クローズアップ現代

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2019年9月4日(水)
“改名”100人~私が名前を変えたワケ~

“改名”100人~私が名前を変えたワケ~

いま日本は、年間4000人以上の人々が名前を変えている。性と名前の不一致に悩むトランスジェンダーの人々や、キラキラ・ネームをきっかけに親子の関係を見つめ直した若者。親から受けた虐待の記憶を断ち切り人生のリセットを期す人、さらに過去に犯した罪を償った後も実名が世間に拡散しいつまでも再出発できない人・・・。番組では、改名することで新しい人生を歩み出したいと願う100人にアプローチ。それぞれの名前や生き方についてインタビューする。

出演者

  • 石井光太さん (ノンフィクション作家)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学教授)
  • 小林康正さん (京都文教大学教授)
  • 武田真一 (キャスター) 、 高山哲哉 (アナウンサー)

“改名“100人に聞いてみた

肇さん(元・王子様さん)
「僕は『王子様』から『肇』に“改名”しました。(母が)私にとっての王子様だからみたいなことを言ってました。名前がキラキラネームというのは、本当に悪い言い方になっちゃうんですけど、親がばかだって自己紹介しているようなもんなんですよ。」

春香さん(元・ハトルさん)
「私は出家をしたので鳴海ハトルという名前から、鳴海春香という名前に改名いたしました。出家ですから、まずこの俗世間を捨てるという意味で。」

詩織さん(元・直樹さん)
「男性から女性になるために、直樹から詩織に改名しました。過去の自分を見えなくしたいという思いがあったんで。」

多香子さん(元・尚子さん)
「私は、尚子(たかこ)から多香子に改名しました。漢字を変えています。ほぼほぼ読まれないんですよ。ナオコさんナオコさんって呼ばれて。」

アリスさん(元・亜梨子さん)
「私は亜梨子(ありす)からアリスに改名しました。パスポートの表記をローマ字から英語に変えたかったからです。元々はARISUのスペルだったんですけど、今は変わってALICE、いわゆる英語のアリスになりました。」

元受刑者の男性
「名前が本名だと過去の犯罪歴が今は簡単にインターネットで出てしまうので、名前が爆弾になるということですね。それがいつ爆発するか分からないという、恐ろしさですよね。」

武田:私の名前は真一です。『真実一路』に生きてほしいという両親の願いが込められています。私は改名したいと思ったことはありません。しかし、今、日本では年間4,000人以上の人々が名前を変えています。一体、なぜなんでしょうか?

改名が話題に 元「王子様」さん

肇さん(元・王子様さん)
「めちゃくちゃいろんなメディアの方から取材の依頼を受けて、毎回同じことを話すので、うんざりですね。」

ディレクター:今回取材を受けていただいたのは?

肇さん
「暇だったからです。」

肇さん
「友達に報告みたいな感じで、ツイートしたら、13万ぐらいリツイートされて、いいね!が20万ぐらい出て何が面白いんだって話ですけど。改名したその日に保険証を『赤池肇』でもらって、その時は『おー、やった』って。」

ディレクター:親に言いたいことは?

肇さん
「母親が父親に了承をとらず勝手に出生届を出してしまって。『私にとっての王子様だから』みたいなことを言って。親がばかだと自己紹介しているようなものなんですよ。自分の子どもがもしできるとしたらキラキラネームにはしないかな。今、大学生です、他には音楽活動してます。キラキラネームで苦労した過去を捨てるじゃないですけど、ここからリスタートを始めていこうという意味で『肇』と。将来はバンドで大成して全世界に『肇』の名をとどろかせていきたいですね。」

キラキラネームって損ですか?

星知さん
「星に知ると書いて、『せしる』と言います。」

大心(だいむ)さん
「ほとんどの人が『だいしん』って間違えます。そのたびに『“む”です』って答えます。」

敢為さん
「『いさな』です。」

星流さん
「『せな』です。」

美唯麻さん
「『みいま』です。」

紗衣奈さん
「糸偏に少ないに衣服の衣に奈良の奈で、『しゃいな』です。」

ディレクター:(生徒名簿の「遥風」という名前を見て)はるかぜ?

北海道函館西高等学校教諭 畠澤貴幸さん
「はるか。これで、はるか。」

ディレクター:先生も大変ですね。

教諭 畠澤貴幸さん
「そうですね、大体読めない人が多いです。『悪い、悪い』って言ってごまかしますけど。」

河野月虹さん
「自分の名前が、よくキラキラネームと言われるので、キラキラネームって何なんだろうって思って。」

河野月虹さんが制作したキラキラネームについてのラジオドキュメント
“私の名前はルナです。漢字で『月』と『虹』と書きます。私のこの名前読めますか? 西高の1クラス、40人にキラキラネームについてどう思うか調査してみたところ、『大人になった時に困りそう』と答えたのが19人、『親が変な人だと思う』と答えたのが4人。キラキラネームにはマイナスなイメージが多くあるみたい。一方で、改名できるということが最近話題になりました…”

月虹さん
「改名できたらしたいなと思う人います?」

星知さん
「はい。自分の名前が外国人っぽいから。それと日本が好きだから、日本っぽい名前がいいなって思います。桜子(笑)、詩織子、薫子。おばあちゃんに星知は似合わなくない?」

大心さん
「いや、大丈夫、大丈夫。」

月虹さん
「それは固定観念で。」

敢為さん
「それは、だんだん価値観変わってきて、そういうおばあちゃん、おじいちゃんが増えてきて、たぶんその頃にはもっと違う感じの名前がいっぱいいるだろうし。」

月虹さん
「ルナは『月虹』でいいかな。自分の一部って感じがする、名前が。変えちゃったらまた別の私になる気がする。」

月虹さん
「そもそも、キラキラネームって何?珍しい名前?」

大心さん
「昭和から見たらさ、平成の人たちって全員キラキラネームっていうふうなイメージだけど、令和に生まれた人は・・・、その繰り返しだと思うんですよ。」

月虹さん
「新しい名前が出来ていきそうだよね。」

大心さんの父・大陸さん
「私の名前が大きいに陸、大陸って書いて『ヒロム』って読むんですね。小学生のときとか、誰一人読めないんですね。先生も読めないし。そのやりとりっていうのは嫌でしたけど、年をとればとるほど『いい名前だな』って言われるようになったので、今では誇り持っています。大心もそういうふうに、大きくなって誇りに思ってくれるような名前になってくれればいいなと思っていますけど。」

大心さん
「ちゃんと考えて名前つけてくれているんだなっていうのを改めて感じて、すごく、この名前大事にしようと思いました。」

キラキラネームはなぜ生まれた?

宮田裕章さん(慶応義塾大学教授)
「いわゆるキラキラネームという呼び名の中で、明らかに不利になる名前と、思いのこもった特徴的な名前というのが、いっしょくたにされてしまうんですけども。」

小林康正さん(京都文教大学教授)
「1990年代の半ば頃になると雑誌が10万件にわたる名前の情報を収集して、それを人に提供するということを行います。つまり、名前のデータベース化を行ったわけですね。データベースに載っている名前を見て、その名前に少し違う名前をつけるという形で、真似てずらすという実践を行うようになってきます。」

宮田裕章さん
「今まで三種の神器だったり、高度経済成長期に経済の発展を同じようなスタイルで楽しんできた人々が、いわゆる差異化の中でファッションだったり、音楽だったり、個性というものを差異化しながら楽しむ。この中に名付けというものが入ってきて、多様な名前が生まれてきた。」

小林康正さん
「個性的な名前をつけられた子どもが自分の名前を嫌いになるかというと、必ずしもそうではない。現在の個性的な名前には、親の思い入れという非常に重要なポイントが1つありまして、親子の関係が親密な状況では、読み間違えられるような複雑な名前であっても、そこに親の思い入れがあるということを理解する。ところが逆に、その関係が破綻してしまったような場合においては、それが逆の要因に働いて名前を嫌いになると。」

改名の申し立ては通常15才から1人で出来るようになります。必要な書類は、名の変更許可申立書に戸籍謄本。そして、大切なのは改名が必要な理由を証明する書類です。例えば、すでに別の名前で暮らしているという証拠や今の名前によって精神的な苦痛を受けているという診断書などです。提出後、より詳しい理由を求められることも多いんです。裁判所で職員から聞き取りをされることもあり、ここで理由に正当性が認められるかが鍵となります。審理の後、改名が許可されるか否かの結果が記された書類が郵送されてきます。

性別の悩みを理由に改名した人も

取材班が改名をテーマにコンタクトしたのは106人。うち57人が心と体の性が一致しないトランスジェンダーでした。

亮さん(元・亮子さん)
「私の名前は亮です。昔の名前は亮子でした。感覚でいうとお札貼られている感じです、女性っていう。『はい、亮子ちゃんです、ペタッ』みたいな。亮子ちゃんと呼ばれると、『亮子ちゃんなんだよ、ギュッ』というお札を貼られている感覚で。勝ち気だったので、『馬鹿にしているの?』というふうにすごく思っていました。
亮子のままだったら、僕は亮子の人生だったんだと思います。でもそうじゃなくて、亮子の人生を踏まえつつも、僕は途中から亮の人生に変わったので。だから名前は、人生だと僕は思います。 中学生のときに仲良かった女の子、というか、付き合っていた女の子がいて、ちょっと界わいでもうわさになっちゃっていたんですね。で、生活指導の先生に呼び出されたことがあって、『田附、お前まさかレズビアンじゃないよな』って言い方をされたんです。自分の大事な友達を恋愛対象として見てしまう自分にすごい嫌悪を感じていて、そこが非常につらかったんですけれども。」

<亮さんの勤め先の飲食店にて>

亮さん
「なんかうちの職場ってちょっと変わっていて、下の名前で呼び合うのがルールだったんですよ。『亮です。みんな、亮って呼んでいます』と言って、『じゃあ、亮じゃん。亮なんだね』と言って亮になりました。職場だけが亮として扱うのではなくて、自分自身は亮であり、社会的にも亮として扱ってくださいっていうようなけじめの感覚で。表明であり、証明であり、自身のけじめでありというので、亮子から亮へというふうに変えました。何か、本来の自分に戻った感覚がありました。そこは、胸をとったときと非常に似ているなと思いました。」

ディレクター:カミングアウトされた時はいかがでしたか?

亮さんの母
「ショックでしたよ、うんショックでした。言われたときは、やっぱり2晩ぐらいは寝られなくって。『子を取って、亮だけにします』って言うから、まぁお好きにお使いくださいっていうふうに。本当に何でも良かったですよ。自分でなんか男らしい名前にしたいって言えば、それで良いんじゃないかって。それはもう、これからこの人が生きていくために使う名前なので。」

亮さん
「僕はパートナーがいるので、今34歳なので、36歳までにパートナーに子どもを産ませてあげたいな、というふうに思ってます。」

人気の動画クリエイターも改名

元女子2人組の動画クリエーター
「ハイ、どうもキットチャンネルのお時間です!元女子の英翔と、元女子の奏太です。宜しくお願いします!」

英翔さん(元・英子さん)
「ここで並んでいるもの。」

奏太さん(元・果奈さん)
「早速びっくりやね。」

英翔さん
「元女子ということで、女性だったので生理も来てた。生理用品のレビューをしていこうかなと。」

英翔さん
「僕たちはもともと女性なので、生理のつらさがとかが分かるということを動画にしたことがあって、それを見て女性の方が共感とかしてくれたりとかして。9月でちょうど2年になるんですけど。今、YouTube一本でやってます。」

ディレクター:お2人は別に付き合われているとかではない?

英翔さん
「付き合ってはいない。よく言われるんですけどね。2人でいるってなると。だからいつも言うの。いや、同棲じゃなくて同居ですと。」

英翔さん
「ここが僕の部屋です。全然片づいてないですけど。女性時代は、こういうピンクとか赤とかオレンジって絶対着なかったんですけど、なんか今、男性でも明るめの色って全然着るんですよね、みんな。僕、中国で生まれたんですよね。うちのおばあちゃんが残留孤児っていうのでいろいろあって。中国で生まれて、半年ぐらいたって日本に来たんですけど、区役所かなにかのテレビに映っていた容疑者か被害者か、そのテレビに映っていた名前を『もうこれでいいよ』ってなって。その名前が『英子』だったんですよね。何も由来とかもなく英子に決まって、ずっと英子で過ごしていたんですけど、自分が性同一性障害ということに気づいて、名前をずっと僕は変えたかったんですよね。」

ディレクター:改名許可証を見たときは?

英翔さん
「『うれしい、やったぁ』という人もいるんですけど、僕はもらった時に正直、こんな紙切れ一枚で俺の人生は左右されるんだなって思ってしまいました。お母さんに、僕言うつもりなかったんですけど、『電話でちょっと会えない?話があるんだよね』って言ったんですよ。お母さんは娘から話があるということは結婚か、妊娠かのどちらかだと思ったみたいです。『英子、なに話って?結婚?妊娠?』みたいに言われたときに最悪だと思って、気まずくて個室になれるカラオケに行ったんです。実は男になる手術をしてくるからみたいなことを言ったら、『え?』って。『英子じゃん、女じゃん』『いや、もう名前はもう変えてます』みたいな。母が、全部がもう大パニックになってしまって。その後、なぜかうちのお母さんも本当に冷静にいられなかったんですね。カラオケ入れ始めて、曲が「時の流れに身をまかせ」で。なんか泣きながら歌っていて、僕もそれを聞きながら『何やってるんだろう』とか思いながら。
性同一性障害ですと言うと、2人ともすげぇかわいそうな子になっちゃうんですよ。でも、僕たちが伝えたいのは、確かに僕たちは元女性だし、奏太君の両親は耳聞こえないし、僕は父親から虐待を受けて施設で育ったし。でも、人生ってそれだけじゃないし、僕たちは今すげぇ幸せだよってことを伝えたいなと思ったんですよ。」

“呪い”だった名前と決別するために

さち恵さん(元・幸絵さん)
「私にとっての名前っていうのは、呪いでした。父からもらった呪いでした。私は幸絵(さちえ)から、さち恵に改名しました。父の名前が『幸』、幸せという字が入っていたんですが、その『幸』の字をつけて幸絵っていう名前を。『絵に書いたような幸せ』っていうような意味が入っていたらしいんですが、小学校5年生のときに、父親が暴力を振るうようになってしまって。(父が)いたら暴力を振るわれるか、暴言を言われるかっていう感じなので、同じ空間にいたくないという状態で、何年も過ごしてきました。名前を書くたびに、自分の名前の中に父親の漢字があって、っていうのが、だんだん苦痛になってきて。」

高校生のとき、父と母が離婚。しかし…。

さち恵さん
「母親がシングルマザーになって働き過ぎて体を壊してしまったんですね。私が介護することになったんですけれど、介護するうちに、だんだん介護うつっぽくなっていってしまって。もう何にでもすがりたい気持ちだったので、『もし名前を変えたら開けるかもしれない、もしかしたら助かるかもしれない、未来が明るくなるかもしれない』って。(新しい名前の)お花のイラスト入りの判子を作ってもらったんですけど、押すたびに、『あ、これはもう本当の私の新しい名前』。誰の束縛も受けない、父親の束縛も受けない、もう嬉しかったですね。」

さち恵さんは改名の体験をネットに投稿。200人以上の改名の相談に乗りました。

さち恵さん
「呪いが解けました。呪いが解けて、人生も開けてきました。」

かつて名前はもっと自由だった 私たちと名前 過去-現在-未来

小林康正さん
「昔は場面が変わることによって名前を変えていくということも行われていました。例えば自分が結婚をするとか、男として一人前になるとか。元服という形で名前を変えるという形が行われていました。それが明治維新になって、1人が1つの名前を名乗らなければいけないという形に変わっていったんですね。」

宮田裕章さん
「国家がいかに全体として力を持つか。人々をより都市に住まわせて、効率的に労働力として活用し、税金を払ってもらい犯罪をさせないと。こういったシステムを維持するために最も重要なのが名前をしっかり管理すること。一方、IDや生体認証という形で、名前が違ったとしても、同じ人を同じように認識するということができるなかで、今度はもしかしたら、名前が人々に開放されていくかもしれないという、いわゆる国家としての効率性から、人間が中心の名乗りというものにまた戻るかもしれないという時期に来ている。」

元受刑者 改名しないと生活できない…

タクヤさん(仮名)
「刑務所ですと(名前ではなく)番号だけで呼ばれるんですけど、番号じゃ味気ないんで。名前は爆弾なんですよ、僕にとっては。本名で過去の犯歴が出るんで。今でも出ますね。私の本名を検索すると、あ、ここに載っていますね。」

申請しても改名に至らないケースは年間に約1,700件(平成30年度 司法統計)。

司法書士 吉越清顕さん
「認められづらいのは、過去に犯罪歴、もしくは逮捕歴があって、その人自身に責任があるような状態で、それを隠すために名前を変えたいっていう人。」

改名で過去をリセットしていいのか?

石井光太さん(作家)
「改名したら罪を犯さなくなるのか。あるいは、改名したらまっとうにみんな働くのか。僕はそうじゃないと思うんですね。」

石井さん
「タクヤさんよろしくお願いします。自分の名前を検索すると出てきたりするんですか。」

タクヤさん
「具体的な事件の内容と、行った日付。ひぼう中傷も含めて、結構書いてあります。」

石井さん
「ひぼう中傷というのはどういったことなんですか?」

タクヤさん
「やっぱり犯罪を憎む声です。赤裸々に書いてあります。加害者は死刑にしろとか、そういう内容です。」

受刑者の社会復帰・更生の支援団体 代表 五十嵐弘志さん
「やはりネットに全部、今は流れちゃって。顔写真から、本名から。そして事件の内容も。そうすると、なかなか社会からそれは消えない。」

タクヤさん
「例えば、ハローワークで履歴書を提出すると、面接に行く前に断りの連絡が来て。就職活動が非常に厳しい。そこから支障が出てしまう。やっぱり改名はしないと、結局営業ができない。」

受刑者の社会復帰・更生の支援団体 代表 五十嵐弘志さん
「たとえ犯罪を犯した人間でも、法廷で懲役何年と言われて、刑務所につとめた。被害者は別として、社会的責任はそこで終わっていると僕は思っているんですね。社会的責任は。」

石井さん
「懲役10年だったら10年ということで、それをまっとうした時点で、法的には責任を果たしたことになりますよね。ただ、それで(社会的責任が)本当に終わるべきなのかどうかというのは、また議論が法律とはまた別のところであると思うんです。」

受刑者の社会復帰・更生の支援団体 代表 五十嵐弘志さん
「確かに犯罪行為を行った人が一番悪いです。絶対に悪いです、それは。でも、だからと言って、その人が社会で生きていけないようにする社会も問題だと思うんです。」

石井さん
「これはもう完全に僕の持論なんですけども、もしも、例えば犯罪を犯した後に、被害者遺族ときちんと関係を結んでいて、精いっぱいのことをやって、補償だったら補償をして、謝罪をして。それで加害者の遺族のほうが、『もし改名をして人生を1から始めるなら、そうしていいよ』というふうに言ってくれれば、例えば加害者のほうも堂々と自分の改名ができると思う。」

タクヤさん
「被害者と関係性を築くのが非常に難しいです。私から連絡することができないし。被害者サイドにコンタクトがとれない以上、勝手に(名前を)変えるという形になってしまうんですけども、それは見方によっては自分勝手なことなのかもしれませんが、生活ができない。」

石井さん
「ただ、方法はいろいろあって、例えば日本には協力雇用主という企業があります。つまり、罪を犯した人たちを積極的に雇って、すべてそれを理解した上で、身元もすべて犯罪歴もすべてわかった上で、きちんと雇うという会社ですね。」

タクヤさん
「その会社の社長さんが私のことを理解してくれたんですけど、ほかの取引先とか、(社長の)お嬢さんが、結局(自分の名前を)調べた。」

石井さん
「それは1社ですよね。」

タクヤさん
「1社です。ですから、僕は今度自営を考えているんです。じゃ自営だからといって、一緒に仕事をしている人、その人たちにすべて僕の犯罪歴を言うべきなのかというところになると、それは僕は言うべきではないのかなと。ですから、迷いながらなんです。改名するのが正しいかどうか、迷いながら今、生きています。」

“改名”100人に聞いてみた

日本で改名する人は年間およそ4,000人。平均すると、1日11人。今日も、また1人…。

「美凰に改名します。幼少期に人格否定の言葉なんかを浴びせられるときに、やはり親は自分の名前を呼んでいたので、そうした名前じゃない自分になりたい。」

あなたにとって、名前とは?

自分にとって名前とは“ファッション”
親からもらった最初の“贈り物”
名前は“人生”なんだと思います
父からもらった“呪い”でした
“大切な宝物”
名前は“爆弾”なんですよ
“記号”です。“識別番号”です