クローズアップ現代

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2019年11月13日(水)
追跡!トレンドワード~「一重まぶた」炎上の深層~

追跡!トレンドワード~「一重まぶた」炎上の深層~

誰もがスマホを手放さず1日を過ごす現代の日本。ネット空間では大ニュースばかりでなく、身近で意外なキーワードが多くの人の関心を集め“トレンドワード”として日々浮上している。背後には普遍的な社会課題が横たわっていることも多い。番組では先週トレンドワードとなった数々の言葉の背景を取材してきた。そのなかには「何故これが?」という言葉に多くの人の関心が集中するケースも。その一つが「一重まぶた」。「まぶたの形によって不利益を被ったつらさ」を訴える当事者の声がつぶやかれ瞬く間に“炎上”した。取材班がその背景を深掘りしてゆくと、いま世界的に大きな社会問題となっている「ルッキズム=外見にもとづく差別」の問題が浮かび上がってきた。番組ではネット社会における“炎上”の構造を解き明かすとともに、「一重まぶた」というワードに象徴される若い世代の“生きづらさ”の問題やその解決策を、ネットで日頃から情報発信を行っている若い識者たちとともに考える。

出演者

  • せやろがいおじさん (お笑い芸人)
  • なみちえさん (ラッパー/アーティスト)
  • 石井光太さん (ノンフィクション作家)
  • 武田真一 (キャスター)

追跡!トレンドワード“一重まぶた”炎上の深層

先週、NHKの会議室。
今回私たち取材班は、Twitterのトレンドワードから番組のテーマを探すことにしました。
この日のトレンドワードは、前日、日本代表が勝利したこともあり、野球に関する言葉で占められていました。その中で、異質なワードにスタッフが気づきました。

プロデューサー
「“一重まぶた”というワードも、(きのうの)夜中に。」

「一重まぶた」。
12時間で1万件を超える投稿が集まり、その後も順位を上げていました。

プロデューサー
「(女性社員の)メガネ禁止もそうだし。」

記者
「(女性)アスリートの化粧禁止問題も、化粧とアスリートは関係ないだろうって炎上した。」

実はトレンドワードでは、女性の容姿にまつわるキーワードが、ほぼ毎月炎上していました。

こうした言葉の背景にあるのが、「ルッキズム」と呼ばれる、他人を見た目で評価する考え方。海外でも問題になっています。
今回、炎上のきっかけになったのは、前日夜の、ある男性による投稿。

“日本人はよく二重まぶたに憧れるけど、一重まぶたはかわいいと思う。みんなもっと自信を持って”

10分後、これに対して女性と思われる人からの投稿が。

“なにが一重まぶたはかわいいだ。私はただ二重まぶたになりたいだけなんだよ。お前らが良いと思っても私は嫌なんだよ。二度と口に出すな”

この投稿が人々の目にとまると、一気に拡散。批判や賛同が殺到し、7400以上リツイートされました。瞬く間に、大議論へと発展したのです。
このテーマに、取材班で最も興味を示したのが占部ディレクター。小さいころから一重まぶたに悩んできました。

占部ディレクター
「根が深いのは、二重信仰の呪いをどうすればいいのか。」

中学生のとき、母親から冗談まじりで二重の美容手術を勧められ、それ以来、今もコンプレックスを抱え続けています。
当事者である占部ディレクターが、このトレンドワードの深層に迫る取材を進めることにしました。早速、取材班のひとりが、このテーマを象徴する人物を見つけました。

「この人が“整形アイドル 轟(とどろき)ちゃん”っていう。」

YouTuberの轟ちゃん。これまでに、総額1000万円をかけて全身を整形。チャンネル登録者数は36万人に上ります。

YouTuber 轟ちゃん
「口の中に、何か機械を入れられています。」

みずからの手術を解説する内容や。

YouTuber 轟ちゃん
「はい、手術を終えて帰ってきました。1日目で~す。」

手術後の腫れや痛みなど、整形のネガティブな面も伝えています。これまで10回以上の手術を行い、理想の美を追い求める自分の姿をネットで公開。こうした人は、他にも増えているといいます。

一重まぶたという話題は昔からあるのに、なぜ、今その言葉が炎上するのか。轟ちゃんはどう考えるのでしょうか。
その夜、所属事務所で面会。明るい笑顔で向かえてくれた轟ちゃんでしたが、かつては自分の顔に強い劣等感を抱き、人と話すことも苦手だったといいます。

YouTuber 轟ちゃん
「(他人から)『幸せって何ですか?』っていうふうに聞かれたときに、毎回『顔から離れること』って言ったんです。『顔の美しさのしがらみから逃れて生きたい』っていうふうに、ずっと言ってて。」

初めて整形したのは、18歳の時。特にまぶたがコンプレックスだったため、一重から二重、さらに、ぱっちり二重へと手術を繰り返しました。
一重まぶたというワードが炎上した理由について聞いてみると。

占部ディレクター
「(一重まぶたは)なんで盛り上がったと思いますか?」

YouTuber 轟ちゃん
「一重の良さに気づいた人がいて、でも二重のほうがいいという人もいて、価値観がいろいろと分岐してきたから、みんなで争いが起こって、こういうことになっている。私的には、ちょっといい流れっていうのもあるのではないかと。」

轟ちゃんは、その後、思うところがあり、かつての一重まぶたに近い奥二重に、再び手術をして戻したといいます。

YouTuber 轟ちゃん
「私も踊らされていた側の人間だったんですよ、もともとは。そういうトレンドとかに。でも、いつ(一重の)呪いが解けたかっていわれると、世間一般が言う『美しい』って、自分の『美しい』に当てはまらなかったんだって、そのことに気づかされたというのが、今の(奥)二重に戻してから思うこと。」

追跡!トレンドワード ニュースの陰で

武田:占部君は取材の企画の視点もユニークだし、本当にいいディレクターだと思っていて、そんなに、このまぶたを気にしていたのかなって。

占部ディレクター:鏡を見るたびに、こうやって(まぶたをこすって)直らねえかなって、ずっとやっていました。

武田:そもそもなぜ、このトレンドワードを取材してみようと思ったんですか?

占部ディレクター:SNSって、個人の心の中の声、本音が出てくる場所だと思っていまして、それでトレンドワードとはどういうものがあるのかなって、のぞいてみたら、昔からある価値観、当たり前と言われたものに対して、違和感であるとか、生きづらさを感じるものが結構集まっているなというのがあって。それって僕たちみたいなネット世代の人間にとっての、今の世の中の寄る辺なさというか、そうしたものを象徴しているんじゃないかなというのがあるんですね。

武田:実は、そこまで深く考えていたんですね。

占部ディレクター:先週1週間、僕らトレンドワードを取材してきまして、特に金曜日は「モデルハウス」というのを取材してきましたが、それがどんなものかというと、明るく快活な妻と、パパ大好きな娘を俳優さんが演じて、家族との暮らしを疑似体験できるものになっていると。これを取材したのが35歳独身の記者なんですけど、いわゆる固定的な幸せ、こういう家族が幸せだよねという定型に当てはまらない自分に苦しさを覚えたと。Twitterを見てみると、多くの人が普通と言われているファミリーに対して、違和感を覚えているからトレンド入りしたんですと。
僕たち、こうした内容をそれぞれまとめて、4本記事を出しました。どれを深く取材してほしいか視聴者の皆さんに聞いたら、一重まぶたを取材してくれという声が圧倒的に多かったという感じなんです。

追跡!トレンドワード“一重まぶた”炎上の深層

武田:若い世代の寄る辺なさと言っていましたが、せやろがいおじさんもYoutubeで、見た目の問題というのを発信していますよね。どんな反応があったり気づきがあったりしたんですか?炎上したりしたんですか?

ゲスト せやろがいおじさん(お笑い芸人)

せやろがいおじさん:占部さんがおっしゃったように、容姿のことを言われると呪いになって、その人の人生に傷をつけてしまうというか、呪い化してしまうのがあるんですが、ある意味、笑いを取るために容姿いじりをして、その人に呪いを植え付けるのがすごくあるんです。芸人がやる容姿いじりを簡単にやるなよと言ったら、芸人がやっているそのいじりを見ても、私たち、うってなっていますよという声がものすごくいっぱいきて。さらに、お前らをまねして、笑いを、そういう取り方で取っている人たちが増えているという意見もあったので、俺らが呪いの大元になっているかもしれないとすごく思ったので。今、一重まぶたという話題もすごく広がって、僕も動画にすごくコメントをいただいたということで、見た目いじりや見た目に関する意見の発し方は、世の中全体でちょっと不具合があるタイミングなのかなと思っています。

武田:もうひと方、ラッパーやアーティストとして幅広く活動されている、なみちえさん。ご自身の見た目の特徴みたいなものっていうのは、ネット上でいろんな情報が流れてくると思いますが、どういうふうに対じしているんですか。

ゲスト なみちえさん(ラッパー/アーティスト)

なみちえさん:私は基本的に、ふかん視することが多くて。できるだけ離れて見て、例えばTwitterだったら、タイムラインの流れとかには乗って一緒に言葉を発していくのはできるだけ避けて、なおかつ今回の一重まぶただったら、あまりにも表面的なことに感じてしまって。なので、私は遠くから見るようにしていました。

武田:遠くから見るというのは、ある種、自分を守るためとかそういうこと?

なみちえさん:そうですね。自分を守るためでもあるし、食らってしまうということが、ちょっと自分にとってきついなって思うこともあるので。

武田:やっぱり傷つくこともあるし、だったら見ないほうがいい、遠くから眺めていようということですね。

なみちえさん:そう思っています。

武田:石井さん、容姿を巡るトレンドワードっていうのは、実は一重まぶただけじゃなくて、本当に頻繁にネット上に上がっているらしいんですよ。このことをどういうふうに捉えていますか?

ゲスト 石井光太さん(ノンフィクション作家)

石井さん:ネット上の言葉というのは、一種の記号なんですね。だから、1つの意味しか持っていなくて。例えば、僕は髪の毛ないんですけど、ないことに対してよくないとか、そうなる。これは、人とのコミュニケーションになったときに全然違ってくるんです。例えば映画の「ダイハード」でブルース・ウィリスが出てくると、今度は、強くて男らしい象徴になってきたりするんですね。こういうコミュニケーションの中で、人の特徴っていうのはいろんな意味を持ってくるものになっていくんです。本来は、ネットの中では弱点と言われていても、その人が例えば、生き方と照らし合わせたときに、その人の特徴がどう見えてくるかはまったく別。長所にもなると思うんです。ただ、ネットの社会というのは、情報、記号の言葉だけのやり取りになってしまうので、どうしても一義的にならざるをえないところは出てくる。そうなってくると、どうしても美化、醜化という議論になってしまったり、それで人を無意味に傷つけてしまう。そういったことが多々あると思います。

武田:一重まぶたを巡る議論はどういうことになっているのか、もうちょっと深く見ていきたいんですが、整形Youtuberという方々に取材した記事をネットに公開したところ、視聴者からさまざまな意見が寄せられました。特に多かったのが、「SNSで人の外見を批判している人の話を聞きたい」という言葉でした。実際の炎上の内側で、どのような議論があるのかのぞいてみました。

せやろがいおじさん:おーい!一重まぶたを巡る議論がどうなっていったか、一緒に見ていこう!せやろがい!

追跡!トレンドワード“一重まぶた”論争

12時間で1万を超えた投稿。
まずは、一重まぶたに否定的な意見の話を聞きたいと考えました。20人近くにアクセス。そのうちのひとりとやりとりができました。

“整形二重と一重男の子はブサイク”

この投稿をしたのは、東京在住30代の女性でした。その真意を尋ねると。

“SNSで発言する理由は、自分の考えに対して、他の人の意見を知りたいからです。共感が得られるかorもしくは別意見が聞けるか、が知りたかったです。”

つまり、一重まぶたを揶揄するつもりはなかったということか、聞くと。

“そこまでdisる気持ちはなかったですね、話題になっていたのでついでというところです。一重まぶたで悩んでいる人に対面で直接言ったりはしません。”

“個人が特定されないところで、あくまでも私見としていうぶんには、それは価値観の問題かと思います。”

論争を見て、一重まぶたの娘の将来を強く意識するようになったという人もいました。30代の会社員、たろさんです。たろさんは、勤め先で人事を担当。女性が就活の際に、容姿や身なりなどで不利な扱いを受けるケースは、今も存在するといいます。

たろさん
「やっぱり、娘、一重だから、何かで選ばれなかったり、そういう場面に遭遇する恐怖ですかね。娘に、なんでこんな一重に生んだんだみたいなことを言われたとしたら、どうですかね、想像もつかないです。」

一方、一重まぶたの論争を目にしたことで、価値観が変わったという人もいました。
40代の女性、星空さんです。

“自分は二重まぶたで、娘が一重。今回はじめて、娘に対して、親の私から一重の呪いをかけてしまっていたのかも、と思った”と言います。
“長女は現在17歳。中学生のころ、夫の仕事の都合でフィリピンで暮らしていたのですが、その頃は、一重でモテていました。でも、日本に戻ってきたら「二重がいい」と言って、毎日テープで二重にしています。考えてみると、私が娘に「二重にすれば?」ってしょっちゅう言っていたような気がします。私の両親も兄弟もみな二重ばかりだったので、そう思い込んでいました。今回、親である私が、娘に自分の美の価値観を押し付けてきたことに気づき震えました。今後は、価値観を押しつけないよう気をつけたいと思っています。”

武田:今の声、もちろん賛成できる意見ばかりじゃないんですが、コンプレックスというのは、なかなかこれまで口に出して言うことができなかったことだと思うんです。それが、ネット上でいろんな人の声が聞けて、それに気づく、反省するようなこともあるというのは、1つの意味はあるのかなと僕は思いましたけど、占部さんはどうですか?

占部ディレクター:僕も取材してみて思ったのが、これ、怒っていいんだと思ったんですよ。今までいじられてきて、そういうふうに立ち振る舞ってきたんですが、自分だけの問題だと思っていて、ほかの人の声を見たら、これってひどくない?みたいな。こんなことなっている社会、許している社会っておかしくない?みたいになると、ふつふつとおかしいっていう怒りがあったので、それは議論があって、それを見たから、そう思えるようになったんです。
実は、こうしたネット上の議論というのは、大きな影響力を持つインフルエンサーという人たちがたびたび参加してくると。番組では、そうした人たちに、今回トレンドワードになった一重まぶたについて話を聞いたんですけど、まさしく社会、何が問題なの、という話については、「女性の『二重まぶた神話』がメディアによって形成されている」とか、「『美』が社会的な強迫観念・同調性を帯びている」とか。「男性が容姿で判断され、仕事が正当に評価されないことも」と。

どうすべきなんだというときに、例えば、「一面的な『美』を押しつけていないか?」ということで、「ガイドラインを作るべき」とか、リクルートスーツだとかで「画一性を押しつける『制服』の撤廃」をしたほうがいいんじゃないかという話もすごく出てきています。

武田:ネット上の議論ですが、我がこととして感じることもあって、メディアによって、こういった美の概念みたいなものを押しつけられているのではないかと、私なんかはすごく刺さるんですが、なみちえさんは、どうですか?

なみちえさん:私は特に、二重まぶた神話はメディアによって形成されてるというのは、そうだなと思って。私が感じるのは、ハーフメイクとか、外国人風メイクだとか、そういうのって一般的に、目がぱっちりであることを売りにしていたり、人の変えられない見た目を似せようとしている。似させるってこと自体がアイデンティティーの喪失になると思っているし、自分が思う本質的な美しさから離れていると思う。それが結局、商業的に扱われることで社会が動いているということに対して、とても問題があるなと感じています。

武田:美しさ=外国人風と言われることに関する違和感。

なみちえさん:違和感はありますね。

せやろがいおじさん:この人種が美しいという価値観を作ってしまったら、そのほかの人種はどうなのって感じになるし、その差で利益を生んでもうけようという法則が不気味ですよね。

なみちえさん:2項対立を生むことによって作り出している気がして、ちょっとなんともいえないです。

占部ディレクター:社会以外にも、家族とか友人にも問題があるんじゃないかとか、「無意識のルッキズムや悪意の無い容姿批判がまだまだあることを共有する」。

そういうことに対しては、「教育現場に『多様性』の価値観を持ち込む」と。それは、個人、自分たち自身についても、どうしてもルッキズムはしょうがないものだと諦めている人が多いんですけど、そうじゃないよと。それはちょっと目を遠くに向けると、「コミュニティーや業界によって『美』の基準はさまざまであることを知る」べきだし、「SNSによる多様な価値観の受け入れが広まるのを期待する」という声も上がっています。せやろがいおじさんはどうですか?

せやろがいおじさん:ちょっと見ていて思ったのが、見た目というのは自己肯定感を左右する1個の要素でしかないんです。見た目がどうでも、ほかのところで好きといってもらえるかもしれなくて、今、見た目に関して、自己肯定感の影響力が高すぎるというか、割合が多すぎると思うんですね。さらに、この人種に近づきたいとかがあっても、近づけないし、白人の方でも、より白人に近づこうと思って頑張ったりとか、ルッキズムを突き詰めていったときに自己肯定感が高まるというところに行き着かないことが多すぎて、ルッキズムという考え方は不毛な路線やなというのはすごく感じさせられましたね。

武田:こうやってインフルエンサーの皆さんに論点をいろいろ出してもらうと、なるほどなというふうにも気づけるんですけど、ただ、あらゆるネット上の情報って整理されているわけじゃないですよね。石井さんは、どういうふうに向き合えばいいと思いますか?

石井さん:僕はネットの情報というのは、ある種、荒い海のようで、いろんな情報が飛びかっていると思います。インフルエンサーの人たちが、その中からうまく情報を抽出して、社会的な議論にすることは大賛成ですし、やっていくべきだと思うんです。一般の人もそれができればいいと思うんです。ただ現状としては、それができないまま、荒海の中で苦しんでいっている人たちがたくさんいる。例えば、傷ついて、本当に学校に行けなくなるとか、あるいは批判されることによって、会社が潰れてしまうとか、そういう人たちはいると思うんです。こういった人たちはどうすればいいのかという問題は、また別にあると思っていて、先ほど、ふかんして距離をとっているんだとおっしゃっていたのですが、逆に僕がお聞きしたいのは、なぜ、どうやってそれができるようになったのかを教えていただきたいです。

武田:ふかんすること自体も難しいですもんね。

なみちえさん:私は自分が東京藝術大学に在学しているのもあって、自分の身体を離れて、見るもの、見られるものを作るっていう、表現者としてのアウトプットが糧になっていて。特に私が小さい頃から作っていたのが着ぐるみで、着ぐるみって、ある意味、自分のアバター的なもので、変身するとか、いったん自分のアイデンティティーを忘れて、でも、なおかつ見る、見られるという構造をより顕著にさせるものだと思っていて。それが、一重まぶたの問題とはまた違うんですが、自分だったら肌の色とか、髪形とかでいじめられることもあったりしたので、表現とか芸術とか、自分の新しい視点を持つということが、自分にとって大事なことになっていました。

武田:ネット上の情報みたいなものを自分なりに昇華して。

なみちえさん:解釈方法の多様性を作るというか。

武田:自分自身の積極的な表現みたいなものに変えることで対処している。なかなか普通の人は難しいかもしれないけど、そういうふうなこともできる可能性はあるということですよね。
せやろがいおじさんも発信する立場ですよね。どんなことを今日は考えました?

せやろがいおじさん:やっぱりネットって、不毛な議論が行われているようで、意外に発見があったり、その発見をもとに自分の考えが更新されていくということはあると思うんですね。受け取る側でいる場合は、発見や更新を目指して、受け取って発する場合は、汚い言葉とかディス的な言い方で言うと、自分のを受け取った人が発見に結びつかなかったり、更新まで至らなかったりするので、できるだけ受け取りやすい言葉に加工してお送りするということが非常に大切だなと思う。そして、やっぱり社会が抱えている問題が、今回はトレンドワードで一重まぶたとして表出しただけで、美醜のルッキズムという考え方が根底にあると。トレンドワードを見ていくことで、今、社会が抱えている問題というのがだんだん見えてくるのかなというのも思ったりしました。

武田:石井さん、私たちはどうやって、情報の海の中から身を守ればいいのか。あるいは、そこから何を得ればいいのか、難しいですね。

石井さん:可能性はたくさんあると思います。その中で、自分の価値観とか、自分の人生をいかに積み上げていくかだと思います。