クローズアップ現代

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2019年9月26日(木)
16才の少女が訴える 温暖化非常事態

16才の少女が訴える 温暖化非常事態

23日にニューヨークで開かれた「温暖化対策サミット」。ここでスピーチした一人の少女に、いま世界の注目が集まっている。スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさん(16)。気候変動が緊急事態にあると訴えるグレタさんは、毎週金曜日に学校を休んでストライキを続け、大人たちに本気の対策を要求。世界中の若者たちを動かし、賛同の波が広がっている。背景にあるのは、温暖化がこれまで考えられた以上に、急速に進み、深刻な状態=“気候危機”にあるという事実だ。番組では、“持続可能な世界”を次の世代に残していくための課題を探っていく。

出演者

  • 江守正多さん (国立環境研究所 地球環境研究センター 副センター長)
  • 宮﨑紗矢香さん (Fridays For Future Tokyo オーガナイザー)
  • 武田真一 (キャスター)

カメラが撮った!“非常事態”最前線

今週、世界中の注目を一身に集めたスウェーデンの16歳、グレタ・トゥーンベリさん。

グレタ・トゥーンベリさん(16)
「(温暖化の)危機が悪化するのを防ぐために、あらゆる手を打とう。」

グレタさんの言葉の背景に何があるのか。NHKはこの夏、地球温暖化の最前線、北極圏グリーンランドにカメラを向けました。そこで目にしたのは、激しく崩落する氷河。8年間で2km陸側に後退しました。氷がとけて、できた激流。最新の科学は、早ければあと10年で地球は後戻りできなくなる危険があると警告しています。

温暖化研究の権威 ヨハン・ロックストローム博士
「これからの10年が、人類の未来を決めると言っても過言ではありません。」

グレタ・トゥーンベリさん(16)
「家が火事になった時のように行動して下さい。実際にそうなのですから。」

対策を訴えるグレタさん。二酸化炭素を大量に排出してきた産業界も変革を求められています。

ソニー 執行役員
「いま気候変動対応は、避けては通れない世の中になってきている。」

温暖化を防ぐために、私たちは何をすべきなのか。16歳の少女の訴えから考えます。

“大人が未来を奪う”世界に広がる若者の輪

世界の先頭に立って、温暖化の問題を訴えているグレタさん。もともとは、目立たない子どもだったといいます。初めて行動を起こしたのは去年8月。気候変動の深刻さを知り、「未来がないのに学校に行っても意味がない」とストライキ。スウェーデン議会の前で1人、プラカードを掲げました。

グレタ・トゥーンベリさん
「気候のための学校ストライキをしている。」

運動が広がるきっかけとなったのは、SNSへの投稿でした。気候変動の影響を最も受けるのは自分たち若い世代だというグレタさんの訴えに、同世代の若者から賛同するコメントが次々と届いたのです。毎週金曜日、グレタさんとともに学校を休む若者が次第に増え、その活動は「未来のための金曜日」として世界に拡大。若者から大人世代に責任を問う大きなムーブメントになりました。

グレタ・トゥーンベリさん
「あなた方は、自分の子どもたちを愛していると言いながら、その目の前で子どもたちの未来を奪っています。」

世界160か国、400万人以上が参加した、今月20日のデモ。東京で運営を担った宮﨑紗矢香さん。大学4年生です。

「気候は変えず、自分が変わろう。」

ほかの大学の仲間とともに、準備を進めてきた宮﨑さん。以前から温暖化の問題に関心を持ってはいたものの、どう行動したらいいか分からずに過ごしてきました。

東京のデモを運営 宮﨑紗矢香さん
「就活の面接の場とかで、面接官とかに『環境配慮をもう少し事業に取り入れていった方がいいんじゃないか。』と言ったときに、『それはわかるけど、利益が先で、余裕があったら。』みたいな返しを何度もされたので、なんで経験とか知識がないからって若者は言い返せないんだろうとずっと思って。」

そんなときに出会ったのが、グレタさんのこの言葉でした。

グレタ・トゥーンベリさん
「大人は『白黒はっきりつけられるものなどない』と言います。しかし、それは嘘です。とても危険な嘘です。」

大人たちを前に、動じることなく怒りを伝えるグレタさんの姿に背中を押されたといいます。

東京のデモを運営 宮﨑紗矢香さん
「私は『怒れ』と言われたときに、一番はっとさせられた。自分が、怒るべき当事者だなと思って。自分が若者のひとりとして生きていって、少しでも発言することで自分の未来が変わるし、大人たちにも一石を投じることができると思っています。」

最新科学が警告“今後10年が未来を決める”

温暖化の危機を訴え続けてきたグレタさん。中でも大切にしている言葉があります。

グレタ・トゥーンベリさん
「私の声は聞かなくていいので、科学者の声を聞いて下さい。」

“科学の声を聞いてほしい。”

実は今、最新の科学が新たな事実を次々と突きつけているのです。温暖化研究の世界的権威、ヨハン・ロックストローム博士。

去年、新たな研究を発表しました。

ポツダム気候影響研究所 共同所長 ヨハン・ロックストロームさん
「地球が“灼熱地球”に変化してしまう危険があります。」

産業革命前から、すでに1度上昇している地球の平均気温。もし今後、1.5度を超えてさらに上昇すると、北極の氷の融解が止まらなくなり、温暖化が加速。それによってシベリアの永久凍土もとけ、温室効果ガスのメタンが放出。さらにアマゾンの熱帯雨林が消失するなどして、ドミノ倒しのように気温が上昇し続け、元に戻れなくなるというのです。

ポツダム気候影響研究所 共同所長 ヨハン・ロックストロームさん
「1.5度を超えてしまうと、地球が温暖化の悪循環に陥ってしまい、さらに気温上昇が加速する可能性があるのです。」

その臨界点が、目前に迫っていることも明らかになっています。世界中の科学者たちが作る組織、国連IPCCが去年発表した特別報告書。これまで国際社会は、2100年の気温上昇を1.5度未満に抑えることを掲げていました。しかし、早ければ10年後にも1.5度に到達すると警告したのです。

ポツダム気候影響研究所 共同所長 ヨハン・ロックストロームさん
「いま、地球が不安定化する瀬戸際にあることは科学的には明らかです。これからの10年が人類の未来を決めると言っても過言ではありません。」

カメラが撮った!北極圏 驚きの現実

迫る温暖化の危機。最前線の現場に向かいました。年間を通して、面積の8割が氷に覆われた北極圏グリーンランド。

取材に訪れた7月、西部の氷床に異変が起きていました。

ツアーガイド
「湖がたくさんあります。いろいろな場所にできています。」

今年の春から夏、この地域の平均気温は平年を2.6度上回り、大量の氷がとけていたのです。

住民
「毎年のようにどんどん氷河は小さくなっています。」

2008年の夏峰を覆っていた氷河。わずか10年で目に見えて後退しています。

さらに、海から見てみると…。次々と氷河が崩落。この氷河も、8年間で2km陸側に後退しました。

船長
「(昔は)あの山のあたりまで氷河がありました。10年後にはなくなってしまうかもしれません。」

この夏、最も暑かったわずか3日間で失われた氷は310億トン。実に、東京ドーム2万5000杯分に相当します。この異変は、私たちの暮らしにどう影響するのか。IPCCは、昨日新たな報告書を発表しました。グリーンランドや南極の氷がとけることで、今世紀末、世界の平均海水面が最大で1.1m上昇すると予測。これまでの想定を大きく上回っています。それによって、東京など沿岸部の都市や島国では、これまで100年に1度といわれてきた大災害が、毎年のように起きるようになると警告しています。

“大人が未来を奪う”世界に広がる若者の輪

グレタ・トゥーンベリさん
「科学のもとに団結し、危機が悪化するのを防ぐために、あらゆる手を打とう。」

グレタさんの呼びかけで、25万人がデモに参加したニューヨーク。

デモに参加した子ども
「地球がどんどん熱くなって、治さないといけないから来たの。」

デモには親子連れの姿も目立ちました。

取材班
「子どもに感化された?」

父親
「そうなんです!息子がとても熱心なので、応援したいと思いました。世界が直面している問題ですからね。」

「デモにも参加し、政府とも話します。10年はあっという間です。」

23日の温暖化対策サミット。グレタさんは、世界の首脳たちの責任を問いました。

グレタ・トゥーンベリさん
「人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系は崩壊しつつあります。未来の世代の目は、あなた方に向けられています。もしあなた方が私たちを裏切るなら、私は言います。『あなた方を絶対に許さない』と。」

温暖化非常事態。このあと、科学者が徹底的に掘り下げます。

本当に温暖化?1.5度上昇の意味は?

武田:グレタさんの言葉。1人の大人として、私も目を覚まさせてもらった思いがします。こちら、ご覧ください。これは温室効果ガスの排出量の予測を示したグラフです。このまま何も対策をしなければ、どんどん増え続け、予測の幅はありますが、排出量は2100年に最悪のケースで現在の3倍以上になると見込まれています。気温なんですが、早ければ2030年にはおよそ1.5度。2100年には、およそ4度上昇するといわれています。

気候変動の専門家、国立環境研究所の江守さん。まず気温なんですが、プラス1.5度、そして2100年には4度。本当にこういう事態はくるんでしょうか。

ゲスト 江守正多さん(国立環境研究所 地球環境研究センター 副センター長)

江守さん:本当に温暖化するかという議論もあるかと思いますが、太陽活動のほうが重要ではないかとか、さまざまなことを言う方がいらっしゃいますが、過去に実際に起こった温暖化というのが、人間活動による温室効果ガスの増加がないと説明ができない。そして、温室効果ガスが増えれば、このまま温暖化していくというのは、科学的には明らかだと言っていいと思います。

武田:科学的に明らかなことと。

江守さん:非常によく理解されています。

武田:1.5度を超えていったあとに、どういったことが起きるのかということですが、VTRの中の研究者は、もはや後戻りできず気温が上がり続けて、灼(しゃく)熱地球になってしまう可能性もあると指摘していました。本当に、これもそういうことになるんでしょうか。

江守さん:1.5度を超えると必ずそうなるということではないんですが、そうならなかったとしても、1.5度を超えた温暖化で、我々が近年すでに経験し始めているような熱中症による健康被害であるとか、あるいは洪水であるとか、高潮であるとか、生態系の破壊であるとかそういったことが増えてきます。日本でもこれは例外ではないわけです。そして、1.5度を超えてさらに温暖化していくと、どこかで後戻りできない変化が始まるんじゃないかということが、最近の論文で指摘されているんですね。それは、氷がとけるのが止まらなくなる、どんどんとけ続けるようなスイッチが入ってしまうとか、あるいはメタンが出てくるとか、アマゾンの熱帯雨林がどんどん枯れていくとか。しかも、これが1つ、スイッチが入ると、それによって起こされた変化が次のスイッチを入れてしまうような、ドミノ倒しのように連鎖反応で起きていくと。これが起きますと、人間活動によってどんなに止めようと思っても、数百年とか1000年かけてですが、4度ぐらいまで温暖化するのが止まらないんじゃないか。これが、灼熱地球といっていることです。

武田:それが、いつ起きるか分からないような事態になりかねないということですね。

江守さん:しかも、あと10年が勝負だということが非常に大事だと思います。非常に緊急であると。我々、日本の科学者も先週ちょうど、日本学術会議の緊急メッセージという形で、岐路に立っていて非常に重要だということを日本の国民の皆さんも認識してくださいと言ったばかりなんですね。ぜひそういった声に耳を傾けていただきたいと思います。

“気候正義”若者たちの危機感

武田:そして、グレタさんに共感し東京でデモを運営した宮﨑さん。皆さんは「Climate Justice」、気候正義という言葉を掲げて活動されていますが、これはどういうことでしょうか。

ゲスト 宮﨑紗矢香さん(Fridays For Future Tokyo オーガナイザー)

宮﨑さん:気候正義とは、化石燃料の大量消費などで経済成長を遂げた先進国と、それに対して、これまでCO2をほとんど出してこなかったのにその被害を最も被る途上国、または大量生産、大量消費の時代を生きてきた現世代と、これからの時代を生きる将来世代の間にある不正義を人権問題として捉え、正すことを求める考え方です。

武田:地域による格差、それから世代による格差、それが不公平じゃないかということを訴えているということですね。大人に対して憤ってらっしゃいましたが、怒りの一番のポイントはなんでしょう。

宮﨑さん:分かっているのに具体的な行動に移さない。利益最優先で環境問題は二の次という考え方であったり、言い訳で逃げたりすることに私は怒っています。老衰より、私たちはもしかしたら気候変動によって死ぬかもしれないのに、そのことに対して、とても私は怒っていて、嫌だと言いたいです。

武田:科学者が1.5度に抑えるために必要だと言っているのは、2030年に二酸化炭素の排出量を半分に削減。さらに、2050年には実質ゼロにすることです。そこで大きな鍵を握るのが、世界の二酸化炭素の排出量の7割を占めるという企業活動。グレタさんも、具体的な行動をとるよう企業にたびたび求めてきました。

“企業がやるかやらないか”動き始めたビジネス界

世界の経済人が集まるダボス会議。

グレタ・トゥーンベリさん(16)
「今までの経済的な成功は、とんでもない代償を伴ってきたのです。解決策は非常に簡単で、子どもにも理解できるものです。温室効果ガスの排出を止めればいいのです。やるかやらないか、それだけです。」

ビジネス界は具体的な行動を迫られています。今週、世界の主要な銀行のトップが国連本部に集まりました。日本のメガバンクの姿も。

国連 グテーレス事務総長
「私が最も強くお願いしたいのは、気候変動対策に投資し、化石燃料などへの投資をやめることです。」

気候変動の影響を考慮しない企業やプロジェクトには、今後、融資を行わないという宣言に署名しました。

BNPパリバ 環境担当責任者 ローレンス・ペッセさん
「銀行はとても大きい影響力を持っています。私たちは来年までに、約1兆8千億円を再生可能エネルギーに融資します。」

温暖化対策の鍵は、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーへの転換です。使用する電気をすべて再エネに変えることを目指す「RE100」という動きが加速。日本でも、製造や流通などの分野から23社が加盟しています。業種を超えて温暖化対策の最新情報を共有しようと、定期的に会合を開いています。この日は冒頭、グレタさんのスピーチに耳を傾けました。

グレタ・トゥーンベリさん
「私たちは温室効果ガスの排出を止めなければなりません。止めるか、止めないかです。1.5℃の温暖化を止めるか、止めないかです。」

世界の空気が変わりつつあることを実感しているといいます。

ソニー担当者
「海外の事業所からは、まわりはもうみんな(再エネを)入れているよ、なんで日本はやらないのという感じで言われていて。皆様の知恵も借りながら、日本で再エネを増やしていきたいなと。」

2040年までに再エネ100%を達成すると宣言したソニー。半導体を生産する主力工場では、屋上に太陽光パネルを設置するなど取り組みを強化。しかし、膨大な電力を賄うにはとても足りません。
そのため、グループ内で再エネを融通する新たな取り組みを始めました。電気の使用量が少ない関連会社の倉庫の屋上にも、太陽光パネル7000枚を設置。余った電気を既存の電線を通して、必要とする生産工場に送って使用します。今回、電力会社と共同で初めて実現させました。

ソニー執行役員 佐藤裕之さん
「グローバルでビジネスをやっている企業は今、気候変動対応とかっていうのが非常に求められているものであって、こういったものを避けては通れない世の中になってきている。」

日本の総電力の約1%、実に原発1基分の電力を消費する流通最大手のイオン。去年「RE100」に加盟した背景の1つに、豪雨や台風など、相次ぐ異常気象への危機感があります。

「去年2018年度、我々イオングループは72億円の損失を受けています。(福岡県)小郡店は台風で、2年連続こういう状況になって。」

2050年までに脱炭素を目指し、再エネの割合を増やしていこうとしています。しかし、日本の発電に占める再エネの割合は、およそ16%。2030年度の目標も22~24%と、海外に比べはるかに低いのが実情です。

イオンでは、店舗の壁一面に太陽光パネルを設置。さらに、電力会社と協力して新たな取り組みを始めました。着目したのは、個人の住宅で発電した再エネ。それを買い取り、買い物に使えるポイントで還元しようというのです。

イオン 執行役 三宅香さん
「再エネが欲しいんです。普通に買っている電気だと、再エネ率がやっぱり低いんですね。それを変えていかなきゃいけない。」

RE100に加盟する企業は、国に対して対策を強化するよう訴えています。

リコー担当者
「2030年時点の日本の電源構成、再エネ比率を50%にすべきである。」

イオン 執行役 三宅香さん
「他の国がみんな100って言っている時に、私たち30でいいですって言ったら負ける話なので、そこの目標が変わったら、やっぱりそれを達成するためにみんなが動くんですよ。当然、仕組みも、いろんな、何でも全部。」

“非常事態”いま何ができるか

武田:その再生可能エネルギーの導入。日本は現状も、将来の目標も、各国に比べて低くなっています。課題だと思うのですが、江守さん、資源の乏しい日本は再エネだけでなく多様な手段で電源を確保しなければならないとも言われていますよね。科学者としてはどう捉えますか。

江守さん:もちろん、それはすごく大事なことです。しかし、同時に日本も2050年までに排出量80%、少なくとも削減することをすでに目標にしているんですね。しかしながら現在、石炭火力の計画というのがまだあると。これは、2050年に80%削減するんだったら、非常に全力で減らしていかないといけないということと整合しないと思います。再生可能エネルギー、太陽、風力は今、コストがどんどん下がって、世界では火力発電とか原発を新設するより、太陽、風力の方がずっと安いというのが増えてきているので、日本でも大量導入をより本格的に目指すべきだと思います。

武田:宮﨑さん、市民一人一人は何をすべきだと考えますか。

宮﨑さん:まず企業を選ぶことが挙げられるかなと思います。私は今年の2月にスウェーデンに旅行に行ってきたんですが、現地で大企業が当然のように再エネに取り組んでいたり、生ごみのバイオガスで公共交通機関を走らせていたりとか、小さなスーパーでも省エネに取り組んでいる姿が見受けられました。このように、1人の消費者として脱炭素に取り組む企業を支持することが大事だと思います。消費者として企業を選ぶだけでなく、そのほかに市民として自治体に訴えることもできると思います。というのも、私たちFridays For Futureは、気候非常事態宣言というものを東京都に先日提出してきました。気候非常事態宣言というものは、気候変動を最大の脅威ととらえ、政策的に取り組むべき最優先の事項であると議会に宣言することを指します。現在、世界では1000以上の自治体が提出していますが、日本では昨日、長崎県の壱岐市が宣言しているにとどまっていて、2050年CO2ゼロ目標をすでに掲げている東京都も、こうした世界の潮流に遅れず、宣言を出すことが必要だと考えています。

武田:企業や自治体に働きかけるということができることだということなんですね。江守さん、今の豊かさを失わずに、この難しい課題に挑戦していくためには何ができるんでしょうか。

江守さん:どうしてもCO2を減らせと言われると、なんか不便なことをしろと、我慢をしろと言われている気がするわけですね。しかしながら、やはり個人で我慢をする問題というよりは、これは最終的にはシステムを変えると。例えば、エネルギーの作り方を変えると。必要なエネルギーはもちろん使っていいんです。しかし、そのエネルギーを作るときにCO2を出さないやり方で、すべてのエネルギーを作れるようになればいいと。これは今の常識から考えると、非常にハードルが高いことなわけですが、これから技術の開発、いわゆるイノベーションを含めて、社会の変化も含めて、いろんなことが起こっていくと。その中で、CO2排出ゼロというのを明確に目指していくのが非常に大事だと思います。

武田:そういった投資をしていくことで、同時に成長可能ですか。

江守さん:これから、むしろ企業はCO2をなるべく出さない、あるいはCO2を出さないことに貢献するような企業こそが評価されて、そして成長していくと。そういう時代になっていくと思います。

武田:最後に、グレタさんのこの言葉をかみしめたいと思います。「あなた方が好むと好まざるとにかかわらず、世界は目を覚ましており、変化はやってきています。」

一人一人がどう行動するかが問われていると思います。