準になっているのではないかと?

日本郵便 佐野公紀常務執行役員
「従来に比べて、ここ近年、2年ぐらい、募集品質の水準は厳しく引き上げたわけではございますけれども、それでも今のこの状況で考えますと、募集品質を欠格にする水準は緩かったと思います。優績者のあり方も、これから見直しを考えることになる。自主研自体、いろいろな問題と不適正な話法の伝播の一因になっているというご指摘もいただいているところ。自主研のあり方ということも当然、見直しをこれからかけていくということだと思います。まだまだ遠い道のりですけど、お客さまへの信頼回復に向けては、お客さま本位の営業活動を組織全体として覚悟を持って取り組んでいく。」

検証2年 かんぽ問題 再生への課題は?

武田:経済部の安藤さん。郵政グループは具体的に、どう対処していこうとしているのでしょうか?

安藤記者:郵政グループの再発防止策、主なものをまとめました。まず「営業目標の見直し」。新規契約の獲得に偏っていたものを改めて、「継続性も重視」して目標を決めていくとしています。それから「70歳以上への営業とりやめ」のほか、「顧客との会話を録音」。もし何かあったときに不適正な営業がなかったか確認できるような体制にするといいます。そして、「局員が否認しても不適正を認定」。不適正な販売だと認めなかったということも、外形上で十分に疑わしい場合は不適正だと認め、顧客の対応にあたっていくとしています。

武田:ただ、宮田さん、そうはいっても巨大な組織です。対策が実効性を持ってなされるためには、何が必要だと考えますか?

ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授)

宮田さん:問題の原因に一つ一つ対応していくことも重要ですが、一方、全社員の問題として改革に取り組むことで、問題を生まない土壌を作ることも必要なんです。この点については、規模の違いはありますが、同じ旧官営企業のJALのケースが参考になります。経営破綻から再生した現在、振り返って何が一番大事なのかを考えたとき、その要素の1つが全従業員に行った意識改革です。例えば、顧客目線を徹底するということ。前線に立つ営業担当だけではなく、バックオフィスも含めて一人一人の従業員が目標を共有することで、マニュアルやコンプライアンスの外側の問題も含めて、真に質の高いサービスを実現することができるようになった。あるいは、体質性を作ることによって一部の暴走をみんなで抑えて、サービスの質を変えていくということにもつながったともいわれています。

武田:今回の報告書では、問題の背景に民営化の過程で生じた構造的な課題もあると指摘されています。長年、郵政問題を研究してきた田尻嗣夫さんは、利益優先の体質に変わってしまったのではと指摘しています。

東京国際大学 名誉教授 田尻嗣夫さん
「民間企業として配当もしなきゃいかん、株主を喜ばせないといかん、ということです。国民を喜ばせなくてはいかんと考えていないんですよ。そこが問題なんです。民営化企業だから、新しいものをどんどん売り込めと。それは、だって能力主義で目標達成主義でね。(民営化前は)ノルマ、ノルマ、ノルマということを言う必要がなかったのですから。」


武田:一方で、民営化が徹底されていないことが問題の背景にあるという意見もあります。日本郵政公社の初代総裁を務めた生田正治さんです。

日本郵政公社 初代総裁 生田正治さん
「中途半端な民営化。(官と民の)中間にいると、両方のいいとこ取りでやれるならいい。ところが要は、悪いとこ取りになっちゃう。新商品の開発ができない。これは致命的。こういう状態がずっと残るわけですよ。半官半民の、変な不自由な事態が。普通の人と同じように商売できるようにならないと大変困る。」


武田:安藤さん、お二人が指摘したことを含めて、日本郵政グループが抱える構造的な問題はどういう点がありますか?

安藤記者:2007年に民営化した郵政グループですが、民間企業として当然、利益を追求していくことが求められるようになりました。一方で歴史的な低金利ということで、本来、かんぽ生命が得意としてきた貯蓄性の商品の魅力が大変に落ちてしまったと。こうなれば何か別の商品をということですが、まだ民営化のプロセスの途中ということもあって、政府が間接的に出資をしている状態なのが、かんぽ生命です。このため、ほかの民間の保険会社と競争条件を平等に保つために、新商品の開発などに制約もあるのです。こうした制約がある中で、2015年から2017年といった時期には“高齢者らの深耕”、つまり既存の高齢者のお客さんたちを深掘りしようということを経営計画上、掲げていた時期もあります。そして、終身保険の加入の年齢の上限も引き上げられました。不適正な契約を防ぐ体制が十分ならよかったんですけれども、結果的には、こうした体制が十分ではなかったことで、問題を広げた根っこになってしまったと思います。

武田:郷原さんは、背景にある構造的な課題はどう捉えていらっしゃいますか?

郷原さん:全国の郵便局網、ユニバーサルサービスの義務をそのままにしていこうと思えば、どうしても民業圧迫という観点からの制約を受けざるを得ない。そうした中で、民営化でどんどん利益を得ていこうと思えば、そこに無理がかかってしまうのです。そこに、かつての保険商品とは、魅力の問題というよりも全く性格の違う保障性商品を売っていくことになって。昔のように保険に入っても特に損はない。元本が保証されたものの販売と、入れば入るだけ、リスクによって逆に損失が生じてしまう商品の販売とは全く違うやり方をとらなくちゃいけないんです。どんどん契約を取っていく旧来のやり方で利益を確保してきた。これが結局、顧客の利益に反する結果につながったということなのではないかと思います。

武田:大きな課題を抱えて新たに組織を運営することになった増田社長は、次のように語ります。

日本郵政 増田寛也社長
「民営化を進めていくという方針は揺るぎないもの。それは、いささかも変わっていない。われわれは半官半民のような形になっているので(商品開発などの)上乗せ規制もありますけれども、(不適正問題を)民営化の中途半端なことのせいにすべきではないというか、それをしては本当の民営化もできないしサービスの向上にはつながらない。愚直に感謝の気持ちを持って、1つ1つお客さまに対しての応対をしていくことが一歩一歩の信頼回復につながるのではないかと。」


安藤記者:民営化の推進そのものに変わりはないという話でした。政府は保有する郵政株を売却して、東日本大震災の復興に充てる財源にしたい方針なのです。ただ、今回の問題が起きて以降、次の売却の時期が不透明になっています。ですから、日本郵政が信頼回復をできるかどうかは、東日本大震災の復興という点で広く国民に影響する話でもあるんです。

武田:二度とこうした問題を繰り返さないためにどうするのか。そして、郵便局がこれからどういうふうに進んでいくのか。そのために何を考えるべきなのか。宮田さんは、いかがですか。

宮田さん:昨年、私はG20の生命保険会合に出席したのですが、いま業界を越えた大変革の中、単に契約を取り付ければいいという時代ではなくなっています。つまり契約をしたあと、一人一人、顧客はよりよい人生を歩む。あるいは病や事故に遭遇しても、その人らしく生きることができるという顧客目線の体験にコミットできなければ生き残ることができない。例えば、携帯のアプリを通して、その人を支え続けるというサービスだったり、健康にいい行動をとったら保険料が安くなる。こういう人生に寄り添うサービスが出始めています。事件が起きたからといって郵政が行ってきたすべてが否定されるのではなくて、地域を支えるサービスは今もありますし、あるいは実態調査を適切に行えば、顧客が何に困難を抱えるかという点を明らかにして、新しいサービスを開発するチャンスにもつながります。立ち止まらざるを得ない今だからこそ、マイナス面をなくすだけではなく、プラス面も含めて顧客視点に立ったビジョンを作り、そして、われわれ国民はそれを見守っていくことが必要かなと思います。

武田:郷原さんは?

郷原さん:郵政民営化の歩みも、常に同じ方向ではなかったということが言えます。一気に民営化を進めようとした時期と、それにブレーキがかかった時期がありました。そういう民営化のぶれが、いろんな問題を生じさせていることは間違いないです。日本郵政をどういうものとしていくのか、全国の郵便局網をどう守っていくのか、それとも、どんどん収益を上げる方向にいくのかという選択肢を、この辺りで政治が示していく必要があるのではないか。国民がそれを選択する必要があるのではないかと私は思います。

武田:最後に望月さん、取材を通じて何を感じますか。

望月ディレクター:ひとたび保険のトラブルが起きますと、専門知識があるわけでもないですし、すごく長い時間と労力がかかるのです。「おばあちゃん、なんでそんな保険に入ったの?」みたいなことで家族の中で不和が起こったりだとか。本来、もともと保険というのは安心を得るためのものなので、絶対あってはならないことだということを本当に重く受け止めて、再生に向けた取り組みに向かっていってほしいと思います。

武田:一人一人の暮らしと地域を支えるという大きなミッションがあるわけですから、しっかりと取り組んでいってもらいたいです。ありがとうございました。