クローズアップ現代

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2019年8月28日(水)
知られざる天才 “ギフテッド”の素顔

知られざる天才 “ギフテッド”の素顔

小中学生の不登校が4年連続13万人を超え、画一的ではない教育を模索する動きが本格化し始めている。そのなかで注目を集めているのが、生まれつき高い知能(IQ130以上が目安)や才能を持つ「ギフテッド」と呼ばれる若者たち。マーク・ザッカーバーグ、ビル・ゲイツなども“ギフテッド”とされ、米国などでは国家の教育支援を受けている。今回番組では、日本国内のギフテッドにアンケートを実施。すると、才能を秘めた若者が「生きづらさ」を抱えている現状が明らかになった。才能を十分に発揮できる社会には何が必要なのか、数々のギフテッドの例とともに考える。

ギフテッドの方々へのアンケート結果はこちら

出演者

  • 石井光太さん (作家)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学 教授)
  • 川崎由起子さん (ギフテッド教育専門家)
  • 武田真一 (キャスター) 、 高山哲哉 (アナウンサー)

知られざる天才 “ギフテッド”の素顔

「計算機を改良したような数式処理システムを作っています。」

小学5年生にして大学レベルの数学に挑む男の子。

取材班
「これは何を研究している時の?」

「これは数検(数学検定)のなんですけれど。フーリエ変換…。」

16歳の時に独学で交響曲を作った若者。

「たまたまなんですけど、病院の待合室で暇だったときに、急にパッとイメージがわいて、実際に物理的に(音符を)置いていく時間も合わせると、(作るのにかかったのは)2〜3時間ぐらいですかね。」

取材班
「2〜3時間!?」

「はい。」

飛び抜けた能力を持つ彼らは「ギフテッド」と呼ばれる天才たち。「天から才能を授かった人」という意味で、海外では広く知られています。アインシュタイン、ビル・ゲイツ、フェイスブックを創設したマーク・ザッカーバーグ。彼らも皆、ギフテッドといわれ、数々のイノベーションを起こしてきました。このギフテッド、実は日本にも250万人以上いると言われています。今回私たちは、その素顔に迫るためアンケートを実施。すると、意外な事実が明らかになりました。

“人間関係のストレスから体調を崩した。”

“「はみ出し者」的なレッテルを貼られてしまう。”

“ほぼ9年間不登校。”

ギフテッドの9割近くが、何らかの生きづらさを感じていたのです。

武田:知られざる才能を秘めた、ギフテッド。彼らは一体、どんな環境の中で生きているのでしょうか。

まずやってきたのは、沖縄県。大学1年生の太田三砂貴さん。

得意な分野は、数学と物理。小学生の時には、アインシュタインの相対性理論を理解していました。

太田さん
「3の階乗分のXの3乗+…という無限和で表される。こういうの書いてる時が一番人生の中でわりと幸せな瞬間で。」

取材班
「えー、幸せ?本当ですか?」

太田さん
「幸せですよ。この何か美しいというか。」

取材班
「美しいんですか?」

周囲の自然を見る目も独特です。一見複雑に見える現象を、シンプルな数式で表すことに喜びを感じると言います。

太田さん
「この木の、イボイボの角度なんですけど、このイボイボって間違いなく不規則には並んでおらず、すべて規則的に並んでいるはず。」

この日、気になったのは、木についたコブ。スマホのアプリで角度を測り始めました。

太田さん
「この傾き度合いが36度がそれの倍数か何か、黄金比やフィボナッチ数列に準ずる何かに関係あるのかなと思ったんですけど、面白い、これは本当に面白いな。」

高校生の時、軽い気持ちで知能検査を受けた太田さん。結果はIQ188。5億人に1人という飛び抜けた数値でした。

IQ=知能指数とは、言語能力や記憶力などの知的能力を数値化したもの。100を平均に、数字が大きいほど知能が高いとされます。中でも、IQが130を超える人たちが、生まれつき知的能力が高いギフテッド。割合は人口の2パーセントほど。日本には250万人程度いるとされます。太田さんのIQ188はギフテッドの中でも抜群に高い数値。

1歳の後半でローマ字、3歳の時には漢字を書き始めたといいます。しかし、ずば抜けた能力は当初、両親からも理解されず、一時は大学進学も諦めざるをえませんでした。

父 浩さん
「自分から天才、頭のきれる子なんか生まれるとは思っていませんでしたし、だから、ちゃんと専門学校に行って、特殊な技術を身につければ、食べていけるんじゃないか。」

太田さん
「絶対悪気があって言うわけない、父親なので。『一回社会経験を積んで世の中を知ってほしい』と父親は思ったと思うんですね。どうしても解決のできない難しい問題が自分と両親の間ですらあって、『誰かわかってくれる人はいないのかな』っていう強い孤独感はありましたね。」

実は、こうした生きづらさを感じているのは、太田さんだけではありません。今回番組では、日本全国のギフテッドにアンケートを実施。すると、全体の9割の人が、何らかの生きづらさを感じていたのです。

やってきたのは、札幌市の自転車店。宮田太郎くん、小学6年生と母親の邦子さんです。

医学系の本が大好きな太郎くん。小学校に入る前から、かけ算や分数を理解していました。

母 邦子さん
「興味を持つことが世間一般のお子さんたちとちょっと違っていたので、やっぱり変な話、普通じゃないというか、育てにくいっていうか。」

不思議に思った邦子さん。小学3年生の時、知能テストに申し込むと、IQは141。予想外の高い数値に驚いたといいます。そんな中、太郎くんは小学校生活で思いがけない苦労に遭遇します。教室で、大好きな生物や人体に関する専門書を読んでいた時のこと。

太郎くん
「男子の友達関係が、ちょっとうまくいかなくて、本読んでる途中にパタンって閉められたりとか。」

高山:太郎くんが本読んでるとき?

太郎くん
「はい。」

さらに、学校で習わない範囲のことを先生に質問すると…。

母 邦子さん
「先生の第一声が『太郎くんは宇宙人で理解できないんです』。(私は)『すいません、うちの子変わってるんで』って言うしかなくて、『扱いに困る』と言われたので『どうすればいいんですか』って聞かれて。」

高山:先生が?

母 邦子さん
「そう。私の方が、どうすればいいのですかと思って。」

次第に太郎くんは、精神面で不調をきたすようになります。

母 邦子さん
「イライラというか髪の毛を抜いて、宿題やりながら、いつも髪を抜いて、もうこの子は壊れてしまうんじゃないかって。」

学校の授業がもの足りなかったり、周りから浮いてしまう。こうした問題は、落ちこぼれならぬ、「浮きこぼれ」と呼ばれ、アンケートでも多くの声が寄せられました。

(アンケートに寄せられた声)

“ひらがなの勉強をしている時、すぐ終わって提出にいくと、先生が不機嫌になりとても怖かった。”

“習っていない漢字を書いたら「他の児童に悪影響」と言われ、書き直させられた。”

“かけっこが得意な人は「速く走っちゃだめ」と言われないのに、勉強はなぜ横並びにしないといけないのか。”

アンケートには、周囲から浮いてしまい、不登校になったという声も目立ちました。

小学6年生の檜垣大峯くんも浮きこぼれた一人。学校になじめず、小1で不登校になりました。

大峯くん
「僕は(算数の問題を)パパっと終わって、先生に次の(問題を)下さいと言っても、みんなが終わるのを待ってから、次の段階に入っていくっていう点で、ちょっと合わなかったと思います。」

窮屈な学校の代わりに通い始めたのが、水族館。海洋生物と出会いのめり込んでいきます。そんな時、アメリカやカナダには飛び級など、ギフテッドに向いた教育があると知った檜垣くん。両親を説得し、小5でカナダ留学を決めました。今は、現地の公立小学校に通いながら、生物学などの分野は大学の授業に出て学んでいます。

大峯くん
「こんなにいい環境があるんだ。どんどんチャレンジが出てくるような教育システムがあるんだっていうことを思いながら、とても充実した毎日を過ごせていると実感します。」

ゲスト 川崎由起子さん(ギフテッド教育専門家)
ゲスト 石井光太さん(作家)
ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授)

武田:もう大人みたいなものの言い方ですよね。こんな子がいるんだなというふうに驚きましたけれども。

高山:なかなか理解が得られないということで悩んでいるのは当事者本人だけじゃなくて家族もなんです。札幌で取材した宮田さん親子なんですけれど、太郎くんのお母さんは「ちょっと育てづらいな」というふうにおっしゃっていましたが、公的な機関に相談をして、IQテストを受けてみたらIQが高かった。「よかったですね」と言われて、何の支援も受けられず、もやもやが続くと。幸いにも太郎くんは、学年が上がって、いい先生に巡り合えて、学校が楽しいというモードに入ったんですけれど、日本には制度としての受け皿がないという現状。これをまず皆さんに知ってほしい。

武田:その辺りのことを、ギフテッドの教育に詳しい、川崎由起子さんに伺っていきたいと思います。
川崎さんはアメリカ・シリコンバレーのギフテッドの子どもたちだけが通う学校の先生をなさっていたと。アメリカにはそういうところがあるんですね。

川崎さん:あります。私が通っていた学校は、シリコンバレーのまさに真ん中にあるヌエーバスクールという学校なんですが、IQ135以上の子どもたちだけを集めて。

武田:どんな子たちがいるんでしょうか?

川崎さん:とにかく、入ってくる子どもたち、お母様たちがまず気が付くのは、1つのことに集中したら、ごはんも忘れて本を読んでいたり、それも図鑑をずっと見ていたり、1つの分野のものをずっと長くやっているので。

武田:石井さん、どうですか?

石井さん:僕自身が取材の中で、ある子に出会ったんですけれど、それは家庭環境が非常に悪くて、小学校の時から学校に行っていなくて、15歳で覚醒剤の売買をしていたんですね。最終的には少年院に行ってしまうんですけれども、その女の子がそういった覚醒剤の売買をする中で、外国人に会ってしゃべりますよね。それだけで外国語を覚えてしまうという子がいたんですね。「何か国語しゃべれるの?」って言ったら、「7か国語だ」と。例えば、中国語ができて、スペイン語ができて、ポルトガル語ができてっていうことですよね。

武田:その子も、もしかしたらギフテッドだったかもしれませんけれども。

石井さん:可能性はあります。

宮田さん:先ほどのVTRの問いかけにもありましたけれども、すごく勉強ができる子と、今日番組で取り上げるギフテッドっていうのは、やはり違うんですよね。

高山:ギフテッドと認定する上でIQというのは1つの物差しにすぎないんですが、ある専門家によると、何かずば抜けた才能を持つ人もギフテッドとしているそうなんです。
例えば、こちらの方。

皆さんご存じ、「ひふみん」の愛称で親しまれている、棋士の加藤一二三さん。

14歳、中学生でプロ入りします。その後も次々と史上最年少記録を塗り替えて、「神武以来の天才」と呼ばれ続けてきました。ギフテッドと呼ばれるゆえんが抜群の記憶力。なんと、プロ生活63年間の全ての対局を鮮明に思い出すことができるというんですね。
では、一体どれだけすごいのか。かつて、最強といわれた大山康晴名人との1局を特別に再現していただきました。勝負が行われたのは、今から59年前のことです。

武田:えー!そんな昔?

高山:本当に覚えていらっしゃるのか…。

棋士 加藤一二三さん
「これはですね、古い話で4四銀と大山名人は上がってきたんですね。これはですね、ユニークな手でして、私に揺さぶりをかけたんだと思うんですね。それに対して私は冷静に4六歩と対抗しまして、実を言うと、この将棋は私の快勝に終わったんですけども。95%は自分と相手の考え方は全部思い出すことができます。」

そんな記憶力を誇る加藤さんなんですが、実は、何でも覚えることができたというわけではなかったんだそうです。

加藤さん
「すべての物事には根拠があって、根拠があるから覚えられる。でも私は今でも思っていますが、私は文系の人間で、理系の人間ではない。理科などは苦手だった。どちらかというと数字も苦手。理数は苦手だったんですね。」

武田:ギフテッドといっても何でもできるスーパーマンというわけじゃなくて、やはり能力にも凸凹があるということなんですね。

川崎さん:もちろん、そうですね。ギフテッドだからこそ凸凹がある。1つのことに非常にたけているから、ほかのことができなかったり、またそのレベルがすごく高いから自分がそのギャップに苦しんだりということもあるので、全てがAプラスの子どもというわけではないです。

高山:今回番組では、日本のギフテッドの皆さんにアンケートを行いました。こちらのQRコードで番組のホームページにアクセスして見ることもできるんですが、ちょっといくつかご紹介します。

まずはこちら、「自分でも空気が読めない自覚はある。筋が通っていると感じると『不謹慎』なことでも言ってしまう」。
これは、みんなが求めているものと違うかもしれないけれど、ちょっと心が許さないから言うしかないというふうに思ってしまうと。
一方で、こんなに理解されないんだったら周りに合わせてしまえというふうに考えたことがあるというエピソードもご紹介します。
こちら、「幼稚園時点で、すでに世間に迎合していた。他者を観察して、決して1番の成績は取らないよう調整してきた」。

武田:やはりギフテッドの子どもたちが自分の力っていうものを抑制してしまう。外に見せないとか、あえて低くしてしまうってこともあるんですか?

川崎さん:ギフテッドスクールに行かなければ、子どもたちはこういうことを多分すると思います。やっぱりみんなと同じであることがとても重要だってお母さんたちからも言われているし、わざわざ分かっていても、手を挙げなかったりっていうことはよくあります。

武田:そのことによって、もともと持っていた高い能力が伸ばしきれないっていうことも起こり得るわけですね。

川崎さん:もちろん、そうですね。

武田:そうすると、本人にとっては非常に残念な…。

川崎さん:とても残念ですね。

武田:日本ではこういった声がたくさん寄せられているわけですけれども、アメリカでは?

川崎さん:私の勤めていた学校は私立で、シリコンバレーという非常に潤沢な資金の場所にあった学校ですけれど、ギフテッド教育自体は公立でも行われているし、それは公立に行って、クラスの中でギフテッドの子がいたら、それを抽出して、ある時間だけはギフテッドの子はまとめてやるというやり方もあるし。

武田:そういう教え子のお一人をご紹介していただける…。

川崎さん:紹介させていただきたいと思います。
彼は、アマン・クマールという子で、今はシリコンバレーのフェイスブックという、皆さんがよくご存じのシステム部門の幹部をしています。

更に彼は、エストニアという国のIT分野の国家アドバイザーもしているという。

武田:立派になられたんですね。

川崎さん:中学のときの写真ですね。私が中学の時に教えた時の写真で、彼はすごく頭の回転がすごく速いんですけれど、きつ音の症状があって、なかなか人と話すのが苦手でした。

アマン・クマールさん
「頭がいいなら、楽に生きていけるんじゃないかって思われがちなんだけど、そんなに単純じゃなくって、社会的ふるまいや感情の発達に影響が出てくるんだ。川崎先生の学校では、自分だけのスーパーパワーを見つけようと言われてきた。バランスが悪いことにも寛容で『これができなくても、これが得意ならOK』というふうにね。」

日本のギフテッドにメッセージを—

アマン・クマールさん
「まず言いたいのは『君はひとりじゃない』ってことさ。どの社会にも、すべての国にギフテッドはいるよ。社会とのつながりを持つことが大事。接点なんて何だっていい。自分のことを受け入れてもらえる居場所を見つければいいんだよ。」

武田:アマンさんをどういうふうに教育していったのか。一番力を入れたことってどういうことだったんですか?

川崎さん:やっぱり彼が彼らしく自信を持って生きていってくれることというのがすごく大事だなと思って。彼は、きつ音があったけれども、もちろん、それはトレーニングをやるけれども、そういうことを伸ばせるように、みんなといろんな話をして、心のサポートもしていきました。

武田:能力ではなくて?

川崎さん:能力ではなくて。

武田:心なんですか?

川崎さん:心のサポートを。例えば、これは私がヌエーバスクールから借りてきたんですが、こういうもので表現をすると。

武田:それは、なんですか?

川崎さん:これは針金なんですね。こういう針金なんですけれど、こういうものを使って、まず自分の1日を、今日の気持ちの変化を自分で振り返る。やってみますか?

高山:おや?こんなところに針金が2つあります。じゃあ、ちょっとお2人どうぞ。

川崎さん:まず今日の1日を。あるいは最近起こった心に残る出来事を思い出してください。私たちは「ソーシャル・エモーショナル・ラーニング」というのをたくさんやって、自分の気持ちをきちっと、いいことも、悪いことも自分で把握するということをやっていました。

武田:石井さん、もうできましたね。じゃあ、ちょっと石井さん見せていただいて。それはなんですか?

石井さん:風邪をひいて、副鼻腔炎で酒を1週間飲めなかったので、飲んだ時にめちゃくちゃ気持ちよかったっていう。そのときの口を…。

川崎さん:気持ちよかったというのが、その形になったということですよね。
それはなんですか?

武田:これは、母がちょっと入院しまして。無事、手術も済んだんですけれども、ちょっと心配したなっていう。まあ、不安ですね。

高山:僕は高校野球。甲子園で応援したんですよ。行ってきたんですよ、夏休みに。高校生から元気をもらったので、この気持ちを思い出しながら…。

武田:いや、だからどういう気持ち…。

高山:ボールですよ、ボール。

武田:でも、こういうふうにギフテッドの子どもたちというのは、自分の気持ちを今、皆さんで活発に表現なさいましたけれども、これが難しいわけですね。

川崎さん:それがすごく難しいです。ギフテッドは自分を非常にスーパーパワーだと思っているけれど、実は、人に頼ることも大事だよって。人に頼ったら、ここ最後まで歩けたよねっていうようなことを毎日、実践していく。

武田:宮田さんは、いかがですか。

宮田さん:欧米では、こういったギフテッドの子を社会で育てて、その恩恵をみんなで享受していこうと。こういう考え方のもとにギフテッド教育っていうのが進められてきたと。一方で、日本はどちらかというと、凸凹のいわゆる、へこんでいるところを埋めて、きれいな歯車を作っていこう。そういうような考え方も結構あった部分がありますね。どちらが正しいっていうことはなくて、特に高度経済成長期というのは、皆が同じ方向に向かって進んでいくということもあって、そういった教育が功を奏した部分もあったかと思います。ただ、これから経済成長というのが、いわゆる、今までのような1つの同じ方向性にいくものではなくなってきていると。やはりきれいな歯車として教育していくだけではなくて、凸凹でもいい。こういった個性を伸ばしていくということが、まさに日本でも大事になってきている時期かなというふうに思います。

高山:日本でも3年ほど前になるんですが、この方がギフテッドの居場所になればということで財団を立ち上げました。ソフトバンクの孫正義会長。「異能」という、なかなか聞かない言葉ですが、異なる能力を持つ若者を支援する財団を立ち上げたんですね。すば抜けた才能を持っていることが認定されれば、進学や留学の費用を支援。研究施設も自由に利用ができる。起業も応援するというものなんです。

ソフトバンクグループ 孫正義社長
「トップ、異能をさらに大きく伸ばしていこうと、こういう部分については、日本はあまり力点を置いていないし、得意としていない。産業や学術の世界でリーダーになりうる芽をさらに伸ばしていきたい、応援していきたい。」

ギフテッド 個性を認める社会へ

武田:日本でも、ようやくこういった場ができつつあるということなんですが。石井さん、まずこういった動きどういうふうに見ていらっしゃいますか?

石井さん:今、孫さんがおっしゃっていたことは非常に理解できます。ただし、孫さんの言っていることだけが社会の1つの定義というか、目標になってしまうのもちょっと怖いのかなというふうに思いました。どういうことかといいますと、例えばギフテッドを持っている人だって、じゃあ、それを必ずしも伸ばさなきゃいけないってことはないと思うんですね。例えばIQは非常にいいですと。でも、やっぱり子どもをたくさん作って、5人作って幸せに暮らしたいっていう人もいるかもしれない。あるいは、経済的にはうまくいかないかもしれないけれど、詩を読んで暮らしていきたい。あるいは海のそばで暮らしていきたい。そういったことも1つの価値観だと思うんですよね。

武田:川崎さんはこのギフテッドの人たちの教育の在り方をどういうふうに考えていらっしゃいますか?

川崎さん:多様性を培うことが大事だっていうことをおっしゃっていたんですけれど、まさにそうですけれど、やっぱり多様性を培うためには、まずギフテッドを認識していただいて、あと保護者。私もギフテッドの保護者として子どもを育てたので分かりますが、やはり、非常に保護者自身が、自分の子どもに自信を持って、子どもたちができないとかじゃなくて、この子はちょっと変わっているけれども、変わっているのは当たり前っていうふうに思っていただいて、子どものために、例えば先生に「変わっているね」と言われても「宇宙人だね」と言われても、「本当に宇宙人なんです」って言って、子どもの味方で保護者があってほしいなと思っています。

高山:今回、皆さんからお寄せいただいたギフテッドの皆さんのアンケートなんですけれど、よく見つめてみると、共感できるところも多いんですよ。ちょっとしたことっていうのは、学校で認められなかったっていうのは、結構多くの人が経験していることなんですよね。それがスーパーパワーだから目立っちゃっただけで。ギフテッドが輝くっていうものを見つめれば、僕らの生きやすさにもつながるのかなというふうに改めて感じました。

武田:多くの人たちの個性が重んじられるような社会にしていく。それがギフテッドの人たちのためだけじゃない、この社会全体のためっていうことになるんですね。

高山:ギフテッドからの贈り物なんじゃないかなと、僕は思いました。

川崎さん:ギフテッドからのギフトですね。