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2019年11月20日(水)

“もしもし革命”進行中!~いま電話になにが?~

“もしもし革命”進行中!~いま電話になにが?~

メールやSNSが全盛の現代。なぜかオールドメディアである“電話”が注目を集めている。電話の対話術を問う「もしもし検定」を目指す人は、この5年で4倍に。全国から1万人が参加する「電話応対コンクール」も盛況だ。背景にあるのは、AIの急速な進化。風邪や頭痛などへの対処法を、AIが会話しながら教えるサービスがイギリスで始まるなど、簡単な電話サポートはとって代わられる日も近い。そんな未来を前に、人間ならではの“特別な感情のやりとり”が出来る高度な電話技術が求められているのだ。一方で、電話を嫌う若者たちの間では「電話野郎」「電話イップス」なる言葉も誕生。古くて新しいメディア、電話にいま何が起きているのか探る。

出演者

  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学 教授)
  • 三須雄介さん (会社員・電話応対業務に悩み転職)
  • 三須早紀さん (会社員)
  • 武田真一 (キャスター) 、 高山哲哉 (アナウンサー)

“もしもし革命”見直される電話術

まず訪れたのは、電話コンクールでも常連の大手運送会社営業所。
再配達の依頼から配送状況の確認まで、今や、すべてネットでできる時代ですが…。

北村明日香さん
「ありがとうございます。佐川急便、北村でございます。」

意外にも、ひっきりなしに電話が。息つく暇もありません。

北村明日香さん
「営業所で(荷物の)お引き取りをご希望ですね。お荷物状況を確認いたします。今、お荷物を担当ドライバーがお持ちして出ておりまして、本日のお引渡しですと、夜の10時以降を予定しておりますが、よろしいでしょうか。…かしこまりました。27日の日曜日、ご来店予定でございますね。」

簡単な再配達はネットで済ませる人が多い今、あえて電話をかけてくる人は、複雑な相談をすることが多いといいます。
さらに、顧客の要望にきめ細かく応対できるよう、今年の春から研修制度も導入。

「突然のご連絡、申し訳ございません。私『神田もしもし自転車』お客様サービスセンターの山田と申します。」

自転車を購入した客に、アフターサービスの電話をかけたという設定。

「乗り心地などは、いかがでしたか?」

「それが忙しくて、まだ乗っていないんです。」

「さようでございますか。ところで鈴木様、自転車は今回どのようなことで、お使いでいらっしゃいましたか?」

指導員
「流れはよかったと思います。で…、『今、乗っていないんですよ』というところで、『では』と次に内容がいってしまったのが、そこが、ぷつっと次の内容にいかれたというのが、私はちょっと、もったいなかったかなと感じた。」

研修を受けて合格すると、特別手当も支給されます。

佐川急便 営業部カスタマーサービス課 課長 篠原夏江さん
「1回の電話が会社の印象を決める。ちょっとレベルが足りなかった課員が(電話に)出てしまった時に、佐川急便の応対って品質悪いんだなって印象をもたれてしまう。その1回が、会社の代表として(電話に)出ているというところの自覚が必要かなと思っております。」

電話復権の流れに乗って、応対技術を問う試験も生まれています。その名も「もしもし検定」。
NHKのアナウンサーがこの検定を受けると、一体どうなるのか?史上最年少の白組司会アナウンサー、高山哲哉が全力で挑みます。
もしもし検定の設立者、吉川理恵子さんに指導してもらいます。

日本電信電話ユーザー協会 技能検定部長 吉川理恵子さん
「高山さん、こちらが本日の試験問題です。」

高山アナが受験したのは、初心者向けのもしもし検定3級。架空の会社の社員になりきって電話に応対します。

高山
「はい。モシモシ開発営業部、橋本でございます。」

電話の相手
「あれ、デンデン運輸さんではないでしょうか。」

高山
「こちら、モシモシ開発営業部でございますが。」

日本電信電話ユーザー協会 技能検定部長 吉川理恵子さん
「はい、ストップ!もう、受話器と一緒に、言いながら(メモを)すぐ取らないとだめですね。もうメモを取る体勢は、最初にやんなきゃいけませんね。」

迅速にメモを取ることは基本中の基本。手際の良さや、期待以上のサービスができているかなど、15項目にわたって細かくチェックされます。

続いてのやり取りは。

電話の相手
「では、2課の林さんいらっしゃいますか。」

高山
「林はですね、現在、他の電話に出ておりまして、どういたしましょうか?」

日本電信電話ユーザー協会 技能検定部長 吉川理恵子さん
「『どういたしましょうか』じゃないわよね。『どういたしましょうか』ってお客様に普通いいません。これは『お急ぎですか』とか。『どういたしましょうか』は、お客さんには普通いわない。」

日本電信電話ユーザー協会 技能検定部長 吉川理恵子さん
「『どうしますか』というと、ちょっとお客様を追い込むことになっちゃう。『いかがいたしますか』(が適切)。」

相手への気配りが足りず減点。
さらに、意外な落とし穴もありました。

電話の相手
「ユーザー商事の鈴木です。山下さんいらっしゃいますか?」

山下さんが2人いる職場で電話を取り次ぐ場面。

高山
「いつもお世話になっております。第1課長の山下でございますか?」

電話の相手
「第2課の山下さんです。」

日本電信電話ユーザー協会 技能検定部長 吉川理恵子さん
「こうなると、第1課長の山下さんがいるという個人情報までバラしちゃっていますよね。『山下は2人おりますが』ぐらいで聞いてくれればよかったですよね。」

初心者向けとは思えない難しさ。
吉川さんは、電話の技術を磨くことで、相手に特別な印象を残すことが大事だと言います。

日本電信電話ユーザー協会 技能検定部長 吉川理恵子さん
「人じゃなくてもできるものが、どんどん増えていく中で、(電話は)『あなたのためだけに』というのが、ぜいたくで企業価値を生んでいくと思う。」

高山:電話のぬくもりみたいなものがビジネスに?

日本電信電話ユーザー協会 技能検定部長 吉川理恵子さん
「なっていくような。だから、それに早く気が付いている企業さんたちは頑張っていますよね。」


武田:僕は、本当に新人のころから苦手で。さる有名な歌手の方と、取材のアポを電話で取って、日付を間違えちゃって。大変ご迷惑を…というのがあるぐらい、今でも苦手なんですけど。そんな私でも、電話を見直すきっかけになるんでしょうか。

高山:変えてみせますという意気込みで、今日は臨みたいと思います。
私も学生時代から電話が大好きで、夜ごと友達に電話をして、長電話で寝落ちして、あいつは電話魔だと言われるぐらい…。そんなに電話が大好きな私でも、こんなに奥が深いのかと。「だめ」しか出されていないんですが、この検定を取ると、こういった認定書がもらえまして、何かいいことがあるのかといいますと、就職や転職が有利になると。とても人気が高まっているんですね。

それだけじゃなくて、意外な効果ももたらしているんです。

岐阜県の商業高校。就職を控えた3年生に、もしもし検定の受験を勧めているんです。きっかけとなったのは、卒業生に行ったアンケート調査。
“就職前に電話対応を学んでおけばよかった”
こうした声が数多く寄せられたというんです。

もしもし検定4級に合格 棚橋亜美さん
「あいにく加藤は、今週金曜日まで出張いたしておりますが。失礼ですが、お急ぎでしょうか。」

「急ぎです。」

最近、もしもし検定に合格した棚橋亜美さん。一生懸命に努力したかいあって、難関の鉄道会社から内定をもらうことができたというんですね。
お母さんに聞いてみると、日常の会話に思いもしない効果が表れたというんです。

母 智美さん
「おじいちゃん、おばあちゃんと電話でお話とかするときに、何かすごく優しいしゃべり方をするんですよ。『待っててね』とか。かわいらしいと思います。前は、そんなふうに思ったことなかったので。言いたいことだけ言って切る、みたいな感じだったんですけど。」

もしもし検定4級に合格 棚橋亜美さん
「優しいしゃべり方かどうかは別として、早口になりがちなので、電話とかだと聞きにくいかなっていうのに、もしもし検定で気づいて、ゆっくりしゃべるように心がけていました。」

武田:偉いね。

高山:人との接し方が変わるということで、岐阜県にある笠松刑務所。こちらでも、就労支援に活用されているんですね。

武田:宮田さんは、ふだんビッグデータを駆使されているデータサイエンティストですけれども、電話って、お使いになりますか?

ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授)

宮田さん:もちろん使います。私は研究者どうしだけではなくて、企業や行政の方々、さまざまな相手とプロジェクトを組んでいるのですが、プロジェクトの性質、相手の働き方、こういった条件の中で、電話、メールだけじゃなくて、SNS、ビデオ会議システム、ビジネスアプリと、こういったさまざまなツールを使い分けないと仕事ができないような状況です。

武田:全部、使い方はもちろん精通なさって…。

宮田さん:精通とは言えないですが、やはり分けていかないと仕事が回っていかないということですね。

武田:今、電話が置かれている状況について宮田さんがどのように考えていらっしゃるかというと、こういう図を用意しました。どんなふうに変わっているとお考えですか?

宮田さん:電話が担ってきた役割のひとつである、「単なる情報のやり取り」はAIをはじめとする、新しい技術が担うことができるようになってきています。冒頭で紹介されていたイギリスのサービスでは、アレクサが情報をアップデートしながら最新の医学情報を伝えることができますし、この裏には多言語翻訳があるので、今後、多言語でも対応できてしまうと。

武田:そこまできているわけですね。情報のやり取りというと。

宮田さん:そこはAIのほうが便利になる時代が到来しつつある一方で、この「感情を伴う高度なのやり取り」ですね。電話は相手を拘束したり、カーボンコピーなどで共有が困難などあるんですが、即時性のある反応だったり、文章では伝えることができない感情というものを伝えることができると。

武田:例えば、どんな感情を宮田さんならお伝えしますか。

宮田さん:やはり謝罪のときですね。間合いを見ながら、相手の、どこの気持ちに寄り添えばいいのかと。「申し訳ありません」と、ちょっと違ったなと思ったら(別の角度に)シフトすることもできるんですが、メールだとそのまま違うところに突っ込んでしまうことも起こりえるので。

武田:宮田さんでも、謝罪されることはあるんですね。

宮田さん:もちろんです。

高山:高度なテクニックというか、応対のテクニックだと思うんですが。

宮田さん:私が高度か分かりませんが、電話というところが必要になる場面はありますね。

高山:そうした技を磨いているのは人だけじゃなくて、実は、テクノロジーもどんどん磨きがかかっているんです。

こちらの男性にご注目です。タブレット端末の下で一生懸命に指を動かしています。

実は、テレビ電話の機能を使って、離れた場所にいる私に会話をしながら、機械の使い方を教えてくれるサービスなんです。画面に半透明の手の映像が合成されているんです。

複雑なやり取りを、会話に加えて進化した映像を交えながら伝える、という新しい技術なんです。

電話というのは見直しがどんどん進んでいるんですが、SNS世代、若者たちの中では、電話に対して、こんなまなざしもあるんです。
「電話イップス」という言葉を聞いたことありますか?電話が特に苦手、かかってきたらつらいとか、電話のことを考えるだけで緊張しちゃうという状況ですが、例えば、こんな声が具体的にあります。
“アルバイトの電話できない”
“電話対応ができなさすぎて電話イップスになり、そのまま会社をドロップアウトしました”

この後者の方に話を聞くと、
“電話応対が苦手なら電話不要の仕事に就けば良い”

ネット上で発信をしていますということなんですね。一体どういうことなのか、直接話を聞いてみました。

“もしもし革命”いま電話に何が?

三須雄介さん、27歳。大企業の広報部で働いていましたが、電話を取るのが苦痛で、1年で退職しました。

三須雄介さん(27)
「なんでこんなに(電話が)できないんだろうと思いました。電話出なきゃいけない。夜、寝る前に憂うつになっていた。」

人づきあいが苦手なわけではないといいますが、電話機を渡してみると。

三須雄介さん(27)
「このタイプだと機能が難しいんです。“保留”、“応答”、“発信”とかあるじゃないですか。」

平成生まれの三須さん。ずっと携帯電話が中心の生活で、固定電話で知らない相手と話した経験がほとんどなかったといいます。スムーズに話すことに気をとられて、メモを取るのを忘れたり。電話が鳴るだけで緊張して、受話器を落としてしまうこともありました。
妻の早紀さんも、電話が苦手。突然かかってくると、暴力的にすら感じるといいます。

妻 早紀さん
「『いつ電話して大丈夫?』とか、アポイントをとってほしい。その場で考えて答えなきゃいけないのが、結構怖いです。」

そんな2人の連絡は、もっぱらLINE。好きなときにやり取りできるのがいいんだとか。
電話しなくても生きていけると説くお二人。スタジオにもお越しいただきます。

ゲスト 三須雄介さん(会社員・電話応対業務に悩み転職)
ゲスト 三須早紀さん(会社員)

武田:お二人で、電話で話すことはあるんですよね?

雄介さん:それは、もちろんです。それはもう全然大丈夫です。

武田:電話でアポを取ったりするんですか?

早紀さん:日曜日の夜に話そうとか、時間を決めています。

武田:僕はすごく気持ちがよく分かるんですが、今は、会社はどうなんですか?

雄介さん:今は、電話応対をしなくてもいい職種についています。電話は、取る人はいるんですが、自分は取らなくていいという、そういう仕事に就いているので、電話が苦手だったら電話しなくてもいい仕事とか、そういう職種に就いたほうが自分の能力を発揮できるんじゃないかと思っています。

武田:僕らの若いころは、電話しかコミュニケーションツールがないから、なかなかそういう職場はなかったと思うんですけど、今はそういうのはたくさんある

雄介さん:今はビジネスSNSといいますが、チャットみたいなものだけで連絡を取り合う手段があるので、連絡を電話だけに固執する必要はないと。

高山:電話不要の職場はあるということですね。早紀さんは、映像の中で、電話は暴力的だと。結構ショッキングな言葉だったんですが、そんなに邪魔というか、やっかいですか?

早紀さん:唐突にかかってくる電話とか、自分から唐突にかける電話って、相手の時間を奪ったり、自分の時間が奪われたりするというプレッシャーを感じますね。あとは、その場でリアルタイムでやり取りしなければいけないので、自分の考えを整理する時間が欲しいなとか、そういう思いがあるので、ちょっと苦手ですね。

武田:でも、ちょっと待ってください、考えさせてくださいって言えばいいんじゃないですか?

早紀さん:それは1つ、アイデアとしてはありかもしれないですね。

武田:メールとかSNSでやり取りするというのは、それはそれで時間がかかったり面倒くさかったりしませんか?

早紀さん:時間はかかるんですけど、その分、履歴が残りますので、そこがいいところかなと思っています。電話でやり取りしているときに、結構お互いに誤解が生まれてしまったりとか、言った言わないの水掛け論になってしまって困った経験があるので、そういうところもSNSのほうが私は好きですね。

武田:宮田さん、そこはいいところですよね。

宮田さん:システム開発とかだと、履歴をしっかり残さないといけないので、むしろ電話だけでやるなというケースももちろんあります。つまり、働き手の多様なスタイルに合わせながら、電話なのか、あるいは違うスタイルなのか。こういったことが、やはり今選べるというか、最適なものをみんなで選択していっている。そういうような状況ですね。

武田:コミュニケーションしながら、相手の反応を見たりとか、行間を読んだりということも仕事では必要じゃないんですか?

雄介さん:それはSNSだけで。

武田:それもSNSでできる?

雄介さん:できますね。

高山:結構ドライな。

武田:実は電話が苦手だっていうのは、私のように若い人だけじゃないんですよ。意外にも、世代は関係ないというデータがあります。全国の会社員に、会社にかかってくる電話に出るのが嫌いかと尋ねた結果なんですが、最も高いのが20代ですよね。でも、50代も51%。60代以上でも42.2%が嫌いというふうに言っています。

電話が嫌いならいっそのことやめてしまおう、脱電話、という発想で業績を上げている企業もあります。

広島県に本社を置く精米機メーカーです。

「お電話代わりました。渡辺です。」

取引先からの問い合わせや、社内連絡の内線電話がひっきりなしにかかってきます。
ところが、午後1時すぎ。
館内放送を合図に、電話が一切鳴らなくなりました。仕事に集中するため、午後の2時間、内線電話の使用を禁止する取り組みです。
導入したのは7年前。働き方改革を進める中で、電話の時間が負担だという声が上がったのです。

サタケ 人事部 取締役 木谷博郁さん
「『日中は電話対応に追われて、定時後にならないと仕事ができない』という意見が出た。電話っていうのは、こちらが何をしていようが、とにかく『出てこい、出てこい』と鳴るわけですよ。」

そこで、一定時間、内線電話を禁止したところ、業務の効率が大幅アップ。残業は、半分以下に減りました。

設計部 社員
「集中してやりたいことを、午後にもってくることができますし、電話によって(作業を)遮断されることがないのでいいと思います。」

内線禁止時間に社外から電話が。そんなときは、管理職が対応。

設計部 課長
「業務集中時間なんで、後にしていただければと。」

盾となって、一般社員の能率を上げるのが務めです。


さらに、電話をなくすことで取引先からのパワハラ防止につながったというケースも。
こちらのITベンチャー企業。能率アップのため、去年すべての電話機を廃止しました。すると、一部の取引先が契約を解除してきたといいます。黄色くなっているのがその取引先。多くは大企業や官公庁で、メールよりも電話で迅速な対応を求める傾向がありました。

マーズフラッグ 取締役・営業担当 武井雄二郎さん
「『大企業なんで早く対応しろ』ということですね。『いっぱい料金払っているので、早く対応せよ』と。電話だと、わりと高圧的な言い方も、ときにはできるという。」

取引先からきつい言葉を浴びせられると、気持ちを落ち着けるため、社内で慰めあうことも。この、通称“なぐさめタイム”も時短への妨げになっていました。

解約された取引先への売り上げは、全体の10%。しかし、対応時間で見ると、業務全体の31%に上っていたのです。

連絡手段をメールやSNSにしてからは、無理な要求を受けるケースが激減。社員のモチベーションが上がり、取引先からも好評だと言います。

相手の時間を奪ったり、マイナスの感情をぶつけたり。
時代に合った電話の使い方とは?

武田:脱電話で効率を上げる企業。あるいは、冒頭ご覧いただいたように、電話によって企業の価値を上げようという会社もありますよね。
ビジネス界のコミュニケーションの在り方って、どう変わっていこうとしているんでしょう。

宮田さん:一部グローバルIT企業のように、電話対応は一切行わないと。ユーザーFAQで解決を促す。こういうスタイルで利益率を高めるケースもあります。ただ、こういった企業はユーザーインターフェースを徹底的に作りこんでいるんです。

武田:例えば?

宮田さん:いわゆる、使いやすいボタン。ここに多くのお金を使う。直感的に理解をして、すいすい使えると。こういったところにコストをかけることによって、信頼のある利用体験。こういったものを実現しています。今、まさに世界では、単に情報だったり、ものを提供するのではなくて、その先の体験価値をどう実現するか、ここまでをコミットする。こういう変化が起き始めています。先ほどの電話でいえば、ユーザー、一人一人に合わせて安心と信頼を提供すると。これが、新しい価値になりますね。技術が急速に進歩して変化する中では、人と人とのつながりをどのようにデザインするか、これがまさに今、問われる状況かなと思います。

武田:電話であれ、ホームページのデザインだったり、いろんなコミュニケーションの価値そのものを、質そのものを上げていかないと、これからは生き残ってはいけない。

高山:情熱とか人柄って短期間で、そんなコストもかけずに、時間もかけずに相手に伝えることができるいい手段だなと思うんですけどね、電話は。

武田:僕ら、言葉は信じたいと思ってはいますが。

宮田さん:アレクサがどれだけ流ちょうにしゃべったとしても、高山さんのパッションだったり、武田さんの共感する力、これは、なかなか実現できないんじゃないかなと思います。

武田:どうかな。そうなってほしいけどな。
どうですか、お二人はここまでご覧になって気づいたこととか。

雄介さん:今、VTR見て思ったんですが、業務の一定時間、電話をなくす取り組みってすごい革命的だと。全企業、導入するべきなんじゃないかって。なぜかというと、営業とかだと顕著なんですけど、いつでも電話していいという状況があることによって、むだな仕事が生まれると思っていて。例えば、定時に上がりたいのに、急に電話がかかってきて、あすまで資料を作ってくれと言われたりするんですけど、極めて暴力的で、そこでやらなくてもいい仕事が発生するわけです。電話が一定期間ないことで、電話しなくていいと。

武田:ここまで見ても、あまりお考えは変わらないと。奥様はいかがですか?

早紀さん:今、電話とかメール、SNS、たくさん自分の思いを伝える手段が出ているので、適切なものを使い分けられるようにしていきたいなというふうに思いました。一概に、電話を嫌うのもちょっと違うんだろうなというふうに話を聞いて思いました。

武田:電話も大事。ほかの手段も大事と考えていきたい。
ありがとうございました。

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